フランス料理

登録日:2017/02/09 Thu 22:05:29
更新日:2024/02/29 Thu 00:35:36
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「Dis-moi ce que tu manges, je te dirai ce que tu es.」
貴方の食事を教えてください。貴方がどんな人間だか当てて見せましょう。
~ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン~


フランス料理とは、文字通りフランスの伝統的料理……かと思いきや、実はそうとも言い切れない。

●Menu

★そもそもフランス料理って?


まず日本語でフランス料理と言った場合、

①フレンチレストランや高級ホテルなどで出てくるコース料理

②文字通り、フランスで一般的に食べられている郷土料理

の2つの意味が特に区別せずに使われている。だが「フランス料理のお店」と聞いた場合、日本人のほとんどはまず①の方を連想するはずだ。


しかし①の方は世界的には「グランド・キュイジーヌ(あるいはオート・キュイジーヌ、キュイジーヌ・ガストロノミクなど)」と呼ばれ、
もはやフランス料理という枠を超えた「欧米式高級コース料理の様式」とでもいうべき国際料理として認識されている。
ユネスコの無形文化遺産に登録されているのもこちらの方。
よって世界各地の高級ホテルや大使館などでは、特に「フランス料理」という前置きもなくフランス式グランド・キュイジーヌが正餐として普通に出てくる。
よく知られているように日本の皇室もそうだし、実はかのイギリス王室ですら正餐となるとグランド・キュイジーヌになる。

このグランド・キュイジーヌは元々フランス王国の宮廷料理をその源流とするもので、古くは「王国貴族や賓客をもてなすための料理」であり、フランス革命後は「レストランで来店者に提供するための料理」になった。
つまり「客に供するための高級料理」として生まれ、発展してきたある意味では特殊な料理なのである。


料理としてのグランド・キュイジーヌの最大の特徴は、やはりその豪華で多種多様なソース、そしてその素材となる出汁「フォン」(材料が魚の場合は「フュメ」)にある。
ソースといっても、トンカツにかけられたウスターソースのような安直なものを想像してはいけない(どっちかというとあんかけ料理のあん的なポジションを想起した方がよろしい)。
料理1皿の調理にかけられているソースはほんのわずかな量だが、その僅かなソースが完成するまでにはとてつもない材料と時間コストがちょっと無駄なほどに費やされているのである。

そしてフランス料理と言えば伝統やらテーブルマナーやらで一般に堅苦しいイメージだが、基本的に「商品」であるグランド・キュイジーヌは、時代時代で客のニーズにこたえるべく激しい変化を見せてきた。
客に飽きられないように、ブームになった異文化料理・食材の取り込みや、最先端調理機器の活用にも非常に熱心である。
機械の積極的導入や開発にも躊躇はなく、日常的に使われている圧力鍋や、レストランで一般化している真空調理機なども、元はグランド・キュイジーヌから生まれている。
現代では分子工学を料理に応用した「分子ガストロノミー」なるスタイルまで生まれており、その最先端っぷりは最早調理場が化学研究室か何かに見えてくるほど。


一方で②の方、つまり郷土料理であるフランス料理の方は、一般庶民の料理だけにイタリア料理ドイツ料理スペイン料理などといった他のヨーロッパ料理との共通点が多く、グランド・キュイジーヌに比べるとずっと単純・素朴なもの。
もっとも、フランスの歴史においてはグランド・キュイジーヌ由来の高度な調理技術が度々広く一般化してきたこともあって、全体的に味覚のレベルが高く、他国の料理に比べるとやはり美味しいという評価が多い(そして高カロリーとの評価も)。
またそれとは逆に、郷土料理がグランド・キュイジーヌに取り入れられた例も多い。
調味料としてタマネギを多用する。


また国土が広いフランスは気候や文化も多様なので、地方によって様々な食文化がある。
日本人の好みによく合うプロヴァンス(地中海に面したフランス南東部)料理、バスク人(スペインとフランスの国境付近に住む民族)によるバスク料理、
素朴で中世風のオーヴェルニュ(フランス中央の田舎)料理などは特に有名で、日本にもこれらの郷土料理を看板にしたお店は多い。



★なんでフランス料理って美味しいの?あとなんでグローバル・スタンダードなの?


これにはいろいろな理由が考えられるが、とりあえず「美味しくなった理由」をざっと上げると


1.食料生産力が高い
温暖な海洋性気候と肥沃で広大な土地のおかげで、フランスは西ヨーロッパ諸国の中では抜群に農業生産力が高い。
また大西洋と地中海の双方に面しているため、海産物も豊富である。
こうした良好な食糧事情は即ちそれを選別する余裕に繋がり、国民の味覚や食文化を発達させた。

2.イタリア料理の強い影響
古代ローマからの伝統を受け継ぐイタリア半島は近代までのヨーロッパにおける文化先進国であり、中世のフランスに比べ食材の選別、調理法、食器やテーブルマナーなどあらゆる面で洗練された食文化を持っていた。
特にフィレンツェ出身のカトリーヌ・ド・メディチは、フランス王室への嫁入りにあたって自身の料理人から給仕、食器に至るまでの一切をまとめてフランス王朝に持ち込み、
当時のイタリアに比べれば殆ど原始的ですらあったフランス宮廷料理界(フォークすらなかった)にカルチャーショックをもたらす。
これ以降、フランスの食文化はイタリアの洗練された食文化を基礎として大きく発展していくことになる。

3.ブルボン王朝の絶対王政
フランス王室、特にブルボン朝はヨーロッパ史上でも最大級の権勢を誇った強大な王家であり、その強大な資力と権力を惜しみなく食事に投じた。
王家や貴族は自分の権威を競って豪華な饗宴を催し、彼らにやとわれた料理人たちもより豪華に、より手の込んだ、より美味な料理を作るべく腕を振るい、宮廷料理はどんどん進化していった。
現在のフランス料理を支える調理技術は、この時期にだいたいの完成を見たとされる。

4.ブルジョアジー文化とフランス革命
ブルボン朝も後期になると、新興の中産市民であるブルジョワジーが台頭してくる。彼らは言ってみれば成金であり、社会的ステータスとして貴族様式の豪華な生活を激しく求めた。
この需要にこたえるべく、彼らをターゲットにした高級レストランが次々と成立していき、宮廷式のグランド・キュイジーヌをより一般化させた。
さらにフランス革命によって王や貴族がその地位を失うと、失職した宮廷料理人たちはこぞってレストラン分野に進出する。
これによってグランド・キュイジーヌはさらに普及し、一般市民の間にも「プチ贅沢な外食」として定着することになった。

5.ガストロノミー(美食学)
「芸術と人文の国」フランスは、音楽や絵画同様、料理も芸術の一分野として探求するジャンルを産んだ。
ガストロノミーと呼ばれるこれは、食事と文化、料理と社会、味覚と感性などを体系的、感覚的、場合によっては科学的に探究する学問……平たく言えば、海原雄山のそれである。
彼らは革命後~世界大戦以前のフランスで大いなる権威として活躍し、料理の味や見た目や香り、店のサービスに文句をつけまくり、しかし結果としてその厳しい目でフランス料理界を大きく育てた。

6.伝統とヌーベル・キュイジーヌ(新しい料理)
自国の料理の枠に他国の料理を取り入れ変化させることを拒む保守的な隣のメシウマの国の料理と異なり、フランス料理は新しい技法や食材を取り入れることに余念がなく、それを受け入れる懐の深さをもつ。
そもそも作るのに手間がかかりすぎだったり、しょっちゅう戦争してて物資が手に入らなかったりといくらか必然性もあるが。
現在のフランス料理は濃厚なソースを重視する伝統的なフランス料理のスタイルを基盤にしながらも、素材の味を引き立てる料理の長所を取り入れる事を理想的なあり方としている。


…と、こんな感じだろうか。どこかの国の愉快な料理が素敵になった理由と併せて考えてみるとおもしろいかもしれない。


一方で、フランス式のグランド・キュイジーヌが国際料理として普及した理由となると、こちらはかなり明白。

1.ウェストファリア条約
これは1648年に締結された、ヨーロッパ全土を巻き込んだ30年戦争の講和条約で、「世界初の国際条約」と言われるもの。
これによって条約加盟国では、明文化こそされていないもののフランス語が公用語となり、フランス式マナーが基準にされた。
外交における食卓のマナーもフランス基準になったため、必然的に各国の宮廷では食事のスタイルもフランス式に。

2.アントワーヌ・カレーム
「タレーランの最終兵器」ことアントワーヌ・カレームは、ナポレオン時代に活躍したフランス人の料理人。
居酒屋に拾われた捨て子という境遇から身を起こし、政府の食卓外交を取り仕切るまでに至った天才料理人兼パティシェで、彼が外交の席で披露したフランス料理は各国の要人たちを虜にした。
豪華さ、複雑さ、味、洗練度、優雅さとどこをとっても圧倒的だった彼の料理により、ヨーロッパ各国の上流階級では「フランス料理すげえええええええええええええ」という評価が決定的なものになる。

この2点が主な理由である。


第二次大戦の後、国際的な標準語は覇権国家アメリカの母語である英語(アメリカ英語)に移るが、料理に関してだけは国際基準はフランス式グランド・キュイジーヌのままである。
理由はいうまでもない。



★主なフランス料理 ~グランド・キュイジーヌ編~


◆コンソメ Consommé
現代日本では「コンソメスープの素」などであっさり出来てしまうためあまりありがたみはないが、本来は「究極(のスープ)」の名に恥じない、素材と手間を注ぎ込んだ超高級スープである。
琥珀色の澄んだスープは一見そっけないが、口に含むと鳥や牛などの肉の旨味、タマネギやニンジンの風味、香辛料の香りなどが一斉に花開くことだろう。
……グランド・キュイジーヌの基本にして真髄と言われる理由がよくわかるスープである。実際この方法でまともに作るのには半日~2日を要する。
現代では、これにさらに具(有名なところではトリュフとか)を加えて完成となる。

◆エスカルゴのブルゴーニュ風 Escargot de Bourgogne
エスカルゴ」と言われて日本人がまず思い浮かべるであろう、緑色のソースがかかっている例のアレ。
一見サザエのつぼ焼きのようにただ焼いただけにも見えるが、実は一度取り出して調理し、また中に戻したもの。緑色のソースはパセリやニンニク、エシャロットなどから作られている。
貝に比べて柔らかく、また調理の段階で内臓の一部を排除しているので、苦手な人でも食べやすい。

◆生ガキ Huîtres
伝統的にオードブルとして出されるが、今では日常食として普通に消費されている。
フランス人(というかヨーロッパ人)の生ガキ好きはハンパではなく、牡蠣のシーズンになると日本における夏のウナギ並にスーパーや魚屋でずらりと並ぶ。
牡蠣は加熱調理されることはどちらかと言えばレアケースで、基本的には生のまま、あるいは冷製仕立てで供される。

◆サルミ Salmis
フランス王侯貴族の狩猟文化を象徴するかのような肉料理。基本的にジビエ(狩猟した動物の肉)を使って作られる。
肉を軽くローストして赤ワイン主体のソースで軽く煮込み、味はしっかりついているが肉はレアな状態に仕上げる。
ソース自体にも肉から外した骨や筋などが使われており、全体的に肉肉しいというか、獲物の旨味を一皿に凝縮したような料理である。

◆牛フィレ肉のロッシーニ風 Tournedos Rossini
グルメとして知られた19世紀の作曲家、ロッシーニにちなむビーフステーキ
高級牛フィレ肉、さらにその中央部分だけを切り取った厳選牛フィレ肉のステーキに、フォアグラのソテーを乗せ、さらに超高級ソースであるペリグー・ソースをかけ、トドメとばかりにトリュフの薄切りを贅沢に散らしたもの。
オーバーキルと言わざるをえないほどに高級品を使いまくった華やかなステーキであり、会食や結婚式などでもメインとして重宝される。実は安くしようと思えばかなり安くできるというのも大きい。

◆テリーヌ(パテ)Pâtés (Terrines)
肉や野菜をそのまま、あるいはムース状にしたりしてゼラチンで固めた四角形のアレ。最近は日本のスーパーでも普通に真空パックのものが売られている。
材料や調理法の組み合わせでいくらでもバリエーションが作れるので、現在でもオードブルとして広く使われている。
また見た目が華やかな上に(材料次第で)安価なので、ホームパーティの料理としてもポピュラー。

◆フォアグラ Foie gras
正確に言えば料理と言うよりは素材だが、フランス料理の項目である以上避けては通れまい。
広く知られているとおり、餌をたっぷり与えて太らせたガチョウに、さらに強引に餌を食べさせて人口的に脂肪肝を作り出したもの。
なので基本的にはガチョウのレバーなのだが、通常の鶏レバーでは5%ほどに過ぎない脂肪分が、フォアグラでは60%にも上る。
この大量の脂からもたらされる旨味とコクがフォアグラの魅力とされている。

割と有名な食材ではあるが、高温(下手すれば室温)でモリモリ溶けてしまうので、主役としての調理法は結構限られる。
しかしその濃厚さから、他の料理やソースの風味づけに使われたりすることも多く、関連レシピ自体は豊富。
その製造過程の関係上、世界中の動物愛護団体から目の敵にされており、肩身が狭い。……が、正直なところ、フォアグラを愛するフランス人やアメリカ人からの激しい抵抗で規制は全然進んでいない。やったぜ。

◆ババロア Bavarois
前述した天才シェフにしてパティシェ、アントワーヌ・カレームが作り出した魅惑のスイーツ。
元はドイツのバイエルン地方の飲み物だったものを、カレームが得意のゼラチンを使ってデザートにアレンジし、現在の形にした。
日本でも有名なスイーツではあるが、本場ものは(ババロアに限ったことではないが)容赦なく甘いので、甘さ控えめが好きな人はひいちゃうかもしれない。

◆マロングラッセ Marron glacé
ババロア同様、もはや説明不要の有名スイーツ。これも現在の形にしたのはカレームらしい。
しかし「栗の砂糖煮」と言えばなんだか簡単な料理に聞こえるし、実際日本でも普通に売られているスイーツではあるのだが、実際まともに作るとなると10日とか20日とか平気でかかってしまう恐ろしい代物である。さすがは宮廷料理……
過程を省略しようがないため現在のフランスでも非常に高価なスイーツで、フォアグラ同様消費はイベントシーズン(主にクリスマス)に集中する傾向がある。


★主なフランス料理 ~郷土料理編~


◆フランスパン Pain traditionnel
バターやミルクなどを使わず、小麦粉・水・イースト・だけで作られるあのパン。
本場フランスでは大きさ・重さによって名前が分けられており、大雑把に言うと大きい方からパリジャン>バゲット>バタール>フィセルという区分になっている(プチパンなど細かい亜種もさらにいっぱいある)。
「外はサクサク、中はもちもち」にこだわる日本式フランスパンと違って、中身も根性のある歯ごたえ。
フランスの一般家庭では、縦に切れ目を入れて具を挟むバゲットサンドがとってもポピュラーなお弁当。
またおやつとして、ココアと一緒に食べることもある。

◆クロワッサン Crolssant
日本でもお馴染みの三日月型のパン。
バターを大量につかっており、パイに近い食感。
バリエーションとして、中にチョコレートを詰めたパン・オ・ショコラもある。

◆クロックムッシュ Croque-monsieur
一言で言えば超高カロリートーストサンド
ベシャメルソースを塗りたくった2枚の食パンに数枚のハムとチーズ(場合によってはさらにや野菜)を挟み、バターを塗ったフライパンで焼くという簡単なもの。
お手軽な上に腹にたまるので、カフェなどで朝食としてよく提供される。
上に目玉焼きをのせると帽子を被ったクロックマダム Croque-madameになる。

ポトフ Pot-au-feu
フランスに数多く存在する煮込み料理の中でも、一際有名な一品。
野菜や肉をまとめて水を張った鍋に放り込み煮込むという非常にシンプルなレシピで、昔は日本においては「西洋おでん」とか呼ばれていた。
ちなみに鶏肉を使う場合は名前が代わり、プロポという別の料理になる。
伝統的なレシピでは肉には塩漬けの牛スネ肉が望ましいとされるが、これは長時間煮込んでゼラチン質と出汁を取るためであり、現代でスープの素を使って作る場合はそれほどのこだわりは必要ない。
というかソーセージとかなら最後に入れるぐらいでもいい。
実はポトフの煮汁こそが一般にブイヨンと呼ばれる物である。

◆ステック・フリット Steak frites
フリットと呼ばれるフライドポテトを山盛り添えたビーフステーキ。
特にビーフの部位にはこだわらず、シンプルに塩と胡椒かマスタードソースで自分好みに味付けして、ワインを片手にかぶりつく庶民の御馳走。
なんだかアメリカチックだが、これでもフランスの国民食である。

◆スリミ Surimi
約30年ほど前に起きた和食ブームの時に伝わり、完全に定着・現地化してしまった「カニカマ」。
もはやフランスは世界一のカニカマ消費国である。ボローニャソーセージみたいに大きなものまで売っている。
総じてカロリー高めなフランス料理の中で、カロリー控えめなタンパク源として重宝されており、サラダやカナッペ、テリーヌに使われている。

◆ブイヤベース Bouillabaisse
恐らく最も有名なプロヴァンス料理。
新鮮な魚介類を香味野菜やトマト、香料やワインなどで煮込んだ豪華海鮮スープで、特にマルセイユの名物として広く知られている。
濃厚なスープだが、魚介の旨味がたっぷり詰まっていて日本人からも好まれるレシピ。
元々は庶民が小さくて流通に乗せられない魚や貝を自宅で消費するための家庭料理であり、レストランや家ごとのバリエーションが非常に多い。

◆フリカッセ Fricassée
鶏肉やきのこ、野菜を生クリームや白ワインで煮込んだ煮込み料理。「白い煮込み」という名前の通り、あくまで白く仕上げるのが特徴。
クリームシチューのような味で日本人の口にも親しみやすい一品である。
トマトベースのこれをレンテンベルグ要塞の第6通路突破後の食事として出すのはやめておいたほうがいいだろう。

◆カスレ Cassoulet
ラングドッグの地方料理で、基本的には肉と豆(白インゲン)と野菜の煮込み。
しかし日本で有名なレシピではここにガチョウのコンフィ(肉や果物を低温の油でじっくり加熱したもの。オイルサーディンを想起されたし)が加わることが多く、そうなると一気に旨味(とカロリー)が跳ね上がる。

◆そば粉のガレット Galette de sarrasin
こちらも割と有名なブルターニュ料理。挽いて粉にしたソバから生地を作り、クレープのように薄く焼いたもの。
フランス北西の端にあるブルターニュ地方ではやせた土壌と不安定な気候のために小麦がとれず、代用食としてソバが栽培されていたのである。
主に普通のクレープと同じように、いろんなものを挟んだり乗せたりして食べるのが一般的だがこちらはデザートではなく食事として食べるのが主である。

◆鰻の赤ワイン煮 Matelote d'anguille
ペイ・ド・ラ・ロワール地方やボルドー地方の春を告げる郷土料理。
うなぎを一度焼いて臭み抜きした後、赤ワインとブイヨン、香味野菜(ミルポア)で煮込み、最後は煮汁にバターを加えて煮詰めたソースをかけて完成。
お隣ではボロクソ言われるうなぎだが、フランスでは揚げ物やテリーヌ等、調理法はたくさんある。

オムレツ Omelet
日本でも定番の玉子料理。元々、手早く出せる温かい料理として考え出された。

◆ビスキュイ Biscuit
小麦粉を卵、牛乳、バター、砂糖などと混ぜて作る焼き菓子。日本では「クッキー」とほとんど区別されないお菓子である。
……要するに英語で言う所の「ビスケット」と同一。というかビスケットの語源はこのビスキュイ*1である。
意味は「二度焼き」。
なお一口にビスケットと言っても日本で一般的なクッキーとほぼ同一のものと、KFCで売られているスコーンに近いものの二種類があるが、
ビスキュイもこの二種を内包する。

◆カヌレ Cannelé de Bordeaux
日本人好みの「外はカリカリ、中はふわふわ」でちょっと前に話題になったアキテーヌ地方の伝統スイーツ。
「カヌレ」というのはいくつもの溝が入った小さなケーキ型のことを指し、これを使って焼かれたケーキという意味。
外側のカリカリとした食感を出すために蜜蝋をカップに塗るのが特徴なのだが、この扱いが非常に難しく、作るのにはかなりの熟練を要する繊細なお菓子。

◆フロマージュ fromage
フランス語でチーズを意味する。
スイスと国境を接するフランスでは古くからチーズ作りが盛んに行われており、名物のチーズは数え上げたら切りがない。
無論フランスの料理文化にも深く浸透しており、そのままオードブルとして食べるだけでなくチーズを加え工夫を凝らした料理も数えきれない。

◆ラング・ド・シャ Langue de chat
単に「ラングドシャ」とも。意味は英語で「Language of Cat」。
ここでいう「language」は言語ではなく舌、つまり「猫の舌」という意味。
小麦粉系の焼き菓子で、その名の通り表面がザラザラとしているのが特徴的。
サクサクした軽い触感をしており、間にクリームが挟まれている。
本式では楕円形だが日本では専ら正方形である。
日本でも土産物菓子としてお馴染みであり、北海道名物「白い恋人」もこの一種。

◆サブレー Sablé
日本では「サブレ」とも。
小麦粉が主原料でサクサクした焼き菓子という意味ではビスケットもといビスキュイと大差ないが、
こちらはバターと薄力粉の割合が1:1で作られているためバター味がビスケットより強め。
名前の由来は諸説あり、「作られた町の名前説」、「発明者のサブレー侯爵夫人の名前説」、「砂の様な食感である事から砂を意味する『Sable(サブル)』説」などがある。




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最終更新:2024年02月29日 00:35

*1 更に遡ればラテン語の「bis coctus(ビス・コクトゥス)」。