スプリーム・ヴァージョン(ウルトラマンガイア)

登録日:2017/03/06 (月) 03:23:20
更新日:2023/12/03 Sun 20:04:47
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ガイアが……ガイアが変わる!



画像出典:ウルトラマンガイア(1998年9月5日~1999年8月28日) 第26話「決着の日」より
©円谷プロ、毎日放送




スプリーム・ヴァージョン(Supreme Version)とは、ウルトラマンガイアの強化形態、そして文字通りの最強形態である。
そのまま表記すると長ったらしいので公式の略称は『SV』(以降、この項目でもそう記述する)。
「スプリーム」とは「最高の」「至高の」という意味。まさしく「最高のウルトラマンガイア」ということだろう。



【概要】


身長:50m
体重:4万2千t
飛行速度:マッハ25(V2の1.25倍)
走行速度:マッハ7 (V2の1.2倍)
水中速度:マッハ1.5(V2の1.25倍)
潜地速度:マッハ2 (V2の1.3倍)
ジャンプ力:1500m (V2の1.25倍)
握力:12万t(V2の1.7倍。人間換算で120k

スーツアクター:中村浩二(メイン)、武安剛、清水一彦(42話)、長谷川恵司(劇場版)


初登場は第26話「決着の日」、及び同日公開の劇場版『超時空の大決戦』。*1

藤宮から受け取った『海の青い光』と、我夢が元々有していた『大地の赤い光』を合わせて変身したウルトラマンガイアV2。

そのガイアV2が赤い大地の光を最大限に開放し、翳した両手の間に青い海の光を集約させ、
それを体に纏わせることで「ヴァージョンアップ」したのが、このSVである。
最終話ではこの形態に直接変身したため、SVのぐんぐんカットも存在している。


画像出典:ウルトラマンガイア(1998年9月5日~1999年8月28日) 第51話「地球はウルトラマンの星」より
@円谷プロ、毎日放送


【戦闘能力】

ティガダイナタイプチェンジとは違い、一つの能力を尖らせる(相反する能力が減退する)のではなく、
全体的に能力が向上する純粋な強化態としてのタイプチェンジである。
なお、ティガ・ダイナは体色に赤と青が両方入った形態が能力のバランスが取れた基本形態で、パワー特化形態のボディカラーが赤だけという共通点を持つが、
ガイアは基本形態のメインカラーが赤、そこからタイプチェンジするパワーアップ形態に赤と青両方が入るという逆パターンになっている。

純粋なパワーアップ形態にタイプチェンジするヒーローは、ウルトラシリーズとしてはガイアが初であり、
コスモスネクサスメビウスギンガエックスなど後のウルトラマンの先駆けとなった。
ただしヴァージョンアップには莫大なエネルギーを消費するため、活動時間は一分が限界。

両脇腹~両太ももにかけて今までのガイアのメインカラーには無かったのラインが加わり、
胸の黒いプロテクターが両肩~両二の腕に現れてよりアグルを象徴するデザイン要素が増えた。

更に両腕と下半身の赤色の面積が大きく増えており、・黒・と全体的にド派手なカラーリングとなる。
脚に至っては銀色が多く残っていたガイアV2の頃と大きく違い、完全に真っ赤っかでパッと見た感じ赤いタイツを履いてるようにも見える。
全体的な模様は銀の比率が低いアグルに近付いたが、比較するとV1よりもV2に似ている。

強化された姿であると一瞬で視聴者にアピールするために体格にも大きく変化が表れており、誰もが一目で分かるほどムキムキのマッチョになる。
チームハーキュリーズの桑原隊員役でもお馴染みのスーツアクター・中村浩二氏の筋肉質でマッシヴな体系の凄さを改めて感じられるだろう。

後述するように、ゲーム作品やフィギュアでもパワータイプやストロングタイプ以上に明確に中村さんスタイルを再現しているほどインパクトが高い。
しかし、こんだけ筋肉が膨張しておいて身長・体重はV2の頃と変わっていない。何故だ!

なお、『超時空の大決戦』では細身の長谷川恵司氏が(ガイアV2を含めて)スーツアクターを務めているため、
当時では珍しい細身のSVを見ることが出来る。通称「スリム・ヴァージョン
現在ではウルトラマン列伝系統やウルトラ10勇士等でも映像作品でのスリム・ヴァージョンが見れる。中村さんクラスはさすがにすぐに見つからないか

上述にもあった「ガイアの最強形態」という異名は全くの伊達ではなく、なんと今までSVに変身してから一度も怪獣に負けたことがない記録を持つ。

変身すれば常に優勢というわけではなく、たまに苦戦するときもあったが(それでもごく僅かな敵だけだが)、
それでも相手が本編ラスボスだろうが映画のラスボスだろうが外伝の強敵だろうがずっと白星続きである。
一度変身すれば「●●●終了のお知らせ」と視聴者から叫ばれるのはお約束。
更に変身と同時にBGMで「ガイアノチカラ」や「フォトンストリーム」「ヴァージョンアップ・ファイト!」が流れだしたら勝利確定。
相手は死ぬ。

そしてもう一つ、SVを語る上で欠かせない大きな特徴が「投げ技を多用する格闘スタイル」で、一回の戦闘でよく敵を地面に投げ飛ばす。
本当にこれでもかというくらい投げる。
中村さんが力技を得意としていたため、ワイヤーによる補助なしで中に人間の入った怪獣を投げろという製作陣の無茶振りがあったとのこと。
怪獣役のスーアクさんがカメラに映らない場所で足を浮かせ、それに合わせて中村さんが持ち上げる仕組みだったらしい。
中村さんは怪獣役の協力がなければ無理な技だと言っているが、協力があればできるという時点で既に凄い。

敵にしがみついたら最後、ガイアSVに待っているのは勝利、敵に待っているのは投げ続けられて敗北の二文字である。
そんなわけでファンから敬意を込められて付けられた通り名はズバリ「投げの鬼 スプリーム*2

特に有名な逸話なのは、SVの初の本格的戦闘が描かれたミーモス戦であり、
この回の戦闘で実に9回も投げ飛ばされたミーモスのスーツアクターを務めた三宅敏夫氏は全身打撲という大怪我を負ってしまった。*3
しかもリハーサルやNGの分も含めれば、おそらくこの回の撮影だけでも10回以上投げられていることに……。
投げ飛ばされた後のミーモスが演技とは思えないほどグロッキー状態になっていたのは多分そのせい。

無論、ガイア単体での最強の必殺光線であるフォトンストリームを使うためだけに変身することもあり、SVに変身すれば必ず投げ技をするわけでもないが、
上記の印象がかなり強いためかSVが投げないと「あれ? 投げないの?」と一部のファンから残念がられることが多い。
また、ヴァージョンアップは強敵に対抗するための切り札という扱い故か、相手に戦意がない等の理由で使われることなく終わったエピソードもあった。



◆主な使用技


  • フォトンストリーム

画像出典:ウルトラマンガイア(1998年9月5日~1999年8月28日) 第27話「新たなる戦い~ヴァージョンアップ・ファイト!~ 」より
@円谷プロ、毎日放送

ガイアの最強必殺光線にしてSVの代名詞。全身の光の力を両腕に集中させ、激しい勢いの赤い光線として解き放つ。
「腕を大きく振りかぶったのち体の前で両手を合わせ(合掌の形)、右手を下にずらして発射」という、
フォトンエッジほどではないが、ウルトラマンの必殺光線としてはかなり異色の技。
スペシウム光線系の必殺技であるはずなのに、腕を組まない。
SVお披露目回からしばらくは設定が固まっていなかったのか一連の動きにいくつか違いがあったが、現在では上述の動きに固定されている。

シャザックやイザク等、なんらかの事情で発射体勢を取りつつも撃たなかったことはあったが、
いざ一発撃ってしまえば耐えれた敵はまずおらず、文字通り相手を必ず殺す技。
(ちなみにこの2つの中断も敵の妨害によるものではなく、仲間や怪獣の声を聞いてガイアの心境が変化したことによるもの)
上述したように最後の決め技として炸裂させるためだけにSVに変身する回も少なくない。


・シャイニングブレード

両手を力強く広げ、巨大な光のブーメランを発射する技。
フォトンストリームほどではないが高い威力を持つため、決め技になったこともある。
一応切断技の類だが、時代が時代なので流石に首チョンパは無し。
なんかRPGの魔法とかにありそうなベタベタなネーミングだが気にしない。


・スプリームキック
上空から繰り出す急降下蹴り。レオキックよろしく、突き出している方の足が赤熱化する。


・スプリームクロスカウンター
右手を赤熱化させて放つカウンターパンチ。


・フォトンエッジ
クァンタムストリーム
・ガイアスラッシュ
・ガイアブリザード
・ウルトラバリヤー
・ガイアヒーリング
V1、V2で使用していた技。回数こそ少ないが、SVでもしっかり使える。
尚この内ガイアヒーリングのみV1、V2の時と放ち方が異なり、SVで放つ際のモーションは途中までフォトンストリームと同じで、
こちらは最後の両腕を振りかぶる動作に更に半回転を加えてそのまま前方に突き出して放つ。
これを利用して作中の登場人物と視聴者の双方にフォトンストリームを放つとミスリードさせた演出が行われた回もある。


  • スプリームホイップ
SVお得意の投げ技。超怪力で敵を何度も何度も地面に投げつける。
足のパワーを使って巴投げのように敵を投げる「スプリームレッグホイップ」や
重量上げのように頭上まで持ち上げて投げる「スプリームリフティング」、
Xサバーガにブチかました顔面砕き「スプリームフェイスクラッシャー」といった技もある。




ウルトラマンアグルとの合体技


・フライングアタック戦法
ガイアに向かって走ってくるアグルを敵に向かって巴投げをし、相手に体当たりさせる。
戦法とはいえ味方のアグルすら投げ飛ばすとは流石は投げの鬼!


・ダブルガード戦法
背面合わせになり、ガイアはウルトラバリヤーで、アグルはボディバリアーで防御することで、
敵からの挟み撃ち攻撃を両面からガードする。
アグルもウルトラバリヤー使えるんだから無理することないのに…


  • ダブルストリームクラッシャー / バーストストリーム
フォトンストリームアグルストリームを同時に放つ合体光線。
前者の名称は『ウルトラマン列伝』で登場し、後者はPSソフト『ダイダルの野望』で使用された。
使用期間が長かった事もあってかバーストストリームのほうがしっくり来る人も多いかも。


  • ストリーム・エクスプロージョン

画像出典:ウルトラマンガイア(1998年9月5日~1999年8月28日) 第51話「地球はウルトラマンの星」より
@円谷プロ、毎日放送

アグルは上空からアグルストリームを、ガイアは地面からフォトンストリームを同時発射させ、
2つの光線を空中で交差させて極太の破壊光線にさせてぶっ放す大技。本編ラスボスのゾグの胴体をブチ破るほどの威力を持つ。
上述のバーストストリームと同じ技だと思われていたが、『ウルトラマン列伝』ではこの名称で呼称されたので厳密には別技だと判明した。


  • フォトンスクエア
フォトンストリームフォトンスクリューを同時に放つ合体技。
一見合体技に見えないが吸収能力を持つガクゾム(強化体)を真っ向から打ち破った。


【スーパー・スプリーム・ヴァージョン】

2023年のライブステージで唐突に登場した現状の最強形態。
ガイアSVとアグルSVが心を一つにして融合合体したスーパーウルトラマンであり、外見はガイアをベースにアグルの要素をアクセントとして取り入れたものになっている。
構えもアグルのものがベースにしつつ、拳を握っておりガイア要素も含まれている。

地球の怪獣たちに加え、ウルトラマンを信じる人々の力をも取り込むことでこの姿に合体する。

元々アホほど強かったスプリーム同士の融合戦士だけに、その戦闘力は比肩する方が難しいレベルで高く、復活したキングオブモンスを瞬殺、ゾグと根源的破滅招来体群を一撃で消滅させるなど、とにかくアホほど強い。
とはいえここまでになるとさすがに変身者の消耗も激しくなり、戦闘終了後には肩で息をするほど疲弊していた。

なお、ガイアとアグルは進化するウルトラマンであるため、二人が強くなるほどにこの形態も加速度的に強化されていく特性を持つ。

デザイナーは勿論丸山浩氏が担当しており、登場自体は最近だがデザイン案は『ガイア』本編放映時期からあったアグルSVとは異なり、こちらは完全新規デザインである事が明かされている。
デザインラインが現代的にリファインされている事もあってウルトラマントリガーやデッカーと並ぶとニュージェネ版ガイアっぽく見えると専らの評判。

【余談】

ガイアの強化形態というポジションでありながら映像作品では2001年に発売されたOV『ガイアよ再び』を最後に長らく出番が無く、
超ウルトラ8兄弟』にも未登場だったが、2015年公開の『決戦!ウルトラ10勇士!!』の終盤、
エタルガーが再生させた強敵・ファイブキング(エタルダミー)相手に映像作品ではおよそ14年ぶりにヴァージョンアップ。
フォトン ストリーム&ティガ・パワータイプのデラシウム光流&ダイナ・ミラクルタイプのレボリウムウェーブの同時発射という
オーバーキルにも程がある合体技で見事勝利に貢献した。そしてまたもSVの勝ち星が増えた。
ただ、こちらでは変身時などのポーズやエフェクトは原作『ウルトラマンガイア』とは若干違っていた他、当時時代のウルトラマンらと同様に必殺技名を叫んでいた。

更に『ウルトラマンZ』の第8話でもファイブキングが登場したが、ゼットの超能力形態・ガンマフューチャーの技「ガンマイリュージョン」で登場したガイアの幻影がまさかのヴァージョンアップ
今度は頭部のゴルザメルバを狙ったティガ・マルチタイプのゼペリオン光線、右腕のレイキュバスを狙ったダイナ・フラッシュタイプのソルジェント光線と同時に、
左腕のガンQを狙ってフォトンストリームを発射し、同時に三(四?)部位を破壊した。確かに光線技を吸収するガンQを担当したとは言え殺意高すぎませんかね…
そしてまたしてもSVの勝ち星が増えた。
こちらは、変身時や構え、フォトンストリームのポーズ及びエフェクト、効果音は完全に同じで必殺技名も叫んでおらず完全に原作『ウルトラマンガイア』準拠。その上、スプリームへの変身時エフェクトは、『ガイア』第26話「決着の日」で初めてスプリームとなった際の一度限りの変身エフェクト(アグルの青い光が体の上から下へ貫通する描写)が使用されている。『ガイア』ファンはさぞ歓喜したのでは。
そして24話でも再登場。本編のラスボスであるデストルドスにティガ&ダイナのTDスペシャルと共にフォトンストリームを発射したがなんと耐え切られそのまま幻影が消滅してしまった。これによりデストルドスの強さが確認できるであろう。

ウルトラマンのゲームシリーズでもガイアが参戦する作品には当然登場。
中には『大怪獣バトル』や『対決!ウルトラヒーロー』のように、ガイアSVがデフォルトの姿として出演しているのもある。


ウルトラマン Fighting Evolution 3』ではフォトンストリームの威力が全キャラの必殺技でも5本指に入るくらいの高火力に設定されているなど高待遇。
しかし、他のウルトラマンのタイプチェンジと比べると少しチェンジに時間がかかるため、
ヴァージョンアップをしようとして一瞬無防備になった隙にどつかれるガイアは対人戦・CPU戦問わずよく見られる。
おあつらえ向きなことにガイアの必殺技には相手を凍らせて無防備にできる必殺技「ガイアブリザード」があるのでこれを併用するといい。

続編の『Rebirth』ではRebirth特有のダイナミックな演出によりフォトンストリームの勢いと迫力が画面を覆うというエラいことになっている。
ウルトラモードのストーリーでは、ガイアが担当する2つのエピソードには何故か必ず負けイベントが存在するため、
プレイヤーの操作次第では幻影ウルトラマンアグルネオカオスダークネス相手にフォトンストリームも通じず敗北してしまうSVの姿を見る羽目になってしまう。
ゲーム中でもSV無敗伝説を守りたい人は、可能な限りヴァージョンアップするタイミングを見計らうこと。
「V2で幻影アグル戦に敗北」→「その後のブルトン戦でSVに変身、フォトンストリームでトドメ」だと戦闘BGMの「ウルトラマンガイア!」も合わさってかなり胸熱な展開に持っていける。
ネオカオスダークネス戦ではどうあがいてもガイアではトドメを刺せない*4ので、ヴァージョンアップすること自体非推奨。


アクションフィギュアであるULTRA・ACTシリーズでもガイアの全形態が商品化されておりプレミアムバンダイ限定でガイアSVも発売されている。
しかし完全に同じ体型の色替えなV1、V2に対してSVはほぼ完全新造の体型となっており、まさかのマッチョ体型を完全再現している。
そのため他のACTのウルトラマン達と並べると明らかに一人だけ物凄くゴッツい。






ガイア、追記・修正だ!!


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最終更新:2023年12月03日 20:04

*1 因みに放映日は3月6日でこの項目が建った日と同日。

*2 ただ、初代ウルトラマンやストロングタイプと違い、投げ技がトドメとなった回数は意外と少なめ

*3 撮影に使用される怪獣の着ぐるみは基本的に殴られたり火薬の爆発に耐えられるように丈夫にできている分、重量は相当な物で、地面に叩きつけられるものなら自分の体重+着ぐるみの重量が一気に全身に襲い掛かるという。

*4 ガイアの戦闘後、さらにティガ→コスモスとバトンタッチしていくため。