戸愚呂(兄)

登録日:2017/04/03 (月) 17:22:21
更新日:2024/01/09 Tue 17:37:31
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ただ…オレと弟で決定的に違うところがある

オレはよく約束をやぶる

戸愚呂(とぐろ)兄とは、幽☆遊☆白書の登場人物の一人。

CV:鈴木勝美


人物

戸愚呂(弟)の実兄で、弟からは「兄者」と呼ばれている。弟共々、下の名前は不明。
縮れた黒い長髪で、黙っていればなかなかの美形。初登場時はブサイクだったが、暗黒武術会の頃からマイケル・ジャクソン似の顔つきとなった。
戸愚呂チームの中では最も小柄で、よく弟の肩に乗っている。
肌は青白く、黒い服を纏っている。

弟といる時は物静かで言葉を発する事は少ない。
一見知的な印象を受けるが実際はとても饒舌で、弟とは対照的に下劣で残虐な性格。そして本性を露にした際には品性のかけらもない言動をとるようになる。
彼の性格には弟も不満を持っているようで、彼が桑原を挑発するために後述の行動を取った際には「兄者の悪い癖だ」と嫌悪感を抱かれた(アニメ版では、左京からも「つまらんマネを」と呆れられるシーンもある)。
一人称は「俺」だが、アニメ版では、五連邪チームとの試合開始前に「私一人で相手しても構わない」と「私」を使うシーンもあった。


その正体は弟と同じく元・人間。
50年前に開催された暗黒武術会で優勝し、その報償として弟と共に妖怪へ転生する。
だが自分の強さを維持する(そして贖罪の)ために妖怪になった弟とは違い、私利私欲の目的で妖怪になった(本人は「武道のため」と言っていた事もあるが)。
妖怪となった後は、兄弟で妖怪の売買を行う闇ブローカーとして暗躍するようになる。

ちなみに、人間時代は弟と同じく武道家であったが、その頃に彼がどのような武術を使っていたかは不明。
一説では弟と同じく、霊光波動拳の高弟だったのでは、という声もある。*1
だが、その人格・品格からしても継承者候補には選ばれなかったようで、その挫折感と、同門である幻海や弟への嫉妬心から妖怪への転生の道を選んだのかもしれない。

50年前には幻海に恋愛感情(と云うよりは色欲か)を抱いていて、隙あらば何度も襲おうと企んでいたそうだが、腕ずくでは敵わないと分かっていた*2ので実行に移そうとはしなかった。
そして幻海が年老いていき、弟の手で彼女が殺害された際には、彼女の死を悲しむどころかその死をあざ笑っていた。
そして弟にブチ切れられた

弟とは顔も体格も全く似ておらず、読者の中には義兄弟ではないかと見る者もいたが、「実の兄を」というセリフがあったことから、ちゃんと血の繋がりはあるらしい。
両親のご尊顔が気になるところである。

能力

弟の影に隠れがちだが、見かけによらず戦闘力は高い。
五連邪チームと戦った際には5人のうちの3人を同時に相手し、ものの数分で3人全員を殺害していた。

体を自由に変形させることが出来る「武態」という能力を持ち、弟と組む時にはに変形し、弟をサポートする。
単体の場合でも、体や指などを伸ばして針状の武器に変化させ攻撃に使用している。桑原との戦いでは体の一部を変化させ分身を作り出したこともある。

だが、真に恐るべきはその脅威の再生能力であり、全身をどんなに切り刻まれても相応の時間さえかければ問題なく再生する事ができる。
もっとも、自分の体で作った擬態を桑原に斬らせた際には「痛みは感じるが今のお前ほどじゃない」と言っており、他にも攻撃を受けた際は普通に悲鳴をあげており、それら全てが敵を欺くための演技だったとも思えないため、痛覚は普通に存在しているようである。

本人曰く「脳や心臓を攻撃されない限り死なない」とのことだが、自力で脳や臓器の位置を自由自在に動かす事もできるため、彼に致命的なダメージを与えることは非常に難しい。
桑原の『試しの剣』で、(脳や心臓を含めた)全身を叩き潰された際にも10分ちょっとでほぼ元通りに回復*3
その後、弟の攻撃で原型を留めなくなるほどに全身をグチャグチャにされて吹っ飛ばされても結局は生き延びていたことから、もはや脳や心臓云々というレベルではない生命力を持っていることは明らか。
そのため、事実上不死身と言っても過言ではない。

この「弟にはない能力」には、かつての同門であり、幻海を巡っての恋敵でもあった弟に対しての、彼の心の奥底での嫉妬が見え隠れしていると言える。


活躍


・霊界探偵編

闇ブローカーとして弟と一緒に垂金に雇われていた時に、侵入者である幽助と桑原のペアと対決。
弟と共に激闘を繰り広げるが、桑原の捨て身の攻撃によってあえなく敗北する。
だが実際は本当の依頼人の左京の指示でやられたふりをしていた……というか、弟とは違って桑原の攻撃を受けたわけではないので実は倒されてすらいない
しかし、幽助にも桑原にも、果ては垂金にすら、コイツが無事である事に気づかれていない。暗黒武術会編以降からは考えられない影の薄さである*4
弟が垂金を始末した後は後の事を弟に任せて2ヵ月後に開かれる暗黒武術会に備えた。

・暗黒武術会編

武術会では実質的な副将として出場。終盤まで戦う描写は全くなかったが、準決勝にて五連邪チームと対戦した時に、初めて彼単独で戦うシーンが描かれた。
1対3の変則バトルながら、五連邪チームの3人を一蹴。この時、額を貫かれた喪々連邪は即死。残った2人に「どちらか1人だけ助けてやろう。命乞いしてみろ」と持ち掛けつつ、結局両方とも殺すという残忍さを見せた。このあたりから、彼個人の人となりや能力が描写されるようになる。
記事冒頭のセリフは、この五連邪チームの3人を殺害する際のセリフ。生き残った2人のうち「ふざけるな誰がお前なんかに、俺を今殺さなかったらいつかお前を殺しにいくぞ」と阿架連邪は敵愾心を失わない態度を見せるが、もう片方の亜尾連邪は情けなく命乞いをする。
その2人の態度の違いを見て戸愚呂兄は、命乞いをした亜尾連邪を即座に殺害。「オレたちは見苦しいのが嫌いなんだ」。
現チームメンバーである鴉と武威のことを引き合いに出し、殺されそうになっても殺意を失わず、助けられても命を狙い続ける、そんな奴が大好きなんだ、と。
ここまでなら弟と同じであるが、兄は最後に一つ付け足した。それが冒頭のセリフである。
そして命乞いをしなかった阿架連邪も殺した。


決勝では桑原と対戦。
得意の武態で桑原を追いつめていき桑原が幻海の死を知らない事を知ると、自分の両腕を変形させて“趣味の悪い人形劇”を披露しはじめる。
その幻海の死を嘲笑する憎たらしい行為に桑原が激怒。挑発でキレた事で桑原が持っていた「試しの剣」の力により、ラケットのような形状に変化した霊剣によって全身を叩き潰され敗北した。

これによって死亡したものと思われたが、暫くして復活。
幽助vs弟戦の開始直前に現れ、かつてのように協力して幽助を倒そうと弟に持ち掛けるが、真剣勝負に水を差された&またしても幻海の死を愚弄するような発言をしたことが決定打となり、弟が怒りのあまり愛想を尽かしてしまう。
「邪魔だ」と一蹴されたことに激怒し、弟に襲い掛かるも、更なる追撃を喰らって吹き飛ばされ海の藻屑と消えた。
弟曰く、「オレは品性まで売った覚えはない」

・魔界の扉編

弟に吹っ飛ばされた後、なんとか頭部の半分ほどまで再生しながら、その状態で海を漂う。
そして、とある島(アニメでは首くくり島)に打ち上げられた時に、彼が発していた特殊な念波を感知してやってきた仙水に拾われ、以後、彼の自宅の水槽の中に住まうことになる。
仙水に取り入るために幽助と界境トンネルの事を教え、幽助達への復讐の機会を伺っていたが、仙水が必要としていたのはあくまでも彼の能力のみであったため、
仙水の仲間の巻原の能力“美食家(グルメ)”によって食べられ、体内に吸収されてしまう。
が、その実力差ゆえか、巻原に食べられても死なずに体内でしぶとく生き残り、逆に内部から彼を侵食して心身ともに乗っ取ってしまう。*5
そして室田をも吸収し、“盗聴(タッピング)”の能力も奪い取り、読心術も会得。
(能力だけなら)弟をも超えたチートなんてもんじゃない無敵の存在となった。

巻原の精神と体を乗っ取った後もしばらくは正体を隠していたが、追ってきた幽助たちを指を伸ばして攻撃したことで蔵馬に見抜かれて巻原の頭部を破壊されるとようやく姿を現した。
この時の彼は、巻原の切断された下顎の断面から兄の首が生えているというグロテスクな状態だったため、それを見た当時のちびっ子達に強烈な印象とトラウマを植え付ける事となった。
なお、巻原の姿の時も捕らえた桑原について「こいつ協力する気ないから早く食っちゃいましょうよ」と提案していた辺り、桑原に対する恨みもあったと思われる。

再登場した時にも、やはり下劣で品性のない言動を繰り返し、対戦相手の蔵馬を挑発する。
だがその挑発で、天沼をやむなく死に追いやった直後の蔵馬の逆鱗に触れる事となり、彼にある決意をさせてしまう。
その後、蔵馬との戦闘に突入し、彼に致命傷を与えた……と思いきや、何故か蔵馬は死なず、どんなに追撃を与えても一向に死ぬ気配がない。
実は蔵馬は、上述の巻原の頭部をふっ飛ばした際に巻原=戸愚呂兄の体内に「邪念樹」という魔界植物の種を植え付けていたのだ。
邪念樹とは人のような形の樹木で、捕食した相手の脳に浸食し、死ぬまで幻覚を見続けさせて栄養を吸収するという恐ろしい植物であり、彼が蔵馬に致命傷を与えたと思っていた時点で既に邪念樹に寄生され幻覚を見せられていたのである。
通常の生物ならば栄養を吸収されつくした時点で死んで終わりだが、戸愚呂(兄)は再生を続ける不死身の体であるため、死ぬ事すらできずに永遠に蔵馬の幻覚を見続ける事となった。

蔵馬「お前は「死」にすら値しない」

どんなに攻撃しても絶対に死なない蔵馬(の幻影)に、苛立ち、恐怖し、延々と叫び声を上げ続ける戸愚呂(兄)。
そう、あなたがこの項目を読んでいる今も尚、彼は1人で蔵馬の幻影と戦い続けているのです……ザマァ

・その後……

原作に於いてはそのまま放置された彼だが、サービス終了済のソーシャルゲーム『100%マジバトル』のイベントクエスト「エピローグのその先へ」にて後日譚が描かれた。
あの後、そのまま入魔洞窟内で邪念樹に寄生されたまま延々と蔵馬の幻影と戦い続けていたが、彼の妖気に狂暴な低級妖怪が絶え間なく洞窟に引き寄せられている状況となっており、洞窟近辺では行方不明事件が多発していた。
最早存在しているだけで人間に害を成す脅威と成り果てており、しかし本人の再生能力由来の不死身ぶりから排除も困難と厄介なことになっていたため、そのまま魔界に追放される羽目になった。


余談

連載が終了し、お笑いコンビ「ピース」が世間に認知され始めた頃、メンバーの又吉直樹氏と戸愚呂(兄)の容姿が似ていた事から、又吉氏を兄に見立てたコラ画像が出回った事がある。ちなみに弟に見立てられたのは、弟のモデルである俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー。
そしてその後、「モンスターストライク」と幽☆遊☆白書がコラボした際には、そのCMに又吉氏が戸愚呂(兄)役で実際に出演していた(弟はCMのために作られた大道具)。
またこのCMでは、同じく戸愚呂(兄)に雰囲気が似ているお笑い芸人の椿鬼奴氏が、戸愚呂(姉*6)役で出演している。
ちなみに、モンスト自体に戸愚呂(兄)は弟に遅れること半年、幽白コラボ第二弾で登場した。


「残念だったな。オレはまとめて追記・修正するのが得意なんだ」


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最終更新:2024年01月09日 17:37

*1 アニメでは回想で霊光波動拳の道場が映っているので、ほぼ確定と思われる

*2 それに加えて、アニメに於いては幻海は明確に弟の恋人である

*3 ただし試合上は完全に負け。本人も「今のは流石に効いたぜ」と言っている

*4 もっとも、幽助側にとって、この時の戦闘での第一優先は、垂金から雪菜を奪還することであり、戸愚呂兄弟の生死は二の次だった。

*5 そもそも仙水に裏切られたにしては戸愚呂(兄)側はこの件で仙水を恨んでいる様子は一切なく、仙水も戸愚呂(兄)が巻原を乗っ取っていた事を特に驚いていない、またはそうなる事を予想していたとも取れる反応を示していたので、最初から戸愚呂(兄)が巻原を乗っ取る事が前提だった可能性も高い。

*6 CM限定のオリキャラ