ドラバラ鈴井の巣

登録日:2017/03/06 (月曜日) 20:48:00
更新日:2020/08/24 Mon 17:37:44
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ドラバラ鈴井の巣とは、HTBで2002年から2004年まで放送されていた深夜番組。
水曜どうでしょう」等でお馴染みの「ミスター」こと鈴井貴之が率いる、御存知!大泉洋やon安田顕などを抱える芸能事務所「CREATIVE OFFICE CUE」の舞台人としての魅力と、お笑い事務所としての魅力を同時に味わえる、
余りに新感覚のバラエティ番組である。

概要

1999年4月から放送していた「鈴井の巣」が、2001年4月に一回謎の恋愛バラエティ番組「n×u×k×i」になった後、二度目のリニューアルによって誕生した新たな番組。
ドラバラとは「ドラマ・バラエティ」の略で、出演者が自分で脚本を書いて、キャスティングもして、楽曲も作った自作自演の短編テレビドラマを自ら撮り
そのドラマ本編の映像(ドラside)と制作過程を追った映像(バラside/メイキング ナレーターはHTBアナ林和人)をごちゃ混ぜにして流すという、あまり前例のないタイプの番組である。
ミスター曰く「メイキング映像を撮りたいがためにドラマを作るという本末転倒な番組」

深夜番組の乏しい予算とカツカツのスケジュールでドラマを撮るのは生半可なことではなく、その上

  • 異常なまでに予算をケチる癖に、ネットオークションでしばしば変なものを買ってしまうバカスタッフ
  • ノリと思いつきで行動する過激派の撮影クルー
  • ここでも炸裂するおやびん(スタイリストの小松江里子)のファッションセンス
  • 妥協を許さない鈴井のめんどくささ
  • 大泉洋の遅筆
  • 隙あらば酒飲んで脱ぐ安田
  • 出番が少ないと露骨にいじける音尾
  • 二枚目気取りで共演者をイラっとさせるシゲ
  • CUE最悪のジャイアンボイス森崎

と、あまりにも個性的なメンツで撮影に挑むので、毎回何かしらのハプニングが発生する。
無味乾燥なものになりがちなメイキングを「バラエティ」として放送できる所以はこの辺にあると思われる。

またギリギリの予算からギャラを賄うのも兼ねて、毎回主題歌・挿入歌が複数制作されており、出演者による各種歌も大きな魅力となった。

キャスト

レギュラー陣

  • 鈴井貴之
「水曜どうでしょう」でお馴染みミスター…だが、この番組の鈴井は他番組での気のいいダジャレおじさんの面は鳴りを潜め、俳優としての凄み(?)を見せるシーンが多く、毎回締め切りを破ってくる大泉を震え上がらせる。
だがその一方で「山田家の人々」で演じた晴弘父さんのキャラを気に入るなど、よく分からないめんどくさい人(社長)。森崎とは別ベクトルだが歌が苦手で、収録時は常に他の出演者をメインに立てていた。
また「have a nice day」では自ら(しかもバラsideではマウントポジションにチャレンジするくらいノリノリで)ベッドシーンに挑戦したが、その結果は…。

  • 御存知!大泉洋
後に大河や朝ドラでも活躍することになる全国区の俳優…だが、この時期は若手でイジられ役。本作では後輩なオクラホマや「同格」ともいえるTEAM NACSの面々がいるため、割といじる側に回る部分が多めだが。
毎回顔の代わる大門通や、ほぼ一発ネタの真池龍など難しい役を演じ分けるだけでなく、脚本や作曲に関してもマルチな才能を発揮する。
ただしエンジンがかかるのが異様に遅く、脚本や原案を任せると毎度スケジュールに致命的な遅れが生じる。

  • 安田顕
CUEきっての変人「平成の怪物」。彼も後に全国区の俳優になるが、このころはただの裸芸人だった。
好きな時にオナラを出せたり、楽器の演奏が無駄に上手かったりと常に「理想の安田顕」を発揮して期待に応える。
また『山田家の人々』では大泉をモチーフにした役を当てられ彼の古着を衣装として用意され、『VS 〜禁断の対決企画〜』では大泉班にもゲスト参加し「(大泉の)理想の安田」たる「安田先輩」役を押しつけられ不満を表した。
その一方、制作側になるとあまりにも珍妙な物を作ってしまい、酷い場合は番組の視聴率を落としてしまうことも。だが『VS 〜禁断の対決企画〜』では地に足の着いた(?)路線かつスムーズな制作で高評価を得た(他の話が絵的に濃すぎたとも言う)。

準レギュラー

「レギュラーここまで!君たちはいつから必ず出られると思っているの!!」 『山田家の人々』イントロより
  • 森崎博之:『VS 〜禁断の対決企画〜』では鈴井班
NACSのリーダー。歌は下手だがギターと作曲センスに優れており、挿入歌や劇判を多く手掛ける。
その作曲方法は、自分の好きな曲やヒットナンバーをギターでひたすら弾き、そこに共通するコード進行を抽出して繋ぎ合わせ、最後にテーマに合致したフレーズを載せるという、いわば超高度で絶対バレないパクリ。
ただしこの方法ははたから見れば遊んでるようにしか見えない。
音痴の自覚はあり、『つぼみ』の時は最初鈴井の妻(2017年に離婚)を引っ張り出そうとしたがあえなく断られ、自分たちだけで歌う羽目に。
  • 音尾琢真:『VS 〜禁断の対決企画〜』では大泉班
目と目の間は離れているがファンの心を離さない男。
『山田家の人々』での後藤利喜男等インパクトのあるキャラを当てられていた。
「出れねえー!俺また出れねえー!!」
NACSのハンサム担当で、かつ歌唱力もある。だが出番に関してはムラがあり、ホワイトストーンズ以外だと出番の時期に偏りがあった(他準レギュラー組にも言えるが)。
この頃は後の「ミスター残念」というよりは「不遇」的な感じがあり、最終作では他NACSが作中ユニットを組む中一人だけ最終回前に本編から退場していた(最終回では生放送パートの司会を担当)。
ちなみに『四国R-14』ではエキストラ、『水曜どうでしょう』には顔見せだけ、森崎・大泉の『いばらのもり』にも縁が無かった彼にとって本作が初のHTB&ドラマの本格レギュラー出演作だった。
  • 小橋亜樹:『VS 〜禁断の対決企画〜』では安田班
よく喋りよく歌い演技もうまいブス。この時期はオフィスCUEにおいても紅一点だった。
『マッスルボディは傷つかない』・『山田家の人々』・『なんてったってアイドル!』にて佐藤とカップリングされており、前者ではデュエットも披露した。
「アッキー My Love」では主役を務めた。
  • 河野真也(オクラホマ):『VS 〜禁断の対決企画〜』では安田班
相方共々一番下っ端なためサブキャラ全般をやらされる関西人。一応レギュラー・準レギュラー陣では最年少なのだが、「デブ」・「眼鏡」・「ヒゲ」と特徴ある顔のため目立ちやすい。
  • 藤尾仁志(オクラホマ):『VS 〜禁断の対決企画〜』では鈴井班
普通の顔のせいかどうも影が薄めな関西人。
「have a nice day」では脚本を仕立て、ヒロイン(演:鈴井)にキスのイロハを教わり濡れ場も演じる、うらやましい様なそうでもない様な大役を務めた。

作品

  • 雅楽戦隊ホワイトストーンズ 〜雅やかな愛の戦士たち〜
かつて「モザイクな夜V3」や「水曜どうでしょう」で放送していた特撮コントが元になった作品。
札幌の白石区だけを守る超ご当地ヒーロー、ホワイトストーンズの三人が、
白石区に封じられた伝説の白竜を狙う悪の秘密結社「悪の秘密結社」の怪人と、バカバカしくも過酷な戦いを繰り広げる。
雅楽器による演奏で変身し、鈴井演じる「南郷進」が笙、安田演じる「本郷隆」が竜笛*1、佐藤重幸演じる「北郷誠」が篳篥を担当。
登場人物の名前の由来は白石区及び元白石区な厚別区の地名であり、大泉演じる「大門通」も菊水地区にある通りの通称から来ている。

本作は番組のリニューアル記念作であり、同時に鈴井の原点であるWSのリメイクにも当たり
  • 全員でちゃんとした雅楽を習い、ドラマの中で一曲演奏する(戦闘中に吹く要素は廃止)
  • 鈴井はオリジナルでOPテーマを作る(結果R○SIERのパクリになった)
  • 安田はちゃんとした殺陣をマスターし、同時に空手を習得して瓦を割る(だが記者会見での発言のせいか、実際には頭突き瓦割りに)
  • シゲは殺陣とバク宙をマスターする
  • 大泉は殺陣をマスターした上で、特撮のお約束として真冬の川にダイブする(カナヅチの鈴井もダイブする)

という目標が掲げられた。

なおここから『〜白き伝説よ永遠に』までは一般公募でヒロインを選んでいる(『山田家の人々』以降はプロ女優・HTBアナが担当)。

またシリーズ通して『仮面ライダー』シリーズ・『仮面ノリダー』・『トリビアの泉』等で有名な中江真司氏がナレーションを担当しており、バラsideに出演していた。

ちなみに旧作のホワイトストーンズは雅楽器を奏でることで変身し、変身後は楽器から出る音波で敵を攻撃していた
だが持ってる楽器が本郷(安田)が鼓、南郷(鈴井)が「笙」、北郷(ドラバラ版とは別キャスト)は尺八とチョイスがメチャクチャな上、
安田さんの鼓は全く鳴っておらず、鈴井の「笙」はどう見ても三味線で、北郷は尺八をずっと「笛」と呼び、演奏シーンに至ってはインチキ沖縄民謡という滅茶苦茶なものだった。

  • マッスルボディは傷つかない
ボディビルを題材にした青春スポ根ドラマ。エンディングテーマは『ハッスルマッスルブギ
常人には理解しがたい安田の世界観が前面に出ている。
また初期稿では『ドラバラ鈴井の巣』なのに鈴井が序盤登場しないなんてうっかりがあったため、急遽鈴井にもう一役当てていたりした。

  • 雅楽戦隊ホワイトストーンズ 〜白き伝説よ永遠に〜
ホワイトストーンズの第2弾。第1弾DVD発売に合わせて制作された。
乏しい予算で可能な限りCG表現を取り入れた力作。またゲストヒロインの一人として、「n×u×k×i」時代のレギュラーで後に「CREATIVE OFFICE CUE」に加入する北川久仁子が出演している。
ここで南郷の家族関係と「ヒーローにあるまじき」過去設定が明かされたことが、後の最終章に繋がった。

  • 山田家の人々
大泉洋の手掛けたホームドラマ。コンセプトは「面白くないドラマ」
ただし「面白くない」というのは「特に凄いことは起こらない」という意味で、万人に好かれるホームドラマの条件らしい。
安田演じる主人公のモデルは大泉自身で、それ以外の要素も大泉の実体験をベースにしたまさかの「半自伝ドラマ」である。
後に「CREATIVE OFFICE CUE」のイベント『CUE DREAM JAM-BOREE 2006』で後日談が描かれ、「さよなら朝日荘」の世界観とクロスした。

  • 雅楽戦隊ホワイトストーンズ 〜最終章 呪われた神話の行方〜
「まあ事情っていうかアサヒビールさんがお金くれるっていうから…」(VS冒頭の鈴井発言)と作られた第3弾。
礼文島と「白石区」のルーツである宮城県白石市でのロケが行われ、『マッスルボディは傷つかない』・『山田家の人々』のキャラがカメオ出演している。

  • VS 〜禁断の対決企画〜
キャスト9人を鈴井組、大泉組、安田組に分け、それぞれのセンスとランダムに決まった3つのワードで短編ドラマを撮る。テーマは「男と女のラブストーリー」
そのドラマを放送日の視聴率と視聴者・スタッフ・特別審査員による投票で順位付けし、1位のチームには「ドラバラアカデミー大賞」として事前に希望した場所への招待(結果は「ある国」へのホームステイ旅行)が贈呈され、
負けたチームには、第2位のチームが考えた過酷な、そして犠牲者の弱点を的確についた罰ゲームが待ち構えていた…。*2
最大の問題は「男8人にブス1人」という出演陣の顔ぶれであり、うまくヒロイン(?)を引き当てた安田班・HTBの女子アナからヒロインを呼んできた大泉班は良かったが、鈴井班はヒロインを「禁断の方法」で補う事に。
ちなみに本放送時は「禁断」の二文字はついていなかったという。

    • 鈴井組「have a nice day」(鈴井・森崎・藤尾)
鈴井演じる女性「あずさ」が出会った好青年(藤尾)が、徐々に狂気的な一面を見せていくというサスペンス。
映画の宣伝と撮影で忙しかった鈴井、NACSの芝居関連で忙しかった森崎に代わり藤尾が脚本の殆どを書いたが、彼が頑張りすぎたせいでその脚本は「とても鈴井らしい」(奇しくも映画『river』にも通じるようなサイコな)ものになった。
このせいで森崎が作り、歌に自信のない森崎・鈴井が頑張って歌った*3しっとりした挿入歌「つぼみ」が完全に浮いてしまった。

    • 安田組「アッキー My Love」(安田・小橋・河野)
恋に破れた二人の男女(小橋・安田)が、河野演じるトイレの妖精に励まされたり励まされなかったりするファンタジーコメディ。
内容は小橋の悲しい恋愛をベースに脚色したもの。
挿入歌は3組の中でぶっちぎりで意味不明な「安田国歌」。

    • 大泉組「さよなら朝日荘」(大泉・シゲ・音尾)
絵に描いたような貧乏学生・パンイチ(音尾)が、偶然にも初恋の人と再会したことで巻き起こる騒動を描く。
大泉曰く「全11話中の第3話だけを切り取って放送した」という裏設定があり、第4話のウソ予告まで作られている。
また大泉の脚本が遅れに遅れたため、大泉の父による謝罪文が放送される羽目に…。
挿入歌は音尾が作った「月の裏で」。

  • なんてったってアイドル!
大泉原案、鈴井脚本、安田演出のドラバラ最終作品。VSの「ドラバラアカデミー大賞」から10か月をも後に作られた*4
但し鈴井はこの時韓国留学を控えていたせいか出番は比較的少な目で、最終回生放送の時は既に韓国へ旅立っていたため事務所の若手がスタンドインを務めていた。
普通に日々を送りながら「アイドル」への憧れを抱いていた人々が、ひょんなことから一夜限りのライブのために「アイドル」になろうとするドラマ。最終回のライブパートは生放送で行われた。


余談

2年に一度開催されるCUEのファンイベント『CUE DREAM JAM-BOREE』は『マッスルボディ』と同時期の2002年夏が初回であり、
DVD化されていない2002はホワイトストーンズの番外編、2006は大泉脚本作品の後日談メインなどこの作品から生まれたキャラ・挿入歌が多数使われている。

時期的に第1~3弾は『水曜どうでしょう』レギュラー版末期・『いばらのもり』、第4弾以降は『ハナタレナックス』・『おにぎりあたためますか』と並行して撮影されており、両方の日程を比べると
  • 「第一弾企画発表・撮影の前準備」→「レギュラー3人がどうでしょうの『試験に出る日本史』で愛知へと旅する」→「旅から帰って来た翌日にクランクイン」
  • 「大泉が『山田家の人々』主題歌について悩んでいる時」=「ハナタレ初回分撮影時」
  • 「WS最終章のロケ→ロケ終わりの夜にどうでしょうミニ特番のため一泊二日旅行→数日後礼文島ロケ」
  • 「安田が『アッキー My Love』撮影中」=「安田が『ハナタレナックス』ロケでブラジル一人旅」
等というハードスケジュールが垣間見える。


この番組の前身である「鈴井の巣」でも、素人をスターに育て上げようという企画「大泉塾」で自作自演のオリジナルドラマが作られた。
その際に作られたドラマのタイトルは「Beautiful wife -ドラゴン怒りの鉄拳-」

タイトルから分かる通り、既存の作品を思い付きでツギハギした意味不明な作品で、その支離滅裂な脚本を全員素人が演じた結果大変にヒドい映像になってしまい、
一時は10%にも達した鈴井の巣の視聴率を激減させてしまったり、予算を使い過ぎて番組自体がしばらく休止するなどの影響を及ぼした。

追記・修正はボウリングで2人同時にストライクを出しつつ冷静な演技をしながらお願いします。

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最終更新:2020年08月24日 17:37

*1 初期段階では琵琶だったが、鈴井・佐藤が雅楽を学んだとき「笙・竜笛・篳篥は雅楽の基礎『雅楽三管』」と知ったため急遽竜笛に変更され、安田は楽器練習を一からやり直す羽目になった。

*2 なお賞品及び罰ゲームロケ編はアカデミー賞編からかなり間が空き、アテネオリンピックの時期に放送された

*3 CDでのクレジットは鈴井・森崎・藤尾だが、ライブ時には鈴井・森崎のデュエット曲として披露された。

*4 この間鈴井は映画『銀のエンゼル』の撮影や大泉との『水曜どうでしょう』ロケ、TEAM NACSは初の東京公演『LOOSER』を行っており、恐らくそれらと他のレギュラー番組で手一杯だったものと思われる