SCP-039-JP

登録日:2017/04/21 (金) 12:43:12
更新日:2024/03/17 Sun 16:37:30
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そこでクイズです。今、あのペンを持っているのは一体誰でしょうか?


SCP-039-JPとは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクトのひとつである。
タイトルは「だれかのペン」。JPのコードが示す通り、日本支部生まれである。
オブジェクトクラスは「Safe」。


概要

コイツが何かと言うと、PILOTjp製の、一本のキャップつきボールペンである。
モノ系SCPの例に漏れず、破壊耐性を持っているためサンプル採取や分解の試みは成功していない。というか、何だってモノ系SCPはどいつもこいつも破壊に対して異常に強いだろうか。そういう特性を付与する企業でもあるのだろうか。

コイツの異常な特性は、人間が手に持ってキャップを外した時に発現する低強度の認識災害である。
活性化状態のコイツを手に取った人間は、独自の基準によって選出された、自分よりも社会的地位の低い誰かひとりを、コイツで殺そうと言う衝動が発生する。
これは周囲の人間の制止を振り切るが、対象者を殺害する、拘束する、ターゲットを隔離するなど、物理的に殺害できない状態にすれば阻止可能。

で、殺し方は共通して、ターゲットの首筋の後ろに向かって垂直にこのボールペンを突き刺すというもの。食らってしまったターゲットは、傷の大小によらず、100%の確率で失血死する。

そして、ターゲットを殺すと、対象者は無意識にこのボールペンを取り落とす。落とされたボールペンは、別の何かに接触した瞬間に空間移動し、対象者よりも社会的地位の高い、もしくは生活水準の高い誰かのもとに現れる。この特性のため、殺害に使われた後のコイツを奪取する試みは現在まで成功していない。
さらにこの移動は、最後に持っていた者の属する集団の中に限られる傾向がある。つまり、財団が持っている限り財団から消えることはまずない、ということである。

なので、収容プロトコルは簡単。

SCP-039-JPは現在自己収容を成しています。SCP-039-JPに取り付けられた発信機の信号を探知した場合は位置を特定し回収、その後標準的Safeクラス物品収容ロッカーへ保存してください。全ての実験はSCP-039-JPに発信機を取り付けて行われます。

要は、このボールペンは財団の中から動かないから、発信機の信号をたどって回収し、ロッカーにしまっておけ、と言う話である。


実験記録

異常な特性については以上が全てで、これ以外に何か起こすわけではない。
ただ、この「移動する」特性によって、財団内部でかなりシャレにならない事実が判明している。
ここからは実験記録を追っていく。


  • 実験その1
Dクラス職員に持たせ、もう一人のDクラスの前でキャップを外させるという実験。
結果、Dクラスは殺人衝動を起こさなかった。Dクラス同士だと、社会的地位は同じと見なされるようだ。

  • 実験その2
Dクラス職員に持たせ、もう一人のDクラスの前でキャップを外させるという実験をもう一度行った。
この時、持たせた方のDクラスには、1週間ほど前から待遇を改善している。
結果、そのDクラスはもう一人を殺そうとしたが、ターゲットのDクラスの反撃にあって腕を骨折し、実験は失敗。これ以後の実験は、ターゲットが視認できない状況で行うことになった。

  • 実験その3
Dクラス職員に持たせ、キャップを外してからもう一人のDクラスのいるチャンバーに入らせる。
この時、ターゲットのDクラスは壁に拘束してあった。
結果、Dクラスはターゲットを殺害。脅迫には反応しなかったため、物理的手段でなければ阻止できないと判明した。
実験後、施設を捜索すると山口博士のオフィスでSCP-039-JPが見つかった。
どうやら、このボールペンはDクラスを「財団職員」のくくりで判別しているらしい。

  • 実験その4
その3と同様の条件だが、今度は殺害前にペンを持った方のDクラスを保安要員が取り押さえる。
結果、Dクラスは制圧され殺害は失敗。ボールペンの消失と移動は起こらなかった。
あくまでも殺人衝動を起こさせるのみで、特に能力の強化などは起こらないらしい。

  • 実験その5/事故
ここでは、別のオブジェクトに曝露してしまったことで、この日に終了されることになっていたある研究主任を使った実験が行われた。
主任の手にSCP-039-JPを固定し、その状態でDクラスのいるチャンバーにいれる実験。手から取り落とすことで移動するのだから、手から離せない状態にすればどうか、という話である。
結果、主任はDクラスを殺害したのちに終了されたが、固定されていたSCP-039-JPは消失。ターゲットを殺害すると、問答無用で消えてしまうらしい。
ちなみにこのペン、O5の一人のデスクに出現。
これにより、組織内部での移動に限られることが判明した。



……のだが、これがまずかった。
SCP-039-JPを手に取ってしまったそのO5は、報告書では削除されているがどうやら別の誰かを殺してしまったらしい。
当然ながら、この後SCP-039-JPは消失。しかも、財団の各国支部や本部のどこを探しても見つからない
一体どこに行ったんだ、と騒ぎになったが、後になって取り付けられていた発信機の信号により、ケンタウルス座アルファ星の方角にあることが判明した。





そして、お分かりだろうか?
コイツの瞬間移動特性は、コイツを使って人を殺すと、その加害者の属する集団内部で、その加害者より地位の高い誰かのもとに移動する、というものである。
つまり繰り返すと、いずれ組織の長のもとへたどり着く。
で、財団のトップであるO5の一人がコイツで人を殺したら、遠く離れた宇宙の彼方へ。


この事実が示唆する可能性。

ひとつは、そのO5は宇宙人であり、財団ではない別の組織に属する誰かである。

もうひとつは、SCP財団において、O5よりも上に位置する真のトップが宇宙の彼方に存在する。

いまひとつは、財団そのものが、宇宙人による別の組織の下位組織である。


さて、真相はどれだろうか。


追記・修正をお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-039-JP - だれかのペン
by SenkanY
http://ja.scp-wiki.net/scp-039-jp

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最終更新:2024年03月17日 16:37