キット・フィストー

登録日:2017/04/23 Sun 23:46:36
更新日:2024/03/24 Sun 20:47:40
所要時間:約 4 分で読めます





「お前もかつては誇り高き戦士だったが、いまやドゥークーの駒に成り下がった」
「その力もお前を滅ぼすだけだ」

キット・フィストー(Kit Fisto)とは、映画「STAR WARS」シリーズの登場人物である。
クローン大戦期に名の知られたジェダイの一人。
主だった活躍はカートゥーンネットワーク版「クローン大戦」およびディズニー版「クローンウォーズ」で描かれるが、
実写映画内でも脇役としてはかなりの存在感を放っている。


CV(日本語吹き替え):速水奨


概要

緑の肌や、頭部から生えた多数の触手が特徴的で、ライトセーバーの色は緑。
ジェダイマスターの地位にあり、評議会に属していたこともあるなど実力はトップクラス。
また、ノートランという水陸両用の種族であり、嗅覚が鋭く水中でも呼吸が可能である。


来歴

エピソードⅡ

初登場。
パルパティーン議長に報告を行うジェダイたちの中に混ざって、キ=アディ=ムンディルミナーラ・アンドゥリプロ・クーンと共に出席していた。
そして終盤、囚われたオビ=ワンやアナキンを助けるため総勢200名のジェダイの一人として「ジオノーシスの戦い」に参加。
開戦のシーンをよく見ると突撃するジェダイたちの先頭で真っ先に斬り込み、ドロイドを次々と切り捨てながら単身でどんどん進撃しており、モブ多数の中で明らかに別格の描写がされている。

また、首から下をバトルドロイドに付け替えられてしまったC-3POを壊さずにフォースで無力化して、してやったりといった笑みを浮かべたシーンが非常に印象的。
このしたり顔はファンから「フィストースマイル」と呼ばれている。

その後ジェダイ達は次第に数で押され始め、生き残りはフィストーを含めほんの20名にまで減ってしまうが、そこにヨーダがクローン兵の大軍を引き連れてきたことで事なきを得る。
フィストーもクローン達と合流し、将軍として前線に向かった。
処刑場から離脱するシーンでは殿を務め、発進直前に飛び乗っている。
なお、これだけ活躍しているがこの頃はまだ評議会入りしていない。


アニメ『クローン・ウォーズ』

ジオノーシスでの活躍が認められてか、戦死したコールマン・トレバーの後任としてこの頃に評議会入りを果たしている。
ナダール・ヴェブというモン・カラマリ出身のパダワンがいたことも判明したが、任務の都合でナダールがジェダイナイトとして認められた叙任式には立ち会えなかったらしい。
ジェダイの将軍として様々な惑星に出向き、独立星系連合と交戦。
特殊メイク等の都合がないアニメでは存分に動いてくれる。

シーズン1

逃亡したヌート・ガンレイを追跡していたが、ドゥークーの策略によりグリーヴァス将軍のアジトに誘い込まれてしまう。*1
同時に潜入していた元弟子ナダールと共同戦線を展開し、脱出を試みる。
一度はグリーヴァスを後一歩のところまで追い詰めるが逃亡を許してしまい、さらに分断された上で戦果に逸ったナダールがグリーヴァスに殺されてしまう。
単身脱出したフィストーはスターファイターを待っている間にグリーヴァスに追いつかれてしまい、交戦を開始。
納刀して霧に紛れたりと冷静に立ち回り、さらには四刀流を容易く見切り腕の一本を切断。ナダールのライトセーバーを取り返し二刀流VS三刀流でグリーヴァスを圧倒した。
追い詰められたグリーヴァスはすぐさまマグナガード部隊を招集しフィストーを包囲するが、時すでに遅し。
アストロメクドロイドのR6が操るスターファイターが到着しており、フィストーは颯爽と離脱してその場を切り抜けた。

帰還後、フィストーはヨーダにナダールの戦死を報告。
ナダールを例に「力に力で応えるのはジェダイの道ではない。」と、戦争においてジェダイは容易く道を踏み外し得ることを危惧するヨーダの台詞で閉幕となった。

シーズン2

キャド・ベインがジェダイ聖堂へホロクロンを盗みに入るエピソードでチョイ役ながら登場。
ジョカスタ・ヌーがアソーカに「ホロクロン保管庫には評議会の限られたメンバーしか入れない」ことを説明するシーンで、まさにその「限られたメンバー」の一人としてホロクロン保管庫をタイミング良く訪れており、ジョカスタの挨拶に対してフィストー・スマイルで応対した。

第二次ジオノーシスの戦いのエピソードでも登場。
医療ステーションに駐在しており、ジオノーシス由来の寄生虫により混乱に陥った補給船で向かっているという報告をアソーカから受け、医療ステーション側の指揮を取る。
寄生虫が沈静化する氷点下のブロックをステーション内に用意した上で、到着した補給船から凍えるアソーカとバリス・オフィーを救助した。
その後、見舞いと報告のためアソーカの病室を訪れた際はしっかりフィストースマイルを披露した。

シーズン4

海洋惑星モン・カラの戦いに参戦。
水中呼吸ができるため呼吸機無しのセクシーな上裸生身で戦場を駆け回る……もとい泳ぎ回る。
モン・カラマリ種族の王子リー=チャーを守るべくアナキンやアソーカや親衛隊長ギアル・アクバーと共闘するが、クオレン種族を抱き込んだ独立星系連合の大攻勢の前に劣勢に陥る。
リー=チャーの喉元にまで迫った凄腕の武闘派指揮官リフ・タムソンと格闘戦で互角以上に渡り合うなど奮戦したものの、戦況は悪化の一途を辿り、最終的にアソーカとリー=チャーを逃すため単身殿となり、二人を逃したもののフィストー自身はタムソンと無数のアクア・ドロイドに包囲され捕らえられてしまう。シディアス戦以外では唯一の黒星となった。

その後は牢内で焦るアナキンを宥めるなどしていたが、リー=チャーとアソーカの活躍によりクオレンが共和国側へ寝返るのに伴い解放され、リー=チャーがタムソンを決闘で討ち取ったことでモン・カラの戦いは共和国が勝利を収めた。

非正史となったが同時期を描いたカートゥーンネットワーク版『クローン大戦』でも将軍としてモン・カラで戦ったが、こちらでは強敵らしい強敵もおらず凄まじい無双ぶりを披露していた。

エピソードⅢ

終盤ダース・シディアスが正体を現した際、
エージェン・コーラー及びセシー・ティンと共にメイス・ウィンドゥに率いられて捕縛に向かった。
この時ジェダイ聖堂にいた中ではこのメンバーが最強の4人だとか(ヨーダとオビ=ワンは遠征中。またアナキンはメイスの意向で同伴されなかった)。
4人で一斉にライトセーバーを抜きダース・シディアスに挑んだものの、尺の都合でメイス以外全員が秒殺されるという憂き目にあってしまう。
ただしコーラーとティンが何もできずに出落ちし文字通り瞬殺されたのに対し、フィストーは数合ながら剣を打ち合っている辺りいいほうであり、むしろ負けたのに箔が付いているという妙なことになっている。

なお、小説版では「尺の都合」が存在しないのだが、それでも同僚ふたりは瞬殺、フィストーも戦闘シーンがカットされ気づいたら首だけになっていた。
死にながらも「フィストースマイル」をしっかり浮かべていたらしい……


人物像

当時のジェダイには冗談の通じない人物も多かったが、フィストーは同僚たちと比べるとのんびりした性格であり、厳しい戦況においても常にユーモアを忘れず笑みを浮かべていた。
フィストーにそのつもりがあるかは不明だが、劣勢に陥ったグリーヴァス将軍はフィストースマイルで見下ろされてから露骨に機嫌が悪くなっている。
ノートランの寿命*2や、フィストー本人の年齢設定が不明*3なので何とも言い難いが、評議会入りした時期からしても、ジェダイ・マスターの中では若い部類だったと思われる。


能力

脇役ジェダイの中ではほぼ間違いなく最強の人物。

あのドゥークー伯爵も「(もしグリーヴァスがフィストーを倒せていたならば)賞賛に値する偉業だ」と、間接的にだがその実力を高く評価している。
ライトセーバー戦ではバランスに優れる基礎型のフォーム1「シャイ・チョー」を主に使用する他、クローンウォーズでは二刀流の型である「ジャーカイ」も披露している。自分の触手を斬ってしまいそうで大変見ていてヒヤヒヤする。
フォースにおいても念力などの基本は一通りこなせると思われる他、カートゥーン版『クローン大戦』ではフォースで水を固めた水圧弾を放つという芸当も見せている。
ライトセーバーは緑。*4

ジオノーシスの戦いでは地味ながら明らかに他より格上ととれる描写がされていたり、皇帝相手に少しだけだが打ち合えたりと、実写映画だけでも十分な高い実力の描写があるが、スピンオフではそれ以上の凄まじい活躍をしている。

『クローン・ウォーズ』でグリーヴァス将軍と遭遇した際は、
一刀対四刀の状況から弟子のライトセーバーを取り返し、二刀対三刀に持ち込むことでグリーヴァス将軍を圧倒した
"ジェダイ屈指の剣士"とされるキャラは他にも多数いるが、彼らは基本的に「そこいらのジェダイよりは遥かに強いがグリーヴァス以上の相手には勝てない」といった描写をされることが多く、それを踏まえてのこの描写は破格といえよう。
(状況の違い等もあるので一概には言えないが)下手をすれば当時のオビワンより強そうにすら見える。

また、この際のフィストーはナダールと分断された上で、彼がグリーヴァスに殺害される瞬間を警備カメラ越しに見せつけられるというショッキングな出来事の直後であり、そんな状態でもいつもの笑みを保ちながらグリーヴァスの猛攻に冷静に対処して優勢を保つなど、精神力の面でも一流のものがある。

指揮能力にも優れており、ナダールおよび彼に同伴していたコマンダー・フィル率いるトルーパー達を指揮することでグリーヴァス将軍を部隊の損耗無しで一時撤退に追い込み、グリーヴァス将軍はしばし修理のため戦線離脱を余儀なくされた。

モン・カラマリの戦いでは水中でも呼吸ができる特徴を活かして呼吸器なしで参戦。
モン・カラマリの戦いのストーリーの大ボスであるリフ・タムソン(水中でブラスターが飛び交う中、素手で無双するというなかなかチートな鮫型エイリアン)相手に互角に渡り合うなど、ここでも高い実力を見せた。
このことから「水中戦ならシディアスにも勝てるんじゃないか」とか言われたり。皇帝がわざわざ水中戦するかは疑問であるが

かつての弟子であるナダールもナイトの叙任を受けた直後であるにもかかわらず、マグナガード五体を瞬殺し、二刀流までならグリーヴァス将軍とも拮抗できるなど相当な実力を持っており、フィストーの剣の指導力の高さもうかがえる。

このように、剣術・戦術眼・指揮能力・指導力のいずれも極めて高水準な能力を備えており、作中屈指の優秀な人物の一人である。
飛び抜けて高い実力とユーモアのあるキャラクター性から非常に人気も高く、プロ・クーンに並ぶ、シリーズを代表する人気脇役の一人である。

欠点…?

だが、一見完璧に見えるフィストーにも欠点が全くないわけではなく、
評議会等で自ら発言したりするシーンは少なく、重大な決定に関わるような一存を述べるシーンには乏しい。
「伝統の維持や政治に固執するあまり実力が足りなかったり目が曇ったり精神性が凝り固まったりしている」という当時のジェダイによく見られた欠点はフィストーにはあまり描写されていないが、これは評議会での発言自体がそもそも少ないことに起因する。
フィストーの場合は個人としての実力や精神性は超一流と言えるが組織運営や政治交渉などの面は得意ではなかった(無論並以上にはできるのであろうが)タイプと言え、クローン戦争開戦までは実力に反して評議会に属していなかったことからもそのことが窺える。

また、弟子であるナダールは実力こそ申し分ないものの、正義感に逸るあまりフィストーと分断されてグリーヴァス将軍に敗北する末路を迎えており、精神面での未熟さが見受けられる。*5
ナダールの若さを考えると精神面で成熟していくのはこれからだったのではあろうが、付き合いがそれなりに長いはずのフィストーは突っ走ろうとするナダールを御しきれなかった。
剣技の指導はともかく精神面での指導は完全ではなく、これこそがフィストーののんびりした性格の負の面と言えるのかもしれない。

総合すると、
個人として大きな問題や歪みを抱えてはいないが、組織ぐるみでの問題などを積極的に解決しようとすることもあまりなかった……といった具合であり、そんな彼の人となりをどう評価するかは意見の分かれるところだろう。

余談

もともとは「EP2」にて、敵役・シス卿の候補としてデザインされていた。
このデザインはかなり難航したようで、中でも頭部に触手を複数持つエイリアンのシス卿は男女共に複数のデザインが描かれている。
最終的に新しいシスはドゥークー伯爵に決まったため、これらのデザインは修正のうえでキット・フィストーや、『クローン・ウォーズ』に登場する双子姉妹のジェダイであるティプラーとティプリーなどに流用された。
同様の経緯を持つキャラクターにアサージ・ヴェントレスがいる。

アイラ・セキュラというトワイレックの女性ジェダイとの間には互いに別種族のエイリアンながらも深い親愛の絆があり、深く尊敬し合っていたとされている。
もしオーダーに在籍していなければ、おそらくは他の形で関係を深めていったであろう、というくらいらしい。
ちなみにジェダイの恋愛事情としては、
などそれなりに事例がある。
ケイナンとヘラに至っては帝国時代に一子を授かるまでに至っている。またトワイレックか



追記・修正は弟子のライトセーバーを取り返してからお願いします。

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最終更新:2024年03月24日 20:47

*1 なお、グリーヴァスを試す意味合いもあったためグリーヴァスにも知らされていなかった

*2 レジェンズ設定では、平均寿命もしくは最高齢記録が70歳とされ、人間よりもやや短命なようである。

*3 レジェンズ設定においても、EP3の20年ほど前に弟子を取った以前のことは明らかになっていない。

*4 ライトセーバーは水中では起動できないという没設定の名残でフィストーのライトセーバーは水中でも起動できる特別製とされることもあったが、現行設定では誰のライトセーバーも基本的に耐水仕様となっている。

*5 皮肉にもナダールの行動はEP2のアナキンそっくりであり、主人公補正のないアナキンのifの姿がナダールであるとも言われている