レイヴンズ・ネスト

登録日:2017/05/02 Tue 19:16:24
更新日:2024/01/12 Fri 02:01:35
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なるほど、それなりの力はあるようだ

認めよう、君の力を――



レイヴンズ・ネストとは、フロム制作のメカアクションゲーム『アーマード・コア』に登場する組織。
本記事では後続作の似た関連組織も一緒に解説する。

この内、レイヴンズ・ネストの名を冠したものはPSAC三部作と呼ばれるアーマードコア(初代)、アーマードコア プロジェクトファンタズマ(PP)、アーマードコア マスターオブアリーナ(MOA)に登場。
本シリーズにおける傭兵派遣組織の元祖にして原型、そして黒幕とラスボスのルーツともされている。





◆概要

地下世界で活躍するアーマード・コアのパイロット=レイヴン達が所属している傭兵派遣組織。

クロームムラクモという二大企業が争い鎬を削り合っている中、どんな企業や組織に対しても中立的な姿勢を貫いている。

レイヴンや依頼主とのやり取りはネットワークを通じてのみ行われ、AC用パーツの販売や修理、情報提供といったサポート、加えて一定の報酬さえ用意できるならばどのような合法・非合法的な依頼をも請負、斡旋する。
一部にはネスト所属のマネージャーがつく場合もあり、マネージャーはオペレーターとして全面的にサポートを行う。

基本的に情報やパーツ提供といったサポートだけで、レイヴンはおろか依頼主や依頼内容にも一切干渉することが無い。
そのため、「騙して悪いが」されても、レイヴン同士が戦う予想外のトラブルが起きても関知せず、直々に送ったネスト自身の依頼で何が起きてもいつも通りの対応しかしてくれない。

また、傭兵派遣だけでなくAC同士の戦いを見世物にした娯楽の「アリーナ」を主催。
所属するレイヴンにはランキングが設定されており、ここでの上位ランカーは当然評価も高くなる。また、下位にとっては実力を合法的に依頼主に示せるチャンスの場。
ただし、企業からの推薦が無いとアリーナに登録されない場合もあるため、やはりミッションはしっかりこなしていかなければならない。

この組織がいつ設立されたのか、組織を運営しているのは誰なのかといった情報はまるで不明であり、レイヴンを派遣しアリーナの元締めである以外全てが謎に包まれている………






お前たちは何故現れる

何故、邪魔をする


企業、AC……そして、レイヴンズ・ネスト

全ては私が作り上げたもの

荒廃した世界を、人類を再生する


それが私の使命


力を持ち過ぎたもの


秩序を破壊するもの


プログラムには、不要だ



◆レイヴンズ・ネスト、その実態と目的


我々は必要だった。だからこそ、我々は生まれた

その実態は地下世界の全てを管理・制御する巨大コンピュータである。
母体組織に与えられた使命は「荒廃した世界の復興」「大破壊の再発防止と秩序の構築」「人類の守護と再生」

当初は企業体連合の筆頭だったクロームが管理していたが、その連合が崩壊するとあらゆる勢力を一定に保ち、健全な人類の発展のために適度な競争を行わせ、その過不足を調整する存在が必要だった。

こうして生み出されたのが二大企業の対立構図と、それを調整する傭兵……すなわちレイヴン、そしてすべてを管理する存在が『レイヴンズ・ネスト』である。「大破壊」後の世界を復興する百年計画において企業間を仲裁する組織だったのだ。

ネストはクローム側に勢力が極端に傾くようになれば独占や活動を適度に妨害してムラクモと互角になるようにし、その逆になればムラクモをクロームと互角になるように仕向ける。*1
ネストが『天秤のようにパワーバランスを維持させ続けること』こそが社会秩序であり、人類が抗争によって自滅しないようにコントロールしつづける。

こうして大規模な戦争が起きないように守っているネストは、AC3の管理者と比較すると悪意の根源である。なぜなら、

何もかもネストの掌の上なのだから

例の二大企業が(自分が支配者になるためとはいえ)不毛な戦争を終わらせることを目的としているのに対し、秘密裏に人類のコントロールをしているネストは人類をコントロールするために適度な戦争を永遠に続けさせようとしている

大破壊前のロストテクノロジーによって生み出されたネストの心臓部は、自分達による社会の制御と支配を永遠に存続させようとしたとも考えられる。

ネストの実態そのものも「レイヴンズ・ネスト」という表向きの組織を隠れ蓑にして存在を徹底的に秘匿し、自身の社会秩序を乱す勢力やその真の姿に近づこうとする者はイレギュラーとみなし、大破壊前のロストテクノロジーすら用いる実働部隊を使ってでもこの妨害要素を徹底的に排除しにかかる。

ネストは情報を操作・隠蔽して真実を覆い隠す。
それは子飼いに等しいレイヴンも例外ではない。

トップレイヴンのハスラー・ワンとナインボールはこのイレギュラーを抹殺する兵器であり、ナインボール=自分に匹敵する「危険分子」は警告も無しに一方的に排除しにかかる。

要するに、ネストが掲げる社会秩序とは「我々の理想を邪魔する者は消えるべき」「人類の独立や自由は認めない」ものであり、企業も人類も自身の支配と理想を維持する駒でしかない。

とどのつまりはレイヴンズ・ネストも一介の独裁者と何ら変わりないのである。

人間に作られた血も涙も無いコンピュータが世界の裏で暗躍し、人類を管理・支配する図式がもたらすものは理想社会などでなく、独善的なディストピアでしかないのだ。


秩序無くして人は生きてゆけん。
たとえ、それが偽りであってもだ。

生き抜くがよい、レイヴン。
我らとお前、どちらが果たして正しかったのか

お前にはそれを知る権利と義務がある


◆レイヴンズ・ネストの終焉とその後

初代AC主人公によりメインコンピュータが破壊され、地下世界のパワーバランスを制御する存在を失った人類はネストの遺言通り、際限なく争いを続ける。
人類が「大深度戦争」と呼ばれる大規模な企業間紛争を30年に渡って続けたその末に地下都市機能は完全に崩壊。

今度こそ人類滅亡が寸前に迫るが、皮肉にも人類が回復しつつある地上へと回帰していく。

あの争い続けていた人類は共倒れを回避するために『地下世界停戦委員会』を設立、停戦条約やアイザック条約を締結。
永きにわたる戦争は終息を迎える。


心無い機械によって作られた秩序に従うか、
人類にその秩序を委ねるべきなのか

果たしてどちらが正しいのかは誰にも分からない。


その後、委員会は『地球政府』という新たな統治機構となって新しい社会秩序を築き、人類は結束して自らの手で新たな秩序を築き上げていった。
だが、ネストは完全に滅びた訳ではなく……………


◆レイヴンズ・ネストの関係者

小説によるとネストのメインコンピュータは7つの人格でひとつのシステムを構成しているようで、その内の3つと思われる人格がゲーム中では登場する。

初代にて主人公のマネージャーとなる人物。メールでしかやり取りをせず、様々な情報を教えてくれるが後半になるにつれて言動にきな臭さが滲み出てくるようになる。
その正体は一切が謎に包まれているが、やはりこいつもネストのAIの一部と思われる。

  • ハスラー・ワン
アリーナのトップランキングに君臨しているレイヴン。赤いAC・ナインボールのパイロット。
その実態はH-1というレイヴンズ・ネストのAIの一部であり、イレギュラーを排除するネストの実働部隊であるナインボールを率いる。

  • ラナ・ニールセン
MOAの主人公のマネージャーとなった元レイヴンの女性。
正体はやはりネストのAIの一部であり、世界のパワーバランスを整える調停者であるレイヴンを育成することが主な役目。
ハスラー・ワンとは同一人物とも言える。

  • ボス・サヴェージ
初代で二大企業を壊滅させてイレギュラーとなった主人公を罠にかけて抹殺しようと企んだレイヴン。
海底基地で抹殺しようとしたのも恐らくはネストからの指示によるものと思われ、レイヴンの中にはネストと深く関わりのある者もいるようだ。


また、AC2レオス・クラインはどうやらネストの復活を企てていたようで、ネストの実態も知っていたような発言を残している。
それどころかネストによる人類の管理が理想的だったと肯定していたフシも見られる。

なお、小説版の『アーマード・コア ザ・フェイク・イリュージョンズ』ではネストが復活を果たしており、主人公達イレギュラーを抹殺しネストによる管理と支配を永久に続けようと新たな暗躍を企てている。
そして、幻の完結編ではネストが完全に壊滅し終焉を迎える展開が描かれる予定だったらしい。




◆レイヴンズ・ネストの後継組織

PS三部作以降の組織は仕組みを真似ているだけでネストそのものとは関係がない。
基本的な方針は企業勢力から中立を謳い、レイヴンにミッションを仲介するだけである。

◇ナーヴス・コンコード

AC2・AC2AAにてレイヴンの仲介を行う組織。
レイヴンズ・ネスト崩壊後は様々な傭兵仲介業者が乱立したが、最終的に生き残ったのがコンコード社であり、それが2系の舞台でレイヴンたちをサポートしている。
元々は火星にアリーナのシステムを持ち込んだ会社である。
火星の争乱で甘い汁を吸っている事に違いはないが、争乱の元凶そのものに関わってはいないため、ある意味クリーンで印象も薄い。
AAでも領分を弁えており、仲介業者に徹している。

コンコード時代からの特徴としては、レイヴンにマネージャーではなく専属オペレータがついた事。
後のシリーズでも受け継がれるが、複数人ではなく個人担当と明確にされているのは本作からである。
これはレイヴンを自社商品と同列に扱っているため。その分サポートが手厚いと言い換えることもできる。


◇グローバル・コーテックス

AC3・AC3SLでの仲介組織。
3の舞台において、説明書などの公式設定ではレイヴンは何者にも縛られない存在であるとされているが、実際には地下世界におけるレイヴンの活動は『管理者』に許可・承認されている。
コーテックスも同様に管理者の下でしか活動を許されておらず、物語終盤の人類造反も実は全て掌の上であった。
そういった意味でコーテックスもネストと比べると影が薄い。腐敗もしていない。

管理者が破壊された後であるSLの舞台でもやっている事に変化はなく、日々レイヴンに依頼を仲介する組織として続投。
この辺りはコンコードと同じ。


◇レイヴンズ・アーク

ACNXでの仲介業者。N系はプレイヤーの活動場所が異なるため、業者にお世話になるのはNXのみ。
シリーズでは珍しく企業と癒着した組織で、それに関わった上層部が一掃されたり、契約したレイヴンに企業が騙し討ちをかけた際はアーク側から報復を行うなど、これまでの仲介業者と違い人間臭い部分が多めに描写されている。

レイヴンには中立を強制しており、企業専属と判断したレイヴンに対しては追放などの厳しい措置をとる。
逆に言えばアークに所属していないレイヴンにはとやかく言う事はない。当たり前だが。
またアークはアリーナとその会場を有しているが、なぜかアリーナにはアークに所属していないレイヴンも参加可能となっている(おそらく利益と天秤にかけた結果であろうが)。
依頼の仲介という業務そのものはこれまでと変わらない。




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最終更新:2024年01月12日 02:01

*1 どちらか片方が崩壊した場合はその後釜として新興の対立企業を作り、パワーバランスを戻す徹底ぶり