SCP-2700


登録日: 2017/05/09 Tue 19:12:17
更新日:2024/03/11 Mon 11:43:19
所要時間:約 12 分で読めます




SCP-2700は、SCP Foundationに登場するオブジェクトのひとつである。
オブジェクトクラスはSafe。
項目名は「Teleforce(テレフォース)」。SCP-2000コンテストの出品作品である。


特別収容プロトコル

このオブジェクトの収容手順はかなり簡素で、要するに厳重バンカー(地下室みたいなもの)に収容し、さらにその中でコンクリート製の金庫室に収めたうえで、4/2700クリアランスを持っていない職員の接触を禁止する、というものである。
Safeに対する手順の見本のようなシンプルっぷりである。

概要

コイツが何かというと、かの天才発明家ニコラ・テスラ*1によって作られた指向性エネルギー兵器である。何を作ってんだあのヒト。
ただ、翻訳された発見経緯が少々わかりづらく、

1946年に装置は発見され、1934年に[編集済]の現存していないが厳重に確保されたテスラが使用していた研究施設から回収されました。

ぱっと見だと「発見が1946年なのに回収が1934年?」と首を傾げるかもしれないが、
どうもここでいう1934年とはテスラが研究施設を建てた年のことのようだ。
1934年にテスラが使用していた[編集済]の厳重に確保された研究施設から、1946年に装置は発見/回収されました。施設自体は現存していません。と置き換えても良いかもしれない。


気を取り直そう。
このオブジェクトは「操作パネル」「加速装置」「コア」の三要素から成立している機械的実体である(それぞれSCP-2700-1、-2、-3と指定)。

操作パネルは現在のパソコンのものと同様のキー配置を持った鋼鉄のキーボードで、表示画面に加えてレバーやスイッチが据え付けられている。
OSについては現在調査中。

加速装置は線形粒子加速装置という種類で、タングステン鋼でできた円形の容器に収められている。
この装置には当時の粒子加速器に必要な要素が全て含まれているが、当時の技術力ではありえないレベルで小さい。
長さはわずか7.35mである。

コアはタングステン鋼でできた未知の機構で、テスラの設計図ではこれが装置のコアとされている。この装置は石英ガラスの覗き穴を通じて観察することができ、未確認の物質から製造された球面の枠でできていることがわかっている。
さらに、直径約10cmの透明な球体の中で浮いており、その構成要素もわかっていない。
テスラのメモによれば、この球体の中の空間は永続的な真空状態を維持する設計になっている。枠内に観測できる存在は連続的なプラズマの流れであり、これは未知の理由により連続的に発生している。

さて、この装置が具体的に何をする装置なのかと言えば、ずばりビーム兵器である。
コアで生成された粒子を加速装置に送り、エネルギーで満たして加速装置のむいている標的へと射出する。
具体的にどういう動力を使っているのか、コアが生成している粒子がなんなのかはわかっておらず、現在も調査中である。


























………さて。




注意、クリアランス4/2700職員へ: この文章を読みセキュリティクリアランスが確認できれば、以下の文書へのアクセスができるようになります。文書-2700-DEに続いてください。レベル4以下の職員は、Ω-R5規定のもと緊急時のアクセスが許可されます。


もはやおなじみだが、上記の記述はカバーストーリーである。
偽造文書の部分は、オブジェクトクラスと特別収容プロトコルとSCP-2700-3について。

まずオブジェクトクラスだが、これはお察しのとおりKeter
続けてプロトコルだが、このようになっている。

SCP-2700の収容金庫室は厳重バンカー-███の地上入り口から180mに位置します。金庫室自体は地震活動から断絶された状態にされ、3セットの補強された鋼鉄のドアで保護します。差し迫った収容違反の可能性と偶発処理が必要でない限り、金庫室への出入りは30分毎の点検を除き禁じられています。金庫室に入る全職員はシアン化カリウムの首輪を身につけ、規約違反が発生した場合は起動することになっています。
SCP-2700は絶えず監視を維持し、SCP-2700-オメガの状態に関する全てのデータは30分毎に更新します。SCP-2700のオペレーティングシステムに従事する職員は文書-SCP-2700-1の指針を厳守しなければなりません。O5会議の全会一致の承認なしに、SCP-2700-3との直接的な接触はしてはいけません;この規約違反は即時処分に該当します。SCP-2700-オメガの動作の変化はYK-クラス事象に繋がる可能性があるため、即座に報告することになっています。
SCP-2700の収容を担当する職員はSCP-2700の起源と機能に関する資料を調査することになっています。工品収容の主な目的は、YK-クラス事象が発生する前に対処することです。SCP-2700による違反が示す破滅の程度を考慮し、規則-30-Aは5/2700クリアランス職員により放棄される場合があります:その他SCP対象物(Keterクラス含む)との交差無力化試験の提案は、審査のためO5議会に提出される場合があります。
差し迫った収容の不備が発生した場合、SCP-2700-3は現在承認されている交差無力化試験のSCP対象物を通じて処分されることになっています。

このオブジェクトの本当にヤバいのは、SCP-2700-3。
装置のコアである。


危険性

実はこのオブジェクトは、テスラが作ったビーム兵器ではない。
テスラがビーム兵器を作ろうとして、それとは別の能力を持って完成してしまった機械である。それは、収容後の財団の調査で明らかとなった、とんでもない機能であった。

コアの内部にある不明な現象はプラズマではなく、SCP-2700-オメガと分類された反エントロピー現象である。わかる人にはこの言葉だけで、SCP-2700がいかに恐ろしいかわかるだろうが、ピンとこない人に向けて説明する。

エントロピーとは熱力学で用いられる言葉の一つで、簡単に言うと、エネルギーは安定した状態から無秩序で不安定な状態へと、不可逆的に移り変わるのだ、という流れのことである。
わからないのであれば、庭に水を撒いているところを想像してもらいたい。水は、ホースから出てきた時は一つの方向に流れていても、進むにつれて飛び散り、それは戻ることはない。
つまり、エントロピーとはそういうことなのだ。

で、SCP-2700-3の内部で起きている反エントロピーはこの逆で、無秩序の状態から安定した状態へとエネルギーが移行している。
そしてそれは、宇宙の安静と相反している。宇宙の膨張もまた、エントロピーによるものだからである。
宇宙の始まりとされるビッグバンは巨大なエントロピーそのものであり、今は無という安定状態から宇宙という不安定状態へ移行している真っ最中なのだ。
ところが、コアの中ではこれと反対の現象が起きている。そしてエネルギーの流れが逆ということは、相対的に時間の流れも逆であるということになる。

現在コアの外部を構成している不明な物質は、この反エントロピーをコアの内部へと封じ込める役割を果たしているが、万が一、億が一、これが壊れて反エントロピーが基底現実に流出してしまったら?

連鎖反応的に反エントロピーが拡大し、瞬く間に宇宙全域に拡散したそれは、宇宙のエネルギーの流れを逆転させてしまう。その先に待っているのは、YK-クラス:未定義“エントロピー消滅”シナリオ。
時間を逆行させると言えば聞こえは良いが、このオブジェクトの本当に怖いのは時間が逆向きに進んだまま、二度と元に戻らないところ。
宇宙は原初への回帰・ビッグクランチを起こし、跡形もなく消えて無くなる。



ここまでなら、コアが破壊されないように、破損しないように対処すればいいのでは、と思うだろうが、甘い。
SCP-2700を構成するものは、コアの他に加速器と操作パネルが存在する。
そして、操作パネルSCP-2700-1の設定を確認したところ、なんとSCP-2700-3はすでに作動しており、西暦2234年、最初にテスラがこれを作動させた1934年からきっかり300年後に反エントロピーを解放する設定となっていた。しかもこの設定は取り消すことが出来なくなっている。

このままではあと200年少々で宇宙が消えてしまう。
財団は現在、急ピッチでこれを阻止するための手順を構築しており、万一の場合はSCP-2700-3を無力化するプロトコルを策定している。



しかし、ニコラ・テスラはいったい何を考えてこんなトンデモマシーンを作ってしまったのか?
もちろん、彼が世界を滅ぼしたかったわけではない。

それは、テスラによって書かれた日記が示していた。
その内容は長く、またわかりづらいため、簡潔に要点だけをまとめよう。




テレフォースを作りあげたテスラに、ある時謎の男が接触した。
別の宇宙から来たと語ったその男は、それぞれの宇宙でもっとも独創的な発想を探しており、この世界においてのそれはニコラ・テスラだったと語った。

当時のテスラは、世界中で起きている戦争を、退廃した世界を嫌悪しており、これをどうにか出来ないかと考えていた。そうして作り出したのがあのビーム兵器(になるはずだった)SCP-2700、テレフォースだったのだろう。

謎の男は、彼自身の出身世界と財団世界の他に5つ、合計7つの平行世界を見つけていた。
そしてその男は、「科学の最後の謎を解く」ために、テスラを自分の世界へといざなった。
当時のテスラは、テレフォースの操作パネルと加速器は完成させていたが、それを動かすための動力を作り出せずにいた。
だからテスラにとってそれは、テレフォースを完成させるための手がかりを求める旅でもあったのだ。

テスラが連れて行かれた謎の男「旅行者」の世界では、旅行者がさらに別の世界から連れてきた、恐らくはそれぞれの世界におけるテスラと同一の存在達が顔を揃えていた。
「旅行者」がテスラたちを集めた理由、それは無限のエネルギーの発生装置を作り出すこと。そのために、それぞれの世界における最高の頭脳の持ち主を集め、それぞれの世界の知識を合わせることで装置を完成させようとしたのだ。
テスラは、もしそれが完成したらテレフォースをテストに使わせてほしいと申し出、これは快く受け入れられた。

かくして始まった無限エネルギー発生装置の開発だが、数週間をかけて彼らは一つの結論を導き出した。
2つの特定の物質特性、それぞれ異なる宇宙の物質が、相互作用した時、無限のエネルギーを触媒作用する反応がもたらされる。
異なる宇宙の特定の物質それぞれが相互に働きかけることで、無限のエネルギーは生まれるのだと。

テスラはこれに並行してテレフォースの調整も進めていたが、この時「旅行者」が集めたうちの一人、テスラいわく「観察者」が手を貸してくれた。
基本的にはテスラの作業を見ているだけだった彼は、岡目八目とでもいうのか、テスラの些細なミスを指摘し改善を提案。

そして、無限エネルギー発生装置は完成し、テレフォースもまた完成した。彼らはやり遂げたのだ。



しかし、その全ては罠だった。



「旅行者」たちとともに、テスラは完成した装置=コアをテレフォースに接続した。
初めは予想通りの成果がもたらされたが、ある時別宇宙の一人が気付いた。コア内部のエネルギーが減少している。
これは無限エネルギーの発生装置ではなかったのか? 装置は完成したのではなかったのか?

調査を開始したテスラは、そこで恐ろしい事実に気が付いた。
エネルギーは減少していたのではなく、無限に集中していたことに。エントロピーの流れを、コアが逆転させてしまったのだ。このまま反応を無効にできなければ、宇宙が消えてしまう。

操作パネルを確認すると、最初に仕掛けを起動してから300年で装置が稼働する=反エントロピーが流出する設定が組まれていることがわかった。テスラは慌ててこれを停止しようとしたが、装置はコマンドを受け付けなかった。誰かに壊されていたのだ。

そしてテスラは思い当たり、確信した。
テレフォースの完成のために助言をしてくれた「観察者」がその犯人だと。
指摘を受けた「観察者」は、悪意に満ちた笑顔を浮かべてテスラに告げた。テレフォースの反応を、その時までコア内部に封じておく方法と、無理に停止・解体しようとすればその瞬間にすべては終わることを。

「観察者」は「旅行者」の世界を破壊しようとしていたのだ。
その際に生ずるリスクを無視するために、テスラの世界ではなく別の世界でテレフォースを作らせるために、そして「旅行者」の世界に行くために、あえて「旅行者」の誘いに乗ったのだ。

そして「観察者」が300年の猶予を設けたのは、単に彼が、その発動による世界消失に巻き込まれないためだった。
「観察者」が自らの世界へ、そこへ行くただ一つの方法とともに帰還したのち、テスラは「旅行者」の態度から、このすべては必然だったのだと確信。

「旅行者」の世界はテスラにとっては「素晴らしい」としか言いようのない世界であり、それを無にすることはテスラには受け入れられないことだった。
だから、テスラはテレフォースを、宇宙リセットの時限爆弾を持って元の世界に戻り、研究施設にテレフォースを隔離して自身は隠遁した。

もはや、開発者である彼にも、テレフォースは止められなかった。
望んでいたものとは全く違うが、確かにテスラの望み通り、退廃した世界は消えることになる。
ニコラ・テスラにとって、もはやこの退廃した世界は守る価値のないものだった。だから「旅行者」の誘いに乗ったのだ。
それは、彼の日記を締めくくるこのセンテンスが示している。

もし、もっと簡単に時間を戻せるのなら、私はこの事件が起こるのを防ぎ、宇宙を救うことができただろう。いや、そうじゃない。




我々の宇宙を、ちゃんと守る価値のある宇宙にしただろう。






追記・修正は今の宇宙を守るべきと考える人にお願いします。



SCP-2700 - Teleforce
by Anborough
www.scp-wiki.net/scp-2700
ja.scp-wiki.net/scp-2700
この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。






















しかし、財団とて全くの無策ではない。
とある別のオブジェクトの研究の中で、これをどうにか出来る可能性が浮上したのだ。
ここでは、そのオブジェクトについても説明する。





SCP-2400

登録日: 2017/06/15 Tue 19:45:31
更新日:2024/03/11 Mon 11:43:19
所要時間:約 12 分で読めます



SCP-2400は、SCP Foundationに登場するオブジェクトのひとつである。
オブジェクトクラスThaumiel
項目名は「Temporal Dilation Facility (時間拡張施設)」。


概要

コイツが何かというと、コンクリートの壁のかけらに取り付けられた扉である。
サイズは壁のかけらが3.71m×2.25m、扉自体は0.65m×0.91mと小さく、人間がかがんで入れる程度である。

コイツの異常性はずばり開かれた時に現れる、時空間の隙間である。この空間はSCP-2400-Aと指定されており、内部は美しい青空の下にどこまでも広がる、白く平坦な大地である。
この大地は破壊が不可能であり、手触りはコンクリートに酷似している。
大気については扉のある地域の空気と全く同じであり、常に太陽を扉の真上に見ることが出来る。

さて、これだけならThaumiel認定には足りない。
この空間にはもう一つ、恐るべき特性が備わっているのである。
それは項目名が示す通りの、時間の拡張。

空間の中に入って扉を閉めると、その瞬間時間の流れは空間の内部と外界で隔絶され、内部の時間だけが外界の140倍という恐ろしいスピードで流れ始めるのだ。
開かれている間はこの時間拡張あるいは時間加速は発生しない。

収容後の実験で、この中の空間はSCPオブジェクトの収容には全くの不向きであり、オブジェクトを投入しても逆効果にしかならないことが判明している。しかし、時間が加速するということは、この中でならば、相対的に140倍の速度で研究が進められるということでもある。
財団はこの部分に着目し、SCP-1400-Aの内部にサイト-64Tが建設。
特別収容プロトコルは次のように策定された。

SCP-2400-Aが使用されていない時、SCP-2400は開かれた状態を維持しなければなりません。SCP-2400-A(更に、サイト-64T)の使用はサイト-59管理官(現在はチャールズ・アンボロー博士)と所属時間異常顧問(現在はタデウス・シャンク博士)からの承認を必要とします。SCP-2400-Aの使用中、サイト-64T監督官はサイト-59管理官に週報を提出する必要があり、SCP-2400-Aの特性上63分毎に受け取られなければなりません。
サイト-64Tを担当とする非Dクラス職員は独身者から選出しなければならず、特に生きている家族も居ない者が好ましいです。自殺的な精神病理学の者も好まれます。SCP-2400-A内で生活する者に対する影響の性質のため、サイト-64Tを担当とする職員は彼らの家族に適切な財団給付金を支払った上で、法的に死亡したとします。

担当任務の期間を超えたSCP-2400-Aへの持続した居住は禁じられています。SCP-2400-A偵察任務を除き、サイト-64T境界線から100m以上遠くに移動することも禁じられています。地域の確立した特性から顕著なSCP-2400-Aの異常活動は即座にサイト-59に報告しなければなりません。

常に、4つの破壊用装薬をSCP-2400の近くに置かなければならず、2つをサイト-59の側に、もう2つをサイト-64Tの側に配置します。SCP-2400-A内でサイト-59に危険をもたらす異常活動が発生した場合、この装薬を爆破させます。

サイト-64T発電室(128-E室)への出入りはサイト-59管理官から許可を得られない限り禁じられています(詳細は付録[2400-001]を参照)。


SCP-2700との関わり

財団はSCP-2700を無力化する方法を求め、そのための研究場所としてSCP-2400-A内部を選択。
しかし、SCP-2700はSCP-2400をサイズの問題で通れないため、研究についてはテスラの遺した覚書や研究ノートに依存することになった。

財団がこれらのデータをもとに解析を行ったところ、フロックデータの一つとしてテスラ-アンボロー・エントロピー反応炉という装置の開発に成功。これは現在、サイト-64Tのメイン電源として用いられている。
もう一人の担当者であるシャンク博士の覚書がこちら。

本質的に、リアクターのコアは自立したパラドックスを含み、真空状態では無エネルギーと無限エネルギーが同時に現れる。以前ならキミ達は(YK-クラスシナリオの発生により)真空安定状態事象が引き起こされると考えるだろう。しかし、今では積極的にこの反応を無力化することができるようだ。異常なパラドックスではあるが、この反応はむしろ幸運である。

テレフォースのコアと似たような原理で動く反応炉が偶然できたのだ。しかも、コアのように反エントロピーを起こすことも、今のところない。
この反応炉は設計図があるため再現は可能だが、何分オリジナルがオリジナルなのでYK-クラス:再構築シナリオの危険性が付きまとう。そのため、O5の許可が出ない限り新たな製造や実験は禁止されている。



……しかし、チャールズ・アンボロー博士はここに目を付けた。
SCP-2700のデータから、危険性を大きく下げた反応炉を作ることが出来た。ならば、と。


アンボロー博士の提言

アンボロー博士はSCP-2700を研究する中で、テスラが「観察者」に引っ掛けられて犯したミスの内容を突きとめていた。
そこを突破口にしようとしたのだが、相方であるシャンク博士は「お前は何考えてんだ!!」と呆れ返っていた。
SCP-2700を無理に解体すればYK-クラスシナリオ待ったなしである。

もちろん、適切に、的確に分解すればその心配はない。問題は、正しい手順が全くわからないということ。
一つのミスで文字通りにすべてが終わる。そんな危険な賭けは出来ないのだ。

だが、アンボロー博士は、安全性を高めることは出来ると述べた。
テスラ-アンボロー・エントロピー反応炉。それの構成こそがカギだった。
SCP-2700-C、装置のコアに当たる部分の中心部は時間異常への因果免疫を備えている。反応炉を構築した際、財団は図らずもその免疫部分を、より大きな形で再現することに成功したのだ。

フロックデータであるがゆえ、どうやったのかはわからない。しかし「出来る」ことは証明されている。
ならば、より大きな規模でその因果免疫をSCP-2700の周囲に再現できれば、そしてその中でならばSCP-2700を無力化できるかもしれない。
だが、そんな巨大な因果殻を作る材料はなかった。しかし、アンボロー博士はこれに対しても打開策を見出していた。

SCP-2000を防護するために使用されているXACTS……シャンク/アナスタサコス恒常時間溝。
この装置は、時間や因果律の異常から物体を保護する、いわばスクラントン現実錨のアッパーバージョンに近い装置だ。
因果破綻の危険があるため普及の予定は金輪際なかったが、アンボロー博士はこれに目を付けた。


この装置が4つほどあれば、理論上は因果殻の構築は出来る。
だが、実験が出来ない。何せ、K-クラスシナリオのトリガーであるKeterクラスオブジェクトだ、実験なぞ危なすぎて許可が下りない。しかし、実験してデータを取らなければ対抗策は見いだせない。

このジレンマにも、アンボロー博士は答えを持っていた。
反応炉の存在こそがカギだったのだ。

財団はSCP-2700からテスラ-アンボロー・エントロピー反応炉を作った。
ならば、反応炉からSCP-2700を作ることも出来る。
そのための材料は、因果的に隔絶されたSCP-2400-Aの中にすべてそろっている。

時間溝を取り付け、扉を閉める。そして、その中で反応炉を解体し、今度はテスラの設計図に沿って組みなおす。
SCP-2700-2を作り、それを使って解体実験を行ってデータを取る。そのデータをもとに、オリジナルのSCP-2700を解体する。


提案2400-2700Thaumiel-Ω。
起死回生への最初の一手となりうるこの提案は、現在O5の承認待ちである。



追記・修正はSCP-2700-2が出来てからお願いします。



SCP-2400 - Temporal Dilation Facility
by Anborough
http://www.scp-wiki.net/scp-2400
http://ja.scp-wiki.net/scp-2400

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最終更新:2024年03月11日 11:43

*1 ネオンサインやラジオ、レーザー、交流電池を発明したスゴイ人。エジソンのライバルとしても知られる。