SCP-1961-JP

登録日:2017/04/24 (月) 15:42:49
更新日:2023/06/22 Thu 20:51:51
所要時間:約 13 分で読めます




SCP-1961-JP「古戦場」はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト (SCiP) 。
JPのコードが示す通り、日本支部生まれのオブジェクトでオブジェクトクラスSafe
これらのオブジェクトのうち、一つは宮田博士のオフィスに置かれ、残りは低危険度保管ロッカーに収納されている。

概要

SCP-1961-JPはウォーターラインと呼ばれる喫水線から上の部分を再現した艦艇のプラモデルキットである。
製造元は要注意団体などではない普通の模型メーカーだったが、該当する製品が発売されたという記録は確認されていない。
本体の構成材質はPS樹脂よりも柔軟性や対衝撃性に優れている程度で異常性はないが収容当時は未発見の素材だった。
そして、組み立て時の外見は最新鋭ステルス艦に類似するが、レーザー兵器やレールガンなどの実用化されていない兵装が載せられており、艦型が一致する艦艇は存在しない。
いつもの出所不明のモノ系SCPである。

出所不明はいつものことでも問題はモデルとなった船。
発見時に収められていたパッケージから引用しよう。

「1/700 財団駆逐艦 SCPSコルグエフ

SCPSとはSCP財団所属艦といった意味合いになるのだが…そもそも社会から秘匿されているはずのSCP財団の所属艦のプラモデルが存在するなど、情報漏洩以外の何物でもない。
そしてさらに驚くべきことに、この艦艇が財団に所属した記録はない

さらに問題なのは、添付された説明書モーターである。

・SCP-1961-JP-B「マジカルモーター」

この“マジカルモーター”は電池ボックスと一体化した小さな装置で、ボタン電池二つを入れてプラモデルに組み込むことで異常性を発揮する。
その異常性は平面に置くと、実際の艦艇と同等の挙動を取ること。

<例>
  • 何もしない
→普通に航行する
  • 半径1メートル以内に攻撃対象を設置
→通常兵器を含む要注意団体のマークやKeterクラスオブジェクトの模型などを対象に艦載兵器を使用して攻撃。
  • 衝撃を与える
→与えられた場所から煙を吹いて「損傷」
  • 港湾施設の模型を設置
→寄港して損傷個所を「修理」
  • 音声で指示する
→光の点滅によるモールス信号で返答し、可能な限り実行

プラモデルであることを除けば財団艦艇として至って普通の挙動を示すが、これらの各種現象はホログラムや映像投影に過ぎず、外界にはまったく影響を及ぼさない。
また、この“コルグエフ”以外のプラモデルに取り付けても異常性は発揮しないようだ。

・SCP-1961-JP-A

説明書の異常性は軽度の認識災害である。
読んだ対象者は感覚失調に陥るとともに、「自分はこの船のクルーだ」という強固な認識に取り付かれてクルーとしての自分を疑似体験するようになる。その間、全ての行動はSCP-1961-JPの挙動に連動するが、この影響は対象自身が退艦の意志を示すか、Cクラス記憶処理で無効化することが出来る。
ちなみに収容としては閲覧制限がかけられており、実験の際に必要な場合は財団製の異常性を除いた説明書が渡される。

特別収容プロトコル

当初は個人経営の玩具店で未開封の状態で発見された。
財団の機密漏えい以外に何もなかったので、Anomalous指定されていたが、宮田博士が実験と称して組み立てた際に異常性が発覚し、Safeクラスに分類された。

ちなみに、宮田博士は追加予算を申請したようだが………
AO-1961-JP-AHMIOAS-1組立実験における宮田博士からの実験経費の追加申請は受理されません。
組み立て後の異常性を確認するにはただ組み立てるだけで済むのに、なぜ普通の塗装のみに止まらず汚し塗装だのなんだのを施し、エッチングパーツとやらを用いてディティールアップする必要があるのですか?
こだわりたいなら自腹を切るように。

と、ただの趣味だったので当然ながら却下されてるが、裏を返せば自腹ならやってもいいのだろうか?



しかし、このプラモデルは誰がどうやって作ったのだろう。




追記・修正は積みプラを1つ完成させてからお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1961-JP - 古戦場
by Ikkeby-V
http://ja.scp-wiki.net/scp-1961-jp

この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。


+ [閲覧制限]セキュリティクリアランスレベル4を提示せよ
閲覧を終了する



AO-1961-JP-AHMIOASには、その出自を除いて異常性は存在しません。しかしそれが内包している情報は今後の財団の安全保障にとって重要なものであり、Anomalousアイテムに適用される保管体制では情報保全が不十分なものにならざるを得ないと考えます。よって、以下の措置の実行を提案するものであります。

  • 危険性を伴わず、収容が容易な人工異常性の付与によるSCPオブジェクトへの再分類。SCP-137、SCP-387SCP-389-JPなどの研究成果が活用できるものと考えます。
  • クリアランス3以下の職員に開示される情報においての、AO-1961-JP-AHMIOASの出自の編集。
  • および、AO-1961-JP-AHMIOASの異常性の起源、AO-1961-JP-AHMIOAS-Aの異常性の存在などに関するカバーストーリーの付与。
  • 補遺などを用いた、AO-1961-JP-AHMIOASの非危険性の強調。
  • 上記4項の措置による、クリアランス3以下の職員の関心のAO-1961-JP-AHMIOAS本体への誘導。
  • これまでにAO-1961-JP-AHMIOAS-Aを閲覧した、および今後閲覧する職員の一部へのクラス-C記憶処理の実施。



承認する。AO-1961-JP-AHMIOASは200█年11月をもってSCP-1961-JPへと再分類される。 - 日本支部理事"千鳥"




…そう、このオブジェクト自体に異常性など存在しなかった。
“マジカルモーター”は財団が後付けしたもので、それさえ抜いてしまえばただのプラモデルなのである。
SCP-1961-JP-A、“説明書”も、認識災害のベクターではない。

…しかし、このプラモデルが“SCP”として扱われるだけの理由は、この説明書なのだ。

閲覧にはセキュリティクリアランスレベル4か、継続監視にあたっている機動部隊ろ-12("魔窟住まい")にのみ許可されている。

説明書にはプラモデルの製造年月日が2100年代と記されており、つまり未来に作られたプラモデルが何らかの理由でこの時代にやってきたものと考えられている。
さらに説明書に書かれた財団の艦船に関する解説(SCP-1961-JP-C)によると、2000年代から2100年代にかけて財団が運用したコルグエフ級の1番艦で、同型の艦名が過去に財団の経験した大規模戦闘の起きた地名から引っ張られているという。
この付記された戦闘に関する簡単な解説のいくつかは収容済みのオブジェクトの収容違反に関連しているものであった。

さらに、説明書にはコルグエフ級に属する艦艇の一覧があった。


  • SCPSコルグエフ
1番艦。ロシア連邦に属するバレンツ海のコルグエフ島で1920年にカオス・インサージェンシーとの大規模な激突があった。

  • SCPSザッケンブルグ
2番艦。デンマークのグリーンランド東部に位置するザッケンブルグ山がここにある。

  • SCPSグーチャン
3番艦。中華人民共和国の湖南省湘西州に属するSCP-2748「湘西から来た轢殺獣車」がある。

  • SCPSオノゴロ・ジマ

  • SCPSプロヴィデンス
5番艦。アメリカ合衆国のロードアイランド州に存在するプロヴィデンス市。今の所財団絡みの事件や戦闘は起きておらず、ここで発見されたオブジェクトもない。

  • SCPSルブアルハリ
6番艦。アラビア半島南部に位置するルブアルハリ砂漠オマーン領内にSCP-557「古代封じ込め施設」が存在する。

  • SCPSアークティック
7番艦。北極。北極圏には複数のオブジェクトがあるが、その中でもSCP-902「最後のカウントダウン」やSCP-2675「揺りかご」絡みではないかと考えられている。

  • SCPSホイア
8番艦。ルーマニアのトランシルヴァニア地方に位置するホイア森林がある。

  • SCPSナルト
9番艦。日本の兵庫県にある鳴門海峡海底にはSCP-477-JP「鳴門海底都市」がある。

  • SCPSエイヤフィヤトラヨークトル
10番艦。SCP-1262「敵対的な茂み」が発見されたアイスランドの南部にあるエイヤフィヤトラヨークトル氷冠。

  • SCPSノイシュタット
11番艦。ドイツに同名の街が複数存在するが、いずれにおいても財団絡みの戦闘はなく、オブジェクトも発見されていない。

  • SCPSバイカル

  • SCPSケーン
13番艦。北大西洋の海底にあるケーン断裂帯にはSCP-2846「大イカと船乗り」の秘匿情報「SCP-2846-C」が沈んでいる。

  • SCPSイエローストーン


過去の戦闘からこれからの戦闘までずらり。この説明書の記述が「未来における大規模戦闘の予言となるのでは」という予測は、巨大に成長したSCP-1262に対し2010年4月に行われた攻撃作戦と、2019年1月に発生したSCP-610との大規模戦闘により、ほぼ確実なものとなった。
同時にそれは、とりもなおさず、これから先も大規模な戦闘が複数回、恐らくは収容違反を巡って発生するということでもある。
そのうち二つはThaimielクラスが絡んでいるとなると、その影響がどれほどのものかは………………。そんなインシデントへの対策が進められているが、如何せんプラモの説明書に記載された簡素なものでは詳細が分からず、現在は難航している。


だが、だからと言ってお先真っ暗なわけではない。


SCP-1961-JPから垣間見える断片的な未来は、単に財団が多くの危機に直面することのみを示しているわけではない。
SCP-1961-JPを販売することになるのは、未知の企業でも要注意団体でもない。今も存在するいたって普通のプラモデルメーカーなのだ。これが発売された21██年では、財団はいったいどうなっているんだ?
まあ、21██年の人類にもプラモデルを組み立てられるだけの暇はあるようだ。今の私のようにね。

このオブジェクトは、未来の民間企業が作ったものである。
つまり裏を返せば、イエローストーンで一大戦闘がおこった後もプラモデルに需要がある程度には平和だ、という事実を意味する。
恐らく、「三頭政治」によるサーキック・カルトとの決戦も勝利を収めるのだろう。
ただし、財団所属の船がプラモデルとなり、オブジェクトに関連する説明が付与されていることを考えると、その時代には財団とSCPオブジェクトの存在が周知のものとなっていることが窺い知れる。


余談

  • 元記事の著者によると、コルグエフ級の艦名は、全て「財団が勝利した戦場」から引っ張られているらしい。
  • 5番艦プロヴィデンスについては該当するオブジェクトがないが、実はこの町にはかのラヴクラフトの墓がある。クトゥルー絡みのオブジェクトでも収容違反したのだろうか。


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最終更新:2023年06月22日 20:51