SCP-1200-JP

登録日:2017/02/17 Fri 21:11:35
更新日:2024/03/17 Sun 15:11:14
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理事会通達
SCP-1200-JPの実質的な収容作業はSCL5/1200-JP保持者のみによって行われており、それ以外の職員は事案1200-JP-01に関する調査および情報工作に従事することとされています。need-to-knowの原則に従い、SCP-1200-JP報告書本文は81管区理事会よりSCL5/1200-JPを付与された職員にのみ公開されます。それ以外の担当職員に対しては事案記録1200-JP-01のみが公開されます。


SCP-1200-JPとは、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)。
項目名は「明日の神話」。
JPのコードが示す通り、日本支部で生まれたSCPである。
オブジェクトクラスは不明。


事案記録

さて、コイツについてはある特徴がある。
冒頭の通達文を読んでもらえればわかると思うが、通常の職員に対してはオブジェクトの情報が全く開示されない。
ただ一つ、事案記録だけが公開されているのだ。
とりあえず、その事案記録を見ることにする。

これによると1945年8月13日、太平洋戦争の真っ只中。
京都府京都市の上空9400m付近にてアメリカ合衆国軍のB-29爆撃機がSCP-1200-JPと遭遇する事案が発生した。
SCP-1200-JPと遭遇したのは第20空軍第509混成群団所属の「ストレートフラッシュ」「グレートアーティスト」「ビッグスティンク」の3機。これらは当時、京都市街を対象とした原子爆弾投下任務に就いていた。

SCP-1200-JPは日本時間で午前11時8分頃、「ストレートフラッシュ」が京都市街に向けて原子爆弾を投下したのとほぼ同時に出現。
その外見については目撃者より、
B-29の5倍ほどの大きさで、一見すると竜巻のように見え、よく見ると東洋の龍のような姿をしていた
という共通した証言が出ている。

この何かは起爆前の原子爆弾と「ストレートフラッシュ」を飲み込み、東の方角へと逃走。残された2機はSCP-1200-JPの追跡を試みたが、結局見失った。

明けて翌日、行方不明となっていた「ストレートフラッシュ」の搭乗員12人のうち10人が、京都市は伏見区醍醐山にて、当時の蒐集院に身柄を回収された。
終戦から約1ヶ月後の9月になって、10人の身柄は蒐集院から財団に引き渡されている。10人は全員が放射線被曝および「現実酔い」になっていたという。

そのうちの一人の証言が以下である。



龍に飲み込まれた後、飛行機は激しく揺れ、同時に私の意識は眠るように遠退きました。気が付くと私は飛行機の中ではなく屋外の地面に座り込んでいました。空は厚い雲に覆われて曇っており、辺りは薄暗い状態でした。周囲には飛行機は見当たりませんでしたが、同乗していた11人全員がいました。私達は周囲の様子を調べるために動き出しました。

そこはどこかの街の中のようでした。簡素な建造物が多数建っていましたが、ほとんどが倒壊しかかっているか、既に倒壊していました。少し遠くを見ると背の高い建物が集まっている場所が確認でき、その辺りが街の中心部だろうと私達は考えました。中心部のほうは赤く光っており、そのことから火災が発生していることが見て取れました。我々のいる場所の近くにも、火の手の上がっている建物が点在していました。

私達は中心部を避けて探索を行いました。初め、私達は爆弾の被害を受けた京都の街にいるのではないかと考えました。しかし目の前の風景と地図を幾ら見比べても、両者は一致しません。私達は当て所なく歩き回りました。探索と言うよりは彷徨っていたと言ったほうが正確でしょう。街に人はおらず、代わりに骸骨のような異形の存在が歩いていました。彼らは火災に怯え、逃げ惑っているように見えました。

地獄のような風景でした。燃える街に蠢く骸骨。黙示録の記述が目の前で現実になったような、そんな光景でした。

幾ら探索を続けても、この街を離れる方法は一向に解りませんでした。間もなくして2人のチームメイト、████と█████が痺れを切らし、街の中心部の様子を見てくると言い出しました。機長はそれを許可しました。生きている彼らと会ったのは、それが最後です。

私達は街の中で丸2日間を過ごしました。火災はいつまでも鎮まることはなく、空も曇ったままでした。街に来てから2日後、来た時と同じように突然意識が薄れていきました。次に意識が戻ったのは蒐集院に回収された後です。私は病室のベッドの上で目を覚ましました。


どうやら彼らは、SCP-1200-JPによって異世界へと連れ去られていたらしい。
ともあれこの事案により、京都への原爆投下は失敗。この後、生還した目撃者については取り調べの後に記憶処理を施し解放、犠牲者については第509混成群団に所属していた事実自体を隠蔽し、無関係な別の戦闘で戦死したものとして処理されている。
また、喪失した「ストレートフラッシュ」については別のB-29の機体を改造してすり替え、SCP-1200-JPを地上から目撃した一般市民がいるのではないか、という危惧から、GHQ/SCAPの協力の下、京都市内を中心とした隠蔽工作が行われた。




SCP-1200-JP全担当職員に共通して開示される情報は以上です。
これ以上の情報を閲覧するには、81管区理事会の承認の下、セキュリティクリアランスレベル5/1200-JPの一時的な付与およびミーム抹殺エージェント回避のためのアンチミーム接種を受ける必要があります。











































《結城流丙型呪殺術式起動》

















顯見蒼生者如木花之俄遷轉當衰去矣


奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納
奉                  納
奉                  納
奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納奉納
奉                  納
奉                  納
奉                  納
奉                  納
奉                  納
奉                  納
奉                  納
奉                  納
奉                  納
奉                  納
奉                  納
奉                  納
奉                  納
奉                  納
奉                  納
奉                  納


掛介麻久母畏伎伊邪那岐大神
筑紫乃日向乃橘小戸乃阿波岐原爾
御禊祓閉給比志時爾生里坐世留祓戸乃大神等
諸乃禍事罪穢有良牟乎婆
祓閉給比清米給閉登白須事乎聞食世登
恐美恐美母白須




…………………
…………………
…………………
…………………
…………………
…………………
…………………





《生命兆候を確認》



警告
現時点より当文書の閲覧を終了するまで、あなたの全思考はミーム的可塑性架空防壁による監視下に置かれ、日本支部理事会に対する叛逆的意志を感知し次第、致死性人工認識災害による即時抹殺が実行されます。不慮の事故を回避するために閲覧は1回につき30分以内に留めてください。


オブジェクトクラスは「Neutralized」。
現在は収容されていない。
その詳細を語る前に、このオブジェクトがある財団世界での日本支部の状況を説明しておこう。
簡潔に言うと、この財団世界では、日本支部と合併したとされている蒐集院のメンバーが中心となって支部を運営しているのである。そしてこのオブジェクトは、財団ではなく蒐集院のやり方によって対処されていた。

では、このオブジェクトはどんなものなのか?
簡単に言うと、場所系SCPである。

SCP-1200-JPは、ある特定の位相に位置する並行世界のことだ。
標準現実強度は63.05Hmとかなり高い値を示している。さらに、時間の速さが基底世界の50.5%にまで圧縮されており、基底世界で1日が経過する間にSCP-1200-JPでは約2日が過ぎることになる。つまり、向こうでは2倍速く時間が流れるのだ。

この並行世界は基底世界と八次元的に交差しており、基底世界におけるSCP-1200-JPの三次元断面は不定な量と状態の水分子の集合として観測される。

この水は便宜上SCP-1200-JP-Wと指定されている。通常の水の現実強度がほぼ1Hmであるのに対して、SCP-1200-JP-Wの現実強度は20.41Hmに達している。20倍である。
そのため一定量の水の平均現実強度を測定することによって、その水の中に含まれるSCP-1200-JP-Wの濃度を知ることができるのだ。ちなみにこのSCP-1200-JP-Wは山城盆地の地下水脈内および周辺の水系に遍在しているのだが、そのうち約70%は京都市上京区の神泉苑法成就池内に偏っている。

SCP-1200-JP-Wは現実改変実体として振舞う能力を持ち、通常の水分子の物理的性質を超えた運動を行うことが可能……なのだが、この現実改変能力は普段はSCP-1200-JP-Wが山城盆地内を移動するためだけに使用されており、「卯一号儀式手順」を執行しない限り、それ以上の能力が発揮されることはない。

その卯一号儀式手順はSCP-1200-JP-Wの活性化のために必要とされる手順のことで、具体的には神泉苑法成橋の上に立ち、橋板を杖で8回、ある特定の間隔で突く。だが、その詳細は口伝によってのみ伝えられるため、文書には記されていない。

で、いざ活性化したSCP-1200-JP-Wは龍のような外見をとり、法成就池の水面から出現。活性化状態のSCP-1200-JP-Wに飲み込まれた物体は、現実強度の差に基づく牽引効果によって(要するに、現実強度が低い方が高い方へ引っ張られる)基底世界からSCP-1200-JP内へと転移する。転移した物体はあちらの時間にして平均2日前後、こっちの時間だと1日くらい経つと基底世界に再転移する。このときの再転移先は京都市伏見区、醍醐寺清瀧宮拝殿内である。

もうわかるだろうが、「ストレートフラッシュ」を飲み込んだのはこの活性化したSCP-1200-JP-Wである。

で、コイツが最初に活性化したのがいつかというと、天長元年(824年)とかなり昔である。
この最初の活性化以来、SCP-1200-JPへの人間の転移およびSCP-1200-JP内の探査は何度か行われている。
その中で、最も詳細な探査は昭和16年7月27日に実施されたものである。

この世界は構造が特殊であり、内部をある一定方向に進み続けるといずれ元の地点に戻ってくる。元素組成は基底世界とほぼ同一で、あまり変わらない。
地面および地面に垂直な重力が存在しており、重力加速度は9.6m/s2と地球上よりやや小さい。
さらに地面の総面積はおよそ65平方キロメートルで、地表には全域に渡って木材や石材で作られた大小様々な建造物が建てられているという。

さらに、このSCP-1200-JPにはSCP-1200-JP-1および-2と指定される2種類の人型実体が存在している。

まず、SCP-1200-JP-1はSCP-1200-JP内の地表の各地に多数、観測できる限りでは300以上生息している人型実体を示す。身長は平均2m前後、全身が白色で、ヒトの全身骨格を大まかに象ったような外見をしている。が、肋骨に当たる構造がなく、代わりに長さ0.3mから1.5m程度の棘のような構造を、先端を外側に向ける形で多数持っている。
地表を徒歩で徘徊する以外の行動は取らず、言葉や声を発することもないらしい。

次に、SCP-1200-JP-2はSCP-1200-JP内に1個体のみ存在する人型実体である。こっちは身長1.4mほどで、外見上はアジア系女性に近い。
巫女装束のような服装をしており、特徴的な点として左右に1枚ずつ円盤状の鏡が付いた冠を戴いており、首から多数の勾玉をあしらった首飾りを下げている。
さらにコイツ、日本語による会話が可能。自身をSCP-1200-JP、並行世界そのものであると称し、「契約」に基づいて京都を鎮護することを義務付けられているのだと主張している。

基底世界の京都市内には、昭和20年4月時点で1700以上の異常実体が存在しており、常に甚大な現実希薄化の危険性に晒されている。
が、SCP-1200-JP-Wの存在による現実性増強により、実際の現実強度は常に0.9Hm以上1.3Hm以下に保たれている。
SCP-1200-JP-Wは京都市内の現実強度の変化に応じて全体の恒常性が保たれるように水系内を移動していることが判明しているが、SCP-1200-JP-2はこのSCP-1200-JP-Wの移動について、自身の意思によって行っていることだと主張している。

つまりこのオブジェクトは、
  • 並行世界
  • そこにいる骸骨の群れ
  • 並行世界の意志総体らしき女性
  • 現実強度を調整している水
で構成されているのである。

これにより、女性は「契約」によって水を京都市内で移動させ、現実強度を平均化して異常存在の跋扈を阻止しているのだ。

ゆえに太平洋戦争末期、蒐集院は国内のオブジェクトの7割が位置する京都の守護を絶対目標と位置付けていた。
そのため、最高戦争指導会議と共同で「蒼号作戦」を立案。長崎への原爆投下後、第三発目が京都に向かうことを察知した蒐集院はこの作戦を発動した。内容は以下。

  • 蒼一号作戦
卯一号儀式手順の執行。SCP-1200-JPが"京都の鎮護"を行動原理として有していることを利用し、SCP-1200-JPを活性化し京都市の防衛に充てる。

  • 蒼二号作戦
京都市全域への現実緩衝剤の散布、および特定現実濃厚地域における道場結界の形成。蒼一号作戦の実行により山城盆地内よりSCP-1200-JP-Wが消失すると、京都市内の平均現実強度は0.001Hm以下まで下がると試算され、これによって京都市に生じる現実希薄領域は周辺地域から現実性を奪いつつ拡大して世界規模の致命的な現実不全、要はZK-クラス現実不全シナリオに直結すると推定されていた。

  • 蒼三号作戦
京都市街全域を覆う国土結界の形成。京都市内の21ヶ所に位相変調空間を設け、その内部において結界儀式を執行し、京都市街全体を恒常的な国土結界で覆う。
この国土結界は東寺講堂羯磨曼陀羅と同型のものだが、影響範囲は格段に大きい。この作戦は8月15日より開始され、蒐集院解体後は日本支部理事会の指揮の下に継続された。

そして、昭和39年の京都タワー竣工および同地点における結界儀式の執行完了を以て蒼号作戦は成功した。
で、最初の「ストレートフラッシュ」の乗組員は8月14日に回収されている。




ところが、これでは終わらなかった。
今のうちに言っておくが、コイツのオブジェクトクラスは「Neutralized」。
つまり無力化してしまっている。

作戦そのものは成功したのだが、「ストレートフラッシュ」が搭載していた三発目の原爆を食らったSCP-1200-JPの中核……日本の守護神だった龍王は、跡形もなく消えてしまったのである。
異世界と繋がる京都を通じて、現実強度を維持していたこのオブジェクト、どう考えても無力化したらマズい。

そして、それを示す事実が直後に観測された。
1945年8月15日、山城盆地地下水脈内のSCP-1200-JP-Wが完全に消えていることが発覚。
無力化に伴う現実性変動は想定より大幅に軽減されており、平均現実強度は0.2Hm以上1.0Hm以下で安定した。
だが、軽度とはいえ無視できない規模で現実性が希薄になったことは事実。さらに結界の形成に伴う副次的効果もあり、新たな異常実体および異常現象、要はオブジェクトの発生が著しく増加。
昭和20年から40年までの20年間で、京都市内だけで500以上、日本全国ならば700以上の異常実体が新たに発見されている。

一方、SCP財団は終戦直後より、日本列島における活動体制を本格的に確立すべく、蒐集院に対する働きかけを強めていた。
しかし、日本列島に活動の基盤を有していなかった財団にとって、現地で同様の活動をしていた蒐集院の協力は必要不可欠であったという事情から、合併交渉は財団側が蒐集院側に対して大幅に譲歩する形で行われた。
合意の内容は以下。


  1. 昭和20年9月30日を以て蒐集院を解散すること。
  2. 蒐集院解散後、元職員を直ちに財団で再雇用すること。
  3. 日本列島に設置される81管区に対して広範な自治権を認めること。
  4. 自治権の最高意志決定機関および81管区におけるO5評議会の諮問機関として81管区理事会を置くこと。
  5. 蒐集院より移管される異常実体のうち蒐集院が指定した108項目について81管区理事会に全管理権を委任すること。
  6. 相当の準備期間を経た後に81管区を日本支部に改組し財団本体から独立した運営を可能とすること。


合意内容に従い、蒐集院の元職員のほとんどは新設された財団81管区に配属され、蒐集院最高幹部「七哲」の構成員がそのまま81管区理事に就任。
日本支部の創設については、O5評議会はこれをのらりくらりと先延ばしにしていたが、昭和27年4月28日、理事会は評議会に対して日本支部の創設を一方的に宣言。評議会は現在に至るまでこの宣言を承認していない。

SCP-1200-JPについては、理事会の京都市内での活動を正当化、円滑化する目的で、無力化の事実を隠した上で他のオブジェクト同様に蒐集院から財団への移管が行われている。


そして、追記が1つ。
SCP-1200-JP無力化から60年後の平成17年8月31日、アメリカ合衆国はルイジアナ州ニューオーリンズにて、身元不明のアジア人女性が保護された。
当時のニューオーリンズは大型ハリケーン"カトリーナ"が通過した直後であり、地元当局は彼女をハリケーンの被害者と見做していたが、日本支部より派遣されたエージェントの調査により、この女性の身体的特徴がSCP-1200-JP-2と一致することが確認され、日本支部の保護下に置かれることになった。

この一連の状況は大同元年に、弘法大師空海によって唐から日本へSCP-1200-JPが勧進された際の状況に類似しており、当該女性をSCP-1200-JPとして京都に再び勧進できる可能性がある。
が、肝心要の空海が具体的にどのようにして勧進を行ったかを記した資料が見つかっておらず、理事会直属の調査班により勧進の方法が調査されている。




まとめよう。
SCP-1200-JP、その正体は並行世界に在りて、京都を守り続けた龍王である。
しかし、蒼号作戦において原爆を飲み込んだ結果、龍王はいなくなり、原爆は向こう側で炸裂してしまった。結果が現状だ。

SCPオブジェクトを用いて結界を維持し、龍王亡き京都を守り、稼いだ時間によって龍王を呼び戻す。それが現在の彼らの仕事だ。
それを示す、日本支部理事「獅子」のお言葉がこちら。

貴方がこの文章を読んでいるということは、貴方が日本支部理事会への忠節篤い股肱羽翼の臣であると認められたということなのでしょう。おめでとう。私達は貴方を心より歓迎します。

こうして貴方を招いたのは他でもない、私達の目的のために、貴方の力を貸してほしいのです。簡単な仕事ではありませんが、私達は貴方に期待をかけています。

私達の目的はふたつ。第一に、私達の手中に残された百八の蒐集物を用いてこの街を護る結界を維持すること。第二に、この街に龍王を呼び戻すこと。まるでオカルトかお伽噺ではないかと貴方が言うなら、私達はこう答えます。"その通り"。古の神話は単なる虚構ではありません。私達の生きるこの世界は神話の時代と地続きです。消えた龍王。渾沌の世界。荒ぶる天神地祇。私達は滅びと隣り合わせに生きる有象無象です。

財団にとって、私達は謂わば獅子身中の虫です。私達は神仏の力を借り、共存し、世界を維持していきます。その方法は時として確保、収容、保護の三大理念と相容れないものです。このことを彼らに悟られてはいけません。彼らを巧く制御するのです。私達が巧くやり通さなければ、私達の世界は消滅します。

龍王の亡き今、この街の全ては渾沌の中にあります。国土結界が想定通りに機能して表面上均衡を保てていることは、もはや奇蹟と呼びたい程です。京都市への原爆投下を未然に阻止できなかったことは私達の最大の過ちです。もし土壇場での蒼号作戦の実行をも失敗していれば、京都は巨大な虚空の穴となり、たちまち全世界を呑み込んだことでしょう。

しかし、私達はまだ生きています。世界はまだここにあります。

私達はもう一度だけやり直せます。過ちは、二度と繰り返す訳にはいきません。





面倒なオブジェクトに限ってしぶとい・危ない・収容できない。
必要なオブジェクトに限って手元にない・見つからない・無力化する。


財団の明日はどっちだ。



追記・修正は財団の明日がどっちかわかる人にお願いします。




  • 余談
このオブジェクトの元ネタは、項目名を見ればわかる人には一目瞭然だが、岡本太郎の描いた「明日の神話」という壁画。
岡本氏の作品では「太陽の塔」と並ぶ代表作である。
現在は渋谷駅の大型通路に恒久展示してあるため、読者の中にも実物を見た事のある方は多いのではないだろうか。
この壁画はあの第五福竜丸の水爆への被ばくをモデルにしている。




また、本家の記事によると、蒼一号作戦の執行者は斎賀一等研儀官だったとのこと。
彼は蒼号作戦の後に、行方不明になっているそうだが・・・?



CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1200-JP - 明日の神話
by tonootto
http://ja.scp-wiki.net/scp-1200-jp

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最終更新:2024年03月17日 15:11