バーン(TCG)

登録日:2017/04/24 Mon 12:02:47
更新日:2024/03/18 Mon 16:54:50
所要時間:各TCGの概要までなら約 9 分、個別解説をすべて読むなら約 30 分で読めます





◆概要

バーンとは、カード効果によるプレイヤーへの直接ダメージ、およびそれによって勝利を目指すデッキのこと。
デッキの場合は「バーンデッキ」と呼ばれる事もある。

モンスター/クリーチャーの攻撃によるダメージによる勝利を目指す「ビートダウン」とは対を成す。

その性質上、モンスターが採用されることはビートダウンよりは少なく、全く採用されない事もある。

プレイヤーのライフポイントを削り合うシステムをとるMagic the Gathering遊戯王OCGHearthstoneShadowverse等のTCG/DCGで組む事が可能。
逆にCODE OF JOKERはプレイヤーがバーンとは呼ばないものの、事実上のバーンデッキは存在する。

それ以外のTCGでは火力中心で勝利する事はほぼ無理であり、ライフポイントという概念が存在しないデュエル・マスターズ*1ポケモンカードゲーム*2では不可能。
バトルスピリッツは効果によるダメージ自体は存在するのだが、システムの関係上他TCGとは大きく概念が異なる。

デッキとしては大きく分けて2種類。
  • バーンカードでデッキを固めて速攻でライフポイントを削り取る「フルバーン」
  • 相手の動きを制限し、じわじわとダメージを蓄積させる「ロックバーン」

ちなみに瞬殺級の大火力ダメージ1〜2発で勝つタイプのデッキはバーンデッキとは言わず「コンボデッキ」や「1ターンキル」に分類される事が多い。
後述するが、バトルスピリッツにおけるバーンデッキはこの手の瞬殺系コンボデッキである。

このようにTCG毎の事情にも大きく左右される事と、デッキタイプそのものが特殊であるためアーキタイプの概念に組みこまれない独自の立ち位置を築いている。
現にアーキタイプの3分類、6分類、9分類のいずれにもバーンを定義できるものはない*3

バーンの起源はTCGの元祖、MtG。その最初のパックであるアルファに収録された《稲妻/Lightning Bolt(MtG)》である。
このカードの存在が「火力」という概念を生み出し、現在までTCG界全体にデザイン面で影響を与えている。

利点

速い。とにかく速い。(1キル上等な高速コンボデッキには負けることもあるが)
ビートダウンにおける手順である召喚、攻撃という2段階を踏まず、カードの使用=即ダメージという性質がそのまま速さに直結している。
また、ブロックされるリスクや召喚酔いという手間の要素を廃している事でも速さを助けている。

1ターン目から普通にライフを1/4近く持っていかれる事もある。
最速だとだいたい3ターンくらいで焼き殺せる。デッキとしての目標は4ターン位。
これは普通のビートダウンだとようやく場固めが出来る位の時間。速い方でもライフを半分持っていければ良い方。
相手に何かさせる前に倒すというコンセプトは速攻デッキの極致と言っても過言ではない。

また相手のデッキが「死ななきゃ安い」と自らのライフをどんどんコストで払うタイプなら、かなり刺さる。
特にMtGのモダンでは「1ターン目で17点スタート」*4が標準なのでかなり効く。

遊戯王も必須カードに「神シリーズ」などのライフを要求するものがそれなりに含まれるため、
デッキによっては自らライフをかなり削ってくれる事もある。

欠点

  • 長期戦に弱い
使いきりのカードを多く採用し、ダメージを与えれば与えるほど手札が減っていく。
初期ライフをきっちり削りきれるように組まれているので、ライフ回復とかで粘られるのも途端に苦しくなる。
この2点の性質から長引けばそれだけ弾切れを起こしやすくなり不利になっていく。

そのため、相性のいいドローソースを採用して息切れを防止する事も多い。

また、クリーチャーやモンスターを展開しない事からビートダウンに対してノーガードとなる防御の薄さも問題となる。
殴られる前に削る、というダメージレース展開になる事が多く、相手の数押しを許すと途端に逆転される事も。

「ロックバーン」でもない限り、長期戦になればなるほど厳しい戦いを強いられる。
ただし、瀕死レベルにまで削っていれば「盤面を制圧されて負ける直前のドローで火力をトップデッキして勝利」があるの最後まで諦めないことも必要。
またMtGではその性質上「土地を必要枚数だけキッチリ引いて、それ以上は引かない」運命力も必要。
土地が少なすぎれば動きが遅くなり、引きすぎれば息切れする。

  • 対策手段が多い
先に上げたライフ回復カードの他、戦闘によるダメージ以外を受けないカード、そもそもの効果を無効にするカード、
火力の殆どがプレイヤーを対象に取るのでプレイヤーを対象に取れなくなるカードなど挙げればキリがない。

そして妨害カードを切り詰めている*5ため、高速コンボデッキは特に相性が悪いデッキである。

一方でビートダウンが主流の環境では、バーンデッキの対策が疎かになりがちであり、地雷デッキとして成果を上げる事も。


◆各TCGの例

MtGにおけるバーン

の十八番。
その為バーンデッキも赤単が多く次いで赤茶単だが、メタゲームに応じて他の色をタッチする場合も。
スタンダードで組める事もあるが、基本はモダン以下の環境で活躍する。


これらのカードを利用して相手のライフを高速で削る事が目的。
しかし自分が死なないように、また妨害用クリーチャー対策として時にはクリーチャーにも火力を打つ必要があり、その判断を間違えるとライフが削りきれなくなる、豪快に見えて繊細なデッキである。

モダン以下のどの環境でも組める事とそのピーキーさのためか愛好家が多く、モダン以下の大会にはほぼ必ずバーン使いが一人二人はいる。
特にモダンでは白を加えたボロスバーン*8や、白緑を加えたナヤバーン*9がメタの一角に食い込んでいる。除去やクリーチャーが多めなので純粋なフルバーンではないけれど。
レガシーでは3キルとカウンターが横行している中、基本的に最速4キルのバーンの立ち位置は正直良くない。
ただメタ外なので、たまーに出てくると手が付けられない。

Pauperでも強力。殆どのカードがコモンで揃うためほぼレガシークラスのデッキを持ち込める。
まあ対策カードの多くがアンコモン以上なので得意不得意が他の環境以上にはっきりしてしまうのだが…
ヴィンテージは…赤単が息してないので諦めるべき。そもそも単色デッキがあまりいない上、超高速コンボやらマナ拘束系ロックが幅を利かせているために打ち消しなしでは安定して勝てないし、
《精神的つまづき》のせいで1マナ火力はあまり役に立たないので、同じバーンで勝つデッキなら【ベルチャーコンボ】や【チャネルボール】で1キル狙いに行ったほうがロマンもある。どうしても軽量火力を使いたいなら青赤の《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》デッキが軽量火力&軽量クリーチャーで速攻で削りきるという意味では近いかもしれない。クロック・パーミッション扱いされるけど。

永遠のライバルである青系コントロールと手を組んだ【カウンターバーン】というタイプも存在する。
こちらは通常のバーンと異なり低速デッキであり、ダメージソースもアーティファクトやエンチャントといった継続的なものを中心としている。

近年のスタンダードでは《ショック》以上のカードが刷られることが少なく、プレイヤーへ飛ぶ使い捨て火力に頼ったデッキはほとんど組めない。
そのため、スタンダードにおける高速バーンは半分スライのようなクリーチャー多めの形が主流となっている。

バーンとスライの立ち位置はかなり曖昧。ただ大抵はクリーチャーの数が多いとスライと言うことが多いようである。
その為バーン使いかつスライ使いというのは珍しくない。プレイング殆ど一緒だしね。
最近はバーンのクリーチャー投入数も増えてきてより境が曖昧になってきたことから纏めて赤系アグロというふうにカテゴライズされる事もある。

遊戯王OCGにおけるバーン


詳細はバーン(遊戯王OCG)を参照

MtGの影響もあり、有力なダメージソースとなりうる魔法・罠カードは多い。
対策できるカードも多いが、サイドデッキのないシングル戦においてはより猛威を振るう。

モンスターを展開するデッキでも、戦闘をせずモンスターの効果でバーンダメージを与えることを主軸としたデッキもある。時械神トリックスターなどが例である。

このゲームではモンスターが攻撃を行えるのは後攻のターンからだが、バーンは先攻1ターン目であっても行える。
そのため、特殊勝利と並んで、バーンの存在はこのゲームに先攻1ターンキルが成立しうる理由でもある。
過去のものではサイエンカタパドグマブレードがよく知られ、2022年現在でもスターヴ・ヴェノムマシュ=マックを利用して先攻1キルを狙うデッキが組まれている。

バトルスピリッツにおけるバーン


詳細はバーン(Battle Spirits)を参照

バトルスピリッツはカード効果は発揮したらその場処理が原則でチェーンやスタックといった概念がない。
つまりカードの効果によるダメージは一度発揮したら防ぐ手段がシステム上なかった
更に、初期ライフが5点であるため、効果によるダメージはかなり重めのコストと条件が設定されている。
相手ターンにカード効果が使えるのは「アタックステップ中のフラッシュタイミング」だけであるため、ダメージを防げるようにアタックに付随した効果としてバーン効果が与えられている。
しかしながらフラッシュタイミングを与えずにこれらの効果を発揮する手段があり、それはどうやっても防ぎようの無いダメージとなる。
よってバトルスピリッツにおけるバーンとは「コンボによる一撃必殺」または「妨害されないトドメの一撃」を意味する。
こういった点では他のTCGにおけるバーンデッキの概念とは相いれない部分があるといえよう。
色の分類上は他TCGと同様に主に赤に多いが、緑はバトルの結果の追加ダメージ、紫は相手の行動次第で発揮する受動的なダメージ効果を持つ。
神皇編以降は相手に依存しないバーン手段が増えてきているため、現在ではバーンダメージを防ぐ割り込み式効果も登場している。

Z/X -Zillions of enemy X-におけるバーン

ゼクスによる攻撃で相手へのダイレクトアタックに成功すると相手のライフにダメージが入るシステムだが、ごく一部に条件を満たしていると直接ダメージを与えられたり、ライフに置かれているカードを別の領域に送るカードが存在している。
デッキが0枚になることによるリフレッシュでもライフのカードが移動するため、デッキ破壊も戦術の一つになっている。
攻撃を行うと相手に起動効果やイベントをプレイする権利を渡してしまい、妨害を許すことになるので、条件を満たせるデッキでは最後の詰めに直接ダメージを用いたり、過去には条件を満たしたまま直接ダメージを与えられるカードを使いまわして何度も登場、抵抗を許さないままワンショットキルするデッキも存在していた。
現在では直接ダメージを与えられるカードは、同名効果ターン1制限や、そもそも登場させるのが難しいカード、そしてゼクス オーバーブーストレベル1のシフトが比較的緩い条件を達成したものに限られている。

Shadowverseにおけるバーン

相手ターン中に行動できず、ダメ押し以外のハンデスも無いため妨害が困難という事情もあってか、実用的なフルバーンは存在しない。
そのためシャドバ界隈でバーンというと、基本的に下記いずれかに該当する。
  • 準備を整えて終盤の1ターンで致死量の能力ダメージを与える1ショットキル
  • フォロワーの攻防を行いつつ、リーダーへのダメージは能力の比重が大きめ
  • 相手の攻撃を防ぐなり耐えるなりしつつ、継続的な能力ダメージで数ターンかけて勝つ

大なり小なりどのクラスでもバーンデッキが環境に現れたことはあるが、多いのはウィッチ、ドラゴン、ヴァンパイアあたり。
逆にロイヤルは少なめ。能力ダメージだけで削りきるデッキとなるとネクロマンサーやネメシスも少ない。


CODE OF JOKERにおけるバーン

「トリガーコントロール」と呼ばれるデッキがこれに当たる。
そもそも妨害が利かないと言うシステム上故か直接ダメージを与えるカードの種類は異常に少なく、決まればラッキー程度のものであったが、条件付きで身を守るカードの数はそれなりにあったため、殆どユニットを採用せずに妨害カードを詰め込み、バーンカードで決着を付ける、通常のバーンデッキとは180°方向性の異なるコントロールデッキが誕生した。
特異なデッキなためオリジナルボーナスが高くなりやすいことが特徴で、稼ぎデッキとしても使えた時期があったが今ではその使い方は少し難しい。
ただし愛好者は多いのでイベント戦では結構見るデッキタイプ。


三国志大戦におけるバーン

三国をモチーフとしたリアルタイムTCG。
各武将が持つ特殊効果である計略の中には火を扱って敵にダメージを与えるものがあるため、火力というのはそちらで使われている。
一方でバーンの定義を満たすものとしては、敵城にダメージを与える計略がある。
だが計略を使うためのエネルギーである士気も時間経過で溜まり、時間内に敵将を倒し合いつつ攻城・内乱によるビートダウンで敵城ゲージを削り合ってその残量を競う(ただし0になると落城=負け)というダメージレースを行う関係上ビートで完全制圧する方が圧倒的に速いことが多い。
内乱は盤面のうち一定量以上を一定時間支配下に置いているだけでダメージとなるため、間接的なビートに当たる。
このためバーンデッキは「バーンカードとそれによって取ったリードをゲーム終了まで死守する」といったコンセプトで成り立っており、戦力を欠き士気を割いた上で守り切らなくてはならないため大変扱いが難しい。
守備も苦しくなりがちなので相性によるところが非常に強く、基本的には主流からはずれた浪漫や地雷というような位置づけでもある。
それらも含めあくまで勝ちパターンの一つとして割り切りあえて使わずそのままビートダウンとして戦うということもできるが、そういった計略を持つ武将は足を引っ張りやすいスペックにされていることもあってそれも難しい部分がある。
その性質上バーンを行うカードは少ないが、新作では「一定条件を満たせば攻撃時にバーンを入れられる」といういわゆるビートバーン的なカードも出ておりより激しい削りを行える。
なお、回復できる計略はゲームそのものがおかしくなるためか現在のところ存在していない。過去作にはあった。




追記・修正はバーンで1ターンキルしてからお願いします。

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最終更新:2024年03月18日 16:54

*1 一応バーンに準えてか効果でシールドを墓地に送る事を焼却と呼ぶがシールドが無い=勝利ではないので結局殴るか特殊勝利の条件を満たさないと勝てない。DMEX-15でシールドを1枚焼却し、それが最後のシールドなら勝利できる《闘うべき時!!》が登場したことにより、限りなくバーンデッキに近い構築は可能にはなっている

*2 プレイヤーではなく場に出しているポケモンの方にライフたるHPが存在するため。一応「ダメカンを置く」というダメージとは異なる効果処理も存在するが、やっていることは普通の技を使った攻撃とほぼ変わらない。

*3 TCGの事情によって変わるが、強引に分類するとアグロ、コンボ、コントロールのいずれかになるか。

*4 フェッチランド起動でライフ1点を払い、サーチしてきたショックランドをアンタップインする際に更にライフを2点払うため

*5 妨害カードそのものは入ることがあるが基本的に時間を稼ぐようなカードだらけで、ハンデスやカウンターはほぼ積まれない。

*6 山が2つあれば1マナ3点火力2発の後ピッチコスト火炎破で死ぬため

*7 1ターン目に山と3点火力。2ターン目に山と熱錬金術師。3ターン目に3点火力3枚と能力4回、火炎破で20点。

*8 2マナ4点火力の《ボロスの魔除け/Boros Charm》や、対バーンミラー用の《神聖の力線/Leyline of Sanctity》を入れられるため

*9 ボロスバーンの強力カードに加え、火力兼神聖の力線対策のエンチャント破壊《破壊的な享楽/Destructive Revelry》や緑の軽量優秀クリーチャーを入れられる》

*10 クラスに関係なくどのデッキでも採用できるカード

*11 スペルを使った回数により強力になったりコストが下がったりする効果

*12 手札をすべて捨て、捨てた枚数ドロー