SCP-1400

登録日:2017/05/12 Fri 19:35:15
更新日:2023/03/18 Sat 16:44:17
所要時間:約 13 分で読めます




SCP-1400とは、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)。
項目名は「Sirens(サイレン)」。
オブジェクトクラスはEuclid。


概要

コイツが何かというと、情報災害のベクターである人型実体である。
その風貌はコーカソイド系の男性だが、ガスマスクをつけている以外は全裸。パッと見では単なる変質者だが、単にそれだけなら何の問題もない。

コイツの異常な特性は大きく分けると二つあり、一つはコイツ自身が持つものと、もう一つはその発声である。
まず、SCP-1400は実体ではあるが、物理的に接触することが出来ない。そしてコイツの行動だが、SCP-1400-Aと分類された一名の対象(以後「目標」)を監視することのみで成り立っている。

この「目標」は、SCP-1400自身と似たような体格・人種を優先的に選び出す傾向にある。
選出が終わると、SCP-1400は「目標」の周辺20m以内に近づき、観察を始める。ガスマスクをつけているため視線の向きの正確なところは不明だが、頭の動きは「目標」をしっかりと追随する。
さらにどうやら、視覚以外の不明な方法で「目標」を感知しているらしく、収容後の実験に際して、目標との間に5cmの鉛の板を挟んでもその追従は極めて正確であった。
さらにコイツ、不明な方法で瞬間移動する。その範囲は、「目標」の周囲50m以内に限られている。

で、コイツは当然「目標」から隠れて監視を行う……のだが、まったく効果がない。
具体的なところは不明だが、隠れるのは下手なのだろう。
当然ながら「目標」はSCP-1400の存在に気づき、時間がたつにつれてパラノイア的傾向を強めていく。そらガスマスクに全裸の不審者が絶えず監視してれば気分悪いわな。

現在までに「目標」となった人物は複数名存在しているが、共通しているのは、SCP-1400の素顔を見ることについて、極めて強い嫌悪感を示すことである。


そして、SCP-1400のもう一つの異常な特性は、その発声である。ぼそぼそ呟いている上にガスマスクがあるため、こもってくぐもって判別は不可能である。
これは能動的な認識災害であり、曝露した対象のおおよそ75%が、「そのマスクを取り除く」ことに対する衝動に駆られることになる。ちなみにインタビューによれば、その理由は「窒息を防ぎたい」「声をちゃんと聴きたい」など多岐にわたるが、なぜか「素顔をみたい」と答えた事例は一つも存在しない。
そしてこの情報災害、「目標」だけは耐性を持つ。選択的に耳が聞こえなくなる、つまりコイツの声だけを聴かないという選択ができるからである。

さらに、「目標」はSCP-1400と物理的に接触できる唯一の存在である。曝露者はこれに気付くと、「目標」に対してSCP-1400の被っているマスクを取り除かせようとする。
最初は丁寧な説得から始まり、それが罵声による脅迫になり、さらに暴力行為に発展する。が、「目標」の方はSCP-1400の素顔を見ることを嫌がるため、当然拒否。曝露者は取り除かせようとするのでどんどんエスカレート、最終的には「目標」を集団で殴り殺してしまう。

現在財団ではSCP-1400の収容のため、隣接するセルに現在の「目標」を収容しているが、この人物は精神的にかなり参っているらしく、実験のためであっても、財団の用いる通常の強化尋問=拷問に全力で逆らい、接触を拒否している。
無理もないがせめてメンタルケアくらいしてやれ。


事案記録

さて、財団はオブジェクトを確保すれば、特性を把握するため実験を行う。
このオブジェクトは、「目標」の監視のみを唯一目的として行動する。そして曝露者は「目標」にガスマスクを除去させようとする。では、曝露者のみが存在する場合どうなるのか?

それを確かめるべく実験が行われた。
社会的行動を観察するためだったが、その最中、SCP-1400が曝露者の一人を「目標」に設定。これに気付いた曝露者たちは、新たな「目標」が抵抗する前に拘束し、その手を無理やり動かしてガスマスクを持ち上げさせた。
が、この時数名の曝露者がカメラの前に偶然割り込んだため、SCP-1400の素顔は観察できていない。

しかし、曝露者たちはいったい何を見たのか、SCP-1400の素顔が明らかになった途端一気に後ずさり。そして、SCP-1400はガスマスクが完全に外れた瞬間、大量の重金属、リン酸塩、及びヒトの排泄物が溶け込んだ水から成る暗色の液体へと融け消えてしまった。
そして、残されたガスマスクを「目標」が装着し、衣服だけを除去した状態で収容施設内の別の場所に転移出現。

これにより、彼はSCP-1400-1と認定され、収容されることになった。

このオブジェクトの本体はおそらくマスクの方であり、「目標」を新たな体として乗り換えるチャンスを狙っているのだと思われる。


補遺

未確認報告によれば、世界各地で類似の実体の目撃情報があるという。
それぞれ、暫定的にこのように識別されている。

  • SCP-1400-2
前腕の上に重いケロイド状瘢痕をもつ、肥満のアフリカ人女性。ガイ・フォークスマスク*1を身に着けている。

  • SCP-1400-3
高齢のアジア人男性。中世の十字軍のヘルメットを身に着けている。

  • SCP-1400-4
広範囲にモコの入れ墨を入れた、太平洋諸島系の男性。中国のパレードの獅子の頭を身に着けている。

  • SCP-1400-5
大きな乳房をインプラントした、ラテン系の男性。アポロ計画ブロックIの宇宙服A1Cのヘルメットを身に着けている。

  • 5だけどう考えてもおかしいが、共通しているのは顔面部を完全に覆うマスクをつけており、あとは全裸であることらしい。


なぜ、何のために、彼らは存在し、このようなことをしているのか?
それはわからない。

一つだけ言えるのは、ここに提示されたものが彼らのすべてではない、ということだ。
なぜならば―――。





SCP-1400

Sirens(サイレン)





追記・修正はSCP-1400と接触してからお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • SCP
  • SCP財団
  • SCP Foundation
  • Photosynthetic

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年03月18日 16:44

*1 ハッカー集団のアノニマスが着用しているアレ