間桐臓硯

登録日:2010/06/07(月) 15:20:01
更新日:2024/01/28 Sun 20:55:45
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アインツベルンの聖杯、この間桐(マキリ)臓硯が貰い受ける


間桐(まとう) 臓硯(ぞうけん)とは、ゲーム『Fate/stay night』にて初登場した登場人物。


●目次

【プロフィール】

声:津嘉山正種
身長:145cm
体重:43kg
イメージカラー:群青


【概要】

間桐家の実質的な当主である妖怪爺。
戸籍上は間桐鶴野、雁夜の父で、慎二の祖父。
実際は500年以上の年月を生きている化物。

本名は「マキリ・ゾォルケン」。「間桐」は「マキリ」に漢字を当て、読み替えたもの。
元の姓が「マキリ」なのか、「ゾォルケン」なのかは資料によってまちまち。
ちなみにマキリはロシアの方面から日本へと渡った魔術師である。

魔術属性は「水」、魔術特性は「吸収」。他者から何かを奪うという性質上、使い魔の行使に優れるが、呪術は自分に降り掛かることになるので不向き。
英霊をマスターの使い魔「サーヴァント」として成立させるシステムや、第二次聖杯戦争から採用された「令呪」も間桐によるもの。
臓硯自身は卓越した蟲使いとして有名だった。
しかし元々マキリは臓硯の代で既に衰退を始めていた一族であった。そのため間桐臓硯は子孫の繁栄に託すという通常の魔術師の選択肢もできなかった。


Fate/stay night

◆肉体

聖杯戦争を創り上げた御三家の一人であり、御三家の中では大聖杯建造当時から生き延びている唯一の人物。
その延命方法は、切り離した魂を蟲に宿してこの世に留め、その蟲からの指令で肉や霊体を他者から喰らって奪い、形作るというモノ。
本体の蟲が健在な限りは不死だが、魂の経年劣化は避けられず、500年の歳月を経て文字通り腐っている。

また、奪った肉体の持ち主が若い女性であろうと、肉体を再構成する(本人は「首を挿げ替える」と称している)と老人の姿になるが、これは意図してのものではなく、老人以外の姿になれるものならそうしたいと語っている。
というのも、肉体を再構成する際には「設計図」が必要であり、健常な人間ならば遺伝子などが「設計図」となるのであるが、
蟲に魂を宿した臓硯は本来の肉体や遺伝子などは当然消失しているため、彼の場合は残った魂が「設計図」となり、
その魂が腐っているために再構成した肉体は必ず老人となるだけでなく、魂の腐敗に引きずられる形で肉体も生きながらに腐っていく。

さらに腐っていくスパンも短くなっており、かつては一度「首を挿げ替える」と50年はそのまま活動出来たというが、
第五次聖杯戦争(SN本編)時点では肉体が数ヶ月しかもたなくなっており、その焦りと生きながら腐っていく苦痛が臓硯を苦しめている。


◆本編にて

かつては尊い理想を持った人物であったが、長い年月の中で文字通り身も心も腐り果てており、たとえ血縁者であろうと構わず、平然と他者を道具として使い潰すばかりか、
時には命まで奪うだけでは飽き足らず、他者の苦しむ姿も大好きな外道と成り果て、尊い理想も忘れ去っている。
醜悪なものを好むという言峰綺礼にも、条件に合いそうなものだが心底嫌われている。


現在は「死にたくない」という願望から、聖杯に「不死」を託すために聖杯戦争の勝者となろうとしている。




以下、「SN」の物語の核心となるネタバレが含まれるので注意



















その後しばらくは桜への魔術修行(拷問)を行なったり、桜に切嗣の養子である士郎を探らせる目的で彼の家に通わせるなどしていた。
ここ最近は間桐が管理する他の霊地の外回りをしていたため、家には不在がちだったが、
第五次聖杯戦争が始まった時には戻ってきており、桜(HF)ルート以外では日光を避け、奥の院で引き篭もっていた。

もっとも、第五次聖杯戦争が前回の10年後という短いスパンで開幕したため、やはり今回も本腰を入れて参戦するつもりはなく、
基本的には当初の予定通り、桜の子が参加できるまで成長した時の聖杯戦争に賭ける腹積もりであった。

そのため『Fate/stay night』の内、Fateルート、UBWルートでは桜が召喚したライダーを慎二が使役して台無しにすることも良しとしていた。

◆Heaven's Feelルート

が、HFルートでは間桐桜の聖杯としての機能が覚醒し、『この世全ての悪』と繋がり始めたことで、本腰を入れて勝利を目論む。
そのために外法を用いて、アサシン真アサシンを召喚するための依代として利用する形で葬る。
さらに策略を用いてキャスターにそのマスター葛木宗一郎を殺害させた。

召喚した真アサシンは(非常に臓硯に忠実ではあったものの)戦力的にはそこまで頼りにならなかったが、
桜に飴と鞭で揺さぶりをかけ、彼女と繋がった『この世全ての悪』にサーヴァントを次々と喰わせることで、優勝同然の状態に持ち込んだ。
彼女が黒化したサーヴァントを使役し始めたのは想定外だったが、その維持で桜には更に負荷がかかるため、反逆の心配はしていなかった。
桜を操っていることもあり、真アサシンと桜が使役するセイバーオルタは共闘関係にある。

しかし、後で乗っ取るつもりだった桜の肉体の心臓に本体の蟲を寄生させる際、「寄生する以上、心臓より小さくなければならない」という謎の拘りでかなり小さくしていたこと、
傀儡として操っているつもりであった桜が、臓硯の思惑を超えて黒く成長し過ぎており、乗っ取ろうとした段階でも自我が強く残っていたこと、
本体の蟲以外の臓硯の肉体や霊体が言峰綺礼との戦闘の末、洗礼詠唱によって浄化・消滅させられていたことなどが要因となり、
いざ乗っ取ろうとしたタイミングで桜から(臓硯にとって)予想外の反抗に遭い、本体を体内から強引に摘出されて乗っ取りが失敗した挙句、本体の蟲も「もういらない」と判断した桜に握り潰される。

そして、全ての力を失った臓硯は執念だけで動く肉塊に成り果て、惨たらしくそのまま消えるはずだった。
しかし、その場に現れたイリヤスフィール・フォン・アインツベルンの姿と問いかけに、かつて共に大聖杯を築いた冬の聖女ユスティーツァの姿を垣間見る。


ゼルレッチ翁「あらゆる悪の根絶のため、お前達は奇跡を必要とした」

人の世に救いはなく、人である限り悪を切り離せないのなら
理想郷がそも人間では到達できない地点であるのなら
人間を超える者…新しい人の形を求める

そう、この世の全ての悪の排斥のため、我ら、この願いに命を賭そう


臓硯は、ユスティーツァ(イリヤ)との問答の末に、かつての自身達御三家の理想が「この世、全ての悪の廃絶」であったことを思い出す。
楽園などないと知った悲観の後、この世に無いのならば、肉の身では作る事さえ許されぬのなら、許される場所へ旅立とうと奮い立ったのが始まりである。
そのために新しい世界を作るのではなく、自身を、人という命を新しいものに変えようとした。
人間という種に定められた限界を超え、人類全てのあらゆる憎悪、苦しみを消し去ろうと願った。
そのために求めたのが聖杯であり、人の手に余る「奇蹟」であった。

幾度打ちのめされようと、何度自分では成せないと悟りつつも、生きている限りは諦めなかった。
叶わずに生き続けることがどれだけ苦しいか知りつつも、自分にとって何の報いもない無意味なことと知りながらもただ求め続けた。
そう在る事に意味があると信じ、そう在る事が、いつか、自身を継ぐ者を育むと信じ生き続けた。
それが、苦しいだけの人生を歩んできた臓硯が出した答えであった。

────五百年余り────
思えば、瞬きほどの宿願であった
────いや、あと一歩だったのだがなあ

在りし日のかつての理想、自身の出した答えを思い出した臓硯は、ただ死を受け入れ、生への執着を断って消えた。
500年の時を生きた自身の人生が、第三魔法に至るため、身を捧げた長い苦痛の果ての惨めな終焉などではなく、
千の年月、万の年月の末に手に入れる、ちっぽけな、けれど必ず意味があることであったと信じてこの世を去った。

目的の為には悪を善しとした外道ではあるが、理想を求め、理想が自身に叶えられないと理解しても、
それを求め続けることに意味があると信じたという点では、アーチャーとも似通ったところがある人物であった。



【他のシリーズ】

Fate/Zero

第四次聖杯戦争では、第三次の番狂わせ頻発の乱戦を見た臓硯は聖杯戦争そのものに何か影響が出る可能性を考慮し、
当然の如く参加した遠坂とアインツベルンとは違い、当初臓硯は様子見を決め込んで参加する準備などはせず、
遠坂から養子として貰い受けた間桐桜が産む子が参戦するであろう第五次聖杯戦争に備え、彼女に拷問紛いの魔術調練を加えていた。

しかし、かつて家を捨てた間桐雁夜が桜を救おうと家に戻り、さらには間桐の人々にそぐわない英雄的自己犠牲を払おうとしたことが自身の逆鱗に触れ、
「ウチの血筋のくせに生意気な!」と憤慨した臓硯は、雁夜に対する制裁を兼ねて彼の第四次聖杯戦争参加を了承し、彼を即席の魔術師に仕上げる。
第四次聖杯戦争本番(『Zero』)では、急ごしらえの魔術師故に魔術行使はおろか魔力を消費するだけで苦痛を味わう雁夜に、
英霊召喚の際に細工させて魔力消費の激しいバーサーカーを召喚させるという自滅行為に等しい指示を出したり、
聖杯戦争中盤、魔力不足に喘ぐ雁夜に、彼が救おうとしている桜の純潔(処女)を奪った淫虫(のうち一匹)を強引に喰わせて魔力供給させ、
その直後に雁夜にその事実を告げて精神的に甚振るなど、勝敗など二の次で雁夜を苦しめるのを最優先で暗躍した。

その後、時臣との戦闘やバーサーカーの暴走で雁夜の体内の刻印虫が死滅したことを確認し、彼が死んだと判断した*1臓硯は、
ここで初めて間桐家から外に出て最後の決戦の舞台となった市民館近くに赴くと、衛宮切嗣セイバーによって破壊された「この世全ての悪と繋がった聖杯」の欠片を入手する。
これを刻印虫に改造し、「マキリ流の聖杯の実験台」とすべく、桜に植えつけた(一応、聖杯の機能を持ちつつ天寿を全う出来るように調整はしたらしい)。

なお、遠坂葵と雁夜が幼馴染となったのは、葵の母体としての高い素養に目を付けた臓硯が裏で手回ししたため。
その結果、雁夜が葵に好意を持つまでは良かったが、当の雁夜が間桐の魔術を嫌っていたことが仇となり、
雁夜的には愛しい葵を蟲蔵に詰め込むとか断固NGであったこともあって男女の関係にならず、臓硯の手引きは全くの無駄になった。



Fate/hollow ataraxia

聖杯戦争の終結でボケが来たのか、桜との力関係が逆転。
桜の食事よりも「チンせぬレトルトの方がましじゃのう」と部屋に引きこもり、養鶏場のチキンのように震えているらしい。
哀れではあるが、SN本編の(特に桜に対する)行いから、慎二共々プレイヤーには同情されなかった。

ちなみに、全盛期は顔立ちの若干強面ではあるものの整った顔の美形。
『トラぶる花札道中記』でその姿が見られ、往年の誠実な青年だった頃の彼が見られる。


Fate/Apocrypha

第三次聖杯戦争にて、ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアと激戦の末に大聖杯を奪われ、ほぼ廃人になった。
アニメ版で見せた当時の姿は、視聴者の同情を買わないでもなかったとか。


Fate/Grand Order

第1部第4章『死界魔霧都市 ロンドン』

マキリ・ゾォルケンとして本人が登場。
時代が1800年代だったためか、全盛期の姿で現れた。


グランドキャスターの呪いを受けた一族の魔術師であり、巨大蒸気機関「アングルボダ」を用いてロンドン中に魔霧を撒いていた。
まだまだ全盛期のはずであり腐りきる前であるが、グランドキャスターへの抵抗は諦めきってしまっている。

終盤主人公達を排除するために姿を表し、魔神柱バルバトスに変身して襲いかかる。

しかし打倒され、モードレッドに斬られるが、最後の意地でニコラ・テスラを狂化を付与して召喚した。


コラボイベント『Fate/Accel Zero Order』

馴染み深い間桐臓硯の姿で登場する。
が、今までのツケでも来たのか、特異点での第四次聖杯戦争にてライダーに今までの準備を全て台無しにされる。

しかし大聖杯を諦めきれず、バーサーカーのマスター権を得て主人公一行を襲う。
戦闘中に令呪を使ってくる。いわばクリプターの先駆けである。

敗れはしたが聖杯の起動条件を満たすことに成功。自身の望みを叶えようとするがその前にこの世全ての悪に食われて死亡した。


Fate/strange Fake

第四次聖杯戦争にてキャスターの存在を感知してすっ飛んできたフランチェスカを返り討ちにしたことが語られている。
フランチェスカの幻術は人間には有効だが蟲には効き辛いため相性が悪いらしい。
この一件で部外者用の結界を強化したらしく、懲りずに第五次の際に介入しようとしたフランチェスカは言峰綺礼の妨害も相まって、今度は観測さえ許されずにまた追い返されたらしい。

◇『氷室の天地

表向きの好々爺としての姿を見せる。
地元の名士として名が通っており、士郎達の通う穂群原学園のPTA会長を務めている。
最初は見た目から誤解されがちだがその立派な人柄から生徒からも慕われているらしい。

氷室達にワカメが何かしたら自分の孫だからとて遠慮せず叱るように言ったり、学問の重要性を説いたりと人格者としての面を見せており、「災害による事故死」が伝えられた際も非常に惜しまれていた。
冬木の有力者が集うパーティーにて上記の様な言動を見た氷室は「PTA会長で人格者で声も渋い……なぜこの遺伝子からワカメが生まれるのだ……げせぬ」と不思議がっていた。

亡くなった後には、その死をいたく惜しまれた。

【余談】


  • 劇場版『Fate/stay night Heaven's Feel』3章では、ユスティーファと共に日本を訪れた場面、大聖杯建造のためのユスティーファの死を見届けた際に静かながらも強くショックを受けている場面が描かれている。

  • 疑似サーヴァント化した人物を除くと現状唯一、FGOのメインシナリオに登場した既存作品のマスターである。
    そのシナリオでは間桐は魔神柱になる家系だったことが判明したが、臓硯が魔神柱になることを回避する条件は間違いなくユスティーツァと出会うか否かだろう。
    もっとも、出会ったら出会ったで『Fate/stay night』のようになってしまうので一概にそちらが良かったと断言する事が出来ないのが苦いところである。

  • FGOのシナリオで変身した魔神柱は「バルバトス」である。
    そう、あのレイドクエストで黒桜と化したマスターに狩られ続けたアイツの核である。
    他の世界で身内の運命を翻弄した魔術師の成れの果てが、絞りかすも無くなりつくすほどに狩られた挙げ句
    ハンターに「殺したかっただけで死んでほしくはなかった」という言葉を残されたのは皮肉としか言いようがない。


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最終更新:2024年01月28日 20:55

*1 実際には雁夜は辛うじて生きており、臓硯が出払った後に間桐家に戻って桜と対面を果たしているが、助け出す前に力尽きた上にその身体は残らず蟲が喰い、桜も臓硯に言う事は恐らくなかったため、雁夜の本当の顛末を知るのは桜だけだと思われる。