禁止カード(モダン)

登録日:2017/03/20 Mon 22:36:20
更新日:2024/04/13 Sat 16:43:02
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ここでは、Magic the Gatheringのモダンフォーマットにおける禁止カードについて述べる。


モダンフォーマットの概要

モダンは構築3本柱の1柱。
【青白石鍛冶】系の隆盛ゆえにプロツアーのフォーマットをエクステンデッドから継いだフォーマットで、
2003年7月以降に発売された、カードレイアウトがいわゆる新枠となった第8版以降の基本セットとミラディン以降のエキスパンション、モダンホライゾン、指輪物語:中つ国の伝承に収録されているカードが使用可能」なフォーマットである*1

一時期プロツアーではサポートされなくなったもののその後(頻度は下がるようだが)復活。グランプリでの採用回数は未だに多い。
エクステンデッドから最も変わったのはローテーションをしなくなったことで、そこから「上に伸びるレガシー」という呼ばれ方もされる。
アメリカなどではスタンダードを凌ぐほどの人気を誇っていたらしい。かつては「昔やっていたころのカードや、一番思い入れのあるカードを気軽に使える」「レガシーほど世紀末でもないし青くもない」というところも大きく、
さらに経済的に恵まれていない国では「公式で提供されたカジュアル向けのフォーマット」という独自の地位を築いていた。超高額なカードを買わなくても、最新のパックを買って環境を追いかけなくても、ある程度遊べる手軽な環境なのである*2。……モダンに直接カードを増やすモダンホライゾンの登場でもはや過去の話となってしまったが。
逆にモダンが定着したことでエクステンデッドは消滅した。その前から「プロツアーの時期しか人がいない」など衰退著しくはあったが、ここにきて終わりを告げたのだった。

モダンの禁止カードについて

方針的には「最も優勢なデッキの3ターン目確殺を禁止」「過去のエクステンデッド環境を支配したデッキや、簡単にモダン化できるようなレガシー・デッキはNG」。
最近は「『環境の多様化』を阻害するデッキ」にメスが入れられることが多い。
加えて(おそらくモダンに限らないが)「大会運営に影響するほど時間がかかるカード・デッキ」も許されない。

とにかく「健全な大会運営」が最優先されるようになっており、非常に力を入れているフォーマットなのが見て取れる。
禁止カードの数も多いが、バランス調整を禁止で行なっているために仕方ない部分はある。
しばらくの間各種大会で1強のデッキが続くと即座に禁止を出すので余計に多い。

一方でレガシー級なら即禁止というわけでもなく、レガシーで現役どころかトップメタの一角にいた【グリクシスデルバー】はモダンでも使えるのだが、「デッキトップ操作が少ないため変身しづらく、《意志の力》も《目くらまし》もないため「構えつつ殴る」がやりにくい。そして《死儀礼のシャーマン》がいないため特殊地形対策に弱く色事故を起こしやすい。」等いろいろとパワーが下がっているため許されている。まあ《死儀礼》は後にレガシーでも禁止されましたが。

ちなみに安定した(≒達成しやすい)3ターンキルが許されないだけで、3キル自体は許される。そういうデッキは大抵不安定なので対抗策1つで崩壊するけど。
例を上げれば【グリセルシュート】。ブン回れば3キルどころか2キル、理論値に至っては1キルもあるが、安定性皆無でよく事故る。対策も刺さりまくるのでトーナメントで勝ち抜くのはかなり難しいため許されている。

またモダンだからゲームスピードも相応遅い…というのは昔の話。
確かにカードプールの広さによる高速性はエターナル環境に劣るが、
ラヴニカブロックで導入されたショックランドを始めとするライフをアドバンテージに変換するカードがプールの狭い中でも結構な数が主流にあること、
カードプールが狭いことで《意志の力》を始めとするゲームスピードを遅くする要因になり得る有力なメタやカウンターカードも限られること、
カードデザインの方針が強力な除去やカウンターを敬遠する一方で純粋にインフレ気味となってきた中、その流れがそのままモダンにも流入しているのが主な要因。
実際MtG側も環境調整に苦労している節がちょくちょくうかがえる。スタンダードがそうであるようにカードプールが狭い=環境コントロールが容易とはいかない様子。

「環境の多様化の阻害」デッキは、基準がわりと曖昧なので詳細はウィザーズのみ知る。
直近10回のグランプリのTop8率が5割を超えたら黄~赤信号。傾向的には2日目進出デッキの占有率が10~15パーセントを超えても危ない。
ただしプロツアーの占有率はあまりアテにならない。理由としてはプロはミッドレンジ~コントロール傾向の中速~低速デッキを選びたがり、コンボやオール・イン系は好まれない傾向にあるため。
フォーマットの一部がモダンだった2016年の世界選手権では【アブザン・ジャンク】が使用率33%となったのに優勝できなかった上に全く規制されなかったのが主な例*3
ただ参考にしにくいとはいえ、流石にプロツアー「ゲートウォッチの誓い」みたいな状況を作り出せば逮捕者は出やすくなる。

禁止カード一覧

制定当初から禁止

  • 《金属モックス/Chrome Mox》
モックスのバランス調整?そんなの無理さ。
スタンダードやレガシーを見るに速攻系のコンボやビートダウンに使われるのが目に見えている。
モダン開始当初は旧エクテンやレガシーでは【ストンピィ】と呼ばれる、3~4マナのカードを高速で展開して相手をハメるデッキで用いられた。
そういったハメゲーとは違った環境を作ろうという意図もあったのだろう。

項目参照。超強力装備品。カードパワーが非常に高く、一部のデッキに対する否定性能、特にタフネス2以下の除去とクリーチャー戦の性能が馬鹿みたいに高い。先攻ゲーも進む。
こんなカードを許してしまうと「十手を引けるかどうか」「十手に耐性があるか」という点でTire1のデッキを選別してしまい、環境が極めて不健全になる。入れない理由のないデッキも増えるしね。

  • 《暗黒の深部/Dark Depths》
《吸血鬼の呪詛術士》を利用した【ヘックスメイジ・デプス】で最速2ターン目に「20/20・飛行・破壊不能」のマリット・レイジ様が降臨する。
《流刑への道》辺りの追放除去か、バウンス手段がなければ3ターン目確殺となれば流石に許されるはずがない。1回処理しても《壌土からの生命》でまとめて回収されるし。
ちなみにエクステンデッドでは野放しになってたせいでメタゲームに食い込んでいた。
その後《演劇の舞台》の獲得とレジェンドルールの変更で《吸血鬼の呪詛術士》を入れる必要が無くなったため、レガシーの【土地単】でも使われている。
ヴィンテージでもサブプランで使うデッキが散見され、《Fastbond》の制限解除後は1ターン目にマリットレイジ降臨もありうるデッキが増えてきている。
この《演劇の舞台》とのコンボは土地だけで完結するので通常のカウンターが効かず対応が難しい上に、上記の通り立て直しもしやすい。
仮にモダン制定時にエクステンデッドで一強じゃなかったからと禁止されてなかったとしても、《演劇の舞台》との2枚コンボが誕生した段階で確実に禁止指定となっただろう。

  • 《戦慄の復活/Dread Return》
【ドレッジ】他大量墓地肥やしデッキのキーカード。相方は一度釈放されたががこいつは無理。
その相方も再逮捕と相成った。強化カードが出すぎてるのでこいつはもっと無理だろう。
モダンの【ドレッジ】はレガシー以下とは違った構築・動きを見せるが、ひとえにこのカードが禁止になっているからそういう手段を取らざるを得ないだけである。
そういう意味では禁止になっていることで、デッキに工夫の余地が生まれている。

  • 《垣間見る自然/Glimpse of Nature》
【親和エルフ】のドローソース。
レガシーでメタに食い込んでいる上、エクステンデッド時代からすでに2、3ターンキルを可能にしていたので、どっちにせよダメである。
「クリーチャーを並べる非青のコンボ」なので全く無理というわけではないが、可能性は限りなく薄い。

  • 《古えの居住地/Ancient Den》・《教議会の座席/Seat of the Synod》・《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》・《大焼炉/Great Furnace》・《伝承の樹/Tree of Tales》の色マナの出るアーティファクト土地5種
いわゆるアーティファクト土地。白や緑はたまに解除議論が出るが、【親和】は次暴れたら組めないくらい禁止されそうなので…結局別デッキで暴れた罪により《オパールのモックス》が禁止されてしまった
しかも最近は【鱗親和】や【アイアンワークス】、【ウルザデッキ】などアーティファクトを多用するデッキが増えてきたのでやはり厳しい。禁止で消滅や弱体化しているものもあるが。
スタンダードの禁止と違うのは色マナの出ない《ダークスティールの城塞》が禁止されていない点。
【親和】に使われるカードはアーティファクトが多いとはいえ、無色しか出ないのでは周りを固めるカードを使えないので許されたようだ。
【ハサミ親和】系のデッキで5/5破壊不能扱いで出てくるのはなかなかの驚異。

  • 《精神的つまづき/Mental Misstep》
ライフを払うだけで1マナ呪文を打ち消せる。もちろんマナを払うことも可能。
この環境で使われる1マナのカードをちょっと挙げただけで
《稲妻》《流刑への道》《死の影》《致命的な一押し》《夏の帳》《貴族の教主》等、十分すぎる仮想敵の量があり、それら全てに対してライフのみで対応可能であるというだけで汎用性が有りすぎる。
環境に物凄い影響を与えてしまうこのカードだが、対処法が「《精神的つまづき》が1マナなので、自分も4枚投入して《精神的つまづき》を《精神的つまづき》で打ち消す」になってしまう=どのデッキにも4枚積まなければならなくなるのも問題。
この「どのデッキにも《精神的つまづき》4枚から構築開始」が問題視され、ヴィンテージでも制限カード入りしてしまっている。
たまに「禁止カードをいたずらに増やすより、抑止力としてこのカードを解禁した方がいい」という理屈による解禁論が持ち上がるが、
このカードを最もうまく使えるデッキが上に残り、うまく使えないデッキが追放されるという、不健全な環境を作り出してしまうことは想像に難くない。
かつては「《意思の力》の弾にならないモダンで禁止になるのは疑問」という意見も多かったが、最近は現代版willこと《否定の力》も出たのでまず戻ってこられないだろう。


項目参照。1マナ2ドローとかいうぶっ壊れが許されるはずもない。

  • 《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》
《相殺》や他のカードとのコンボ強すぎ&時間使いすぎ。
レガシーでも【青白奇跡コントロール】に投入されて環境のトップにいたが、使用者が多かったためどうしても時間をかける人が多く、結局それが理由で規制されてしまった。
全員が八十岡プロ*4並みに早ければと言われるが、当然ながら無理な話である。
またこれの起動を繰り返すだけで合法的に遅延できてしまい「1勝1分けで勝つ」事ができてしまっていた*5
害悪さ云々抜きに多くの人々に愛されていたのも事実ではあるが、「強さとは別の部分で規制されている」モノの1つなため、環境が変わってもまず帰ってこれない。

  • 《超起源/Hypergenesis》
エクステンデッドと同じく続唱との併用が強い。続唱カードのマナ・コストは3マナなので、安定して3ターンキルが可能。《猿人の指導霊》があれば1、2ターンキルも行ける。
さらに当時と比べて《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《グリセルブランド》等超大型クリーチャーも登場、爆発力が跳ね上がった。


フォーマット制定以後に禁止

  • 《思案/Ponder》
汎用性の高い青の1マナドローソース。青系コンボデッキの抑制のため禁止に。
コントロール強化で解除議論に出てくることもあるが、それ以上に青系のコンボの強化になるので無理だろう。
《定業》とはよく比較対象になるが、どちらかと言えば《思案》の方が強い場面が多く、レガシーでの採用率も《思案》が勝っている。《紅蓮破》と《赤霊破》の関係に近いだろうか。
《思案》を使いたいならレガシーかPauper、やろう!

  • 《炎の儀式/Rite of Flame》
赤1マナソーサリーの使いやすいマナ加速呪文。【ゴブリンストーム】【狩り痕ストーム】といったストーム系デッキのキーパーツとなったほか、【青赤昇天】にも採用されるケースがあった。
青赤系コンボデッキの抑制のため禁止に。

  • 《雲上の座/Cloudpost》
【12post】のキーカードであり、
こいつが生きていた頃は「【ウルザトロン】は【12post】の下位互換」などと言われたことも。
実際こっちも《雲上の座》→《雲上の座》か《ヴェズーヴァ》→《微光地》で「3ターン目7マナついでに3点回復」ができちゃうのでそう言われるのも仕方ないだろう。

  • 《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith》
X=0でクリーチャーでもある土地という性質からサーチできてしまう《ドライアドの東屋》の存在から「緑デッキならとりあえず4枚入る」というカードになってしまった。
マナ加速から切り札サーチ、シルバーバレットまでなんでもできるのはさすがにおかしい。
《召喚の調べ》やその後登場した《集合した中隊》・《異界の進化》などがあるので解禁議論に出てくることもあるが、その圧倒的な汎用性の面から難しいと思われる。
【緑白カンパニー】や【カウンターカンパニー】のような「【緑系ツールボックス】*6」がTier2くらいにいるし。

  • 《猛火の群れ/Blazing Shoal》
(X)(赤)(赤)でXマナ分パワーを上げるインスタントだが、マナ総量が(X)の赤のカードを追放することでも唱えられる。
【感染】との相性が異常に良く「1Tに、1マナで1/1感染クリーチャーになる土地の《墨蛾の生息地》をプレイ→2Tに任意の土地で《墨蛾の生息地》を起動して攻撃、通ったら9マナ以上の赤のカードを追放して《猛火の群れ》」で最速2ターンキルも可能だった。

”本当に俺は2ターンキルされてしまうのか?テキスト内容を念のため確認したい”

というメイ言を残して禁止。この発言が出たプロツアーフィラデルフィア11は初のモダンプロツアーだったが、2日目に進出したデッキの半分以上がコンボデッキという世紀末であった。
「デバッグプロツアー」などと揶揄され、終了後6枚もの禁止カードを出す羽目に。

  • 《罰する火/Punishing Fire》
相手がライフを得た時(赤)を払うと手札に戻せる火力呪文。
本来はライフ回復を咎めるコンセプトなのだが、相手にライフ1点を押し付けることで色マナを出す2色土地の《燃え柳の木立ち》で手軽に再利用できる。
一見地味だが、多くのクリーチャーデッキがこのカード一枚で機能不全に陥ってしまう。そういうタフネス2以下のクリーチャーを主軸とする部族デッキなどを抑圧していたので禁止。
このコンボが使えてた時期のエクテンは「タフネス2以下は墓地を肥やすだけの紙、ロングゲームになったらタフネスは飾り」
「墓地に落ちるのを置換して追放するエンチャントをメイン4積み」「クリーチャーは諦めてノンクリーチャーのコンボで死ぬか殺すか」
などと言われる超世紀末環境だった。
上の《梅澤の十手》もそうだが簡単に繰り返し使える除去はダメなのだ。

  • 《煮えたぎる歌/Seething Song》
暗黒の儀式》の後釜として登場した赤のマナ加速。
モダンではとにかく便利なマナ加速は規制したいらしい。【ストーム】抑制のため禁止に。カードに書いてあることも含め、大体上記の《炎の儀式》と同じである。
ただこのカードの場合、2~3ターン目に5マナを生み出せるので普通に使っても結構強い
【青赤ストーム】が未だメタゲームに残っている以上、無理である。

  • 《第二の日の出/Second Sunrise》
サニー・サイド・アップ】のキーカード。
デッキの強さはともかく、トーナメントで30分以上もソリティアに付き合ってられません。
「1ターンに15分以上かかることも少なくなかった」と公式で言われたことがある。そういったことが重なっていき、下手をすれば他の参加者を合計1時間以上待たせることも。
上記の《師範の占い独楽》もそうだがプロツアーなどの競技シーンで時間を圧迫するのは良くないということで禁止に。

  • 《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
【ジャンド】が《血編み髪のエルフ》(2018年2月解禁)を禁止してもトップメタだったので禁止に。
墓地メタにもライフゲインで延命も終盤エンドカードにもなれるタップ効果を持つ、「いずれかの」墓地にあるカードをコストに動く任意の色を生み出せる混成1マナ1/2マナ・クリーチャーってそれは詰め込みすぎだろ!
一応効果の起動には墓地のカードに依存する欠点(と呼べるか怪しいもの)があり、墓地が肥えにくく、中でも土地を墓地に送る手段に欠けるスタンダードに居る内は適正なカードであった。
たが、その墓地が勝手に肥えまくる&墓地も重要なリソースのフォーマットでは話が別。カードプールの広い、特にフェッチランドがあるモダンでは欠点が無くなりただのハイパワーカードとして大暴れした。

後にこの手のシステムクリーチャーへの風当たりが厳しいレガシー環境下においてですら、
序盤で出されたが最後、墓地メタを繰り出しながら毎ターン絶え間なくアドバンテージを生み出し続ける様から1マナのプレインズウォーカーと呼ばれていたほどのスーパーパワーカード。
(一応弁明するなら「試合終盤に引いても嬉しいマナクリーチャー」を作っていく方針の中で生まれたらしいが…)
最終的に「非コンボの青系デッキが《死儀礼》を使ったデッキしか無い」とのことでレガシーでも禁止に。
明言はされてないけどこれによって墓地利用系のデッキがまた復権したのでデッキの多様性を奪っていたのも禁止理由としては否定できない。

なお、常時アンタップインの2色フェッチランドが事前に禁止されたパイオニアでは禁止指定を免れている。
それほどにこのカードとフェッチのシナジーが噛み合いすぎているのである。

金玉漂流在外探査付きドローカード。項目も参照してほしいが、とにかく強すぎた。
たった四ヶ月でモダンで禁止、レガシー禁止、ヴィンテージ制限。宝船は沈没した。
その後Pauperでも無事禁止を受け4冠達成。宝船轟沈。

  • 《時を越えた探索/Dig Through Time》
上記の《宝船の巡航》と同様に探査付きのドローカード。こちらは特定のカードを手札に加えたいコンボやコントロールデッキで重宝された。
モダンでは上記《宝船の巡航》を入れていたデッキがそのままこちらを入れたのでは意味が無いということで巻き添え禁止。
しかしその後のレガシー・ヴィンテージを見るにここで禁止されなくともいずれ禁止されたカードであると思われる。

こちらも項目参照。環境初期からの最古参の一角だったが、ついに禁止になってしまった。
ちなみにトドメは《包囲サイ》で、コンボデッキのパーツではなく、《緑の太陽の頂点》同様に単なるクリーチャーサーチカードになってしまったためと公式で明言された。
こいつに限らず縛りが緩いサーチカードはカードプールが広くなればなるほど強力になっていくので、ローテーションのない環境ではいずれ規制される可能性がある。レガシーでの《適者生存》とか。

  • 《花盛りの夏/Summer Bloom》
「土地は1ターンに一枚まで」というルールをかなり破るソーサリー。
5色のコンボデッキ【Amulet Bloom】のキーカードであり最速2ターン、平均3ターンで決着を着けることも可能であった。
デッキを歪めて特化した構築なら不安定ではあるが最速1ターンキルも可能。
そのため以前から禁止になるのでは?との噂が絶えなかったが下記の双子と同時に禁止に。

  • 《欠片の双子/Splinter Twin》
クリーチャーのコピー・トークンを作り出す起動型能力を持たせるオーラ。
無限トークン系コンボ【欠片の双子】がコンボパーツが少なく安定して強かったことに加え、環境がこのデッキの亜種で埋まり多様性を狭めていると判断され禁止カードに指定される。
「3ターン目エンド時に《詐欺師の総督》、返しの4ターン目にコンボ開始」を警戒させてマナと除去が余るように動くのを強制させるのはテンポ的にかなり強い。
色の関係で打ち消しや火力などを入れられるのも強かった。
特に青絡みのクロック・パーミッションは【UR Delver】すら駆逐され双子一色になっていた。まあデルバーはその前に上記宝船に乗って大暴れしていたのだが。
これが無くなったらオール・インコンボの天下と言われるほどのインパクトで、
禁止指定当初は騒がれたがその後レガシーで通用するパワーカードと判明した。
実際に「そのデッキ双子に勝てるの?」「青赤なら双子入れたら?」なんて言われて抑えつけられていたデッキが山のようにあったので禁止は妥当だろう。
上記の通り7~8枚のパーツを入れるだけで良いので、末期は【リビングエンドタッチ双子】とかいうよくわからないものまで大会上位に存在した。

  • 《ウギンの目/Eye of Ugin》
プロツアー「ゲートウォッチの誓い」にてトップ8のうち6人が【エルドラージ・アグロ】になった原因。そして残り2名が親和だった故「5色去るとき」とか言われた。
エルドラージは刷られた当時は最低8マナと超重量級のカードしか無かったが、
戦乱のゼンディカー参入で軽量エルドラージが登場してしまったことで凶悪部分が浮き彫りに。
4マナ5マナのメリット能力持ちが2~3ターンで出てくるのはそりゃ強い。
あまりにも速すぎて【親和】や【リビングエンド】のようなそれを上回る超高速デッキや、
容易にメタカードを入れられるデッキ以外ついていけなくなったために、アーキタイプ完成から3ヶ月で禁止となった。
刷られてから禁止で言えば《宝船の巡航》が最速だが、大会で結果を出してからではこいつが最速。

  • 《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》
発掘6という危険物の為、制定時からの禁止カード組。
後に解禁はされたものの、相方に恵まれないとか墓地利用が強くないとか他が早すぎるとか色々あってなかなか表舞台には出てこれなかった。
しかし、再び墓地に焦点が当たった「イニストラードを覆う影」で《傲慢な新生子》や《秘蔵の縫合体》などといった強力なカードを入手し一躍トップメタへと躍り出た。
その後のカラデシュでも《安堵の再会》という強力なカードを入手。
メイン戦はほぼ勝てないためサイド後が勝負という風潮を作り上げていた。後攻だと2マナの《安らかなる眠り》じゃ間に合わないって…
地味に本体能力も強力で、グダった試合後半に何度も蘇るデカブツとして相手を殴り倒すことも。
サイド後もほぼこのデッキにしか刺さらないようなカードが当たり前に採用されていたため、メタゲームを歪めているとされ再び監獄行きに。
ちなみにモダンで初めての解禁→再禁止を経験したカードである。
その後の【ドレッジ】はなんだかんだ環境に出てきてるし、新カードもらった後はトップメタだったので、このカードが使えたのはやはりおかしかった。

  • 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
青1マナor2点ライフを払うだけで相手の手札を覗き見れる+キャントリップの1ドロー。デッキによっちゃストーム稼ぎに墓地肥やし、自分のライフを減らすことすらメリットに。
要はモダン以下の下環境ではノーリスクで相手の手札を見つつ色んなカウントを水増しできるカード
どう考えても2点ペイの0マナで出来る能力ではないのだが、コンボデッキ向けのカードだったために同期の《精神的つまづき》と違って長らく野放しにされていた。
しかし、このカードのせいで本来カウンターの存在から3ターンキルの安定しない、リソースを全て突っ込んで早期決着を目指すオール・インデッキの3ターンキル率を底上げしていると判断されたため遂に禁止に。
ブラフを掛けていてもこのカードで手札を覗いてしまえば意味をなさなくなるし、本当に構えていたのであればそれに対応できるように動けてしまうのだ。
そういった仕込んでいるカウンターやブラフの読み合いもMtGの醍醐味なのだが、そこをほぼノーリスクで放棄してしまうのは実に面白くない。

ちなみにこのカードが禁止になった事でモダンにおける汎用軽量ドローソースが《血清の幻視》と《手練》くらいになってしまった。比較的デッキを選ぶものでも《思考掃き》が増えるくらい。
1マナドローソースが喉から手が出る程に困っている青使いにとっては大打撃になってしまった。レガシーフォーマットに比べて青いデッキそのものはそこまで強くないのに…
おかげで定業や思案、神ジェイスまで解除議論が出てくる羽目に。まあコントロールは元々採用していなかったが。
が、イクサランにて《選択》が再録されたことにより1マナドロー議論はようやく落ち着いた。

ちなみにその後ヴィンテージで制限カードに指定されるのだが、書かれていることは大体モダンと同じであった。
2018年7月についにレガシーでも禁止されたが、やっぱり書かれていることは大体モダンと同じであった。
そして2019年5月Pauperで禁止され無事4冠達成である。理由はやっぱり(ry

  • 《クラーク族の鉄工所/Krark-Clan Ironworks》
アーティファクトを生け贄にすることにより(◇)(◇)を得るというカード。
これだけだと単に盤面が厳しくなるだけだが、《信仰の見返り》や《屑鉄さらい》などの墓地再活用カードと組み合わせると大量のマナが出る。
それを《引き裂かれし永劫、エムラクール》につぎ込んだり、マナを回転させる部分を《黄鉄の呪文爆弾》に置き換えて爆殺する【アイアンワークス】(カード名の大文字部分から【KCI】とも)のキーカード。
ループする方法が見つかっていたので大抵の場合《黄鉄の呪文爆弾》で焼き殺されていた。

呪文を唱える宣言をしてから生け贄に捧げマナを出す事により、複数枚のカードを同時に生け贄→同時に誘発させて、墓地が空の状態から生け贄に捧げたカードを回収する等、ジャッジー!発生器になっていた。
とある日本人ジャッジによって「こうしてプレイすれば回転する」という解説スライドが出されたが、正直全部読んでも理解出来るか怪しいレベルの挙動である。
また「ドロー能力を持つカードやライブラリートップ数枚からカードを探せるカードを連発して少しずつ繋いでいく」という挙動のため、かつて投獄された【サニー・サイド・アップ】(上記《第二の日の出》の禁止理由)同様にプレイ時間が非常に長くなりやすい。
ドローとマナ加速のループにまで到達してしまえば後は楽だが、そこにたどり着くまでには選択肢と裏目を考えながらプレイし続けなければならない。
実際にミラーマッチで「延長ターンに入った後、片方のプレイヤーがコンボ開始するも途中で止まってしまう。返しにもう片方のプレイヤーがコンボスタートして走り切る」なんてことがあり、
その2ターンの処理だけで30分もかかっていたという。他の参加者はその間待ちぼうけ。
また上記の「マナ能力とマナの支払いと死亡誘発の誘発タイミング」に関して詳しくない人が対戦相手の場合、その場でジャッジを呼んで解説してもらわないといけなかったために更に時間がかかるという悪循環もあった。
結果試合時間はどんどん伸びていき、大会全体の試合時間を大きく圧迫するほどに。
対戦相手は特に介入できることもないのに相手がマナを間違えたり誤魔化してないか確認しなくちゃいけないし、
同卓のプレイヤー4人*7からは冷たい目で見られるし、同卓じゃないプレイヤーからも「また延長5ターンか」とシラけた目で見られるし、
かといってコンボが止まって勝てる可能性もあるので投了もできないとひどい目にあっていた。

あまりにも複雑すぎて、その行程を省略できず膨大な操作を要求されるMagic Onlineでの使用率はトップではなかったが、禁止直前のグランプリでTop8中4人が使用。
そのグランプリの決勝戦で、このデッキを使ってた側が「飛行機に間に合わないので決勝戦第1ゲーム終了後棄権」という残念な幕切れにしてしまったのも投獄理由とされている。

つまりは「普段必要とされない細かいルールを相手に要求する」「大会に悪影響が出るほどの試合時間の長さ」「だけど高レベルな競技になるほど高くなる勝率から実用性は存在する」の3本合わせ技である。

  • 《黄泉からの橋/Bridge from Below》
場にあっても何の効果も無いが、墓地に落ちている間に自分の場からクリーチャーが墓地に落ちると、その度にゾンビトークンを生成するエンチャント。ただし相手の場からクリーチャーが落ちたら墓地から追放される。
墓地にいないと意味がないというカードの右上が無いも同然なカードであり、収録された「未来予知」の特殊性を表すカードでもある。

その特異性を活かし、【ドレッジ・ヴァイン】などのドレッジ系デッキで長く活躍してきたが、
モダンホライゾンにて《甦る死滅都市、ホガーク》が登場し、便利なサクリ台である《屍肉喰らい》と《狂気の祭壇》がモダンリーガルとなり、【ドレッジ】系デッキが超強化されたのが運の尽き。
特に《ホガーク》に特化した【ホガーク・ヴァイン】は最速2ターンで《ホガーク》が降臨したり、そのまま《狂気の祭壇》で相手のライブラリーを削り切ったりするなどやりたい放題。MOにおける1ゲーム目の勝率が66%とモダン環境において猛威を奮ったため、お縄に付いた。
《ホガーク》《狂気の祭壇》も候補に上がったが、このカードが今後も問題を起こす可能性が一番高いと考えられて、このカードが禁止に選ばれた。

余談だがこのカード、初出が未来予知故に名目上は「先行収録」である。なのにモダンで禁止を喰らったことから「正式発売前に禁止(未来予知発売~モダン禁止まではおおよそ1400日)」というネタで使われる事がある。
マスターズシリーズで2度再収録されているが、マスターズはマスターズで「再収録のみ」という扱いなので、未だに正式収録はされていないのである。

……なんて言ってたらホガーク本人が収監された。
詳細な解説は個別項目に譲るが、
8/8トランプルが2~4ターン目から出てくる上に何度でも蘇るという《グルマグのアンコウ》もびっくりの墓地利用のエキスパートである。
【ホガーク】デッキは上記《黄泉からの橋》禁止後も全く勢いは衰えず、公式から「発売以後、酷い影響を与えてきた」等と言われる始末。
実際に《外科的摘出》《安らかなる眠り》は当たり前、果てには決して軽いとは言えない《虚空の力線》なんかがメインから投入されるほどの影響力があり*8、発売からそんなに時間が経っていないとは言え、流石に看過できなかったようだ。
生後74日、モダンの為に蘇った死滅都市は、モダンの為に眠りに付く事となった。R.I.P.

  • 《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
そしてお供の物あさりも収監。
赤1マナで2枚引いて2枚捨てる、唱えた後に追放される代わりに指定のマナ*9を支払い墓地から唱えられる「フラッシュバック」を持つ、というカードで、元々はフラッシュバックや墓地利用シナジーを意識したデザインのカードであった。
墓地がある程度軽視されている時は「普通に使っても手札が2枚増えて3枚減るので1枚損」「このカード使うような高速デッキじゃフラッシュバックの3マナは重い」「リアニの一発ネタだけであれば許される」という理由で見逃されていた。
しかしカードプールが増えるにつれ墓地利用が強化され、墓地メタが入っていないデッキはデッキでは無くなったモダンでフラッシュバックまで付く、つまり手札4枚交換&4枚墓地肥やしは許容範囲を超えてしまった。
大暴れしている【ホロウワン】、【ドレッジ】、【ブリッジ・ヴァイン】、【イゼットフェニックス】、そして【ホガーク・ヴァイン】に軒並み採用されていたため、ついに禁止の憂き目を見ることとなった。また、お前かー!
あまりに墓地利用デッキがメタ上位に存在するため、それらにことごとく使われていたこのカードを禁止にすることで、墓地利用デッキ自体を弱体化させようということである。

これと、手札1枚と自身の生贄をコストに1ドローする《傲慢な新生子》(と時折サイドボード)のためだけに赤をタッチするデッキもおり、上記のように《思案》《定業》といった1マナドローを「コンボデッキ弱体化のため」禁止しているため、捨てることがコンボのために活用されるのならば禁止は必然の結果であった。
様々なローグデッキで活躍していた名カードだけに、その禁止は悲喜こもごもであった。ホガークと違って

スタンダード、パイオニアに続きモダンでも禁止カードに指定。出てからまだ3ヶ月しか経ってないんですがそれは……
たった3マナの実質忠誠度6で着地する驚異的な早さと耐性を持ちつつ、
自分相手問わずにクリーチャーかアーティファクトを3/3のバニラの鹿にしてしまう万能+1能力で相変わらず暴れまくり、
この環境下では+2の効率の悪い回復しかできない食物トークンですらアーティファクトという名のボードアドバンテージを直接増やすに等しい価値になる。無茶苦茶すぎる……
【ウルザフード】デッキを主としてこいつを採用するために元々緑青系でないデッキが緑や青にタッチするなど様々なデッキに採用され、場を食物と鹿ばかりにした。
そして規制直前のグランプリでTOP8中7人が投入という事態を招くなど案の定というかやっぱりというかメタゲームを崩壊させたため投獄された。
こいつ本当にスタンダード環境を想定して刷ったんですかね……

  • 《オパールのモックス/Mox Opal》
アーティファクトを3つ以上コントロールしている場合に限りタップで好きな色マナ1点を生み出す、Moxの調整版にして伝説のアーティファクト。
これも直接の原因は【ウルザ】デッキだが、《金属モックス》とは異なりずっと許されていたので、【親和】を初めとして長年様々なデッキで用いられてきた。
テーロス期でのレジェンド・ルールの改正により、これまで「2枚目が腐ってしまう」という弱点があったのが解消されてしまい様々なデッキで大暴れ。
そのため投獄の噂が絶えなかったが、この度晴れて収監となった。

  • 《マイコシンスの格子/Mycosynth Lattice》
戦場にあるパーマネントすべてをアーティファクトにした上で、すべてのパーマネントと呪文とカードを無色にして、マナを好きな色のマナとして支払える能力を持ったアーティファクト。
灯争大戦より前は問題がなかったのだが、《大いなる創造者、カーン》が出たことにより状況が一変。この2枚が揃うと相手はパーマネント(土地も含む)からマナが出せなくなる(=ほぼ呪文を唱えられなくなる)。
しかもカーンの-2能力でサイドボードから持ってくればよいので実質1枚コンボである。問題は6マナという重さだが、トロン土地が揃えば7マナ出るので問題ない。そんな訳で【トロン】の新たな切り札として利用されていたが、オーコ環境末期には【ウルザフード】側から飛び出したりもしていた。
ヴィンテージではカーンのほうが制限指定されたが、モダンではこちらが規制された。まあヴィンテージではアーティファクト全般縛れる方がまずいので…

  • 《むかしむかし/Once Upon a Times》
エルドレインの王権のカードでオーコに次いで2枚目となるスタンダード・パイオニア・モダン禁止の3冠を達成してしまった。
ゲームで最初に唱える呪文であればノーコストになる、デッキの上から5枚見てクリーチャーか土地を手札に加える2マナインスタント。
サーチカードの価値を決めるカードプールがわりかし狭いスタンダードだからこそ許されるデザインだった筈がそれでも禁止にされたのに、
カードプールが広くクリーチャーも真っ当に活躍するモダン環境下で許されるわけもなく…。
【アミュレット・タイタン】や【ネオブランド】といった、クリーチャーや土地に依存したコンボの初動を安定させゲームの進行の多様性を損ねていることと、将来的にもデザイン上の制約となることが問題視され禁止に。
禁止前は緑が絡んだクリーチャーデッキならほとんど採用できるというありさまで、【エルドラージトロン】がこれを使うためだけに緑にタッチしてたなんてこともあった。このゲームにおいて「初手が安定するワイルドカード」はそれだけでヤバいのだ。

《死儀礼のシャーマン》といい、トップダウン・デザインで生まれたカードがオーバーパワーになりがちなのは(MtGの)避けられぬ宿命なのだろうか……?

キャントリップ付きのマナフィルター。
唱えるために氷雪マナが必要で、マナフィルター自体もたくさん必要になるものではない。
しかし氷雪マナはフェッチランドによる氷雪土地のサーチで、マナフィルターが不要な状況でも1マナのキャントリップということで腐りづらくなっている。
これにより基本土地を疑似5色地形として扱えるようになってしまった。
その軽さ・便利さ、なにより基本土地故の土地妨害耐性の高さを買われて主に多色のコントロールデッキで採用されており、特に【氷雪コントロール】では氷雪パーマネントの数を参照する《氷牙のコアトル》を活用するために4枚積みされるカードであった。
しかし、【氷雪コントロール】の勝率が高くなりすぎていること、デッキの多色化を簡単にしすぎていること等を理由に、パウパーに引き続きモダンでも禁止カードに指定された。
こいつがあると《血染めの月》を始めとする多色地形対策いとも簡単に掻い潜れてしまうため、正常なメタゲームが機能しなかったのが不味かった。
《死儀礼のシャーマン》にも言えた話だが、多色デッキが簡単に対策カードへの耐性が付与されてはいけないのである。

モダン向けに作られたカードでありながらモダンを出禁になったのは、前述の《甦る死滅都市、ホガーク》に続き2例目。

名称の異なる土地を7つコントロールしていると土地を置くごとに2/2のゾンビが湧く土地。下記の《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》のダメージ効果がトークン生成に置き換わったようなものと思えば近いか。
ヴァラクートと同じく《原始のタイタン》と相性がよく、そうでなくとも土地のバリエーション自体が極めて多様なので自然に条件を満たすことも容易。
ヴァラクートはダメージを与えるだけで使用用途が限られるのに対し、こちらはトークン生成だったため長期戦にも強く出れて対応力が高すぎたために禁止になった。

  • 《神秘の聖域/Mystic Sanctuary》
他に島の基本土地タイプを持つ土地を3つコントロールしていればアンタップインし、インスタントかソーサリーをデッキトップに回収できる。条件を満たしていなければタップインになりサルベージもできない。
複数採用のデメリットを軽減するために島タイプを持っているのだが、おかげでフェッチランドでサーチできてしまう。
《剥奪》や《謎めいた命令》などの土地をバウンスするカードで再利用できるため、長期戦をワンパターンなものにしていたとして禁止に。
最近弱体化著しい青白コントロールなどはとばっちりを受けた。特に奇跡との相性が良かったため、その意味でも弱体化することに。

  • 《ティボルトの計略/Tibalt's Trickery》
ざっくり言うと呪文を打ち消して他の呪文に変化させるインスタント。いわゆる《変身》や転生プログラム(デュエル・マスターズ)の同類。
例によって自分の呪文にも使えるためにコスト踏み倒しができるものの、
んなもん想定済みだといわんばかりに切削ギミックが付いているので、デッキトップ操作系カードとのコンボはできなくなっている…が、

本来想定していた対策をガン無視する形の悪用法が確立。
唱えた時にその呪文よりコストの小さい呪文を踏み倒せる「続唱」を持つ呪文からこれを唱え、その続唱呪文を打ち消して大量に投入されているフィニッシャー級のカードを踏み倒すコンボデッキが猛威を振るった。
正直勝率が高かったわけでもないし使用率も大したことはなかったのだが、スタンダードのエムラクール禁止事例と同様にあまりに面白くないデッキだったために禁止に。
同時に暴れていた【ターボティボルト*10】が続唱のルール変更で消滅したことで、モダンにおけるティボルトの暴虐はひとまず終わりを告げた。
たびたびカードパワー的には問題がないように言われるが、放っておいたらどうなったかは《ティボルトの計略》が長らく使えたヒストリック環境の惨状を見れば分かるだろう。
2021年3月現在、デジタル基準で14日禁止は、全フォーマットで「フォーマット制定時と特例による0日禁止」を除くと実質最速記録。


マナランプとドローと回復を同時にこなし、さらにフィニッシャーにすらなれるのはあまりにも強すぎた。おまけに除去にも耐性がある。
緑か青が入っていればこのカードのためだけにもう一方を足すことは日常茶飯事であり、結果的に多様性を奪っていたとして禁止に。
一日で3フォーマット(ヒストリック、パイオニア、モダン)同時禁止の憂き目に遭う形となった。
レガシーにおいてすら禁止を検討されるカードがそれらのフォーマットに残してもらえるはずなど無かったのであった。
なんでこいつスタンダード向けに刷られたの?

  • 《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》
手札から追放することで赤マナを生み出す。通称「ゴリラ」。
1ターンに1度しか置けない土地以外からマナを生み出せることから以前からコンボデッキを含めた多くのデッキで愛用されてきたが、【計略コンボ】、【The Spy】を始めとした高速で決着を付けられるコンボデッキの活躍がトドメとなって禁止に。
コンボデッキのキルターンを早めるという性質上いつ禁止になってもおかしくない部類のカードではあったが、それでも定番カードとして親しまれていたのもあってか実際に禁止が発表された際は多くのプレイヤーが衝撃を受けた。

自ターンで一度、2マナ以下のパーマネント呪文を唱えられるクリーチャー。相棒能力*11を持っており、ルールスの条件はデッキ内全てのパーマネントカードのマナ総量全て2マナ以下にすること。
ルールスの相棒条件は当時のスタンダードですら環境デッキが組めたほどのガバさなので、カードプールが広がればいとも簡単にデッキ制約の形骸化を起こしてただ入れ得のワイルドカードとなってしまう相棒カード屈指の問題児

相棒ルールを調整して*12しばらくの間は鳴りを潜めていたが、次第にルールスを相棒にするためにこれまで採用していた3マナ以上のパーマネントを切り捨てるアーキタイプが続出。ルールス入りデッキの勝率・支配率は上がる一方となり、とあるマジックオンラインの大会ではトップ4を相棒ルールスの【グリクシスシャドウ】が独占するという事態も起こった。
軽量デッキの弱点である後半の失速をルールスが物量で補ってしまったら、重いデッキなんぞ使う気が起きんわってことで環境のどこを切ってもルールスだらけとなってしまい、正常なメタゲームの維持が出来なくなったためについにはモダンにおいても禁止処置を食らってしまった。
同時にパイオニアでも禁止となっため、既に禁止のレガシーも合わせて晴れて(?)3冠達成である。

出た時に自分の他の土地でないパーマネントを好きな数追放してターン終了時に戦場に戻すクリーチャー。一旦戦場から離れることで「戦場に出た時」に誘発する能力を使い回す動きが強力な1枚。
ルールスと同期の相棒クリーチャーの1体でもあり、ヨーリオンの条件はデッキ枚数を下限より20枚多くすること。

《創造の座、オムナス》や、モダンホライゾン2で出た、「想起*13」と戦場に出た時の能力を持つエレメンタルを使い回す【4色オムナス】の高い勝率や、様々な能力を誘発させることを繰り返すプレイパターンが楽しさを損なうことを考慮しての禁止……でもあるのだが、主要な禁止要因は「フェッチランドなどで頻繁にシャッフルが発生するため、プレイヤーにかかる負担が大きい」というもの。
条件達成に数百枚のデッキが必要な《機知の戦い》のようなファンデッキの域に収まるカードと違い、デッキ総数を20枚増やすというさほど厳しくない条件ゆえに、環境クラスのデッキでも工夫次第で容易に使えてしまうことが決め手となった。

  • 《豆の木をのぼれ/Up the Beanstalk》
自身が出たときと、マナ総量5以上の呪文を唱えた時に1枚ドローする2マナのエンチャント。
スタンダードやパイオニアの範囲で見れば、重い呪文の隙をアドバンテージで補填するというさほど変哲のないデザイン。
しかし、マナコストを踏み倒せる各種ピッチスペルが存在する下環境では話が変わり、それらが要求する手札コストを補填し、後半はドローエンジンにもなるという凶悪なカードに。
自身がキャントリップのためアドバンテージで損をしない対処も困難であり、【4色オムナス】などで活躍したことから禁止された。

  • 《激情/Fury》
手札コストの「想起」持ちエレメンタルの赤担当。
5/3/3で二段攻撃を持ち、出たときに望む数のクリーチャーかPWに割り振り4点のダメージを与える。

《豆の木をのぼれ》を組み合わされていたのもあるのだが、特に強力だったのは《フェイン・デス》などの死亡した時に戦場に戻す手段と組み合わせることで、盤面を除去しつつ早期に着地させるコンボ。
《悲嘆》と共に【黒赤想起】として活躍し、小型のクリーチャーによるデッキを否定してしまっていたこと、《フェイン・デス》同型の効果で4/4二段攻撃になると対処困難な脅威となることから禁止に。

  • 《暴力的な突発/Violent Outburst》
続唱を持つ3マナのインスタント。
3マナ続唱というだけに登場当初から【リビングエンド】のキーパーツである《死せる生》を踏み倒す等といった悪用が続けられていた。
特筆すべきは4/4のトークンを2体出す《衝撃の足音》で、3ターン目に《稲妻》で除去しきれない生物2体が着地するのはモダンといえどシャレにならない。
当然2マナ以下の呪文を採用できない縛りは付くがそこはモダン、サイクリングや分割カード、ピッチスペル、出来事といった名目コストをごまかせる手段は豊富。
それでもなお安定性が問題なデッキだったが、モダホラ2以降に共通の色を持つ3マナ続唱持ちの《断片無き工作員》、追加のピッチスペルである《緻密》、モダン入りを果たした分割呪文《火+氷》といったパーツを獲得し【続唱サイ】が環境に進出。
特にこのカードは3マナ続唱唯一のインスタントのため、《虹色の終焉》のようなソーサリーの除去を受けず、相手の《否定の力》を受けないどころかこちらがコンボを通すために利用できるため、対処の難しさに拍車をかけていたためことで禁止となった。

禁止指定されていたが解除されたカード

  • 《弱者の剣/Sword of the Meek》
エクステンデッドで【ソプターコンボ】*14が強かったので制定当初から禁止。
だったのだが2016年に解除される。環境が早くなりすぎたのでその対策だとか、いなくなってしまった青系コントロール復権のためだとかと言われる。あと試合時間が長い【ランタン・コントロール】のフィニッシャー。
エクステンデッドでよく併用されていた《暗黒の深部》と《吸血鬼の呪詛術士》による【ヘックスメイジ・デプス】が《暗黒の深部》が禁止されているため使えないのも一因。
ついでに【親和】対策でアーティファクト除去が、色々な対策で墓地対策がサイドに入ってない方が珍しいので巻き添えを食らうってのもある。
解除後もあまり見かけることはなかったが、《最高工匠卿、ウルザ》がモダンホライゾンで登場してからは、
【ウルザソプター】というデッキがメタ上位に登場している。

  • 《祖先の幻視/Ancestral Vision》
《アンリコ》に待機を付けた調整版。制定組ではあったが、他のカードより動きが遅いという事で2016年より許される事に。
モダンでは待機を悠長に待ってられないので、「続唱」を始めとする何らかの踏み倒し手段を使うのが一般的。
《祖先の幻視》が解禁された当時、続唱持ちかつモダンでも通用するスペックだった《血編み髪のエルフ》が禁止されていたのも理由である。
これ以外の続唱持ち呪文が微妙過ぎる事もあり、同じ続唱系なら《祖先の幻視》を続唱で唱えるよりは、サイクリングで墓地にクリーチャーを貯め、他の2マナ以下の呪文を入れないことで3マナの続唱呪文から確定で《死せる生》に繋ぐ【リビングエンド】の方が決定力的に高いよね…というのも大きい*15
解除後は青系の中~低速コントロールのアドバンテージ源として使われている。
その後《血編み髪のエルフ》も解禁されたが、やはり【ティムール続唱】や【タッチ青ジャンド*16】のようなデッキが組めるか怪しい。
《時を解す者、テフェリー》や《覆いを割く者、ナーセット》が登場してからは採用率が下がっている。

  • 《野生のナカティル/Wild Nacatl》
Zooの中核組の一人。
実質1マナ2ライフペイ3/3と驚異的コスパを持ったクリーチャー。一時期緑系ビートダウンが【Zoo】一色となったために禁止されたが、後に解禁。
禁止されたときはtwitterのトレンドに「ナカティル」が出るなど、大きな衝撃をもたらした。
「ビートダウンが【Zoo】しかいないのでナカティルを禁止にしたら、【親和】以外の殴るデッキが消えた」とかいうアホな話も残っている。
解禁直後のプロツアーで「本当に【Zoo】は復活したのか」とプロプレイヤーが最後の最後まで悩み続けるほどのポテンシャルはあった模様だが、
蓋を開ければ周りのインフレが激しすぎて活躍の場はほぼ無し。具体的に言うとそのプロツアーで使用率16%とトップメタになったのに、勝率が50%を切ったほど。
その後一部の超高速デッキなどでたまに使われる程度であるようだ。
実質1マナパワー3なら《デルバー》だっているしな。
その後実質1マナパワー5とか0マナパワー4とかいう化物も後に出ましたしね…。

  • 《苦花/Bitterblossom》
かつての【フェアリー】デッキの中核。
登場当時は2ターン目にこれを設置してしまえば、後は《苦花》狙いのエンチャント破壊をカウンターなり被覆を与えるなりしてれば勝手にアドバンテージが積み重なり、そのまま勝てたため「この環境は実質2キルがある」とまで言われていた。
スタンダード・エクテン・ブロック構築と3部門に渡り大暴れした影響で制定当初からの禁止組。
周りのカードパワーが高まった為に上のナカティルと同時に解除されたものの、検討に1日も掛からずにトッププロが調整を放棄するレベルで【フェアリー】が生き残る環境でなくなっていたせいで居場所が無い。
最悪レベルに相性が悪い汎用ツール《突然の衰微》でカウンターを握ってても破壊される上に、【親和】や【ウィニー】対策の《紅蓮地獄》で巻き添え喰って出したトークンが吹っ飛ばされる事が多いのも逆風か。被覆を与える《ウーナの末裔》はそれ自身がモダンで使えるスペックではなかった。
あと環境全体が早くなっているためライフロスが痛いのもある。
ロスしたライフを回復できる《真面目な訪問者、ソリン》の登場後に【白黒トークン】デッキに採用されることがある。
どちらかと言えば設置してしまえばコントロールデッキに対して有利に立てる点を利用してサイドボードで見かける事は多い。
即《天界の粛清》されても泣かない。《テフェリー》にドリブルされても(ry

  • 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle》
妨害しにくい土地コンボで条件が揃えば即死というアレ気なコンボデッキだっため、MOでのテスト時は平気だったが、紙でのフォーマット正式施行とともに禁止にされていた。
しかしこれくらい遅いコンボならまあという事で解禁に。
土地を並べるカードと決めるカードを上手く引かないといけない安定しないコンボデッキなので、解禁は妥当というところか。
解除後は《風景の変容》を使って《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と山を持つ土地をサーチして噴火させる【スケープシフト】や、それに《原始のタイタン》を追加し、CIPやアタック時誘発の土地サーチから《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を噴火させる【タイタン・シフト】を中心に使われている。
主にトロンメタの特殊地形対策に引っかかってよく泣いているが、今もなおモダンで強い存在感を発揮している。

万券再び。
純粋にカードパワーが高すぎると言われていたが、モダン環境の高速化に伴い「4マナでソーサリータイミングでしかキャスト出来ないカードが今の環境ではほぼ使われていない*17」という衝撃的な文章と共に解禁が発表された。
事実直前にモダンで行われたプロツアー「イクサランの相克」では、4マナ以上でソーサリータイミングでしか唱えられないカードの採用枚数はかなり少なく、その中でも《至高の評決》や《滅び》のような除去、《ピア・ナラーとキラン・ナラー》や《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》のようなブロッカーを出せるカード、《向こう見ずな実験》のようなコンボのキーカードを除けばほとんどいなかった。
【ランタンコントロール】辺りが更に強化されると予想されたが、このデッキ自体プロツアー「イクサランの相克」優勝デッキなので対策が更に強まるのは目に見えている。
一番の被害者は同じ4マナのプレインズウォーカーたちと、3月にスタン・モダン・レガシー各1人のチーム制で行われるグランプリ京都のモダン担当者だろうか。
解禁後は予想通りコントロールデッキで採用されることにはなったが、新たなコントロール向けプレインズウォーカーである《ドミナリアの英雄、テフェリー》に枠を取られて出番がなくなることも。
しかしその後「高速で並べるアグロ」「墓地に送られても対して意味のないデッキ」が増えたため、全体除去手段として《終末》に光が当たる。そして手札に来てしまった終末をデッキトップに仕込めるカードとしてこのカードも採用率が上昇。今ではテフェリーと並んでよく採用されている。
その後環境が変わって《終末》が抜けてもカードパワーで採用され続けている。さすが神。

  • 《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》
ジャンド】に入る高性能続唱クリーチャー。スタン当時すでに「禁止されるべき」と言われていたほどのカードパワー。
【ジャンド】がメタゲームの中心に居続けたためジャンドで4枚採用、かつ他のデッキであまり使われていないカードということで禁止に。
しかし当時ですら「最新セットのカードである《死儀礼のシャーマン》を禁止にしたくなかったので、その身代わり」と言われ(結局シャーマンも禁止された)、禁止解除筆頭と言われ続けていた。
2018年2月の禁止改定でモダン2例目の制定後禁止→禁止解除を受ける。
神同様に4マナで出れば勝ちというクリーチャーで無いのと、ビートダウンからミッドレンジへの回帰が期待されての解除。
WotCとしては超高速化をしてしまったモダン環境をどうにか戻したいのだろうか。《意志の力》などが無い分だけレガシーより高速化しやすい環境ではあるのだが。
解禁当初は神以上に見かけなかったが、モダンホライゾンで《レンと六番》他パーツが増えたジャンドが復権し、このカードも使われている。

【カウブレ】の一角はモダンでも許されず……? えっ許された?
「《殴打頭蓋》とのシナジーどうすんの?」で静かになった方々も問うた側も大騒ぎである。
グランプリプロモであんだけばらまいたのに、解禁直後は諭吉近辺にまで到達した。やべえ。
一応大丈夫だと確信しているらしいが、もしまずかったら《ゴルガリの墓トロール》と同じく禁止妥当性の検証をすると言っている。要は禁止に再指定もありうると白状しているのだ。確信とは…
今現在のレガシーでも2マナ最強生物って言われてるんですけど……
一方でモダンには装備品の装備先に最適な《真の名の宿敵》も、最強装備品の一角である《梅澤の十手》も、
手札に来ちゃった装備品を戻す《渦まく知識》も、使い勝手の良いライブラリー操作である《思案》も存在しないため
そこまで活躍できるか怪しいというのも事実である。レガシーよりもクリーチャー環境なので除去もされやすいし。
しばらくは青白系コントロールで使われたり、「速度が間に合ってない」と抜かれたりをしていたが、《スカイクレイブの亡霊》が登場して【デス&タックス】が成立すると、
《スカイクレイブの大槌》を入手したこともあり、《火と氷の剣》《殴打頭蓋》と共に採用されるようになった。
他にも《巨像の槌》を入れたコンボデッキである【ハンマータイム】でも使われたりする。

  • 《定業/Preordain》
占術2を行い、その後カードを1枚引く青の1マナソーサリー。上から2枚見て両方とも有用なカードの場合はそのまま上に残し、逆に両方とも不要なカードの場合はボトムに送って上から3枚目のカードにアクセスできる事から、《手練》よりも選択肢が広くその上位互換……のように見えて実はそうでもないカード*18
モダンが公式フォーマットとなってから最初の大型大会であるプロツアーフィラデルフィア11にて【欠片の双子】【青単感染】【青赤昇天】【ゴブリンストーム】【狩り痕ストーム】など多くの青系コンボデッキに《思案》と共に4積みされ、【欠片の双子】デッキを見事優勝に導いた。しかしその僅か1か月後に同じデッキで使われた《思案》《猛火の群れ》《炎の儀式》などと共に、コンボデッキを弱体化するために禁止となる。
そのためモダンにおいては長らくの間、「黎明期のほんの一瞬だけ使えた幻のカード」としてその存在が語られるのみであった*19
このカードと《思案》が禁止されたことで、モダンでは気軽に使える便利な1マナ1ドローの模索が始まる。《手練》《血清の幻視》《思考掃き》などは優秀なドローソースがなくなったことで仕方なく使われた脚光を浴びたカードであり、当初は《ギタクシア派の調査》も素朴な1ドローとして用いるデッキも多かった。
その後《煮えたぎる歌》や《欠片の双子》、更には《ギタクシア派の調査》も禁止となりコンボデッキが弱体化してもなお禁止のままだったが、《選択》がモダンリーガルとなり、その後《考慮》なども登場しモダン1マナドロー問題はほどほどに解決したかに思われた。
2021年頃からは「《定業》より《表現の反復》の方が強いからもう返してもいいのではないか」という意見も出るようになったが、一方で「《ドラゴンの怒りの媒介者》の昂揚の種として使われTier1の【カウンターモンキー】をより強化するから駄目」という反対意見もあった*20
しかし2023年に「指輪物語:中つ国の伝承」が出たことで状況は一変。タフネス1キラー兼ドロー咎めるマンの《オークの弓使い》を擁する【ラクドス想起】がTier1に躍り出る一方で、《オークの弓使い》が激烈に刺さる【カウンターモンキー】はメタゲームから大きく後退した。
青系コンボデッキのみならず、青系フェアデッキの衰退。そんな環境の変化を受けて、黎明期の幻のカードは12年越しにようやくモダンへの帰還を許された。禁止制限告知によると、コンボデッキよりむしろフェアデッキを強化すると考えての解禁との事である*21



追記・修正は3ターン目確定で勝負を決めるようなコンボで大暴れしてからします。

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最終更新:2024年04月13日 16:43

*1 なので統率者やエターナルマスターズ等のモダンリーガルでない特殊セットや、ジャッジ褒賞などは新枠であっても使用不能。

*2 「海外でカジュアル統率者戦が人気」という話もこれに通じるところがある

*3 ちなみにこの原因は完全にメタの読み違え。予測では【バーン】と【Super Crazy Zoo】がトップメタとされていたため、この2つに強い【アブザン】系デッキを使う→この2つが皆無だったため、アブザンを喰える【バントエルドラージ】が優勝。

*4 「Blazing Speed」と言われるほど素早く正確なプレイングで有名。

*5 MtGはこの手の遅延行為に非常に厳しく、遅延行為で「賞資格も失う失格」という厳しい罰則を受けた有名プレイヤーもいる。【サニー・サイド・アップ】や【アイアンワークス】が規制された理由も「真面目にやっても時間がかかるデッキだから」である。

*6 様々なクリーチャーを投入し、状況状況によって出していくデッキのこと。「道具箱」の名前の通り、色々なものが詰まっている。「シルバーバレット」などとだいたい同じ

*7 グランプリなどでは長机1つに6人、つまり3マッチが同時に行われることが多い

*8 前2者は以前から墓地利用デッキが跋扈していたためメイン投入が見られたが、後者はこのデッキが登場するまでは流石にあまりなかった

*9 このカードの場合は(2)(赤)

*10 3マナの続唱呪文を唱えることで《嘘の神、ヴァルキー》を確定で引き当て、裏面の《星界の騙し屋、ティボルト》を踏み倒すデッキ。カードを唱えていい、という文章のためどちらの面も唱えられてしまう

*11 特定の条件でデッキを組むことでサイドボードから各ゲームで1度ソーサリー・タイミングに3マナ支払って手札へ加える事が可能となる能力

*12 当初はゲーム外部から直接唱えることが出来て、このせいであらゆるフォーマットが相棒だらけになってしまった

*13 生贄に捧げられる代わりに本来より少ないコストで唱えられる能力。このサイクルは自身と同じ色の手札1枚がコストであり、事実上ピッチスペルでもある

*14 《飛行機械の鋳造所》と組み合わせると「《飛行機械の鋳造所》で《弱者の剣》をサクって1/1トークンを出す→墓地に落とした《弱者の剣》の能力が誘発して、出したトークンに装備される→以降マナの限りループ」というトークン生成エンジン

*15 レガシーなら色一致かつ3マナ2/2と及第点のボディを持つ《断片無き工作員》から《祖先の幻視》や《タルモゴイフ》に繋ぐ【BUG続唱】のアドバンテージ要員として使われていたが、有利を付けていた【相殺コントロール】が禁止改定でいなくなったせいで立場が怪しくなった。

*16 少数青のカードを入れた赤黒緑メイン4色デッキ

*17 勿論ウルザトロンとかいう3ターン目から平然と7マナ出るデッキは例外。

*18 《手練》は「引く」ではなく「手札に加える」。禁止後に登場した《覆いを割く者、ナーセット》や《オークの弓使い》に引っかからないという独自の強みがある。

*19 モダンが制定された当時はまだゼンディカーやミラディンの傷跡の記憶も冷めやらぬ頃。先述した双子・感染・昇天といったデッキの原型となるデッキが活躍しており、当然だがこれらのデッキではフル投入された。さらに「久々の禁止カード」として大きな話題となった神ジェイス時代でも屋台骨として活躍していた他、今とは色の役割がちょっと違っていたこともあって青がまだ相対的に強い時代でもあった。つまりこういった「青ゲー」の時代を強烈に支える陰の功労者(問題児)だったという事情もある。

*20 【カウンターモンキー】はインスタントに比べてソーサリーの枚数が少なく《表現の反復》の4枚だけだと中々墓地に落ちないことも少なくない。そのため、ソーサリーの枚数をかさ増しするために《手練》や《血清の幻視》を1、2枚採用するリストもあった。

*21 実際コンボデッキのえげつなさがモダンの比ではないヴィンテージでは、《渦まく知識》が制限である一方で《定業》は一切規制されておらず、《思案》は後に解除された。制限となったカードは「1マナでライブラリーを3枚掘れる」「フェッチランドとの相性が非常に良い」のに対し、こちらは「一応3枚掘れるが3枚目を見ることができない」「フェッチランドとの相性は悪くはないけどどうせなら《思案》返して」という弱点が目立つため。