登録日:2010/07/05 Mon 03:06:40
更新日:2024/04/18 Thu 15:53:44
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『踊る大捜査線』とは、
フジテレビで制作・放送されていた刑事ドラマシリーズである。
主な脚本は君塚良一で、主な演出は本広克行と澤田鎌作が担当した。
サブタイトルは当時のプロデューサーだった亀山千広氏がつけている。
□概要
サラリーマンから刑事に転職した青島俊作の活躍を描くのが基本の流れだが、事件だけでなく警察の裏側や日常を描いたシーンが多いのが特徴。
また「ヤマ」等隠語ではなく「本件」や「本店」「支店」等実際に警察でよく使われる用語が使われている。
事件のみならず警察組織が抱える問題を描くなどリアリティあふれる描写はその後の刑事ドラマに多大な影響を与え、従来の主流だった「派手なアクションとドンパチカーチェイス」系の作品はこれ以降急速に衰退することとなった。
本広氏によると本作は「
機動警察パトレイバー」に大きな影響を受けたとパトレイバー文庫本のあとがきで公言しており、事実作中にはパトレイバーのオマージュと思しき描写があちこちに見受けられる。
後述する作品展開とは裏腹に、連ドラ作品は1997年1月7日から3月18日までの1クールしか製作されていなかったりする。
河田町時代に放送されたフジテレビ系の連ドラでは最後の作品でもある。
□作品展開
本放送以後、再放送で人気となり
『踊る大捜査線 歳末特別警戒スペシャル』
『踊る大捜査線 秋の犯罪撲滅スペシャル』
『踊る大捜査線番外編 初夏の交通安全スペシャル』
という特別番組が製作された。
人気の上昇から映画化もなされ、
『踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!』
『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』
『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』
『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』
の4本が制作された。
スピンオフ作品には
『
交渉人 真下正義』
『容疑者 室井慎二』
があり、その更にスピンオフの作品に
『逃亡者 木島丈一郎』
『弁護士 灰島秀樹』
がある。
あと、特別企画として製作された
『警護官 内田晋三』
『係長 青島俊作』
も立派な踊るシリーズ。
そして、スリーアミーゴスが大暴れする
『深夜も踊る大捜査線』
『舞台も踊る大捜査線』
も忘れてはならない。
2010年7月、DSで「踊る大捜査線 THE GAME 潜水艦に潜入せよ!」が発売された。
こちらは青島が映画二作目で室井に「迷惑をかけた」と語っていた「潜水艦事件」が描かれる。
2012年9月公開の映画「FINAL」が公開、その直前には最後のスペシャルドラマ『踊THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件』が放送された。
2024年秋に映画最新作が公開予定。
□あらすじ
テレビドラマの刑事に憧れ、脱サラした珍しい経歴を持つ「青島俊作」は晴れて湾岸警察署の刑事課強行犯係に赴任する。
しかし、そこで青島を待っていたのはサラリーマン時代と大差ない職場と、本庁とのヒドい縦社会という理想とはかけ離れた現実だった…
□主な登場人物
演:織田裕二
湾岸署刑事課強行犯係・巡査部長。
パソコンプログラム会社の営業No.1だったが刑事ドラマの刑事に憧れ警察官に転職。交番勤務から晴れて刑事になった。
市民のことを常に考え、自分の「信念」を貫く今時珍しいタイプ。
その為本庁のやり方には馴染まず対立することが多く、大抵暴走して袴田達に迷惑を掛ける。
劇場版3以降は魚住の後を継ぎ強行犯係長・警部補となる。ちなみに部下は和久さんの甥(猪八戒)・夏美・ネットオタク(
某幻獣拳の龍)・中国人留学生。
子どもっぽい面があり、軍用品のモスグリーンのコートを愛用している。(通称「青島コート」)
演:柳葉敏郎
警視庁刑事部、捜査一課強行犯捜査担当管理官(警視)
所謂キャリア組の官僚である。最初はガチガチのキャリアで青島達と衝突する事が多かったが、湾岸署との交流の中で現場の刑事が活動しやすい組織作りと警察の改革を進めようと決意する。
特注……もとい通販で買った黒のロングコートをいつも着ている。
中の人と同じく
秋田県出身で特技はきりたんぽ鍋作り。時々秋田弁が出る。
キャリア組には珍しく東北大学出身の為、東大出身者が多数派のキャリアの世界では同期と比べ出世が遅れがち。本人もややコンプレックスを抱いてる様子。
いつも眉間に皺を寄せている。
演:深津絵里
湾岸署刑事課盗犯係・巡査部長
盗犯係なのだが、青島と同じ事件の捜査にあたることも多い。非常に正義感が強い。
ある事件で腕と心に深い傷を負い、婚約解消してしまった過去を持つ。
食への執着が激しくカップ麺は常備。年寄りが爆弾椅子に座ろうがレストランの予約は譲れない。
演:いかりや長介
湾岸署刑事課強行犯係・巡査長
見るからに「デカ」って感じの定年間近のベテラン刑事。青島に刑事のイロハを教えた。
かつて一緒に捜査していた新人を犯人逮捕の際、殉職させてしまったことを今でも後悔している。
深くかっこいい台詞を言うが「なんてな」と照れ隠ししたりもする。腰痛持ちでしょっちゅう「腰がいてぇ〜」と言っている。
演者はご存じドリフターズのリーダーで、自著内では織田をテレビドラマの演技を教わった師匠として敬意を表している。
劇場版三作目では既に亡くなっているが、彼の甥っ子刑事が登場。伯父の言葉を遺した通称和久ノートが、死してなお青島達の心の支えとなった。
演:ユースケ・サンタマリア
湾岸署刑事課強行犯係・警部補→警部
「東大法学部卒業、父親は警視庁第一方面本部長」ととんでもないキャリア組で青島より階級も上だが、年下の為青島を「先輩」と呼ぶ。
かなりのヘタレだが、やる時にはやる男。当時高価で珍しかったノートパソコンを現場に持ち歩く。またネットに自分のホームページを持つ。
後に強行犯係係長になり、更にアメリカでの研修を受け「日本初のネゴシエーター」となった。
因みに当初の予定では殉職させる予定だったが視聴者からの人気があまりに高く、公式HPで殉職させないでとの書き込みが殺到し殉職は無くなった。また、演じたユースケ・サンタマリアの知名度を大きく上げた作品でもある。
MOVIE3ではとある理由から交渉人はクビになったらしい。一体何があったのだろう?
そして3ラスト~最終作では神田の跡を継ぎ湾岸署の署長(階級も警視正に)となった。
演:水野美紀
第一話の被害者の娘。父が殺されたショックで言葉が出せなくなってしまった。その後回復するも、元恋人の犯罪に荷担したと疑われる。
事件解決後、親身になってくれた青島に憧れ警察官を志す。
連ドラ版最終回以降は湾岸署刑事課に在籍する婦警。
『交渉人 真下正義』後真下と結婚し、一子をもうけた。
余談だがリアルでは最終作の4年後、
ライダー怪人の演者と結ばれ子を得ている。
ボケとコントをかましまくるオヤジ3人組。
スリーアミーゴスその1:神田総一朗
演:北村総一朗
湾岸署署長・警視正。モットーは「警察の仕事はミスのない捜査とスキのない接待」。主な仕事もお偉方の接待。
隣の勝どき署の署長とは同期でライバル。
映画では必ず、一番しょうもない事件の犯人になっている(領収書盗難事件、不倫メール事件)。
連ドラ最終回では青島に自らの首を賭けた。
最終作では定年退職しており、真下署長率いる湾岸署の指導員となっている。
ちなみにリアルでの後輩に
かつしか署のセレブ警官がいたり。
スリーアミーゴスその2:秋山春海
演:斉藤暁
湾岸署副署長・警視
いつも署長と行動を共にしており、事実上署長の腹心。腰巾着。金魚の糞。
時々署長を裏切ったりもする。
ヘキサゴンに出演した際に、主題歌のLove-Somebodyをねばねばの歌と答えた。
最終作では神田同様に湾岸署の指導員となった。
スリーアミーゴスその3:袴田健吾
演:小野武彦
湾岸署刑事課課長・警部→湾岸署副署長・警視
青島の直接の上司。青島の暴走に悩む中間管理職。
アミーゴスの中で一番部下思い。
「私の部下をバカにしないで頂きたい」
昔
城西警察署に居たらしい。
番組のコメディリリーフとして主力刑事に匹敵する人気を誇り、青島の名字の由来となった青島幸男(テレビ版時点での東京都知事)が出演するテレビドラマ『意地悪ばあさんリターンズ 伝説のばあさんVS湾岸署スリーアミーゴス意地悪バトル』を筆頭に、3人名義で他番組に出演したこともある。
また、同局の時代劇ドラマ「大奥」でも近いポジションの「大奥スリーアミーゴス」が結成され、平成版では鷲尾真知子・山口香緒里・久保田麻希、令和版では山村紅葉・ハシヤスメ・アツコ・小林きな子の3名が江戸城の奥女中に扮している。
演:佐戸井けん太
湾岸署刑事課強行犯係係長・警部補
袴田部長と同じく悩める中間管理職。フィンランド人の嫁と2人の子供がいる。
キャリアの真下が係長に出世した際は一時的に係長代理に降格してしまった。
劇場版3では課長に昇進。
演:小林すすむ
湾岸署刑事課盗犯係係長・警部補
いつもすみれの名字を連呼する中間管理職。
演じた小林氏は最終作撮影終了後他界したため、上映時には追悼テロップが流された。
演:内田有紀
湾岸署交通課・巡査→湾岸署刑事課強行犯係・巡査部長
番外編『踊る大捜査線番外編 湾岸署婦警物語 初夏の交通安全スペシャル』の主人公。
映画「ダーティハリー」が好きで刑事になりたくて警察官を志し、警察学校を卒業したばかりの新人として、湾岸署交通課に巡査として配属される。
志望動機・自分の信念を貫き暴走する等、青島とそっくりで「女青島」と呼ばれることになる。
後に刑事課に配属され、劇場版3以降は青島の部下になる。またこの頃には既に結婚しており、TVSP最終作では2児の母である事が示されている。
□そのほかの登場人物
□TVドラマスペシャル『歳末特別警戒SP』以降の登場人物
演:筧利夫
初登場時は警視庁捜査一課管理官。
初登場時は、すみれに『室井弐号機(当時世間でも注目を浴びた
エヴァのパロディネタ?)』『室井さんのそれより眉間のしわがすごい』と評される。
初登場時は、所轄を明らかに見下し、捜査のメインの部分は直属の警視庁捜査一課の部下にしか任せないという徹底した本庁寄りの人間。
このため、これ以後は本庁寄りの人間として、保身を図りながら、青島や室井達と対立していく。
が、劇場版1作の終盤で青島が重傷を負ったのに、青島のことなぞ誰も気遣うそぶりすら見せない態度を警察上層部が見せたことで、彼の奥底に眠っていた正義感が爆発。それ以降は室井側の人間として、室井を水面下で支えるようになる。
演じた筧にとっては本作がブレイクのきっかけともなり、同局で放送されていた「
めちゃイケ」の「シャンプー刑事」コーナーに役柄そのままで登場し、踊りながら相手にシャンプーをかけるというノリノリな面を見せた。
本作終了後、湾岸は湾岸でも
寂れた埋め立て地にある特車2課の小隊長となった。
□劇場版以降の登場人物
演:真矢みき
劇場版第2作で初登場。初登場時は警視庁捜査一課管理。
初登場時は、青島の目の前で堂々と「事件は会議室で起きてるのよ」とあからまさに挑発。
劇場版第2作では、保身主義、自己顕示欲、野心家、権力大好き人間と、まさに典型的な悪役。
もちろん、指揮官としてはポンコツ。案の定、事件解決どころか事態の混乱を助長するばかりで、最終的に新城の手で更迭される。
本来なら懲戒モノだが、室井がかばってくれたことで、懲戒にはならずにすんだ。
このため、これ以降は室井のシンパとして新城とともに水面下で室井を支えることとなる。
演:寺島進
劇場版『交渉人 真下正義』で初登場。階級は警視。
べらんめえ口調の、豪快そのものな警察官。
警視庁に居る
凄腕のスナイパーと顔が瓜二つだが…
□用語
通称 WPS=Wangan Police Station
1990年代になって港区台場に新設された警察署である。その為オフィスビルみたいな外観と内装である。
世界都市博の中止で、湾岸地区の開発に一旦ブレーキがかかり周りが空き地だらけになったことから「空き地署」と呼ばれている。
しかし「空き地署」はもはや過去。2000年代前半にはお台場が日本有数の観光地になったことで都内有数の忙しい警察署に…
テレビスペシャルや劇場版では冒頭に湾岸署周辺の空撮があり、発展の過程を見ることができる。
しかし2008年、現実世界で「東京湾岸警察署」が出来てしまった。
このことにより「湾岸署」は使えなくなり、映画3作目で引越をするはめになる。
「湾岸署」という名前はこのドラマのせいなのである意味では皮肉であろう。
劇場版2から登場した湾岸署のマスコット。
警視庁のリアルマスコットピーポくん風な色にパトランプを頭に付けた着ぐるみ坊や姿をしており、劇場版2OPで流れたPR映像ではメインとなるオレンジ湾岸君を中心に7色7人の湾岸君が登場した。
スピンオフミニドラマ『深夜も踊る大捜査線2』ではスリーアミーゴスがこのキャラのデザインを考えている様子が描かれ、没デザインとして「まんまピーポくん風」・「神田署長ッポイメガネ君」等が提示された。
正式社名は新日本運搬。その名の通りカエルのロゴマークが特徴の運送会社。
毎回、このカエル急便が登場するとほぼ確実に何かしら事件が発生する。
別名「不幸を運ぶカエル急便」
精密機械を専門に扱う「ブラックカエル急便」というものも存在する。
湾岸署の管轄区域唯一の名産品で署長達が接待するときに必ず差し出す七色の最中。
レインボーブリッジとかけた名前で何度も使われた。その後「台場名物レインボーブリッジ最中」として実際に商品化された。
今ではフジテレビや羽田空港で売っている。
この作品の架空鉄道。モデルは
東京メトロ。
「交渉人 真下正義」のみ登場
より詳しい人、追記・修正お願いします
- 交渉人面白かったぜ、馬鹿野郎ォ!! -- 名無しさん (2014-05-08 12:23:14)
- そういえば踊るのBGMって、エヴァンゲリオンの一部のBGMを使用していたらしいぞ。 -- 柔 (2014-07-22 22:04:35)
- ↑いや両方とも007の曲のオマージュだから似た曲になってるだけだぞ -- 名無しさん (2014-07-22 22:27:37)
- 映画『セブン』の影響を多大に受けて作られたんだっけ。「クウガ」や「タイムレンジャー」もある意味ではこの作品の影響を受けて作られてる節があるし、兎にも角にも日本のドラマにおける一大転機だったのは間違いない。 -- 名無しさん (2014-09-25 12:07:29)
- 昔のフジテレビのドラマは好評だったのに今ときたら…。 -- 名無しさん (2015-02-12 12:22:59)
- それでもやっぱりfinalのラストシーンはくるものがあったな、1番好きなドラマです -- 名無しさん (2016-10-31 17:56:21)
- 引ったくりで女学生に怪我させた犯人が、官僚の息子だから揉み消してくれとか、手配中の犯人を確保しようとしたら、目の前で女性がチンピラに襲われてて、命令無視してでも女性を助けたと印象深い話が多かったな -- 名無しさん (2017-05-10 11:42:21)
- 時代に付いていけなくなっちゃった -- 名無しさん (2017-10-16 20:48:08)
- ↑×2 最近アニヲタWikiで建てられた明智警部の事件簿の『少年の“仕返し”』でも似たような官僚のドラ息子が登場したな。あちらは状況がヤバくなった途端に後ろ盾の父親に見捨てられたけど、最終的に改心したのが救いだった -- 名無しさん (2018-09-09 12:22:29)
- 欲をかかなければサラリーマン刑事ものとしてまだサザエさんみたいな存在になれたかもしれない作品だと思う。俳優入れ替わりはあれど湾岸署は残り続ける感じで。 -- 名無しさん (2018-09-17 10:41:27)
- 違反コメントを削除しました -- 名無しさん (2018-09-18 23:21:39)
- ドラマとか映画一作目くらいの頃は当時の最先端を行ってたんだけど映画2作目くらいからネットの発達とかそれに伴う価値観や流行の変化にいまいちノりきれてなかった感じ ある意味この作品のプロデューサーだった亀山氏体制のフジテレビを象徴しているともいえる -- 名無しさん (2023-01-16 06:27:09)
- 本作のお馴染みのメインテーマ「RYTHEM AND POLICE」は、カヴァー曲なんじゃないの?ってくらい似ている元ネタが存在する。というか、原曲はクラシックだし、その音源をサンプリングして分解&再構成したコラージュみたいな曲と捉えるのが適切か。 -- 名無しさん (2024-04-18 15:53:44)
最終更新:2024年04月18日 15:53