シャーレイ

登録日:2012/10/16(火) 19:00:59
更新日:2024/02/23 Fri 12:56:00
所要時間:約 8 分で読めます




ケリィはさ、どんな大人になりたいの?

Fate/Zero』の登場人物。
年齢:16歳
CV.高垣彩陽

南海の孤島アリマゴ島に住んでいたポニーテールと褐色肌が特徴的な少女。
衛宮切嗣の初恋の少女にして彼の最大のトラウマの元になった女性。
切嗣から淡い想いを寄せられていたが、彼女は切嗣の事を弟のように思っていた。
日本語の発音が不得手なのか、切嗣の事を『ケリィ』と言う愛称で呼んでいた。
切嗣本人はちゃんと呼んで欲しいようだが『ケリトゥグ』と呼ばれるよりはマシという事で半ば受け入れている。

非情に好奇心豊かな性格で、学校がない孤島の島にもかかわらず、宣教師の神父から読み書きを教わり、
後は通信教育のみで13歳のうちに修士課程まで獲得してしまった天才少女。
その才能を切嗣の父・矩賢に見込まれ、車の運転や家事と雑用、そして魔術の助手をしていた。
尤も矩賢は本格的に弟子入りさせたつもりでなく、
シャーレイには基礎中の基礎のみを伝えるという感じで助手が必要だったから魔術師という事を隠さずに接していた程度。
とはいえ、彼女の飲み込みの良さには矩賢も驚いていた模様。
秘密主義の彼をして、こんな孤島でくすぶっているには惜しいと評する程の頭脳と才覚の持ち主だった。

衛宮矩賢の知識と魔術の凄さに憧れを抱いており、矩賢の事を父親のように慕っていた。
故に矩賢の凄さを村の皆に理解してもらえず、矩賢が村人に気味が悪いと思われている事を残念に思っている。

切嗣は当初は彼女の事を敬愛する父の間に入ってきた奴という風に見ていたようで父の寵愛を受ける彼女の事を本気で疎んでいたが、
彼女の優しさと明るい気性によって絆されるには時間は掛からなかったという。
彼女は彼を弟のように親しく思っており、切嗣も姉のような存在として見ていたようだが、徐々に恋心に変貌していった模様。

矩賢から基礎魔術は教えて貰っていたが、シャーレイ本人は自分が雑用に過ぎない事は理解しており、残念がっていた。
しかし、矩賢の跡継ぎである切嗣がその知識と力を持って何をするかにも興味があったようで、『大人になったケリィは何をする気なの?』と尋ねた事がある。
切嗣もその使い道は心に決めていたモノがあったが、幼稚な夢と笑われたくなかった為に彼女に語る事はなかった。

……そんなの、内緒だよ

じゃあ、大人になったケリィが何をするのか見届けてさせてよ。
それまでずっとキミの隣にいるから。いい?

……勝手にしろよ

受け取り方によってはまるで切嗣に対するプロポーズにも取れる台詞である。
このままであれば、切嗣とシャーレイが夫婦として矩賢の研究を受け継ぐという未来もあったのかもしれない。

だがその後、彼女は好奇心に負けてしまい矩賢から決して触れるなと言い付けられた薬を服用してしまう。
アニメ版によると矩賢の研究を皆に見せ、誤解を解いてほしかったというのもある模様。
薬の効果は服用した者を死徒という吸血鬼にするという最悪な品物。
死徒には死徒に噛まれてなる者と魔術的な要素で死徒になる者がおり、彼女は後者。
死徒になった事で吸血衝動に襲われ、苦しむ彼女を切嗣は発見するも何も出来ずに立ち竦んでしまう。
このままでは吸血衝動に絶えられないと悟った彼女は切嗣に自分を殺すように嘆願するも彼女を愛する切嗣に出来る筈もなくその場から逃げてしまう。

コレが切嗣が見たシャーレイの最期の姿だった。

その後、彼女がどうなったかは直接的な描写はされていないが、島の住民は全員グール化しているので吸血衝動に耐えきれずに人間に襲いかかり血を吸い取った模様。

そして、それを嗅ぎつけた魔術協会聖堂教会によって、全て殲滅。
アリマゴ島の住民全員が殺されるという大惨事になってしまい、シャーレイもまた殺されたと思われる。

この出来事は切嗣の心に深い傷を付けてしまい、『自分がシャーレイを殺せなかったから全員殺されてしまった』というトラウマを植え付ける。
そして、二度とこんな事態を引き起こさないと心に誓う。

薬の事は後に矩賢も気付いたようだがシャーレイに対しては、「残念だった」「図らずも実験結果を早く出してくれた」と零す程度だった。
彼女の事を残念がってはいたが、研究をやめる気には繋がらなかったようだ。

そして、それを聞いた切嗣は父を殺害する。
父が今後研究を続け、第二、第三のアリマゴ島の悲劇を繰り返さないように。

その後、切嗣はナタリアと共に魔術師狩りを行い、
力を付けていくも結局は彼女もまた切嗣の『大の為に小を犠牲にする正義』の為に切嗣に殺されてしまった。

見ていてくれたかい? シャーレイ……
今度もまた殺したよ。父さんと同じように殺したよ。
キミの時みたいなヘマはしなかった。
僕は、大勢の人を救ったよ……

ふざけるな……ふざけるなッ! 馬鹿野郎ッ!!

シャーレイの件を後悔し続けた為に、大勢の誰かを救う為にナタリアを自らの手で抹殺した。
それが自分にとってどんなに苦しく辛い呪いのような憎むべき行為であっても、
犠牲になった人々の死を無駄にしない為にはそれが「正しい」、即ち“正義”と信じて。
こうして大切な人達の死をキッカケに、『大の為に小を犠牲にする正義の味方』が誕生した。

だが、愛する人を悉く『大勢の誰か』の為に殺さざるを得なくなった切嗣は、かつて憧れていた『正義の味方』や『英雄』を、誰よりも憎むようになってしまった。
しかし、自身の正義の為に人々を殺し続けた彼に取って、正義の味方を辞める事は出来なかった。
自身が殺した人々の命を無駄にする事は出来ないという強迫観念によって。

弟のように可愛がっていた切嗣が自分の死をきっかけに、『正義の味方』としての冷徹な仮面を被り、
心でだけ泣きながら引き金を引き続けるのをシャーレイが見たなら、どう思うのだろうか…

やがて、心を殺しながら正義の為に『犠牲になった人々』を殺し続けることに耐えられなくなった切嗣は、アインツベルンの誘いに乗り、聖杯戦争に参戦する。
全ての人を救うという願いを奇跡によって叶える為に……



◇余談
物語終盤の切嗣の聖杯の内側の問答にて切嗣が自身の大切な人達を殺害する場面があるが、何故かシャーレイだけは現れなかった。
これは、『唯一彼女のみ『正義を遂行する(誰かを救う)』という理由以外で犠牲になってしまったから現れなかった』という説がある。

切嗣は藤村大河には甘かったと語られているが、これは彼女の面影がシャーレイにどことなく似ていたから。
気になる方はゼっちゃんと見比べて見よう。



そして、月の綺麗な夜。
士郎の言葉に安心した切嗣は、最後にあの時、シャーレイに言えなかった誓いの言葉を想いながら安らかに息を引き取った。

――ケリィはさ、どんな大人になりたいの?――

眩い日差しの中で、彼女に訊かれる。
その微笑みを、優しさを、決して失いたくないと。
こんなにも世界は美しいのだから、今この瞬間の幸せが永遠にあってほしいと。
そう思うから、誓いの言葉を口にする。
今のこの気持ちを、いつまでも、決して忘れずにおきたいから。

――僕はね、正義の味方になりたいんだ――




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最終更新:2024年02月23日 12:56