フクロウ(ペット)

登録日:2017/2/22 Wed 12:34:00
更新日:2024/04/08 Mon 13:14:58
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フクロウとは鳥類のStrigiformes(階層分類ではフクロウ目)に属する種類の総称である。
本項目では「ペットとしての」フクロウ及びフクロウ飼育について述べる。

ONE PIECE』の登場人物はフクロウ(ONE PIECE)を参照。


【概要】

2010年代あたりから、じわじわとペットとしての人気が増加してきたフクロウ。
フクロウカフェもいたるところにオープンし、ちょっとしたブームの様相を呈している。

創作世界でもフクロウをペットとして飼っているキャラはちょくちょく見かける。
「可愛い」と「かっこいい・クール」を兼ね備え、知恵の象徴ともされるフクロウの飼育にあこがれるアニオタも少なくないであろう。

「意外と人に馴れる」「鳴かない」「飼いやすい」などという声も巷では聞こえてくるが、実際のところはどうなのだろうか……?

種類による差や個体差も大きいため一概には言えないが、先に結論を言うとペットとしての飼育は難易度が高いと考えていい。
特に一般に知られているイメージは間違っているもしくは誤解を招くことが多いので注意が必要である。
少なくとも「俺も憧れの鳥使いに!!」「心の通じる相棒になれる」などというのは一種のファンタジーと思ったほうがいいし、そういうペットがいいなら他の動物を飼ったほうがいい。

本気で飼育を検討している人はこんなページよりも専門のサイトを見るなり専門書を取り寄せるなり経験者に質問するなりしたほうがいいし、言われなくてもそうするであろうから、
ここでは主に一般によく誤解されている点について解説していく。


・そもそもフクロウって飼っていいの?

正規の手続きを経て輸入された個体なら合法的に飼うことができる。
いわゆるワシントン条約の対象となっている場合も多いのだが、輸出国の正式な許可があれば問題ない(個体ごとに許可証などが発行されるわけではない)。

うっかり密輸個体をつかまされたりしないように信頼できる専門店で購入しよう
購入後も何かあった場合、色々相談に乗ってくれるような店を選ぶのも大切である。
購入時にちょっとでも疑問に思うことがあれば、店の迷惑にならない範囲でちゃんと聞こう。
この点で、イベントやホームセンターなどでの購入は初心者には向かない。

万が一の時のために、 フクロウを診てくれそうな獣医も購入前に探しておこう
実際には都市部以外ではなかなか見つからないのが実情であるので、いざという時の移動手段も調べておく必要がある。
なお現在の日本にはフクロウが加入できる医療保険は無いため、獣医にかかると確実に万札が飛ぶ。

ちなみに、 フクロウの値段は種類によるが10万~50万円 ほど。
それ以外にケージや皮手袋などの初期投資や毎月の餌代も必要である。

どの種類にするかは、書籍などで「初心者向け」と紹介されている種のうちから、好みや住環境などに合ったものを選択することになる。
なおハリー・ポッター・シリーズで一躍人気が出たシロフクロウは、大きさ・危険性・人への馴れやすさ・本来の生息域と日本の環境の違いなど、あらゆる点で初心者には全く向かない

なおショップで売られているフクロウはWCとCBに分けられる。WC(ワイルドコート)は野生の個体を捕獲したもの、CB(キャプティブブリード)は飼育環境下で繁殖したものである。
同じ種類ならWCはCBよりも安いことが多いが病気や寄生虫を持っている可能性がCBより高いとされる。
決してCBだから絶対に人に馴れる、ということは無いのでその点は注意しよう。

なお、 日本に生息している野生のフクロウの(無許可での)捕獲及び飼育は違法
もし、怪我をしたフクロウを見つけた場合は、 野生鳥獣担当機関 に連絡して指示を仰いでもらおう。


・鳴かないって本当?

これも種類・個体による……が、基本的には「全然鳴きませんよ!!」というショップの売り文句は全面的には信用しないほうがいい
集合住宅や家族と同居の人などは特に注意が必要である。
ペットショップでは大勢の人間に見られるストレスで鳴かないだけで家に連れて帰ってきたら凄まじい勢いで鳴くという個体もいる。

なお誤解されやすいが、人に馴れている個体ほどよく鳴く
むしろ鳴かないのは警戒されている証拠である。

あくまで目安として、一般にあまり鳴かないと言われるのはアフリカオオコノハズク。
逆に初心者向けとされる種で結構鳴くのがスピックコノハズクやモリフクロウである。


・餌はドッグフードやスーパーの精肉でいいよね?

結論から言うとどちらもNG
餌は基本的にマウスやラット、ヒヨコである。
一応人工飼料も出回ってはいるが、評価が確立しておらず、「せいぜい補助的に使うくらいがいいのでは」という意見が多い。
スーパーなどで売っている精肉も栄養価の点で与えてはいけない

なので 専門店で冷凍マウスなどを購入することになる
値段はおよそ月5000円~1万円なのでそこまで高額ではない。
これが高いと思う人は、残念ながらこの時点で飼育に向かないと言わざるを得ない。

購入後も「解凍して渡せば終わり」ではない。
殆どの場合、飼い主自ら捌いて内臓などを取り出さないといけない
これが出来ないのであればフクロウの飼育は無理である

また、無菌飼育マウスなどであっても、人間の食料と一緒に冷凍しておくのは流石に衛生的に不安が残る。
特に家族がいる人は高確率で嫌がられる。
なのでよほど本人及び家族が無頓着でなければ、フクロウ用の小型冷蔵庫を新たに買う必要がある

ちなみに、日本でペットとして飼育されているフクロウの死因の大部分は、飼い主から十分な餌を貰えないことによる餓死であるとされる。
(飼い主がマウスを捌くのを嫌がって餌をやるのをサボるというケースも含む)
動物愛護法違反にになり処罰される可能性もあるので、責任を持って飼育しよう。


・人に懐くの?

かなり人に懐く個体がいるのは事実であるが、例えCBであってもそんな個体に出会える確率はかなり低いと考えていい
テレビなどに出てくる人にベタ馴れの個体は、そういう特殊な個体だからテレビに出れるのである。

そもそも野生動物なのだから、人間を警戒するのは当然。
「なんか餌をもってくる便利な奴」程度に思われると思っていたほうがいい(そこまで思われればかなりいいほうである)。

なお、フクロウは猛禽である。
どちらかといえばだが、 ハトやスズメよりもトビやタカを扱う感覚に近い
小型種でもその嘴や爪の鋭さは侮れない。扱う時には専用の手袋(ファルコングローブ)が必要である。
掌や頭の上に乗せるなどというのにあこがれる人もいるかもしれないが、流血沙汰を招くだけである。

飛行能力があるのを考慮すれば、危険性は同サイズの「馴れていない」犬や猫と同程度かそれ以上。
小動物や子供などがいる家庭の場合は特に気をつけたい。

あと、フクロウに限らず鳥類はトイレの躾はできない。
放し飼いにするならこまめに掃除するしかない。
というか逃がす可能性が高いので常時放し飼いというのはお勧めできない。

また、フクロウはペリットと呼ばれる不消化物の固まりを口から吐き出す。
こちらも糞と同様に不衛生な物なので、吐き出したら掃除する必要がある。

フライト・繁殖はマニア向け。
リードを付けての散歩は日光浴にもなるので推奨されることもあるが、他の人間や(特に小型種の場合は)カラスなどの存在が多大なストレスになることもあるので注意。
あと、高確率で近所でフクロウを飼ってる変人として有名になる。


【寿命について】

最後に……フクロウの寿命は短い種でも7~10年、長いと20~30年にもなる。
来る日も来る日も繊細なフクロウの体調に気を遣い、マウスやヒヨコの内臓を取り出し、場合によっては鳴き声に悩まされ、フンや羽の掃除に追われ、何かあれば片道何時間もかけて獣医にかかり、預かってくれる人がいなけりゃ旅行もできない、そしてそれへの見返りとして馴れてくれるわけでもない……。
完全にフクロウ中心の生活が10年以上、飼い始める時の飼い主の年齢によっては死ぬまで続くのである。
果たしてそれが可能かどうか、安易な気持ちで飼おうと思っていないかどうか、購入を決断するまでに今一度確認してみたほうがいいだろう。
なお言うまでもないが、飼いきれなくなったからといって野に放つなどというのは、飼い主として最低最悪の行為である。

要するに、犬ややハムスターやフェレットのような、予めペットとして生まれてきたような動物たちとは全く違うペットなのである。
勿論、こうした動物の飼育も決して楽ではないが、フクロウはそれ以上に大変である事を覚えておいてほしい。
安易な飼育は、飼い主もフクロウも不幸になるだけであろう。

それでも多くの人がフクロウの魅力に惹かれ、彼らと生活を共にしている。
飼育人口の増加によってノウハウが蓄積され、ハードルが徐々にではあるが下がっているのも事実である。
本項目に書いたような事実を知ってもなおその魅力に抗えないという人は、是非専門書を紐解いたり専門店に通ってみるなどして、フクロウライフに挑戦することを試みてみるのもいいだろう。


追記・修正はフクロウの金切り声を聞きながらでも眠れるようになってからお願いします。

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最終更新:2024年04月08日 13:14