METAL MAX4 月光のディーヴァ

登録日:2017/01/21 Sat 08:15:03
更新日:2024/04/08 Mon 09:54:05
所要時間:約 60 分で読めるかもしれません





METAL MAX4 月光のディーヴァは、2013年11月7日に発売された戦車と犬と人間のRPG。メタルマックスシリーズの1作。
ハードは前作から次世代機に移行して3DSで、製作・監修はクレアテックとエンターブレイン、開発はキャトルコ―ルと24frameで、要するに前作『2R』、前々作『3』と全く一緒。


概要

まあゲーム内容について触れる前に、とりあえずこれを見てほしい。





























この色々な意味で衝撃的なイラストと共に発表され、シリーズファンから怒涛の賛否両論(否寄り)を浴びるというものすごいスタートを切った。*1
さらにこれに加え
・3Dフルポリゴン化
・主要キャラにボイスつき
・アニメーションムービーの導入
・DLC
などの要素があることも明らかにされ「そういった要素はメタルマックスにはいらない!」と言った硬派(?)層から大いに反感を買い、2chでは発売前から葬式スレが立つほどであった。
またSFC時代以来、モンスターデザインに選任でキャラクターデザインから離れていた山本貴嗣がキャラクターデザインに復帰したことで、DS時代からの新しいファン層から「何この古臭い絵……」とこちらでも批判を浴びた。
「笑うカドルス」の絵はかっこいいのに……

とまあそんな感じで幸先のわるいプレスリリースを飾った本作だったが、発売後のプレイヤーからの評価は、「シリーズナンバリングタイトルとして文句なし!」という評価に概ね落ち着いた(無論、断固として認めない!って人もいる)。
かのゲームカタログ@wikiでも「良作」判定で、他のレビューサイトでも前2作に劣らない高評価を受けている。
あまりにもイロモノすぎるとっかかりから敬遠していた人も多いだろうが、シリーズファンにはぜひプレイしてほしい傑作である……と思う。多分。


『ストーリー』


舞台は大破壊より50年後(メタルマックス3とほぼ同時代)。

とある海上の廃墟ビル「コンクリ島」で、1人の少年「ヒナタ」が兄のような青年「ギブスン博士」、そして1人の女性型アンドロイド「サーシャ」と共に、日々をたくましく生きる場面から物語は始まる。
しかしある日突然、彼らは「ゴモド」なる男が率いる謎の潜水艦の襲撃を受ける。ヒナタとサーシャはからくも逃れたものの、ギブスン博士が拉致されてしまった。

実は彼ら3人は、50年前にスーパーコンピューター「ノア」と戦うために人類の英知を結集して作られた地底移動要塞「クロモグラ」の乗組員だったのだ。
冷凍睡眠によって「未来への脱出」を試みた彼らだったが、50年後にまだ未熟な技術であった冷凍睡眠から目覚めることができたのはわずか11人。
彼らは未来に人類の文明を伝える種、「ホットシード」として、今の世界に順応しつつ、人類の失われた文明の結晶である「クロモグラ」を引き渡すにふさわしい組織を探していたのだった。

しかしこのホットシードの一人であったベルイマンという男が、クロモグラを独占して世界を征服しようという野望を抱く。
そして人類の文明がいまだ残された地「ラトゥール」において権力を掌握したベルイマンは、ギブスン博士を拉致してクロモグラの隠し場所と起動方法を知ろうとしていたのである。

ベルイマンの野望を阻止し、ギブスン博士を救出するため、ヒナタとサーシャの旅が始まる……


『ゲーム部分』


発売前には「ボイス・ムービー付き」というインパクトからか、「自由度が売りのメタルマックスなのに一本道ムービーゲーなの?」という疑問も出ていたが、
実際はムービーシーンは圧倒的に序盤に集中しており、あとは各PTメンバーの初登場時、そしてストーリー終盤に若干ある程度。途中で力尽きた疑惑がある。
ただし「一本道ゲー」というのはムービーシーンが集中する序盤、また終盤に限れば的を得ている。特に最序盤(2つ目の町ぐらいまで)は所謂「普通のRPGと同じおつかいゲー」と看做す人もいるようだ。
とはいえ序盤の山を越えれば、あとはいつものやりたい放題なメタルマックスなので安心してほしい。割とデンジャーなバグやフラグ管理ミスが残っているという点でも
戦車・登場人物・賞金首など、ゲームボリュームは間違いなくシリーズ最大級。特にMM3以降、ほとんど追加されるばかりだった戦車装備のボリュームがとてつもない。
ただしマップはそこまで広くなったわけでもなく、そのマップに装備をぎゅうぎゅうに詰め込んでいるため、個々の装備の寿命がとても短い傾向がある。

画面は戦闘・マップ共に3Dになったが、基本的なゲームシステムは前作それをほぼそのまま継承している。
勿論これまで同様、前作UIからのブラッシュアップは怠りなく
  • オートランの追加
  • 便利コマンドの拡張(特技も登録できるようになった)
  • トランクルーム機能の拡張(自動/手動整頓機能など)
  • シャシー改造メニューがツリーからリストに
  • 超改造を複数回同時可能に
  • 手に入れた称号をメンバー全員が自由につけかえ可能に
などなど、これ以外にも非常に多くの面で機能が拡張・追加されている。
前作で不満が挙げられたところにはほとんど手が入っており、今作に批判的な人でもインターフェイスに対して文句をつけることは少ない。

戦闘面での変更点・追加点も多く
  • 2種類の新職業追加
  • 戦車やCユニット、兵器の特性追加
  • シャシーやCユニットやの特性も一部改造・追加可能に
  • 特殊砲弾の撤廃(以前の特殊砲弾と同様の属性は一部兵器の特性として登場する)
  • MS1と同様に「遠距離」の概念が追加
  • 会心の一発よりさらに5倍ものダメージが出る「超会心」が登場
  • 特技の大量追加。これまでのようにコマンドで使用する特技だけではなく、キャラ自体の性能に補正を与えるパッシブ特技が登場
  • 特技を戦闘で手に入るブースターポイントによってランクアップさせられるようになった
  • 戦闘メンバーはこれまで同様人間3名+犬1匹だが、パーティ自体には12人まで同行可能で、戦闘・イベント中を除きいつでも入れ替え可能
  • 戦闘中にHPが0になっても「戦闘不能」になるだけで、宿屋に泊まれば回復するようになった(ただし全滅すると全員死亡扱い)。ミンチも登場するが、復活は全滅時・及びイベントのみ
  • サブジョブシステムがなくなり、メンバーの特技のカスタマイズは「付け替え」によって個々に行う。特技も付け替えに対応した付け替え特技、そのジョブ固有の固有特技に分かれた
  • 「チャレンジハント」で1度に6つの候補が提示され、それから選択できるようになった
  • 「挟み撃ち」が登場。挟まれている状態では逃げられない
  • ダブルエンジンやダブルCユニットとトレードオフで、6つ目の穴を開けられるようになった
  • 全滅時に敵をどれだけ削れたかを示す「撃破指数」が出るようになり、「今の戦力ではとても勝てない賞金首なのに、知らずに何度もチャレンジしていた」といった事態を防げるようになった。初見の敵でも安心(してミンチ送り)だ!
などなど。


DS系のメタルマックスの伝統として、前作から機能をダウングレードさせずに大量追加しているため、ゲームボリューム同様にシステム面でも過去最高峰に複雑化・肥大化している。
このためマップや町の各所に「ハンター虎の巻」というチュートリアル・解説テキストが多数設置されていて、初心者でも安心。

そしてシリーズものの常というべきか、全体的にダメージはインフレ気味。3→2Rでもその傾向はあったが、今回ははっきり言ってその比ではない。

・大砲「機神鉄槌砲」……攻撃力:1500/ 守備力:255 / 重さ:85.00t / 範囲:全体 / 特性:迎撃回避・身かわし無効・対空性能・高会心
・SE「X-トルネード」……攻撃力:840×10 / 守備力:120 / 重さ:13.20t / 範囲:円範囲 / 特性:ダメージ補正-45%
・特技「最大全門発射」……クルマに搭載されている全武器を「命中率+50% & 会心率+60%」の補正つきで発射。
・特技「ぶっぱなし上等」……装備しているすべての人間武器を「命中率+40% & 会心率+40%」の補正つきで発射。
・特性「ブレイクショット」……穴1に搭載されている武器を弾が尽きるまで連射する。一定確率で武器が破損し、破損したら連射も止まる。

注)メタルマックスにおける「命中率」とは攻撃の命中確率ではなく、ダメージ量に関連する数値。

などと、ゲームバランス大丈夫なのかこれ!?と言いたくなるような数値が続々と登場する。
ここまでこちら側の攻撃がインフレしてたら、ゲームバランスなんどさぞかし……と思いきや、しかしゲームバランスは意外にも高難度でまとまっている。
理由は簡単で、敵の方もバッチリインフレしているからである

2周目以降で解禁されていく高難易度の補正も2Rより圧倒的にパワーアップしている
しかも今作では難易度を上げるとマシン系は雑魚もボスもパーツ自動修復搭載。ノーマルでは持ってなかった奴らも全員修復します。
ただしそれ以外の系統は修復されないのでマシン以外には相変わらずある技を使うと……
パーツ破壊手段自体もあまり多くない(しかも武器は非常に入手し辛い)が、無力化難易度がそれ以上に上がる。

『職業』


新職業の「ライダー」「舞闘家」が追加された。
新職業はいずれも新機軸というよりは中間的な職業だが、特技システムが大幅に変更されたことで、既存の職業も前作から比べると立場にやや変動が見られる。
前作同様、ヌッカの酒場で希望の職業の汎用キャラクターを雇用できる。
見た目と中身の職業が違うキャラを作れるようになったため、見た目アーチストのソルジャー等も採用可能。
2周目以降は1周目では固有職業だった舞闘家とライダーも解禁される。
が、この二つのクラスの汎用立ち絵は存在しない。酷い。



『戦車』


戦車と呼んでクルマと読む、メタルマックスの象徴的存在。
カスタマイズ性は間違いなくシリーズ最高で、また前作に比べて特性が大幅に増加した結果、様々な「型」が新たに生まれている。
今作の通常プレイで手に入るクルマは12台(12枠)。
前作から引き続きの「レンタル買い取り枠」に加え、今回は「戦車市場枠」という新たな枠が登場した。
これはショップから金で購入する戦車で、1台までは専用の枠があるが、2台目以降は別の枠の戦車と交換で買うことになる。
DLC戦車もこの「戦車市場枠」として扱われる。


『登場人物』


前述した通り、今作ではパーティメンバーが12人まで一度に同行可能。それ以上のメンバーは前作通りにヌッカの酒場に待機させておき、入れ替えたいときは酒場で行う形になる。
12人と言う枠はユニークキャラクター(犬含む)の人数と丁度一緒だが、勿論前作同様の汎用キャラクターを入れておくことも可能。






『WANTED MONSTER』


賞金首は通常配置が全35体。前作、前々作を上回り、シリーズ中ではMS1(39体)に次いで2位。
そしてDLC賞金首はなんと怒涛の32体(ただし内8体は限定版専用)で、これを含めた総勢67体は無論シリーズ最大。
また3以来の伝統になった「賞金がかかっていないボス」も非常に多く、また今作ではそのほとんどが固有ドロップを持っている。
……つまり当然の帰結として、地獄のドロップマラソンがますます悪化した。末長く遊べるよ!やったね!




『DLC』


今作でシリーズ初登場した要素。集金乙。
DLCのラインナップは戦車、戦車装備、人間装備、スゴ腕(DLC専用パーティメンバー)、ユニークキャラクター用のエロ衣装、賞金首など多岐に渡る。
購入後の入手法はそれぞれ
  • 戦車……購入後に戦車市場に並ぶ。扱いは戦車使用枠同様。
  • 戦車装備・人間装備……購入後にある町でのショップに並ぶ。装備は最初の1個はすぐにもらえるが、2個目以降はゴールド(ゲーム内通貨)がかかる。
  • スゴ腕……購入後にヌッカの酒場に登録される。
  • 衣装……購入後にある町でのショップに並ぶ。
  • 賞金首……購入後、各地のハンターオフィスで情報を聞くと出現フラグが立つ。戦闘自体はランダムエンカウントだったりシンボルエンカウントだったり様々である。
という感じになっており、どれもほとんど序盤で、無制限に買えてしまう。このためよく考えずに速攻でDLCに手を出すと、いきなりゲームバランスが崩壊しちゃったりするので注意。

DLC価格はそこまで高くない(50~500円)が、数が圧倒的に多く、またコンプリートパック的なものも存在しないので、仮に全部買うとなると約10万円と凄まじい金額になる。
基本的には買いたいものをピンポイントで買う、ということになるだろう。
ただし、公式コラムでDLC用に時間と予算をとって製作したという発言があるように相当な作り込みが見られる。
例えば賞金首は人型タイプのものなら過去作を彷彿とさせるイベント台詞を声優によるボイス付きで戦闘中含めて喋ってくる。

装備関連のDLCは、数こそ多いが全体的な性能としてはかなり控えめ。
もちろん最終装備の一角、あるいは最強装備になり得るものもあるが、何しろDLCの数自体が多いので、そういったものは全体に対する比率としてはごく小さくなってしまう。
が、比率としてはわずかだが、それらの装備は非常に強力であり、中にはDLC以外では代用が利かないタイプの物も存在するため、この点はかなり不評。


などが挙げられる。
また、正確には有料DLCではないのだが、ある意味それ以上にプレイヤーを悩ませるのが「Limited Edition(限定版)の付属DLC」の存在。このDLCはすべてがオンリーワン、かつその後も一般販売がなされていないのである。
「限定版専用なんだから、後で普通に買えちゃったりはさせません!」というのは、まあある意味では誠実な態度と言えるだろうが、既にどのショップでも在庫など残っていない現在、これは少々辛いものがある。





『ホットシード』っていうのは、熱い種っていう意味。
これから私たちの身体は冷凍されるけど、ハートはずっと熱いまま。
そして、50年後の未来で花を咲かせるの。貴方もその一人よ。

建て主と一緒に記事を作るのよ。大丈夫、きっと大丈夫だから。
怖がらないで。いい追記・修正をしてね……

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最終更新:2024年04月08日 09:54
添付ファイル

*1 しかもこれでもリテイク後のイラストであり、一度任天堂から販売許可申請の際やり直しを喰らった。理由はラフ画を見て察して欲しい。

*2 アーチストの特技暗黒舞「踏」の上位互換

*3 DS系のメタルマックスの基本システムはMS2のそれを基にしている

*4 改造では不可能で、ダブルエンジン仕様のレンタル車を買う形になるが

*5 Vジーン計画。MM3の主人公が施された改造措置と同じ

*6 このあたりの事情は限定版の付属冊子『笑うカドルス』で触れられている

*7 ただし戦車でも戦える

*8 エンターブレインの通販ショップ