アドミニストレータ(SAO)

登録日:2017/02/08 (Wed) 18:32:50
更新日:2023/10/02 Mon 21:32:59
所要時間:約 6 分で読めます




※この項目は、物語のクライマックスに関するネタバレが多分に含まれています。



さあ、こっちにいらっしゃい、ユージオ。約束どおり、あなたの欲しいものをあげましょう。



アドミニストレータとは、ライトノベルソードアート・オンライン』に登場するキャラクターである。


◆概要
登場は第四章《アリシゼーション》前編、人界編。この章のラスボスを務める。
人間離れした美しさをと知性を持ち、アンダーワールド人でありながらアンダーワールドのシステムコマンド(英語)を独学で理解した、類い稀な素質を持った女性。
現在はセントラル・カセドラルの最上階に住まい、《最高司祭》として公理教会、ひいては人界を支配している。

性格について、敢えて平易な表現をするなら、「非情」。
その冷酷さは表現はともかく彼女を心の底から愛し尽くして散って逝った元老長・チュデルキンの亡骸を「汚いから」というだけの理由で部屋の隅に放り投げる程。

元は「クィネラ」という名の名門貴族の娘であったが、その高い利己心と知力をもって周りの動的オブジェクト(Mobではなく犬や猫に相当する無害な動物)を狩ることで自分の権限(レベルのようなもの)を上げ続け、攻撃に特化した《シェイプ・アロー》や後述の《シンセサイズの秘儀》の開発、最終的にはアンダーワールドにおける全コマンドが記された《エンタイア・コマンドリスト》を引き出せる程の権限を得ていた。

コマンドリストを引き出してまず行ったことは、自身のあらゆる権限の最上位化*1と、肉体を少女期に巻き戻しての老化停止。
さらには《違反指数》と呼ばれる《上位命令に背くことが出来る度合い》が高いユニットを拉致し、《シンセサイズの秘儀》という「記憶を封じて全く別の人格を植え付ける」という術式を施し《整合騎士》に仕立て上げ自らの傀儡に仕立て上げ、人界において絶対の法とされる《禁忌目録》や人界各地に散らばる伝承を彼女に都合がいいようにでっちあげる等、傍若無人極まりない行動を繰り返した。*2

しかしそんなアドミニストレータも、ライトキューブの容量の限界―――つまりは《魂の寿命》には逆らえなかった。最近の記憶が再生できない事が増えたのだ。

恐怖を感じた彼女は、不要な記憶を消去する下準備としてバックアップを求め、まだ容量に余裕のある幼い少女を呼び出してその時点での記憶を《シンセサイズの秘儀》によって焼き付けた。
が、権限もコピーされてしまった為に、最高権限を持つ存在、つまり「自分自身が二人いる」という根源的恐怖に苛まれ、フラクトライトが崩壊しかけてしまう。結果、幼い少女にコピーされた方が一瞬早く崩壊し、少女の肉体にはカーディナルのサブプログラムが宿った。
クィネラと少女はお互いを敵と認識し、激しい攻防の末どうにかバックアップ先の少女《カーディナル》を《大図書室》にまで追い込み、アドレスは破棄されてしまったものの閉じ込める事に成功する。

再び天下を取り戻したアドミニストレータは整合騎士にした人間が深く愛する相手を核に剣型オブジェクトに変換し、それを三十本用意する事で《ソードゴーレム》を創造、これを量産することでダークテリトリーからの外敵に備えようとした。*3
ソードゴーレムは礎になった人間の《相手を求める心》に呼応し暴れまわるが、その想いが果たされるときは永久に来ない。このような哀しい兵器を平然と創り出す、アドミニストレータの歪みを体現したかのような殺戮兵器にキリト達をはじめ彼らと合流したカーディナルも大いに苦戦させられた。

最終的に「勝ち目はない」と判断したカーディナルはキリトユージオ、アリスを逃がす為に「自分をどのように殺しても構わない」という条件で交渉を持ちかけ、それに乗ったアドミニストレータは自身の持つ神器から放った雷光でカーディナルの身を焼き、彼女に致命傷を負わせる。
しかし己の役割を悟ったユージオの申し出により最期の力を振り絞ったカーディナルにより、ユージオは巨大な剣へと変化。大剣へ変じた彼の捨て身の特攻でソードゴーレムは破壊され、次いでアドミニストレータのレイピアと右腕も砕かれるものの、それでも剣(=ユージオの身体)を半ばから叩き折る程の圧倒的な力を見せつけた。


以下、最終決戦のネタバレ。









多大な戦力差を前にし戦う気力を失い膝から崩れ落ちたキリトを、己の右手を変換し作ったレイピアを以ってトドメを刺そうとするもアリスに阻まれ、それを受けて再び立ち上がったキリトと相対し、何故なおも立ち向かって来るのかを問う。


「何なの、お前たちは?何故そうも無為に、醜く足掻くの?戦いの結末はもう明らかだというのに。決定された結末に辿り着く過程に、どんな意味があるというの?」

「過程こそが重要なんだ。這いつくばって死ぬか、剣を握って死ぬかがね。俺たちは……人間だからな」


《黒の剣士》という英雄像に縛られたキリトはもういない。畏れと執着から解き放たれたキリトはアドミニストレータが知らないはずの連続技で決めにかかろうとするも、最高司祭も同様に連続技を繰り出す。それだけではない。彼女は《ソードスキル》という言葉すら知っていたのだ。*4
理解不能な現象を目にしてキリトはパニックを起こし、頼みの綱であった連続技も通用しない。されど、《黒の剣士》にはまだ一つ、この世界では一度も見せていない力があった。

《二刀流》。
相棒から託された青薔薇―――否、彼の遺志を汲み上げ《赤薔薇の剣》となった神器を二本目の剣として構え、三度立ち上がる英雄。


「―――なぜだ。なぜそうやって、愚かにも運命に抗うのだ」

「……それだけが……」

「抗うことだけが、俺が今ここにいる理由だからだ」

「……許さぬ。ここは私の世界だ。招かれざる侵入者に、そのような振る舞いは断じて許さぬ。膝を突け。首を差し出せ。――――恭順せよ!」

「……違う。あなたはただの簒奪者だ。世界を……そこに生きる人々を愛さない者に、支配者たる資格はない!」


とうに限界を迎えた体で二本の剣を振るう。キリトとアドミニストレータは同一のソードスキル――――ヴォーパル・ストライクを始動させた。
キリトの剣はアドミニストレータの左腕を、アドミニストレータの剣はキリトの右腕を断ち斬る。


「おのれええぇぇぇぇッ!!」

「まだだあああああああッ!!」


かつて―――《浮遊城アインクラッド》では成し得なかった《二刀状態での二連ヴォーパル・ストライク》が、この世で最も美しい肢体を破壊したのだ。

しかし、最高司祭は既に朽ち始めた身体でセントラル・カセドラル最上階に設置されたシステム・コンソールに這い寄り、《現実世界》に離脱しようとする。*5
既に気力、体力ともに使い果たしたキリトは最早立つ事もままならず、このまま現実への離脱を許すかと思った、その時。


「猊下あぁぁぁ…………アタシも、連れて行って、下さいぃぃぃぃ…………」


身体を心意の炎で燃上させながらアドミニストレータに飛びついたのは、彼女に処分されたはずのチュデルキンだった。
さしもの最高司祭もこの執念深さは予想外だったようで、その端正な貌に驚愕と恐怖の表情が浮かんだ。


「放せっ………!放しなさい、無礼者!!」

「ああぁぁぁ………ついに……ついに猊下とひとつになれるのですねぇぇぇ………」


ついにチュデルキンの炎はアドミニストレータに燃え移り、抱きしめられていることでひび割れた身体が次々崩落していく。


「貴様如き……醜い道化に……この私が………!」

「ああ……猊下……アタシの……アドミニストレータ……さ……ま………」


愛を《支配》と宣い、己以外全てを顧みる事のなかった支配者は、ある意味誰よりも《愛》に生きた男によって、その命を落としたのだった。


◆大戦では
上述の通り、本人は死んでしまったので登場しない。しかし、各登場人物の回想に登場する他、何人かの「思い出」として残留思念のような形での登場もある。

前者では今まで描写されたような冷徹な上司としての振る舞いをしているが、後者に関しては生前の憑き物が落ちたかのように穏やかであり、聖人そのものみたいな感じである。誰お前。
ラスボスとの戦いに力を貸してくれるアドミンなんて想像できるわけない。

また、アドミニストレータに心酔したものが登場したり、アドミニストレータの作り上げた秩序による人界の歪みの新たな側面も描写されている。


◆余談
「記憶容量にもう余裕がない」とはすでに書いた通りだが、インプットされる情報量を極限まで減らす為に一日のほぼ全てを睡眠に費やしていることはおろか、触覚からの情報も減らす為にほぼ全裸である。
一応薄布のドレスを羽織っている描写はあるにはあるのだが、そんなもので隠せるほど貧相な肢体ではないのだ。
そもそものアリシゼーション編の異常なまでの長さもあるが、これではアニメ化できない訳である。

…ハズだったのだが、「電撃文庫 秋の祭典2017」内にてアリシゼーション編のアニメ化が発表。大丈夫かコレ…
後に彼女が登場した際、原作通りに全裸のシーンも登場しており、さらには中の人の演技も相まってファンの期待を裏切らないものになった。

…ん?フェアリィ・ダンス編で遠目とはいえアスナさんがほぼ全裸で映ってたって?
一瞬映る全裸と常時全裸は比較になりません。

また、上記のように冷酷な独裁者としてのポジションではあるが、一方では政略結婚という偽りの愛によって産まれた存在であるためか、本当の愛を知らない彼女を憐れむ者もいる。
描写を見る限りだが、「クィネラ」という名のいち個人を真っ当に、人間的に愛した人物は存在せず、アドミニストレータとなってからもまた、《最高司祭》という立場抜きで彼女と向き合った人物はごく少数の整合騎士のみであるようだ。

「愛は支配」と豪語する彼女は、その実「支配」に関わりのない愛を知る機会そのものがなかった。だから、「支配する」以外の愛情表現を知ることもできなかった。
だからこそ、人界すべてを支配しようとした彼女は、彼女なりではあるが人界すべてを愛していた……というのはいささか好意的に解釈し過ぎとしても、彼女もまた哀しき悪役と呼べるのかもしれない。
それを踏まえたものか、アニメ版でも上記の通りの最期を迎えるが、彼女の残留思念がアンダーワールドを見下ろして消えていく描写が追加された。


私は、私だけの世界を……


もし彼女が本当の愛を知り、それを受け入れていたのなら、作中の悲劇は起こらなかったのだろう。

またアニメ版のCVが坂本真綾であったのに加え、カーディナルのCVが丹下桜であり、カーディナルが杖を持っていることなどカードキャプターさくらを思い出す人もいたとか。


「ここは私の項目だ。招かれざるWiki篭りに、ただ項目を見ていくだけなど断じて許さぬ。追記しろ。―――修正せよ!!」

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最終更新:2023年10月02日 21:32

*1 この時同時にシステム管理者としてのプログラムも焼き付いてしまい、「世界を維持せよ」という命令に半端な従い方をした結果世界の在りようが大きく歪んでしまった。

*2 わざわざ法を整備したのは《人工フラクトライトは上位存在の命令に逆らえない》という特性を利用すれば手っ取り早く人界を支配でき、同時に自分と同じようにエンタイア・コマンドリストに気付く者が現れないようにできると考えた為。

*3 ゴーレム一体あたりに使用された人間の数は30人、ダークテリトリーに対抗するために必要な数を用意するには人界に生きる人間の半分、4万人で十分らしい。しかも、アドミニストレータは幼い頃両親の「人を殺してはいけない」という教えに叛けないため、素材にされた人間は全て生きたままである。

*4 キリトはユージオやキリトの記憶から読み取ったのだと推測するが、次いで細剣カテゴリやカタナカテゴリのソードスキルを繰り出した事で即座に否定される。しかも、パートナーが使用していたレイピアカテゴリは兎も角カタナカテゴリの技はキリトも知らなかった。

*5 ソードスキルの事やシステムコマンドに使われている言語が《英語》である事、ある程度現実世界に関する知識を持っていた事から、現実に、それもラース関係者に内通者がいる事が仄めかされていた。おそらく離脱後は協力者の手によって回収される手筈だったのだろう。また、《エンタイア・コマンドリスト》もその協力者によって提供された可能性が示唆されている。