THE ジェットコースター

登録日:2017/04/27 Wed 20:47:30
更新日:2024/04/16 Tue 20:51:57
所要時間:約 6 分で読めます





胸の鼓動を抑えて、レールの上にテイク オフ!


THE ジェットコースター 遊園地を作ろう!とは、D3パブリッシャーより2003年7月24日にSIMPLE 2000シリーズVol.33としてPS2にて発売されたシミュレーションゲーム。開発元はびんぼうソフト。

内容


その名の通りジェットコースターを作ることに特化したゲームで、以下の3種類のモードを選んでゲームを進めていく。

  • チャレンジモード
ノルマに従ってジェットコースターを制作していくモード。

  • 経営モード
オーナーとなって遊園地そのものを経営するモード。
本作の目玉と言えるモードで、本項目でもこれを主体に解説する。

  • クイックライド
ソフト内に最初から入っているプリセットのコースターに乗るモード。
コースターは700種類程と非常に豊富。


経営モード


上述の通り本作の目玉と言えるモード。
基本はもちろんジェットコースターだが、コーヒーカップや観覧車といった遊園地お決まりのアトラクションも一通り揃っている。
「経営」なので当然金がかかり、赤字の状態が1週間続くとゲームオーバー。
容量の都合か、設置にあたってはポイントによる制限があり、コースターとアトラクションでポイントを共有しているため、広大なコースターを作りたい場合はアトラクションを減らさなければいけない…ということもある。

ジェットコースターの完成度は客の反応(6種類)と安全性で判断され、これが高ければ集客数も増加していく。
基本的なコースター設計のルールは、決められた高度・範囲の中で、逆走・脱線しないように設計すること。
開始時点ではコースターの高度やマシンのバリエーションに制限があるが、投資を行うことで徐々に開放されていく。アトラクションの種類についても同様。
コースターは俗に「巻き上げ式」と呼ばれる一般的なものから、最初から加速するリニアブースト、他に往復型や吊り下げ型など様々なタイプから選べる。

フリーウォークでは客の目線で園内を歩き回ることも可能。客に話しかけると遊園地の評価を聞くことができ、評価が低いと辛辣なコメントが飛び出すことも。
設置したアトラクションに乗ることもできるが、あくまで客という事なのでチケット売り場でチケットを買う必要がある。ホテルやレストランなど、一部は設置できるだけで中に入れないものもある。
アトラクションの一つであるお化け屋敷に入ると簡単な迷路ゲームが遊べる。クリアするごとにレベルが上がっていき、高レベルのものをクリアすると遊園地のフリーパスが貰える。サブゲームでありながら結構怖いと評判。

ジェットコースターの評価だけでなく、アトラクションや設備の設置状況によって入場客数が増減することもある。
例として、植物系のオブジェクトを多数設置すれば「緑が多い遊園地として雑誌に掲載された」として客数が一定期間増加、トイレが少ないと「トイレを増やしてほしいと客からクレームが来た」として客数が一定期間減少、など。

総資産を200万まで貯めるとゲームクリアとなり、エンディングが流れる。といってもあくまで一つの節目であり、一般的なエンディングのような「新たな要素が解禁される」「最後にセーブした時点まで戻される」といったようなことはない。



追記・修正は世界一のジェットコースターを作ってからお願いします。

































   *   *
 *   +  大体真実です
   ∩   ∩
   |つ  ⊂|
  nヽっ_сノn
+ (ヨ(*´∀`)E)
  Y   Y  *


ゲームの内容や進め方、目的などは上記のとおりなのだが、本作を語る上でどうしても外せない要素がある。

このゲームの神髄は「いかに危険なコースターを作って客を殺せるか」という恐るべき裏テーマにある。

コースター設計のルールは先述した通りだが、裏を返せば「このルール内であればどんな無茶苦茶なコースターであろうと許される」ということでもあるのだ。

客の反応は6つの項目で評価されると書いたが、その内訳は

  • 行方不明になった人
  • 記憶喪失になった人
  • 失神した人
  • 失禁した人
  • ゲロ吐いた人
  • 気持ち悪くなった人

ご覧の有様。3~6つ目は現実でもありえるだろうが、上2つがあまりにも異常すぎる。
恐ろしいことに、こうなる人たちが増えてもコースターの評価は下がるどころかむしろ良くなる。
そればかりか「もっとすごいコースターを作ってほしい」というクレームまで来る始末。ここの客は自殺志願者やドMしかいないのだろうか?
ただ、前述のとおり安全性の項目もあるので、あまりに危険すぎるコースターだと評価がマイナスになる場合もある。

客が行方不明になる際にはご丁寧に悲鳴を上げながらコースターから吹っ飛んでいく姿がきちんと描写されており、全員行方不明になろうものなら終了時には無人のコースターだけが戻ってくる。
ハハッ、見ろ!人がゴミのようだ!!
幸い(?)乗客のグラフィックは棒人間に毛が生えたレベルなので視覚的にはそこまでグロい光景にはならない。

また、コースターがGに耐えられないと脱線するのだが、その演出は単にレールから外れて落下したりするのではなくマシンがバラバラになって吹っ飛ぶというとんでもないもの。
というか、最初のうちは耐久性の低いマシンしか選べないのでほとんどのプレイヤーはこのバラバラシーンを何度も目にすることになるだろう。
投資を続けて最も耐久性の高いマシンを選べるようになれば脱線はまずしなくなるので、物理法則を無視したとんでもないコースターが作り放題となる。

「そんな遊び方するの一部のおかしなプレイヤーだけで、製作者が意図したわけじゃないだろう」とか思った人は公式デモを見て頂きたい。

明らかに危険な設計のコースターが当たり前のように出てくるなど序の口で、とりわけ問題なのがナレーション。

  • 失敗しても大丈夫。何度でもチャレンジしてね!」←バラバラになるコースターを映しながら。失敗ってレベルじゃねーぞ!!
  • 「やり過ぎにはちょっと注意!お客さんを落っことしちゃうのは、かなりまずいよね★
  • 「高低差200m、時速200km、20Gのシビれる快感!」

などなど、客を殺す気満々の発言が明るい声でバンバン飛び出してくるのだ。
そもそも、上記の異常な評価項目がある段階で明らかに(ry

また、20Gの~と言っているが実際は30Gや40Gなど当たり前で、50Gすら平気で超えるコースターを簡単に作ることができる。
参考までに、一般的な遊園地用のジェットコースターは3~5G程度で、最大でもかつて富士急ハイランドにあった「ムーンサルトスクランブル」というコースターの6.5G*1。一般人がそれ以上のGを受ければ確実に失神し、戦闘機に乗るパイロットなど本職の人間でも10G程度が限界とされている。
その2倍以上のGがかかるというのだから、乗客の末路は言うまでもないだろう。

あまりの内容にキャッチコピーの「楽しんじゃおう!」が「んじゃおう!」に聞こえるとまで言われる始末。

クイックライドではプリセットのコースターに乗れると書いたが、大半が乗客が全滅する殺人コースターである。まさに公式が病気と言わざるを得ない。


続編

  • ローラーコースタードリーム(発売日:2016年 対応機種:PS4/PS VR DL専売)
    • PS2版から10年余りの歳月を経て満を持して発売された、まさかの最新作。
      基本は旧作を踏襲しつつ、「来場客数10万人以上を達成する」という明確な目標が追加されたことに伴って経営シミュレーション要素が強化され、やりこみ度がよりアップした。
    • オンライン遊園地」モードで、自分の作った遊園地に多プレイヤーを招待したり、多プレイヤーの遊園地に遊びに行くことも可能。
    • グラフィックがより洗練され、コースター乗車シーンもVRの臨場感を生かした視点で楽しむことができる。
    • さすがにリアリティを増した作風ゆえか、PS2版のPVであったおバカかつ狂気的な雰囲気は鳴りを潜めており、ローラーコースターをばらばらにすることができず客が吹き飛ばされることもなくなった……と思いきや、PVの1分26秒あたり、そしてラストで衝撃の展開が……!
+ 公式PV


余談


開発元のびんぼうソフトは、社員が取締役の服部博文氏1人という日本一小さなゲーム会社。社名は服部が小学生時代に描いた「びんぼうくん」という漫画が元になっている。
かつてはバンプレストに勤務していたが、「組織に属していては自分が本当に作りたいものを作れない」と感じ独立。当初は会社を設立する気はなかったが、セガが「法人でなければ開発機材のレンタル契約に応じない」という姿勢をとっていたため、急遽会社を設立して対応したという。
海外のゲーム製作にも携わるなど技術は確かなものであり、今後も「特に必要を感じない限り、1人でやっていきたい」と述べている。


追記・修正は客を全員行方不明にしてからお願いします。


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最終更新:2024年04月16日 20:51

*1 余談ながら、これに代わって設置されたのがかの有名な「ドドンパ」である。