鳴き声の流用(アニメ)

登録日:2017/02/15 Wed 21:18:00
更新日:2023/11/09 Thu 21:00:29
所要時間:約 8 分で読めます





東映版遊戯王の声でお楽しみ下さい

遊戯「か↑いば!まさかそのカードは…!」(cv:緒方恵美
海馬「見るが良い!ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン!」(cv:緑川光
青眼「ギャオーッ!」(cv:地底怪獣テレスドン



アニメと特撮を愛するみなさん。
怪獣の声をアニメで聞いたことはないだろうか?

アニメには様々な架空の生物が登場する。
ドラゴン、怪物、妖怪、モンスター、機械生命体、巨大ロボット…
彼らを画面に出すのは簡単だ。絵を書けば良い。

問題はその声である。脚本に(ドラゴンの咆哮)と書かれていても、人間と違ってドラゴン氏をスタジオに呼んでガオーッと吠えてもらう事はできない。
音響スタッフは「これはドラゴンの声だな」と視聴者が納得するような音を、一から生み出さなければならないのだ。

が、幸いにして我が国には怪獣という誇るべき文化がある。
先人は苦労を重ね、「怪獣という巨大な架空生物が吠える声」を数多く生み出してきた。
怪獣もドラゴンもモンスターも、巨大な架空生物である事に代わりはない。怪獣の声はこうした架空生物の声にうってつけと言える。
かくして、鳴き声の音源の著作権を持つ会社に許可を得た上で、多数の怪獣の声がアニメで使用されている。
当項目ではそうした特撮由来の鳴き声のアニメでの使用例をご紹介しよう。

なお、特撮の鳴き声が特撮で流用されている事例は鳴き声の流用(特撮)を参照していただきたい。


新世紀エヴァンゲリオン

本作の監督・庵野秀明は筋金入りの特撮オタクとして知られる。
庵野の監督作品に登場する「怪獣の鳴き声」は、単に怪獣の声が巨大生物の声として適しているからというだけでなく、
庵野の特撮愛に由来する趣味と実益を兼ねたものと言える。


  • プリズ魔(帰ってきたウルトラマン)→第5使徒ラミエル
正八面体のプリズムのような姿を持つ使徒であるラミエルは、
庵野が特に『帰ってきたウルトラマン』ファンである事から、同作に登場する光怪獣プリズ魔をモチーフにデザインされた。
姿のみならず鳴き声もプリズ魔のそれを使用している。

サンダルフォンはアノマロカリスに似た姿の使徒であり、溶岩を自在に泳ぎ回り弐号機を苦戦させた。
その鳴き声はグビラ・ツインテール・モグネズンの3種類の怪獣の声がそれぞれ別のシーンで使われている。

特撮の方でも書いたように、キングギドラの鳴き声が科特隊基地の電話を経てミサトの携帯の着信音となっている。
特撮由来の鳴き声だがモンスターの鳴き声ではないケース。


ポケットモンスター(アニメ)

ポケットモンスターは、「怪獣」の影響を非常に強く受けたゲームである。
ポケモン1匹1匹の身長と体重、生態が記録されたポケモン図鑑は、昭和の子供たちのバイブルだった「怪獣図鑑」の影響を強く受けたものと言えよう。
「固有の鳴き声」が全てのポケモンに設定されているのも、それぞれに鳴き声が異なる怪獣の影響をうかがわせる。

さて、毎年夏に公開されるポケモン映画には、怪獣めいた巨大な伝説のポケモンが登場するのが恒例となっている。
アニメにおけるポケモンの鳴き声は、「ピカチュウ!」「ゼニー!」「ダネフシ!」とポケモン名を叫ぶのが基本だが、
これらの伝説のポケモンはそのサイズも相まって、さすがに「ぱるぱるぅ!」とか「バリバリダー!」とか叫ぶのは似合わない。

そこで2007年の「劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ」以降、
巨大伝説ポケモンの鳴き声には他の映画で作られた怪獣やモンスターの鳴き声を転用するのが恒例となっている。
ポケモン映画は配給が東宝なので、同じ東宝のゴジラシリーズからの転用が多い。


以下ポケモン映画のタイトルについては「劇場版ポケットモンスター」等の枕詞を省略する。

本作に登場するパルキアの 「ポウォオォォォン!↑」という鳴き声は、
『スターウォーズEP3』でオビ=ワン・ケノービの乗っていたヴァラクティルというトカゲに似たクリーチャーの♀であるボーガの流用。よくキングギドラと言われるがこれは間違い。
後にクロスアンジュでもアウラの鳴き声に流用され、話題となった。

一方のディアルガの鳴き声もまた映画で使われた音声を流用されている。
ディアルガがよく発する「フシャァァ↓ァァァァァ…!↑」という声は、実は映画『ヴァン・ヘルシング』に登場する女吸血鬼の声の流用。よくメカキングギドラと言われるがこれも間違い。
ただしこの声は劇中で一度だけ、それも女吸血鬼が追尾していた馬車が囮だった事に気付いた際に一瞬しか発しないのでよく聴かないとわからないかもしれない。
ちなみにそれ以前からこの声はバンギラスギャラドスの声にも流用されているので、この音声そのものがフリー素材という可能性もある。

ギラティナの鳴き声はモスラの声を流用したもの。おかげで虫っぽさに拍車がかかっている。
後にアニポケS&M編でもルナアーラの鳴き声にモスラのものが流用されたが、ゲーム版とかなり性質が似ているので意外としっくりくる。

予告編における「お前の理想は何だ?」というセリフで有名なゼクロムは、ゴツイ見た目に似合わない「ポワァアァアァァァァァァ…」という甲高い声を出す。
これは怪獣バラゴンが2001年の映画『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』に登場した際の鳴き声を使ったものである。
「大怪獣総攻撃」のバラゴンはタイトルからハブられている点からも分かる通りさほど強い怪獣ではないのであまり強そうではない鳴き声が似合っていたが、
ゼクロムとはややミスマッチ感がある。

ゼクロムと対になり、予告編では続いて「お前の真実は何だ!」と言うレシラムの鳴き声は『ゴジラ×メガギラス』に登場した昆虫怪獣メガギラスの鳴き声を流用している。
こちらはゼクロムに比べ華奢な体型なのであまり違和感はないかもしれない。

同作に登場したキュレムは作中でアイリス最強のドラゴンと呼ばれているのだが、
なんと鳴き声に我らが怪獣王ゴジラのものを流用しており、最強のドラゴンポケモンに相応しいものとなっている。

作中終盤で目覚め大暴れしたイベルタルは、上記のレシラム同様にメガギラスの声が使われており、
それに加え所々デストロイアの唸り声も混じっている。


戦姫絶唱シンフォギアG

  • ネオザルス(ウルトラマンダイナ)→ネフィリム
生きた完全聖遺物であるネフィリム。
鳴き声をよーく聴くとウルトラマンダイナに登場した怪獣ネオザルスの鳴き声が流用されていたりする。
しかし当の音声が小さいので本当によーく聴かないとわかり辛いかもしれない。

戦姫絶唱シンフォギアGに登場した生きた完全聖遺物にしてボスキャラであったネフィリム・ノヴァの鳴き声。
見た目に関わらず甲高い鳴き声を出すがよく聞くとガタノゾーアの咆哮が使われている。

ちなみにネフィリムのデザインはゼットンのパロディなので、コイツは見た目も鳴き声もウルトラ怪獣に由来する事になる。

戦姫絶唱シンフォギアAXZ

鳴き声をSEとして使っているパターンで4話においてある人物に痛烈な一撃をお見舞いするのだがそのSEはよく聞くとゴジラの鳴き声なのである。
ほんの一瞬ではあるものの意外な似合いっぷりを見せている。


ゲゲゲの鬼太郎シリーズの妖怪たち

古くからの歴史あるシリーズだが、それゆえ頻繁に怪獣の声が使われている。
もっぱら大型妖怪に使われることが多い。

アニメ第一期で、日本を代表する二大怪獣のボイスを一体の妖怪が使うという豪華っぷり。
アニメ第二期でも引き続きゴジラやガメラが出演。かたや日本神話最大級の妖怪ヤマタノオロチ、かたや鬼太郎シリーズ最大級の妖怪牛鬼、と大物にふさわしい。
余談だが、前述の音響効果を手掛けた大平紀義氏が朝日ソノラマ版怪獣総進撃を担当したことにより、ゴジラなどの鳴き声がストックされたのではないかと思われる。
前シリーズでもうゴジラを使っちゃたので、アニメ第三期ではおろち役をラドンが引き継いだ。ちなみに声の質は若干変えており、そのせいで「ゴジラVSキングギドラ」のギドラに近い声になっている。
同じく三期では恐竜もラドンが担当。本家のプテラノドンも熱演している。

マジンガーZの機械獣たち

機械獣の鳴き声は、過去に登場した特撮怪獣の鳴き声が多く流用されている。
なお、本作品の効果担当はE&Mプランニングセンターの伊藤道広が手掛けた。

  • ゴジラ→機械獣ザイラ、機械獣ダイアンN4、機械獣デスマA1
  • ガメラ→機械獣ガイアQ5、機械獣ブライトンJ2
  • ゴジラ&ガメラ→機械獣オゾネスB3
またまたゴジラとガメラが出演。


その他

他のアニメで怪獣の鳴き声が流用された例。

チャー研の中でも最高の知名度を誇るであろうボルガ博士お許し下さい回。
この回の冒頭に尺余りの調整のために挿入される怪獣映画のシーンは、対決する怪獣2匹の鳴き声がそれぞれゴジラとガメラである。
音響的には夢の対決なのに作画力が全然追いついていない事がわかるだろう?

『デルトラクエスト』の怪物ブラールの咆哮はアニメではテレスドンの声を流用している。
外見もそっくりなのでウルトラシリーズファンはあれ?と思った人もいるかもしれない。

飛影の最強の必殺技として名高い邪王炎殺黒龍波だが、よーく聴くと効果音にギャオスの鳴き声が使用されている。

アニメ版星のカービィに登場した魔獣は大抵飛田展男が声を担当しているのだが、
中には声優を起用していない怪獣のような声を出す魔獣が存在する。

とりわけ同作に登場するキリサキンやヘビーロブスターが発する「グアアアアアアアアアッ!」という特徴的な声は、
ウルトラマンガイアに登場した古代怪獣アルゴナの声を使ったものである。
魔獣以外にもダイナブレイドの鳴き声にも使われている。

なおアルゴナの声は単純ながらいかにもモンスターらしい声で使いやすいのか、カービィ以降実写・アニメ問わず様々な作品で流用されている。




追記・修正は、ゴジラシリーズの怪獣や、エイリアンなどを、声優として取り扱えるようなプロデューサーの方にお願いします。

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最終更新:2023年11月09日 21:00