おろかな埋葬(遊戯王OCG)

登録日:2017/01/09 Mon 15:19:06
更新日:2023/12/09 Sat 13:33:28
所要時間:約 7 分で読めます






おろ‐か【愚か】





[形容動詞][文][ナリ](「疎か」と同語源。)

1:頭の働きが鈍い様。考えが足りない様。???①「お勉強が足りないわよクロノス先生!」
2:ばかげている様。???②「バカげてるぜ!!」
3:未熟な様。???③「なんてこと言うと思ったか!お前はまだまだだ!!」
[派生語]おろかさ[名詞]


(出典:デジタル大辞泉)


???④「なぁにこれぇ。」




《おろかな埋葬》とは遊戯王に登場する通常魔法。
初出は「STRUCTURE DECK-城之内編- Volume.2」で現在制限カード。通称は「おろ埋」。


概要


《おろかな埋葬》
通常魔法
(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

初期の遊戯王OCGらしく、シンプルな効果である。

イラストのイメージからして自身の体を自分で土中に埋葬しているから「おろか」と言っているのだろうか。
あるいは効果の内容で「ププッ、コイツ自分のモンスターをわざわざ墓地に捨ててやがんのwwwww」「こんなの誰が使うんだよ」というイメージにしようと思ったのだろうか。
実際、遊戯王を始めたばかりの子供の頃、「なんだこれ?」と首を傾げた人だっているかもしれない。



だが、現在のデュエリスト達にこのカードの事を聞いたらこう答えるだろう。



「え? どこがおろかなの?」

「デッキ圧縮と墓地肥やしおいしいッスwww」

「誰得?俺得だよ!」

「こんな強いカードを弱いと言うとは…信じられない」



まぁ現在制限カードという時点で何となく察しはつくだろう。
「シンプルな効果ほど強い」を体現しているかの如く、このカードの有用性は非常に高い。

この項目を見ている人達も恐らく分かっているだろうが、このカードについて解説していく。


解説

まず効果はデッキからモンスターカード1枚を墓地へ送るというだけであり、盤面や手札には一切影響を及ぼさない。
そのためこれ単体で見ればハンド・ボード面では1枚のディスアドバンテージである。

次に効果そのものだが、デッキからカードを落とすという点は一見すれば後々引くであろうカードを1枚失っているように思えるだろう。
しかしこれは見方を変えると、デッキから不要なカードを墓地へ送れば他の引きたいカードが引きやすくなる所謂「デッキ圧縮」になる。

だが1枚減らすだけの圧縮では大した効果は望めず、単に不要カードを弾いて引きたいカードを引くだけなら
ランダム性は絡むもののモンスター召喚のおまけもつく《名推理》《モンスターゲート》などもある為、この点はあまり目立たない。


ではこのカードの強み・メリットは何なのか。
それは狙ったカードを確実に墓地へ送ることが出来る点である。
そして遊戯王の「墓地が肥えていれば肥えているほど戦術が広がる」という特徴の例に漏れず、このカードから先へつなげられる戦術が多い。
ネクロバレー「やぁ。」
マクロコスモス「墓地と聞いて。」

利用方法

まず代表的な使い方は「モンスターの蘇生」。
遊戯王では《死者蘇生》を筆頭として墓地からモンスターを蘇生させるカードが大量にある。
基本的にモンスターは普通に出すよりも墓地から蘇生させる方が通常召喚権を行使しない、フィールドや手札の消費を少なくできるなどのメリットがある。

だがそういったカードも狙ったモンスターが墓地にいなければ旨味が薄い。
手札から墓地へ送るという手もあるが、手札に来るかどうかはサーチカードを使わなれば不確定要素である上に非常に回りくどい。

ピンポイントに狙ったモンスターをデッキから直接墓地に送れるこのカードの存在は、
墓地のモンスターを積極的に蘇生させるデッキに置いて上記の手間を省ける為、非常に有用であることが分かるだろう。

遊戯王原作においても、リシドの罠モンスターの軍勢の前に絶体絶命のシーンにおいて、
城之内がこのカードと《墓荒らし》のコンボで《人造人間-サイコ・ショッカー》を出し反撃を開始した印象的なシーンもある。


次に「モンスター効果の使用」が挙がる。

「墓地へ送られる(どこから送られるかは問わない)ことで効果が発動するモンスター」や「墓地で効果が発動するモンスター」は、
このカードを使う事で能動的に使用する事が出来る。これもやはりピンポイントに墓地へ送ることで発揮できるメリットである。

簡単な例を挙げてみると…

  • ダンディライオン
墓地へ行くことで2体の「綿毛トークン」を生み出せるが、このカードの効果で墓地へ行っても発動する為、デッキ圧縮に加えてフィールドアドを2つ稼げる。

自身を墓地から除外して、デッキから同名カードを特殊召喚できる。
このカードと合わせて2枚のデッキ圧縮が出来る。
また「D-HERO」はコイツ以外にも墓地で効果を発動するものが多い為、相性はいい。

インチキ「BF」シリーズの1枚。自分の場の表側表示のカードを戻して自身を蘇生させる。
このカードや他の自己再生カードは総じてこのカードと相性がいい。

  • サイバー・ドラゴン・コア
自身を除外して「サイバー・ドラゴン」モンスターを呼ぶも良し、墓地で《サイバー・ドラゴン》となる点を活かして、
《オーバーロード・フュージョン》で《キメラテック・オーバー・ドラゴン》の素材にするも良しと使い道はいろいろある。

自身を墓地から除外して墓地のアンデット族モンスター1体を蘇生させる。
このカードと併用すればアンデット族限定の《死者蘇生》となる。


他にも色々と例はあるが、墓地で効果が使用できるカードは非常に多く、このカードはその効果を使用する後押しをしてくれる。

そして送った墓地のモンスターを利用するという形で、このカードを利用するという物もある。
例えば《ダーク・クリエイター》や《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》などは召喚の為に墓地に特定のモンスターが存在する必要がある。
その特定のモンスターをそろえる上でもこのカードは非常に役に立つ。




ここまで書いたように、このカードには「墓地に送りたいカードが既に手札にあると腐ってしまう」という難点があるにはあるが、
色々と有用な使い方が存在し、愚かなカードとして扱われることはまずなく「賢い埋葬」と言われることすらある。


OCG環境において

OCGにおいてはノーリスクで実質1:5交換の、《おろかな埋葬》の完全上位互換という某キ○ガイカード《苦渋の選択》がまだ現役カードだった頃に登場した為、このカードの採用率は実は今よりも低かった。

そして問題児の《苦渋の選択》が禁止カード化、墓地を参照する効果&墓地で効果を使えるモンスターが増えた事によりこのカードの採用率は上がっていき、
最終的に2008年3月の制限改訂にて準制限カード、2010年3月の制限改訂で制限カードとなり、今に至っている。

《おろかな埋葬》以外でも《終末の騎士》や《炎熱伝導場》《インフェルニティ・インフェルノ》などの特定のデッキなら《おろかな埋葬》以上に強い特定のモンスターをピンポイントで送れるカードが出てきたが、
即効性があり墓地へ送るモンスターに縛りのないこのカードは墓地のカードを積極的に使用するデッキでは優先的に投入されている。

ちなみにこのカード、旧テキストでは「カードをシャッフルする。」という部分があり、
このシャッフルが「このカード自身の効果」としてとして扱われていた為、
「墓地へ送る効果」の内、間に効果処理が挟まるとタイミングを逃してしまう「時の任意効果」は効果を発動できなかった(例:《暗黒魔族ギルファー・デーモン》)
だが後に「ルールによるシャッフル」という裁定に変更され、問題なく使用できるようになった。
そして上記のテキストも削除され、それが明文化された。


原作・アニメでの扱い

OCGでは強力なこのカードも、OCG化される前の原作及びアニメ版では「自分のデッキのカード1枚を相手の墓地に置く」という正しい意味で「おろかな」埋葬だった。*1
まぁ今なら今で《一族の結束》の妨害や《ダーク・アームド・ドラゴン》召喚の阻害などの使い道はあるにはあるが。
バトルシティ編の城之内vsマリク戦で城之内が使用。原作では「相手の墓地にあるカードを1枚使える」という効果の《墓荒らし》とのコンボに使われている。

ちなみにこのカード、漫画・アニメ版遊戯王では5D’sを除く全てのシリーズにて実際にデュエルで使用されている。
(ただしZEXALに関してはスピンオフ漫画での使用。)


関連カード

「おろかな」というカードも地味にシリーズ化しており、このカード以外に以下の3枚と、このカード自体のパロディカード1枚が存在する。

《おろかな転生》
速攻魔法
(1):相手の墓地に存在するカード1枚を選択して発動する。
選択したカードをデッキに戻す。

効果そのものは「おろかな埋葬」とは真逆のものだが、こちらは速攻魔法。
相手の墓地アドを潰すことが出来るのだが、《D.D.クロウ》や《転生の予言》と言ったカードがある為、採用率はあまり高くない。
差別化点については、前者とは「デッキに戻す」という点、後者とは「速攻魔法」という点が挙げられる。

《おろかな副葬》
通常魔法
「おろかな副葬」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):デッキから魔法・罠カード1枚を墓地へ送る。

こちらは《おろかな埋葬》の魔法・罠バージョン。
魔法・罠カードはモンスターカードに比べて墓地で効果を発動するものは少なく、
なぜかあちらと違って1ターンに1枚しか発動できないが、《ブレイズ・キャノン・マガジン》などの強力なものもある上に、
墓地に送ったターンには使えないが、《スキル・サクセサー》や《ブレイクスルー・スキル》などの墓地で発動する効果は非常に妨害しにくい為、こちらも十分に使えるカードである。
《リミッター・ブレイク》を落とせば効果は使えないけど過労死を出せるよ! やったね蟹ちゃん!

TUEEE《ラヴァルバル・チェイン》禁止化後に出てきたため、デッキから魔法・罠を墓地に送りたいデッキにとってこのカードの登場は朗報であった。
しかし、カードプールの増加に伴い墓地で効果を発動する魔法・罠が増え、汎用性が高くなりすぎた結果2023/1/1に準制限カード指定を受ける事となる。

《おろかな重葬》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、
このカードを発動するターン、自分は魔法・罠カードをセットできない。
(1):LPを半分払って発動できる。
自分のEXデッキからモンスター1体を墓地へ送る。

未だに貴重な、EXデッキからモンスターを墓地に落とせるカード。
《おろかな埋葬》と違って蘇生制限により蘇生はできないが、メインデッキのモンスターに依存せずにコストや上級モンスターの素材などとしては使える。デッキによっては墓地肥やしの水増し要因としてもなかなかに優秀。
最近はEXデッキのモンスターを素材にする融合モンスターも増えており意外と痒いところに手が届く。
ただし馬鹿にならないライフコストと制約がかかるのには注意。

《のどかな埋葬》
通常罠
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。
このターン、自分はこの効果で墓地へ送ったカード及びその同名カードの効果の発動ができない。
《おろかな埋葬》の調整版。通常罠になったが、今度は同名カードも含め墓地に送ったモンスターの効果がそのターン使えない制約がかかる。
ただし制約がかかるのは「墓地に送ったカード」なので、《異次元グランド》などと合わせて除外効果をフリチェで発動する小技も。


追記・修正は賢い埋葬をしつつお願いします。

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最終更新:2023年12月09日 13:33

*1 なお、アニメ版ではこのカードの名が《愚かな埋葬》と漢字表記になっていることがあった。