メタルヒーローシリーズ

登録日:2011/11/08(火) 08:19:59
更新日:2024/03/04 Mon 21:29:53
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「メタルヒーローシリーズ」とは、テレビ朝日系列にて放送されていた東映の特撮ヒーロー番組のシリーズ名。
1982年3月から1999年1月まで17作品が制作・放送された。



【概要】

1981年、円谷プロダクションの「ウルトラシリーズ」(『ウルトラマン80』)と東映の「仮面ライダーシリーズ」(『仮面ライダースーパー1』)が一旦終了し、毎週放映される特撮テレビ番組は「スーパー戦隊シリーズ」(当時の『太陽戦隊サンバルカン』)だけになったことから企画・制作された。
ほぼ同時期には、後に「東映不思議コメディーシリーズ」と呼ばれる『ロボット8ちゃん』も企画されており、共に東映特撮に新風を吹き込むことになる。
以後、放送期間の大部分がウルトラ・ライダー両テレビシリーズの休止期間と重なり、そんな時期にテレビ特撮の灯を守り続けた功績は非常に大きいと言える。

ちなみにメタルヒーローという名称は「変身姿が金属質のものばかりだから」という理由でファンが名づけたものだが、後に公式でこの名称となる。

シリーズ終了後の1年間は『燃えろ!!ロボコン』が放送され、翌2000年からは平成ライダーシリーズにバトンタッチ。
しかし、2010年代になってからスーパー戦隊シリーズとの共演という形で復活したり、宇宙刑事シリーズの続編が制作されるなど、現在でも目にする機会は多い。

作品としては「『宇宙刑事ギャバン』~『テツワン探偵ロボタック』までの17作がメタルヒーローシリーズ」が公式サイドからの見解で、書籍『宇宙刑事年代記』やカードゲーム『レンジャーズストライク』もこれに則った形となっている。
しかし、一部ファンからは「『カブタック』と『ロボタック』はメタルヒーローに含めない」という心無い声もある他、「『悪の犯罪組織、犯罪者達と戦う正統派ヒーロー』という意味では、『ビーファイターカブト』が最後のメタルヒーロー」という意見もある。
なお、映画『仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z』の劇場パンフレットや公式サイトでもメタルヒーローの紹介はビーファイタ―カブトまでで、カブタックやロボタックは掲載されていない。


【特徴】

上記の通り、ほとんどのヒーローがもはや「鎧」と言っていいような金属のスーツを纏ったり、ロボだったりする。
また、様々な設定のある仮面ライダーやスーパー戦隊との差別化のためか、大体が警察などの組織に所属するヒーローとなっている。
それ故、元々敵に関する情報を熟知し敵と同等かそれ以上の戦力を持った立場にあり、正攻法で敵を鎮圧できるという点が作風上の特徴*1
他の作品と明確な繋がりを持っている作品も多い。
また、一部作品には人間態の無い、完全なロボットがヒーロー、もしくはレギュラーメンバーの作品もある。


【作品一覧】

宇宙刑事シリーズ

以下3作は宇宙刑事シリーズとして、他作品よりも強い繋がりを持つ。

宇宙刑事ギャバン

言わずと知れた元祖メタルヒーロー。
バード星から来た宇宙刑事・ギャバンが「一条寺烈」を名乗り、アバロン乗馬クラブで働きながら宇宙犯罪組織マクーと戦う。
「メタリックなスーツ」「変身が一瞬」「異次元で戦う」などの要素が子供達の心を鷲掴みにした。
名前の由来はフランスの映画俳優ジャン・ギャバン。決してラーメン屋に置いてある黒コショウからではない。
これは日本語の商標登録を回避しようとすると長い名前になってしまうのを避けるためで、この命名路線は『時空戦士スピルバン』まで続くことになる。
変身コードは「蒸着!」


宇宙刑事シャリバン

『ギャバン』の続編。
ギャバンにスカウトされた青年「伊賀電」が、宇宙犯罪組織マドーと戦い、その中で電は後に自分の出生の秘密を知ることになる……。
名前の由来はアメリカで人気を誇ったテレビ司会者エド・サリヴァン。
変身コードは「赤射!」


宇宙刑事シャイダー

宇宙刑事シリーズ最終作。
前作『シャリバン』よりも低年齢向けを意識した作風であり、ナレーションもそれまでの政宗一成氏から大平透氏に交代した。
地球の考古学者「沢村大」が宇宙警察からスカウトされて訓練を受けるも、、「不思議界フーマ」の出現によって訓練半ばで戦いに駆り出される事に。
変身こそできるものの、力量は訓練生レベルという事で苦戦を強いられる場面が多かった。
名前の由来は映画『ジョーズ』等でおなじみの俳優ロイ・シャイダー。
変身コードは「焼結!」
また、パートナーとして女性刑事のアニーが登場。
変身こそしないものの、レーザーガンやテレパシーでシャイダーをサポートした。


80年代単発作品

以下5作品は宇宙刑事シリーズとの繋がりが断ち切られ、作品同士の世界観の繋がりも無い*2
宇宙刑事シリーズと『ジャスピオン』『スピルバン』を合わせて「コンバットヒーロー」と呼ぶ事もある。
『メタルダー』『ジライヤ』『ジバン』は、一部で「石ノ森ヒーロー作品の『人造人間キカイダー』『サイボーグ009』『変身忍者 嵐』『ロボット刑事』のリメイクでは?」と言われる事も。

巨獣特捜ジャスピオン

宇宙の野生児ことジャスピオンが宇宙を荒らす巨獣と戦う。
当初は『スペースコブラ』的なSF冒険活劇を目指していたのだが、結局程なくして舞台がこれまで同様、地球で固定された。
等身大ヒーローと巨大怪獣との戦いが印象的な作品。
名前の由来は「ジャスティス」と「チャンピオン」。


時空戦士スピルバン

「ワーラー帝国」に故郷・クリン星を滅ぼされた戦士、スピルバン改め城洋介とダイアナが主人公。
後にヘレンという女戦士も加わる。
最後は賛否両論と言われている。
名前の由来は映画監督のスティーブン・スピルバーグ。
変身コードは「結晶!」決勝でも血漿でもない。
ちなみに初代シャリバンを演じた渡洋史氏が本作でシリーズ主演2回と5作連続出演を達成。


超人機メタルダー

シリーズ初の完全ロボヒーローだが、人間態もある。
キカイダーを意識した左右非対称の赤青の見た目が特徴的。
変身コード(?)は「怒る!」


世界忍者戦ジライヤ

昭和時代最後のメタルヒーローであり、漢字で書くと「磁雷矢」。『児雷也豪傑譚』の主人公とは関係ないし、ましてやモロヘイヤでもない
地味にメタルヒーロー初の強化フォームを持つ(プロテクターを増やしただけだが)。
タイトルの通り、我が息子山地闘破を始めとした、世界のありとあらゆる忍者が戦う。
当時はソウル五輪の年だったということで、コンセプトはズバリ「忍者オリンピック」。
他と比べてメタル要素が薄いためなのかは不明だが、一時期メタルヒーローシリーズから除かれた事も……。
本作には巨大ロボの「磁雷神」が登場するが、これはなんと聖徳太子が建造したというトンデモな設定が付与されている。
本作から27年後の2015年秋にはスーパー戦隊シリーズ第39作『手裏剣戦隊ニンニンジャー忍びの34(34話)にてレジェンド忍者としてゲスト出演を果たした。


機動刑事ジバン

平成時代最初のメタルヒーローであり、「和製ロボコップ」とも言うべき作品。
…ロボコップは元々『ギャバン』のオマージュという説がある(「事後承諾でOKを出した代わりに東映側も、ということで『ジバン』が企画された」という説もある)。だが実際にはセクシーなデザインを求め、空山基のデザインが参考にされたので無関係どころか、ポール・ヴァーホーヴェン監督は日本SFにダメだししている。
対バイオロン法の内容の過激さがよく話題に上がるが、挿入歌の「バイオロン軍団現る!」も中々酷い。バイオロン滅茶苦茶に言われ過ぎだろ……。
これ以降、それまでが主体だった必殺技が銃火器主体となる。
ちなみにニコニコ東映チャンネルのメタルヒーローシリーズ配信トップバッターも本作。


レスキューポリスシリーズ

以下3作はレスキューポリスシリーズとして、他作品よりも強い繋がりを持つ。

特警ウインスペクター

従来の作品とは異なり、明確な敵組織が存在しない(災害やテロリストなどの犯罪が敵)。
このスタイルは後の『救急戦隊ゴーゴーファイブ』やトミカヒーローシリーズのようなレスキュー系のヒーローを生み出す切っ掛けになったのかもしれない。
この作品から3人1組のチームが目立つようになった。


特救指令ソルブレイン

『ウインスペクター』の続編。
前作よりも刑事ドラマ色が強くなり、戦闘よりも捜査のシーンが長引いたためか、視聴率で苦戦した(それでも平均10%越えと、十分に高いが……)。
メタルヒーローの中で唯一単独でゲーム化されている。


特捜エクシードラフト

レスキューポリスシリーズ最終作。
というか、元々は繋がりが無かったのだが、テコ入れのためか唐突に世界観を共有する形になった。
前2作とは違い、チームの3人全員が人間から変身する。
ストーリーは全体的に重く、視聴率は更に下がり、玩具の面でも同期の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』に大敗した。
というか戦隊が『鳥人戦隊ジェットマン』→『ジュウレンジャー』と好軌道に乗っていったのとちょうど反比例している。
なお、第24話にてシリーズ通算500話を達成。


90年代単発作品

再び世界観を断ち切り、単発作品となった2作品。
後のビーファイターシリーズとは世界観が繋がっている設定となったが、ファンサービスとする向きもある。

特捜ロボ ジャンパーソン

Janperson, Fight For Justice!
久しぶりの単独ロボヒーロー(後に仲間が増えるが)で、複数の敵組織が存在する初にして唯一の作品(明確な敵の存在しない作品は除く)。
最初はジャンパーソン1人で戦っていたが、途中からは相棒・ガンギブソンと共に帯刀コンツェルンやギルド、スーパーサイエンスネットワークに挑んだ。


ブルースワット

第1話から組織壊滅、殆ど生身のスーツ(というかメットとプロテクター)、ことごとく敵に苦戦する等、
メタルヒーローに限らず、特撮界の中で最弱のヒーローとして名が挙がる事も少なくない(一応、仮面ライダーG3のルーツとされることもあるが……)。
徹底的なリアル路線を目指していたが、やはり子供受けは芳しくなく、2クール目でゴールドプラチナムの登場やコミカルな場面が度々入ったりと路線変更に見舞われた。
ちなみにヒーロー名の都合上、『レンジャーストライク』ではデカレンジャー SWATモードとの連携が可能。


ビーファイターシリーズ

以下2作はビーファイターシリーズとして、他作品よりも強い繋がりを持つ。
ブルービートとビーファイターカブトは『カブタック』のVシネマにも登場。

重甲ビーファイター

昆虫の精に選ばれた3人の若者が異次元からの侵略者・ジャマールに立ち向かう。
「ヒーローVS侵略者」というシンプルな構図に原点回帰した1作。
変身コードは「重甲!」
ラスト2話ではジャンパーソン、ブルースワットがゲスト出演した。
`かぶとむし&きりんさんの由来の片方(もう片方は五星戦隊ダイレンジャー)}


ビーファイターカブト

カラーリングが金、黒、紫と、珍しい配色の3人が戦う、『ビーファイター』の続編。
変身コードは「超重甲!」
ちなみに、前作の異次元調達屋カブトは全く関係ない(名前が被ったせいで『白いカブト』への名義変更を余儀なくされたが)。


コミカルシリーズ

厳密にはシリーズではなく、世界観の繋がりも無い。
それまでのシリアスなヒーロー路線とは作風を一新、『がんばれ!!ロボコン』などに近いコミカルロボのギャグ作品となった。
いずれもVシネマ版を除いてDVD化はされていないが、近年では東映特撮YouTube Officialで配信されるなど、視聴のチャンスが増えている。

ビーロボカブタック

ロボット工学の権威である高円寺寅彦博士はスターピース探索用のロボット・ビーロボを開発し、そのうちの一体「カブタック」を孫の・譲に仕送って来た。
スターピースは全部で13個あり、全てを手に入れるとどんな願いも叶うらしいが、睡眠学習が不完全で性格がグレた悪のビーロボもそれを狙っていた。
それまでのすらっとしたカッコいいヒーローから一転、どこかNHKの教育番組に出てきそうなコミカルなロボが主人公になった。
ストーリーもこれまでのような激しい戦闘は殆どなく、日常に起こる不思議な事件を解決しながら、その原因となったスターピースを集めるという、ホームドラマ調の作風に。
「スーパーチェンジ」を行えばヒーローらしくなるが、やはり受け入れがたいファンも多く、賛否が大きく分かれることとなった。
また、カブタックのCVを務めた草尾毅氏や宮内タカユキ氏がゲスト出演したエピソードもある。


テツワン探偵ロボタック

メタルヒーローシリーズ最終作。
雪柳カケルの叔父・杉薫の経営するシャードック探偵社に、故郷を救うための秘宝・ランドツールを求めてハラッパ国から「ロボタック」がやって来た事から物語が始まる。
『カブタック』同様のコミカル路線で、同じく賛否両論を巻き起こした。ただし、トラボルト登場辺りからややシリアスな展開になった(とはいえ、ギャグ路線は一貫したが)。
作品自体は打ち切られているものの、これは後番組『燃えろ!!ロボコン』放送開始を石ノ森章太郎先生の一周忌に合わせたためで、今作に非は無い……はず。



追記・修正はメタルヒーローシリーズの続編が制作決定になってからお願いします。

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最終更新:2024年03月04日 21:29

*1 戦隊の方は基本的に既存の科学などでは太刀打ちできない「未知の存在」である敵に対する打開策として未知の新技術や人知を超えた力などを元手に、何らかの適合性を持った戦士を選び出し、戦隊を組織するという点で大きく異なる。

*2 ただし『ジバン』では前作『ジライヤ』のキャラ・山地学がゲスト出演した事がある