樹(幽☆遊☆白書)

登録日:2017/04/12 (水) 17:33:36
更新日:2024/01/23 Tue 09:12:49
所要時間:約 7 分で読めます





オレは彼が傷つき汚れ堕ちていく様をただ見ていたかった


(いつき)とは、幽☆遊☆白書の登場人物の一人。

CV:辻谷耕史/近藤隆(共闘ことばRPG コトダマン)


人物

次元を自由に移動する「影の手」を持つ妖怪「闇撫(やみなで)」の1人。
「闇撫」とは、異次元に生きる下等妖怪を僕にする事ができる数少ない種族のうちの1つである。
翡翠色の長髪を持つ美男子。仙水が霊界探偵だった頃からのパートナーであり、当時は髪を後ろで結っていた。また、現在は和装であるが、仙水と出会った頃は現代風の服を着ていた。

常に落ち着いた口調で話す理屈家。案外おしゃべりでもある。
しかし精神面がかなり歪んでいて、仙水に対し倒錯した愛情を抱いている。
その歪んだ思想は他人に理解される事はほとんどなく、後述の彼の嗜好を聞いた桑原「吐き気がしてきたぜサイコ野郎め!」と嫌悪感を露にし、その考えが大事件を引き起こすきっかけになったと知った蔵馬からは「できることならこの場でお前を殺してやりたい」とまで言われていた。

仙水の良き理解者であるが、仙水と出会った当時は、仙水が霊界探偵だった事もあり敵同士という関係であった。
仙水は倒した妖怪を全て殺していたため、樹も仙水のターゲットとなり殺されかける。
何とか逃走しようとするが、仙水を振りきる事ができず、彼の容赦ない攻撃をくらい続けとうとう倒れてしまう。
そして仙水に殺される覚悟を決めた時に、彼に「死ぬ前に何か言い残す事はあるか?」と尋ねられるとふとこう答えた。

できればもう1日生きたい


なぜだ?


明日「ヒットスタジオ*1」に戸川純*2が出る*3

この予想外の返答に仙水は思わず驚き、少し黙った後にこう返した。

オレも毎週見てる

どうやら仙水は、妖怪であるはずの樹が人間臭い返答をした事に天地がひっくり返るほどの衝撃を受けたようで、妖怪の意外な一面を知った彼は樹の命を奪う事をやめて彼と談笑する。
これがきっかけで意気投合した樹は仙水の人間臭さに魅かれ、以降は仙水のパートナーとして彼を支える事となる。仙水が霊界探偵を辞めた後も彼に就き従った。

そして、仙水が魔界に繋がる穴を開けて魔界へ行こうとしていた時も、その暴挙を止めようとせず彼の計画に加わり、彼の望みどおり魔界に繋がる穴を拡張し続けた。
ちなみに、仙水の言っていた「オレ達7人」が仙水の7つの人格を指している事は最初から知っており、仙水にとって自分はただのコマに過ぎない事を知った上で計画に協力していた。

仙水の暴走を止められる立場にありながら彼を止めようとしなかったのは、仙水が傷つき汚れていく様子を側で見ていたかったから
出会った時に見た仙水の純粋で無垢な素顔が、人間の醜い部分を見続ける事でどこまで変わっていくかに興味が湧いたらしく、彼が堕ちていく様を傍観する事が樹の唯一の楽しみだったのである。

「キャベツ畑」や「コウノトリ」を信じている可愛い女の子に
無修正のポルノをつきつける時を想像するような下卑た快感さ*4


その点人間の醜い部分を見続けた仙水の反応は実に理想的だったな


割り切ることも見ぬふりもできずに
ただ傷つき絶望していった


そしてその度強くなった

この事を笑顔で語っていた時の樹の眼は狂気に満ちており、桑原からは「諸悪の根源はおめーのような気がする」と吐き捨てられていた。

なお、仙水と組む以前にも、興味を持って何人かの人間と付き合った事があるらしい。


能力

妖力はB級の下位程度だが、「影の手」を用いて亜空間を自由に行き来できる能力を持ち、防御力はかなり高い。
仙水一味の中にいる時は“門番(ゲートキーパー)”のニックネームで呼ばれていたが、この呼び名の由来である能力は魔界の扉の影響で得たものではなく、闇撫である彼本来の能力である。
亜空間への移動の他にも、異次元にいる下級妖怪も僕にする事が出来、作中に登場した「裏男」も彼の“ペット”のうちの1匹である。
相手の力量もある程度なら把握でき、飛影と蔵馬が元はA級の妖怪であった事も見破っていた。

  • 裏男
樹が飼っている下級妖怪のうちの1匹。
次元の狭間で生きる平面妖怪。巨大な人間の影に目、鼻、口がついた姿をしている。
腹の中は亜空間になっていて、飲み込んだ者をそこに閉じ込める。
飲み込まれた者は、目の部分から外界の様子を確認する事が出来るようになっている。
樹を殺してしまうと、そこからの脱出は不可能である。


活躍

仙水の望みを叶えるため、蟲寄市の地下にある入魔洞窟の最奥で、魔界に繋がる穴を拡張し続ける。
魔界への穴が開ききるまで30分となった頃に、幽助達が洞窟の奥まで辿り着く。
巻原(戸愚呂(兄))が倒されると、仙水と幽助の一騎打ちに邪魔が入らないよう、裏男を使役して桑原、蔵馬、飛影、御手洗を亜空間へ隔離する。
そして、自分が仙水に関心を持ち、彼の計画に加担するようになった前述の理由を桑原達に明かすと、仙水と幽助の対決を静かに見守るよう彼らに強要した。
しかし、彼らを閉じ込めていた際にも、常人には理解し難い態度を見せた事で、桑原は段々と苛立ちを募らせていく。
そして、桑原達が後に自分達の脅威となる前に1人ずつ始末しようとするが、その前に激怒した桑原が次元刀の能力に覚醒し、裏男の右目を斬られてしまう。
これによって桑原達の脱出を許してしまい、この際に自身も右目を斬られ負傷した。

その後は亜空間にしばらく身を潜め、雷禅に精神を乗っ取られた幽助の手により瀕死となった仙水の前に現れる。そして勝負に納得がいかず仙水に掴みかかっている幽助に向かってこう言った。

そのまま死なせてやれ


どうせあと半月足らずの命なんだ

仙水の体は、“医師(ドクター)”の能力者・神谷ですら手の施しようがないほどに、悪性の病巣に侵されていたのである。
「次こそ魔族に生まれますように…」と眠るように息を引き取った仙水の最期を見届けた後は、「死んでも霊界には行きたくない」という彼の遺言に従い、彼の遺体と共に異次元へと消えていく。
この際には幽助達に向かって、このような言葉を残している。

これからは2人で静かに時を過ごす


オレ達はもう飽きたんだ


お前らはまた別の敵を見つけ戦い続けるがいい

その後、2人がどうなったか誰も知らない。

忍…
お前が「忍」でいるとき


想像を絶するような痛みの中で
そんな素振りを一度も見せてくれなかったな


オレはそれが少し悔しかった


余談

樹が去り際に残した台詞は、パワーインフレを続けるバトル漫画に対する痛烈な皮肉であり、連載に苦痛を感じていた原作者の心の叫びでもある。
この回から半年ほどして、「幽白」は作者の希望により連載が終了した。

コウノトリの下りは当時の読者から語り草に挙がる台詞の一つ。
メインターゲットである小学生には意味がわからず、「これで性知識を知った」「今なら言いたい事がわかる」「この場面の意味がわからなくて母親に聞いたらドン引きされた」など、強烈な体験談に事欠かない。

亜空間の中での仙水に対する危ない言動から、ファンからはよくガチホモ扱いされる。



「項目は既にオレの手を離れた。時がくれば自ずと追記・修正される。もうオレには止められない」



この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 幽☆遊☆白書
  • 幽遊白書
  • クレイジーサイコホモ
  • ヤンホモ
  • 辻谷耕史
  • 妖怪
  • 大人になったら意味がわかる項目
  • 仙水一味
  • パートナー
  • 闇撫
  • 亜空間
  • 異次元
  • 裏男
  • ゲートキーパー
  • 門番
  • 倒錯
  • ヒットスタジオ
  • 戸川純
  • 狂気
  • 戦いは飽きたのさ
  • 魔族
  • 長髪
  • 近藤隆

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月23日 09:12

*1 フジテレビで放送されていた音楽番組「夜のヒットスタジオ」のこと。

*2 女優・歌手。歌手としての代表曲は「レーダーマン」「好き好き大好き」など。アイドルっぽい見た目とは裏腹に、驚異的な歌唱力で不気味な世界観を見事に歌いあげる、現在でいうアリプロのようなサブカル系の実力派女性ミュージシャンの先駆け。ちなみにヒットスタジオには実際に出演しており、そのことから、仙水と樹が出会った時期は84年前後だということが分かる。

*3 アニメ版では「明日はいつも楽しみに観ているテレビドラマの最終回なんだ」というセリフに変更。何故それだけで、自分と同じ番組を観ていると仙水が気付くことが出来たのかはツッコミ禁止。

*4 アニメ版では「真っ白な半紙の上に墨汁を垂らす。墨汁を吸い込んだ半紙はみるみるうちに黒くなる」という表現に変更。