アームズ・ホール(遊戯王OCG)

登録日:2017/02/16 Thu 00:19:02
更新日:2023/12/12 Tue 18:37:37
所要時間:約 7 分で読めます






【概要】

アームズ・ホール
通常魔法
このカードを発動するターン、自分は通常召喚できない。
(1):デッキの一番上のカードを墓地へ送って発動できる。
自分のデッキ・墓地から装備魔法カード1枚を選んで手札に加える。





アームズ・ホールとは遊戯王OCGの1枚で、装備魔法のサーチ・サルベージする効果を持つ。アカデミーデュエルディスク オシリスレッドバージョンの同梱カードとしての登場が初登場。

装備魔法をサーチ・サルベージする手段としては、サーチは《左腕の代償》や、サルベージは《魔法石の採掘》などがある。


この2枚は装備魔法以外も対象にできるのが強みではあるのだが、どちらも発動時に2枚以上の手札コストを要求しており、基本的に複数回の使用はおろか、一回でも発動するのは容易ではない。


一方こちらに注目してみると、通常召喚が出来なくなる制約自体はモンスターがいることが前提で使われる装備魔法の特性を考えると確かにかなり痛いデメリットではあるのだが、このカード1枚で特に前準備なし*1にサーチ・サルベージの好きな方をこなせる上に1枚のデッキ圧縮のオマケが付いてくる。それも1ターン中の発動回数に制限がない為、同一ターン内であれば2枚目以降は事実上デメリットなしのカードとなる。


この時点でかなり強力なカードである事が分かるだろう。


因みにデッキからカードを墓地へ送るのはコストであり、装備魔法を手札に加えるのは効果解決時の為、デッキトップのカードが欲しかった装備魔法だった場合でも、問題なく回収が出来る。


このカードと相性がいいデッキは次のようなものが挙がる。


相手モンスターのコントロール奪取が出来る《薔薇の刻印》やSM専用相手を一方的に殴って弱らせられる《憎悪の棘》をサーチ出来る。
通常召喚不可のデメリットも《増草剤》と併用すれば関係なくなるのでこの点でも好相性。

デュアルモンスターを効果モンスター化させる《スーペルヴィス》をサーチすれば、あくまでこのカードは「再度召喚した状態」にするのであって「実際に再度召喚する」訳ではないので、問題なく使える。《ギガプラント》を対象にするのであれば、上の【植物族】でも使える。

  • 【竹光チック】
「竹光」系のカードの発動トリガーとなる《折れ竹光》《妖刀竹光》の2枚をサーチできる為、このデッキそのもののトリガー的存在である

モンスター効果を使う際に払うライフコストを帳消しにできる《念導増幅装置》や、ライフを削る場合はそれをアドバンテージに変換できる、《サイコ・ソード》などのカードがサーチ出来る為、ライフの状況によって使い道を分けられる。




上記のデッキに対して使う他にも、《疫病ウイルス ブラックダスト》などのデメリット効果の付いた装備カードをサーチして相手モンスターに押し付けたり、《ミスト・ボディ》等を使ってサンドバッグを作るのもありだろう。




ここまでは装備魔法を回収すると言う点について触れてきたが、このカードの効果で副次的に得られる効果がある。


それは意図的なデッキのシャッフルである。


このカードの装備魔法を取得する対象はデッキか墓地になるわけだが、どちらか片方しか参照できないという訳ではなく、このカードに対する裁定として、「デッキのカードを見た後に、墓地の装備魔法を手札に加えられる」というものがある。
その為デッキから直接サーチする場合はもちろん、サルベージする場合でもデッキトップが1枚減っている状態からデッキを確認する事でシャッフルを行い、ある程度のデッキトップの調節が出来る。








この様に非常に強力な効果を持っている為、装備魔法を多用するデッキにおいては十分な働きをしてくれるだろう。









……さて、この項目を見ていれば分かる様に、このカードは装備魔法を使う上で非常に便利な存在である。



元々装備魔法というのはアドバンテージを稼ぎにくいカードとされており、扱いはあまりよくなかったのだが、このカードの登場によって、装備魔法の汎用性は一気に跳ね上がった。




しかし、その一方でこのカードには別の側面も存在する。





ここでこの項目を見ている人に質問しようと思う。





遊戯王の 禁止カードの中にある装備魔法にはどういったものがあるか知っているだろうか?














答えは以下の4枚である。


装備魔法
800ライフポイントを払い、
自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを表側攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。
このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。


強奪
装備魔法
このカードを装備した相手モンスター1体のコントロールを得る。
相手のスタンバイフェイズ毎に相手は1000ライフポイント回復する


装備魔法
装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
モンスターに装備されているこのカードが破壊されて墓地に送られた時、このカードを持ち主の手札に戻す事ができる。


装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
自分のメインフェイズ時、自分の墓地に存在する戦士族モンスター2体を除外することで、このカードを自分の墓地から手札に加える。


この4枚、禁止カードになった理由は,もちろん強力な効果を持っているからというのもあるのだが、このうち《神剣-フェニックスブレード》を除く3枚はこのカードの存在というのも少なからず関係している






上記のカードの内、《早すぎた埋葬》を例にとると、あちらの項目内でも触れられているが、当時制限カードであったこのカードは、その特徴としてバウンスによる使い回しができる為に1度手札に来れば非常に便利なカードであったのだ。

そう、手札に来れば……


どんな強力なカードもデッキに眠ったままでは意味がない。
しかもほとんどの魔法カードは再回収が難しいためどうしても使い捨ての形になりやすく、さらに装備魔法故《サイクロン》等の妨害を受けやすい。
一度墓地に送られれば再利用は絶望的。
ましてやこれらのカードは制限カード。そもそも簡単には手札には持ってこれない存在であった。



そこでこのカードの登場である。



このカードによってデッキにある《早すぎた埋葬》をピンポイントに手札に持ってこられるようになり、そうでない場合も発動後に使い回しに持って行けず破壊された場合の保険として使うことも出来るようになった。
これにより、《早すぎた埋葬》を実質4積みにしつつ、さらにバウンスを考慮せずとも最大4回の使用(3枚のデッキ圧縮のオマケつき)ができるという状況となり、通常召喚できないデメリットの存在も蘇生系カードゆえに気にならない、非常に凶悪なカードになったのである。


その為、これらのカードはかの有名なワンキルデッキ、【ドグマブレード】でのコンボ用のパーツとして使われるようになった。



《アームズ・ホール》の存在で呼び込みと使い回しが簡単になった《早すぎた埋葬》は凶悪な1キルコンボのパーツとなり、後に現れたバウンス龍(エラッタ前)の存在もあってとうとう禁止カードとなってしまった。

そもそもそういったコンボに使わなくても《混沌の黒魔術師》を墓地に叩き込んで、このカードで《早すぎた埋葬》を持ってくれば、
《早すぎた埋葬》で《混沌の黒魔術師》を蘇生、効果でこのカードを拾う

《混沌の黒魔術師》が除去されたらこのカードで《D・D・R》をサーチ

《D・D・R》で《混沌の黒魔術師》を帰還。このカードを拾う

ループ
となる。単純に2800打点が何度も出てくるというだけで強力であった。

このように《アームズ・ホール》の存在によって装備魔法の汎用性が大きく高まったのは事実だが、高まりすぎたがゆえに一部の装備魔法は禁止カード行きになってしまっているのだ。単体でも強いカードを呼び込み、しかも再利用も可能にさせるこのカードがある限り、恐らくこれらのカードは制限改訂で簡単には規制緩和されないだろう。


そして同時に汎用性が高まりすぎた結果サーチ候補のカードが規制されることで、このカードの利用価値も相対的に下がっていってしまうのは、「サーチカードが最も恐れるのはサーチ先にまともなカードいないこと」を知っているのであれば何となく想像がつくだろう。

実際、《早すぎた埋葬》が禁止カードとなり、【ドグマブレード】も消滅、次に汎用性が高かった《強奪》も禁止から帰ってこれなくなりこのカードの有用性は大きく下がり採用率が低迷してしまった。



だがそれでも、禁止カードでない装備魔法の中でも強力なカードは存在し、それらを十全に使い回せるこのカードが強力であることもまた、変わらないため。
規制や事故防止の都合上どうしても採用枚数がネックになるが、一枚でもくれば強力な札になる装備魔法を使っているデッキであれば投入してみるのもいいかもしれない。

ちなみに、上で《神剣-フェニックスブレード》が禁止になった理由に《アームズ・ホール》は関係ないと書いたが、《神剣-フェニックスブレード》が禁止カードになった理由の一つは《聖騎士の追憶 イゾルデ》と組み合わせることで簡単に手札に持って来れたことと、他3枚の禁止装備魔法と《アームズ・ホール》の関係性と似たようなものがある。



なお余談だが、このカードはあの 《E・HERO プリズマー》と同じアカデミーデュエルディスク オシリスレッドバージョンの付属カードとして登場したため、強力な効果を持っていたものの、デュエルディスクそのもの高額な値段から、非常に入手困難なカードであった。

しかし、あちらと違って本商品が発売されたおよそ1年半後の2009年6月に発売されたストラクチャーデッキ-ウォリアーズ・ストライク-にて再録された為、入手はかなり容易になった。


上記のストラクチャーデッキは現在では既に絶版となっているが、十分な数が中古市場に出回った為、入手は容易になっている。


アニメではGXにて「vsユベル」戦にて、遊城十代が使用している。

《カードガンナー》や《ダンディライオン》についてもそうだが、
十代の使うHERO以外のカードには時々かなり強いカードがあり、これもその1枚と言えるだろう。


因みにアニメ版でのこのカードはデッキからのサーチしか出来なかった。
OCG化されるにあたって墓地からのサルベージも可能になり、大きく強化されている。



因みに上記の《E・HERO プリズマー》も同じデュエルで使用されており、レベルが5から4になるといった変更で汎用性が上がり、大きく強化されている。



【派生カード】

アームズ・コール
通常罠
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):デッキから装備魔法カード1枚を手札に加える。
その後、そのカードを装備可能な自分フィールドのモンスター1体を選び、そのモンスターに装備できる。


第10期パックIGNITION ASSAULTで登場したカード。イラストでは《アームズ・ホール》で描かれた異次元の穴から剣を引き抜いている様子が描かれている。

効果は《アームズ・ホール》同様装備魔法1枚をサーチ。

  • 通常罠なので初動が遅い
  • デッキ圧縮・墓地肥やしになる発動コストの削除
  • 墓地からのサルベージに非対応

などと《アームズ・ホール》と比べると劣る部分も多いが、

  • 発動ターン通常召喚不可のデメリットの削除
  • サーチした装備魔法を直接自軍モンスターに装備可能
  • 通常罠なので↑の効果と合わせて相手ターンに装備魔法を装備できる

などあちらにはない強みもある。
特に装備魔法を直接装備させるのはこのカード独自の強みで、相手の攻撃に合わせて《月鏡の盾》を装備させてコンバットトリックに使ったり、相手の破壊効果にチェーンして《セレンの呪眼》を装備し破壊耐性をつけるなどできる。
また、この効果はモンスターを対象に取る効果ではないうえこのカードの効果を受ける扱いにはならず、発動せずに直接装備する
そのため、

  • 対象にならないモンスターやカードの効果を受けないモンスターに装備魔法を装備できる
  • 《魔封じの芳香》など魔法の発動ができない状況でも装備できる
  • 《破邪の大剣-バオウ》などの発動コストや《ブレイク・ドロー》のような発動の数ターン後に自壊するデメリットを無視できる

などのメリットが存在する。




追記・修正は装備魔法の汎用性を高めすぎて禁止カードにさせないようにしつつお願いします。


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最終更新:2023年12月12日 18:37

*1 強いて挙げるならば、装備対象のモンスターを場に出しておくこと。