名探偵コナン から紅の恋歌

登録日:2017/04/30 Sun 12:36:18
更新日:2024/04/20 Sat 00:53:09
所要時間:約 30 分で読めます





ふたひらの 運命(さだめ)を引き裂く 哀しき歌――

紅に染まる巡恋(チェインドラブ)ミステリー


監督:静野孔文
脚本:大倉崇裕
主題歌:倉木麻衣『渡月橋 ~君 想ふ~』

名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』とは、劇場版『名探偵コナン』シリーズの第21作目のタイトルである。
2017年4月15日公開で上映時間は112分。
最終興行収入は68億7000万円で、5年連続でシリーズ最高興収を突破した。

【概要】

絶海の探偵』以来となる、平次と和葉が登場する作品。彼ら2人の恋愛にスポットが当てられた作品としては、『迷宮の十字路』以来となる。
また、原作に登場して間もない「大岡紅葉」と「伊織無我」が、テレビアニメに先駆けて出演しているのも大きな特徴である。

大阪と京都が主な舞台となっている為、今まで劇場版皆勤賞だった目暮十三警部が初めて登場しない作品となった。
他の警視庁の面々も今回は登場しない。

脚本を担当したのは、『福家警部補シリーズ』などで知られる推理作家の大倉崇裕氏。同氏はアニメ版でも『不思議な少年』の脚本を手がけている。
今回も本作の公開と同日に、プレストーリーである『消えた黒帯の謎』が放送。
このエピソードで京極真アニメオリジナルエピソード初登場を果たした他、ある人物が本作で体調を崩していた理由についても明かされている。

タイトルにあるから紅〈唐紅〉は、紅色よりも濃く鮮やかな色を指す言葉で、「在原業平朝臣」の句「千早ぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」の中でも詠まれている。
また同句は、作中にも犯人のメッセージのうちの1つとして登場している。

小倉百人一首競技かるたがテーマとなっている事もあり、公開前には原作者の青山氏が競技かるたを題材とした漫画『ちはやふる』の原作者である末次由紀と対談するというイベントが行われている。その合間には『名探偵コナン』と『ちはやふる』のコラボイラストが描かれる場面もあった。

本作も例年通りノベライズ版が刊行されているが、これとは別に脚本最終稿をベースに大倉崇裕が書き上げた文庫版が2017年12月6日に発売されており、本筋はほぼ同じだが新規シーンが多く入った内容となっている。


以下、ネタバレにご注意ください。


【ストーリー】

「瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢わむとぞ思ふ」

京都・東山。
2年連続で競技かるたの大会・皐月杯で優勝を果たしている矢島俊弥は、早朝から自宅である日本家屋の一室で、昨年の皐月杯決勝戦の映像を見ながら百人一首の札を並べていた。
そして映像を観ながら札を取り、何かを確信してほくそ笑むが、人の気配に気づき襖を開けた瞬間、侵入者が持っていた刀で頭を殴られ殺害されてしまう。

同日。大阪市中央区・日売テレビ
特番で、百人一首を牽引する団体「皐月会」の会長・阿知波研介と対談する事となった小五郎は、本番前にコナン達を連れてスタジオで競技かるたの試合のリハーサルを見学していた。
その対戦をしていた女性達のうちの1人は和葉の同級生・枚本未来子であり、その付き添いで平次と和葉もテレビ局を訪れていた。
そして未来子の相手をしていた女性の名は大岡紅葉。彼女は皐月会が毎年行っている競技かるたの高校生の部で、2年連続で優勝を果たしている実力者だった。
そして彼女は平次と会った途端「ウチの未来の旦那さん」と彼に言い寄る。突然の展開にドキッとする平次、そして側にいた和葉は、いきなりのライバル登場で思わず困惑する。

同じ頃、大阪府警に一通の奇妙な脅迫文が送られてくる。
そこには「日売テレビを爆破する」とだけ書かれており、その下には2枚のかるた札「奥山に 紅葉ふみ分け 鳴く鹿の 聲きく時ぞ 秋は悲しき〈猿丸太夫〉」の画像が印刷されていた。

これをただのイタズラではないと判断した平蔵は、日売テレビに避難要請をし、コナン達もそれに従い避難を開始する。
だが平次と和葉、未来子は、スタジオに残されていた決勝戦用の格式ある「かるた札」を守ろうと、まだ局内に留まっていた。
そんな時、予告どおりテレビ局は爆破され、平次・和葉の2人と未来子は離れ離れとなってしまう。
未来子は何とか脱出したが、平次と和葉は取り残されたまま。この事に気づいたコナンは、スケボーを使って彼らの元へと向かい、何とか彼らを爆弾の脅威から救い出した。

この爆弾事件で奇跡的に死者は出なかったが、研介は頭に傷を負い、未来子は腕を骨折してしまった。
かるた札は死守出来たので皐月杯を開催する事は出来たが、未来子は腕の負傷により大会に出られそうになかった。
そこで未来子は友人でありかるた部唯一の部員でもある和葉に出場を頼み込む。そしてそれを聞いていた紅葉は「皐月杯で優勝した方が、平次に告白しよう」と和葉に持ちかけた。
その勝負を受け入れた和葉は、静華の力も借りて寝る間も惜しんで猛特訓する事に。

その頃、研介の元に「京都で矢島が殺された」との知らせが届き、それを側で聞いていたコナン、平次、小五郎は、現場である矢島の屋敷へと向かう。
捜査担当者の綾小路はこれを金品目的の犯行だと考えていた。しかしコナンと平次は現場には不審な点がある事に気づき、知らせを聞いてやってきたという関根康史の言動も怪しむ。

コナンと平次は関根が犯人だと睨み揺さぶりをかけるが、関係者が皐月杯の会場である京都の阿知波会館に向かっている途中でまたも爆弾事件が発生。爆破された車に乗っていた関根は意識不明の重体となる。

そして皐月杯当日。皐月杯は厳重な警戒態勢が敷かれる中、予定通り阿知波会館で行われ、和葉と紅葉は順調に勝ち進み、決勝への進出を決めた。
決勝の地は断崖の下に建つ「皐月堂」。和葉と紅葉は読手の研介と共に皐月堂へと向かうが、そこにも犯人の魔の手が忍び寄る……

大阪の爆弾事件と京都の殺人事件。この2つの事件を繋ぐ哀しき真実とは?そして平次を巡る和葉と紅葉の恋の札取り合戦の行方や如何に……?


【事件関係者】

CV:ゆきのさつき
京都泉心高校2年で皐月会会員。17歳。「チチがでかい」by平次
5年前に「皐月会」の会員となり、2年連続で皐月杯高校生の部で優勝を果たしている(1年目は中学3年にして特別枠で出場)。
その実力から、将来のクイーンは確実だとも言われている。
競技かるたでは「攻めかるた」を得意としており、人並み外れた聴力、集中力、反射神経を駆使して狙った札は逃さない。
この教えは、恩師である名頃から教わった事らしいが……?

得意札は「千早ぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは〈在原業平朝臣〉」を含む、歌に紅葉の情景を詠った6枚。

幼い頃に参加したかるた大会で平次と出会っており、そこで彼に負けた後に「今度会うたら嫁にとったるさかい、待っとれや」と愛の告白をされたらしい。
なので、今回の事件で平次と再会した時には思わず目に涙を浮かべ、これに運命を感じて平次に猛アタックを始める。
そして和葉も平次に好意を寄せている事を知ると、「皐月杯で優勝したほうが、平次に告白する」という勝負を仕掛けた。
意外と勝気な性格で、和葉を葉っぱちゃんと呼んでライバル視しているが、「練習しすぎで指痛めんとええけどなぁ……」と和葉の体を気遣うところも見せる。
なお、静華が平次の母親である事を知らない様子で、彼女を「池波静華」と旧姓で呼び、彼女と和葉の関係も知らずに強気な態度に出ていた。

犯人から「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 龍田の川の 錦なりけり〈能因法師〉」のかるた札の画像が添付されたメールが届き、平次にすぐに警察に来るようにと言われるが、「平次君が守ってくれますんやろ?」と返し、忠告を無視して皐月杯に備えていた。

京都にある実家は老舗旅館のような大豪邸。原作者の青山氏曰く、彼女のコンセプトは「西の園子」とのこと。

  • 伊織無我(いおり むが)
CV:小野大輔
大岡家執事。30歳。
お嬢様である紅葉に誠心誠意尽くしている。紅葉からの信頼も厚い。
大岡邸の門の前で紅葉を見張っていた平次と綾小路に紅茶を提供する。
常に冷静沈着な人物だが、紅葉の指示で時折周囲の人達を唖然とさせる行動に出る事も。

  • 枚本未来子(ひらもと みきこ)
CV:吉岡里帆
改方学園高等部2年で皐月会会員。
かるた部の主将であり、阿知波にも実力を認められているが、部員が自分と和葉しかいないため、廃部の危機にさらされている。
実績を残すために皐月杯で優勝を狙うが、日売テレビの爆弾事件に巻き込まれた事で負傷し、辞退を余儀なくされる。
そこで和葉に白羽の矢を立て、彼女に優勝と部の存続を託した。

  • 阿知波研介(あちわ けんすけ)
CV:阪脩
競技かるたの団体「皐月会」の会長。
不動産会社「阿知波不動産」の元社長で、かつては「浪速の不動産王」の異名を持つ政財界の大物であった。
競技かるたが唯一の趣味だった事もあり、皐月会創始者の皐月の跡を継いで会長となった。
以前は皐月の大事な試合が行われる際には、必ず愛車を前日に洗車して験を担ぐようにしていた。
元々「読み手」のほうが好きだったため、皐月杯の決勝戦では自らそれを務めている。

  • 矢島俊弥(やじま としや)
CV:石川英郎
造り酒屋の御曹司で皐月会会員。
2年連続で皐月杯の優勝を果たしている実力者。現在は京都の豪邸に1人で住んでいる。
その一室で去年の皐月杯の映像を鑑賞し、札を取りながら何かを確かめていたが、その直後に侵入者に日本刀で撲殺されてしまう。
現場にはかるた札が散らばっており、灰原の解析で「山がはに 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり〈春道列樹〉」の札を握って亡くなっていた事が判明した。
関根によればお世辞にも性格はあまり良くなかったらしく、5年前には名頃会の解散を強硬に主張していた。

  • 関根康史(せきね こうじ)
CV:宮川大輔
カメラマンで皐月会会員。
競技かるたの腕前はかなりのもので、皐月会の抽選会では司会も務めている。
しかし2年連続で決勝まで進むも、毎回矢島に敗れてしまい準決勝止まりとなっている。
矢島の遺体の第一発見者だが、警察に通報せずに、凶器の刀から指紋を拭う等の偽装工作を行いそのまま去っていた。
そして警察の呼び出して矢島邸に駆けつけた際に、現場を見た人間しか知りえない事をつい口走る*1というテンプレ的なミスを犯してしまい、早々にコナンと平次に目をつけられる。

だがコナンと平次に揺さぶりをかけられた直後に自分の運転する車が爆破され、意識不明の重体となってしまった。このシーンの時に、中の人的に「アカーン!!」の台詞を期待していた人もいたとかいないとか(笑)。
その後の捜査で彼のスマホに「此の度は 幣もとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに〈菅家〉」の札の画像が添付されたメールが送られていた事が判明する。

関根を演じたのは、『コナン』の次に放送されている番組『満天☆青空レストラン』のMCである宮川大輔氏で、『異次元の狙撃手』にゲスト出演したパックンマックン以来の芸人ゲストでもある。なお、吉本芸人の劇場版ゲスト出演だと『戦慄の楽譜』にゲスト出演した山里亮太氏以来である。

  • 海江田藤伍(かいえだ とうご)
CV:石井康嗣
研介の秘書をしていた男。
かなりの切れ者として知られ、阿知波不動産の裏の部分を一手に引き受けていたと噂された事もある。
研介が社長業を退いてからは秘書を辞めて行方不明となっている。
親指には大きな指輪をはめている。

  • 名頃鹿雄(なごろ しかお)
CV:一条和矢
京都にある少数精鋭のかるた団体「名頃会」の会長。
競技かるたの腕前はなかなかのものだったが、勝負への執着が強すぎるあまり強引な試合ばかり行い、札を巡って対戦相手や審判員ともめる事も多かった。一方で紅葉や関根といったかつての弟子たちからは今もなお尊敬の念を抱かれているなど異なった側面を持つ。
5年前には、負けたら会を畳む事を条件に、当時皐月会の会長だった皐月に勝負を挑む。だがなぜかその試合を放棄し、以降は行方不明となっている。

彼の行方不明で名頃会は解散となるが、この会には紅葉と関根も所属していた。
特に紅葉は彼の一番弟子とも言える存在で、紅葉の得意札は名頃と全く同じ紅葉の情景が詠まれた6枚の札だった。

  • 阿知波皐月(あちわ さつき)
CV:吉田美保
研介の妻。
競技かるた女性日本一のクイーンで、20年前に自分の名を冠した「皐月会」を立ち上げた。
5年前に名頃に競技かるたの試合を挑まれ、その試合を放棄されるが、実は前日に皐月会のかるたを使い自宅で名頃と勝負をしていた。
その勝負では皐月が勝利するが、その後名頃は失踪し、彼女も3年前に病死している。

  • 和智佐和子(わち さわこ)
昨年の高校生皐月杯準優勝者。
今回の皐月杯では和葉と対戦し、敗退している。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
日売テレビ社屋爆破事件では、毎度の事ながらターボエンジン付きスケートボード」と「伸縮サスペンダー」を使ったスーパーアクションを披露。
取り残された平次と和葉を救出した後は自分もピンチに陥ってしまうが、パラボラアンテナをスケボーとサスペンダーでうまく使って何とか危機を脱した。どう使ったかは本編を参照されたし。
爆弾事件の後は、平次と手分けして研介の事を見張っていた。
なお、新一としての出番は蘭の回想シーンでの登場と、エピローグに少し登場するのみである。

ご存知色黒関西弁探偵で、今回の主役。
日売テレビを訪れていた時に紅葉と再会し、「未来の旦那さん」と声をかけられるが、彼自身にはそう呼ばれる心当たりはないらしい。
爆弾事件で和葉と共に取り残された際には、コナンの助けが来る事を信じて和葉の事を守りぬく。
犯人が紅葉を狙っていると考え、綾小路と協力して彼女の事を見張っていた。しかしその行動で紅葉がますます平次に夢中になる事に。

ちなみに紅葉に腕を絡まれた時に思った「この姉ちゃん乳デカッ!!」は、原作者青山氏一押しの台詞(笑)。

今回から、幼少期の声を比嘉久美子氏が担当している。

ご存知関西娘。今回のヒロインかつもう1人の主役。
今回でかるた部の部員である事が判明。しかし合気道部との兼任であり、かるた部には名前を貸しているだけ。たまに未来子の練習に付き合っているので、本人曰く「ゾンビ部員」だとのこと。
今回で紅葉という強力な恋のライバルが出現し、成り行きで皐月杯に出場する羽目に。
そして例の賭けに何としても勝つために、静華との猛特訓で超人的な聴力と集中力を習得。得意札を「しのぶれど 色に出りけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで〈平兼盛〉」に定め、試合でも「攻めかるた」で快進撃を見せる。
試合での服装は合気道の道着だったため、ジャージ姿の選手が多い中ではかなり目立っていた。

普段のアニメでの字幕放送は、コナン(新一)が黄色、小五郎が水色、蘭が緑色、それ以外は白で表示されているが、本作が「金曜ロードSHOW!」で放送された際、平次が水色、和葉が緑色で表示されている。

ご存知蘭姉ちゃん。
紅葉のパスケースを拾った際に、平次と紅葉が幼い頃に出会い、平次が愛の告白をしていた事を、コナンと一緒に知ってしまう。
しかし、紅葉にパスケースを届けた際に彼女の意外な一面に触れ、紅葉の心情を知った後で新一からの告白の事を思い出し、思わず彼女に同意する。
そして我に返った後で、和葉との板ばさみに陥ってしまい、どうすればいいのか分からなくなってしまう。
お気に入りの札は「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな〈紫式部〉」

ご存知迷探偵。
紅葉が美人だったので、その美貌に思わず見とれる。おいオッサン……娘と同い年やぞ
爆弾事件では、姿の見えない平次と和葉を蘭達の替わりに捜しにいくという頼りになるところを見せる。
しかし矢島の事件では、「探偵ゴッコはそこまでだ」と言って、綾小路からの許可を得て捜査をしていたコナンと平次を連れて足早に現場から出て行くといういただけないところもあった。
今回は劇場版では久々の「眠りの小五郎」となるが、犯人を追いつめるためではなく、関根に揺さぶりをかけるためだけに眠らされた。

ご存知哀ちゃん。
今回は一行に同行せず、用事がある阿笠と共に東京でお留守番。
コナンに現場に残されていたかるた札の解析と名頃の身元調査を依頼され、得意のネチネチした作業で解析したデータ(とお土産の催促)をコナンに送った。

ご存知天才発明家。
灰原と協力してかるた札の解析を行う。
探偵団と離れていても、例によってダジャレクイズの出題を行った。

ご存知少年探偵団。
平次と紅葉の様子を見て、「あんな美人に告白されたら平次さんもメロメロになる」などあれこれ囁く。
その直後、和葉の殺気を感じて「平次さんとお似合いなのは和葉さんだけ」とすぐにフォローに回った(笑)。また、元太はかるた大会開始前に、千枚漬けを鷲掴みにして食べようとして、店員に怒られた挙句、服も汚れてしまったが、これが事件解決のきっかけとなることに。

ご存知蘭の親友。
一行に同行する予定だったが前日に風邪をひいてしまい、やむなく東京の自宅に戻って安静にする事に。
和葉がかるたの特訓をすると聞き、出来る限りのサポートを行う。
ちなみに今回で百人一首に詳しい事が判明。毎年正月に家族でやるらしい。
なお、彼女が風邪をひいた理由は、プレストーリー『消えた黒帯の謎』の中で明かされている。

大阪府警本部長で平次の父親。
日売テレビに対する脅迫がイタズラでないと判断し、日売テレビに緊急避難警告を出す。
また本作では、シリーズで初めて両目を見開いている場面がある。
今回から声優が、小山武宏氏から山路和弘氏に変更された。

大阪府警刑事部部長で和葉の父親。
平蔵と協力し、犯人の残したかるた札のメッセージの謎に挑む。
今回から、故小川真司氏の後任として、てらそままさき氏が彼の役を担当している。

大阪府警の警部。
日売テレビ爆破事件の現場の指揮を担当。
平次に捜査情報を提供し、京都府警との合同捜査が決まると、綾小路達京都府警と共に皐月杯出場者のボディーチェックを行った。

京都府警の警部。
矢島殺人事件の捜査を担当。
コナンと平次の推理力を高く買っており、彼らを信頼して現場の調査を許可した。
今回は珍しく、ペットのシマリスを現場に連れてきていた。

平次のオバハンオカン。
今回で競技かるたの優勝経験がある元クイーンであった事が判明。だがその一方で「お手つき女王」とも呼ばれていたとか(笑)。
皐月杯に和葉が出場すると聞き、彼女の個人指導を申し出る。
紅葉とかるた勝負をする場面もあったが、レベルの高い戦いを繰り広げたものの僅差で紅葉に負けている。

蹴撃の貴公子。
園子の回想の中でのみ登場。
その代わり、プレストーリー『消えた黒帯の謎』では大活躍を見せている。


【手がかり】

  • 犯行に使われた札

日売テレビ「奥山に 紅葉ふみ分け 鳴く鹿の 聲きく時ぞ 秋は悲しき〈猿丸太夫〉」
矢島「山がはに 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり〈春道列樹〉」
関根「此の度は 幣もとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに〈菅家〉」

これらの句はいずれも紅葉の情景が詠われたものであり、名頃が取り逃す事のなかったという「得意札」であるという共通点もあった。
名頃の名前に「鹿」の漢字が含まれていたため、「鹿肉=もみじ肉」という事で、名頃はそれらの札を得意札にしていたらしい。

名頃の得意札は全部で6枚あり、そのうちの2枚、
「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 龍田の川の 錦なりけり〈能因法師〉」は紅葉の、
「小倉山 峯のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ〈貞信公〉」は研介のスマホにそれぞれ送られていた。
そして最後の句「千早ぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは〈在原業平朝臣〉*2は、皐月杯の決勝戦で紅葉と対決する人物のために残されており、和葉が決勝進出を決めた直後に彼女のスマホにその画像が送られていた。
つまり、犯人は最後の犯行で、皐月堂に集まった3人を亡き者にしようとしていたのである。
犯行に使われた札はいずれも名頃の得意札であったため、コナン、平次、警察は「名頃は皐月会への復讐と、名頃会を抜けて活躍している弟子達を逆恨みして犯行を続けている」と推理し、名頃を犯人だと断定するが……!?


【余談】

今回は事件関係者に未成年者がいるが、基本的に『コナン』では殺人犯になる事がほとんどない為、犯人候補が減る形になる事が多い。仮に未来子が犯人だったら『コナン』の未成年キャラ史上最も恐ろしい計画をしていた事になる。

本作公開から数か月後に、原作で本作と同じく京都を舞台にした『紅の修学旅行』が連載となり、記念すべきFile.1000『鮮紅の天井』にて、その札どおりコナンから元に戻った新一と蘭が再会を果たしている。このことから、本作ラストのやりとりはそのフラグであったと言える。
ちなみに各人物の紅葉との面識については劇場版から引き継がれており、後日談的エピソードとしても扱われる。

本作のエンドロールでは、長年『コナン』のアニオリ回や劇場版の脚本に携わった古内一成氏が本作公開の前年である2016年に死去した為、「In memory of 古内一成」と追悼のメッセージがクレジットされている。





追記・修正は、得意札を逃さず取ってからお願いします。


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最終更新:2024年04月20日 00:53

*1 凶器は日本刀と聞いて、被害者の死因が(刺殺・斬殺ではなく)撲殺である事を確信したような言動。

*2 一見、「紅葉」が含まれていないように見えるが、この歌は“竜田川の水面が紅葉で埋め尽くされた光景”を詠んだものである。