マナによる慈善財団(SCP Foundation)

登録日:2017/02/27 Mon 21:07:17
更新日:2024/02/15 Thu 14:36:27
所要時間:約 10 分で読めます





MCFの最終目標は、我々の活動が不要であり求められもしない世界、すなわち病気も、飢餓も、貧困も、武力紛争も取り除かれた世界の創造です。
我々マナによる慈善財団は、世界を健康と食料と繁栄と平和のもとに団結するためにいかなる努力も惜しまず、それを可能にするいかなる資源も利用いたします。
その実現が、どれだけ困難なものであろうとも。


マナによる慈善財団(Manna Charitable Foundation)』、通称MCFは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場する、要注意団体の一つ。
日本では「マナ財団」と呼称されることもあるが、ここでは財団世界内の通称であるMCFと略して呼ぶ。




概要

MCFは基本的には「あらゆる困難も取り除かれた」世界を目指してさまざまな慈善事業に取り組む善人たちの集まりである。
つまり、現実のNGOやNPO、赤十字社のように、彼らの多くは貧困に喘ぐ人を助けたり、困っている人を助けたいと願い、そのために汗を流すいい人たちである。

志は本当に立派な人たちなのである。

――――――無思慮にアノマリーさえ使わなければ。

危険なアノマリーなんて山ほどあるのに、ひとたび有効そうなアノマリーを見つけると、深く調べもせずにそれを人助けに使うのである。

一応特性調査もしてあるっちゃあるようだが、はやる気持ちを抑えられないのか大概の場合、調査が済んでいない段階で使って大惨事を引き起こす。*1
それでも彼らは目的達成のため、今日もめげずに頑張るのだ。めげてくれ頼むから。

そんな彼らは他のGOIにとってはいいお客様というか、カモなのか、とかくいろんなところから寄付を受けているようだ。
ワンダーテインメント博士とかマーシャル・カーター&ダーク株式会社とか。GOCもMCFに元メンバーを送り込み、寄贈品をいくつか渡しているようである。早い話が監視。
メカニトの洗脳改造人間信者の救済を行っているため、計画書をハッキングされ落書きされているほど仲が悪い。
いずれも面倒くさい団体であるうえ、本人たちは何度失敗しようが騙されようがめげない。本当頼むからめげてくれよ。

設定を見る限り、所謂偽善的なボランティア団体への風刺のようだ。………尤もMCFの連中のように純粋な善意以上に厄介なものはないのだが。


MCFが運用したアノマリー(財団がその後対処にあたったもの)

SCP-514 - A Flock of Doves (鳩の群れ)

これは独立記事があるので詳しくはそちら参照。鳩と言えば平和の象徴だが…。

SCP-1176 - Mellified Man (ミイラのはちみつ漬け)


石棺に収められたミイラ。このミイラの体液が本来ある石棺は、金色のはちみつっぽい液体で満たされている。
石棺から取り出すとこのはちみつっぽい液体がどくどく流れてくる。

で、このはちみつっぽい液体なのだが、アナトリアミツバチが産生したシロツメクサの蜂蜜と化学的には同一にも関わらず、どういうわけかAB型の人が食うと腹が満たされ、長い時間栄養補給を必要としなくなる。一方でAB型の人以外が食うとアナフィラキシー・ショックを引き起こしてしまう。

で、これを見つけたMCFの職員がたまたまAB型だったのかは知らないが、恐らく便利だと思い、エチオピアの飢饉のあった地域に大量に供給されたようだ。

…うん、まずミイラからでてきた液体を飲ましてやろうとか何考えてんの?致死性云々以前に頭おかしいだろ?MCFの職員はあくまで善意だから救いようがない。
血液型の分布は民族によってまちまちでエチオピア近辺でのAB型の割合は全体の 5% 。比較的ABO血液型が均等に分かれている日本人でもAB型は約10%である。

結果としてエチオピアで5桁の死者を出し、流石にブチ切れたのか財団もMCFの施設を襲撃してこれを奪取したようだ。

で、犠牲者の数が多すぎた今回の教訓は、Euclidであっても扱い方を間違えればこういう大惨事が起きるということですね。



SCP-1615 - Photosynthetic Manna (太陽育ちのマナ)

オブジェクトクラス:Safe

異常な生存能力を獲得した未知のカビっぽい菌類。
例によってバラ撒かれたらしくだからなんですぐばら撒くんだよいろいろな場所で拡散してしまったようだ。
これに汚染された食い物を人間が口にすると、体に葉緑素ができて光合成ができるようになる。ただし、必要な栄養素を補充するためにサプリは飲まないといけないこういうのが必要な地域でサプリが手に入るはずもねえよなぁそもそも。
暗い場所で一週間飯を食わせ続けると元に戻れるが、困ったことに食欲が完全になくなるので、選択肢はなくなるようだ。

ちなみにプロジェクトを遂行したMCF職員は別の部署の人に手紙を書こうとしていたらしく、


親愛なる[判読不能]

あなたが自身の権限下にないプロジェクトにまで何故干渉してくるのか加わろうとするのか私には分かりませんが、
まずあなたに知らせなかったあなたの許可を得ずに新式レーションを配布したことについての怒りに関しては理解しています。

しかしながら、それは無用な心配であると私が保証いたしましょう。
このレーションは例のハ[判読不能]と違って食べても何の問題もなく、配布対象の方々を脅かすことは一切ありません。
確かに問題点も少々ありはしますが、これもあなたが考えているような類のものではありません。

私は十二分に注意を払ってきました。問題はありません。あなたと同じ間違いは繰り返させません。
あなたが恐れているのはわかります。しかし我々は絶対にも絶対に、何があろうとも再びあの恐ろしい

製品はすでに安全検査を終えており、抱え込んだままにしておくというのは無責任が過ぎるというものです。機能は完璧。問題は皆無。約束して見せましょうとも。

…と、「蜂蜜で虐殺して回ったあなたとは違うんです」と言わんばかりの文章だ。
蜂蜜配布野郎がまだいるのも問題だと思うのだが、直接殺してないとは言え、コイツのバラ撒いたカビが土壌まで汚染して翌年に収穫された小麦は全部焼却。(大惨事再び)
つまりコイツも間接的に殺し回っている。
ってかいい加減めげろ。


SCP-118-KO - 만인의 구세주 (万人の救世主)

オブジェクトクラス:Keter

危機に直面した人間を、どんな手を使ってでも守ってくれる円盤。
人や動物に襲われているなら精神作用をもたらして襲っている生き物から敵愾心を取り除き、災害に合っていればそこから持ち上げて移動させる。その人が死にかけの時はテレポートすらするという。

…え? なんでKeterなのかって? ハルプス博士が通告出してるから読んだらわかるよ。

私は「SCP-118-KOは何故オブジェクトクラスがKeterなのですか?」などという愚問を何度も聞かされるとは想像もしていませんでした。この機会にSCP-118-KOの危険性を説明しますので耳の穴をかっぽじってよくよく聞いておいてください。SCP-118-KOは客観的な価値判断をせず、危険に瀕するだけでそれがどんな人間であってもその危機的状況から救いだします。このことは、9歳の純粋な子供であろうと数十人の人間を殺した殺人鬼であっても危機に陥りさえすれば無条件で助けてしまうという意味です。

今これを財団に代入してみてください。世界の滅亡を遅らせるためにとても言葉で表現できない苦痛を受けている女性現実改変能力のために一生を眠ったままで過ごし廃棄が検討されている少女、それに加えてクソアベルの収容状態を危機的状況だと判断して収容違反させてしまう可能性があります。財団内にはこのような苦痛を与えて絶望させることにより、世界を救うことができるSCPオブジェクトが数え切れないほど多いという事実を確認すればSCP-118-KOの危険性も十分理解できるはずです。

もしSCP-118-KOの危険性を軽視して収容違反を引き起こすような失敗を犯した場合、SCP-118-KOの危機に陥った人間に転移する能力によっていつこれらのSCPオブジェクトに接触してしまうか、誰も分かりません。KeterクラスのSCPオブジェクトが大量に収容エリアを飛び出していく光景を見たくないのであれば、SCP-118-KOの収容に総力を注がなければならないという事実を忘れないでください。

…まあそういうことだ。

で、なんでこういう面倒くさい円盤がそもそもあるのかというと、どうやらMCFがこれを飛ばしたということなんだそうである。
難民を大量に産んだ独裁者がこの円盤に守られる可能性とか微塵も考えなかったのかお前らは。

SCP-1176-JP - 食糧危機の救世主

オブジェクトクラス:Safe

MCF日本支部のオブジェクトはどんな過酷な環境にも耐えて、12時間で収穫可能で、根茎葉の一部からでも3~6時間で成長する夢のようなトウモロコシ(遺伝子改造済)。
……ただし、後者の場合、穂の中身はスカスカ。

つまり、葉が千切れた、茎が折れた、根っこが残った等のトラブルで食えないトウモロコシがものすごい勢いで増殖し、一般的な除草剤も効かない根っこからは他の植物の成長を阻害し枯死させる毒が撒き散らすオマケつき。もちろんSCP-1176-JPには効かない。

このトウモロコシは『アフリカの角*2食糧危機救援プロジェクト』の一環としてMCFが日本名物GoI、日本生類創研に委託して作らせたガバガバ管理野郎共の夢のトウモロコシで、財団は種の状態で保管している。

日創研は結実と繁殖管理に必要な液体肥料を量産体制が整い次第送ることを伝え、テスト用の種を送った。

日本支部の担当者は、まず種だけでもとエチオピアに送った。
……翌月、財団が傍受したエチオピア-日本間の通信がこちら。

MCF日本支部職員: なぜ勝手にあれを植えた!?必要な物資が届くまで植えるなと指示しただろうが!

MCF現地スタッフ: すでにここソマリ州では食料危機で100万人規模の飢饉者が出ている!我々はそんなに悠長に待っている余裕なんてないんだ!いち早く食料生産しないと間に合わないと我々現場が判断したからだっ!

MCF日本支部職員: ああもう!あのあたりの地域ではすでにミ[不明瞭]の蜂蜜で失敗したというのに…今こっちでも対策を考えてる。寄贈元に対策法について尋ねようとしてるんだが全く連絡がつかない…現場でなんとか暴走を食い止めてくれ!

MCF現地スタッフ: 分かった…こちらでもできることをなんとかやってみる…
エチオピア人はMCF職員に石投げても許されると思う。

こいつらになんとかできると思わなかった財団は即座に機動部隊を派遣。火炎放射器と焼夷弾と猛毒の枯葉剤で██万ヘクタールのSCP-1176-JPを駆逐し、不毛の荒野と化した該当地域を封鎖。次いでMCF日本支部への強制調査で種を押収した。




SCP-2030-JP - 毒薬

オブジェクトクラス :Euclid Keter
既存のウイルスとは構造が異なる嫌気性のウイルス。現在3種のウイルス株が発見されていて、人から人に接触感染で広がっていく上に治療法は無い。(財団が研究中)
これに感染すると、重度のHIVだろうがエボラだろうがあらゆる 他のウイルスや異物による病気が治ってしまう

つまりこれに感染すれば健康体になるのだ(ガンは自前の細胞の変異なので無効)。もちろん製作はニッソ。

ただし感染者が次の()内を満たすと かなりエグい症状と共に死ぬ

  • SCP-2030-JP-A(気温35度以上)
感染者は現代日本で夏にエアコン無い場所行くと死ぬ
  • SCP-2030-JP-B(気温-20度以下)
冬の北海道で防寒を怠るとアウト
  • SCP-2030-JP-C(極度な栄養失調)
ちゃんとご飯を食べないと死ぬ

だがそれを守ればほとんどの病気を防げるわけで、特にBは温暖な地域でずっと暮らす人間には悪くない。
この性質自体は財団も医療目的に使えないか研究をしている。

………ということで、MCFは気温が比較的温暖な エチオピア難民 にSCP-2030-JP-Bを大量に持ち出して注射しまくった。

だが実際に投与したのはSCP-2030-JP-C

その後の状況はわかるよね?
一言だけ言うと蜂蜜や菌類と違って 感染する
財団がオブジェクトクラスを変更した理由もお察しの通り。


エチオピア人はMCFのおもちゃじゃない。


SCP-2834-JP - 『彼女』に寄る

オブジェクトクラス : Euclid
生育が異様に早く、通常半年かかる収穫が1月で可能になる代わりに味が悪く、しかも収穫期に収穫しないと1週間で枯れて新しい同種が勝手に生え、それを繰り返す程にどんどん味が悪化するパンコムギ。
劣化前でも味が良くない事と最大まで悪化した後は喰っただけで軽度の頭痛や悪心を引き起こす程の味になる事を除けば単純計算で通常の6倍の速度でコムギを生産する事が可能になる為ちゃんと収穫してれば低ランクとは言え大量の小麦粉を安定生産出来る事から食料生産には普通に有用。

ただし異常性はそれだけではなく、これを食べると食べた人間にだけ顔の右半分に花の蔓が巻き付いた少女(SCP-2834-JP-A)の姿が視認出来るようになる。
少女の行動はSCP-2834-JPをどのような調理方法で調理したかによって相違が出るようだが、別段摂食者に危害を加える事もなく、食べ終わったら消失する。

しかし繰り返しSCP-2834-JPを摂食していると、だんだんと味を美味しく感じて来るようになると同時にSCP-2834-JP-Aに対して親愛の情を抱くようになり、最終的にはSCP-2834-JPによる料理以外の食事を拒否するようになる

実はこのSCP、MCF所属かつPAMWAC構成員の人間がニッソとGOCの協力を得て作り上げた代物。財団が開発者に直接インタビューを行っており、それによると
・ニッソの人間と協力して食べた人間が理想のアニメキャラの姿を見れるように作ったのは認める。*3
でもSCP-2834-JP-Aは知らん、恐らくSCP-2834-JPが自らの意志で具現化させた存在*4
・自分の予想ではSCP-2834-JP-Aの姿は食べた人の集団無意識が具現化させた「社会的弱者に寄り添う存在」なのではないか
と言う事である。

開発者とその周囲の人間はSCP-2834-JP-Aを「マナの理念の体現者、旗手」として考えているとの事。

SCP-2834-JPによって生産された小麦粉は日本の4306世帯に定期配布されており、その全てが自室からほぼ出る事のない引きこもり
彼らの生命維持に絶大な貢献をしている事、下手に生産停止して強制収容したらその4306世帯の引きこもりがどうなるか分かったもんじゃない事から、MCFが運用したSCPには珍しく財団が協定を結んでMCFに運用の全権を預けたままにし、
MCFが資産として運用し隠蔽を施してある上から臨時サイトを建設して追加隠蔽、一応の監視員を置く程度に留めている、と
こいつらにしては非常に珍しい事にしっかりと好意的に運用が続けられているものとなっている。




追記・修正と世界の人々がみんな幸せになれる方法の模索を、くれぐれも熟慮してくださるようお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • MCF
  • マナによる慈善財団
  • SCP Foundation
  • 要注意団体
  • GoI
  • 無能な働き者
  • 大☆迷☆惑
  • バラ撒くぞこの野郎!
  • エチオピアの敵
  • めげない←めげろ
  • 諦めの悪い考え無し
  • コメント欄ログ化項目

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月15日 14:36

*1 ただし基本的にSCP報告書は「財団に確保されている(≒元の持ち主の手から離れた)アノマリー」について書かれるものであり、「MCF管理下でまともに機能しているアノマリー」も描写外ではそれなりにある、と考える事もできる。とはいえ、複数の報告書が存在する時点でちょくちょくやらかしてるのもまた事実ではあるのだが……。

*2 アフリカ大陸東端の地域。政情が不安定。

*3 GOC技術は主に小麦粉の生産と配達面に使用されている

*4 現に上記設計思想なら食べた人間全員に同一の少女の姿が見えるようにはならない