K-クラスシナリオ(SCP Foundation)

登録日:2016/12/29 Thu 23:48:56
更新日:2024/01/02 Tue 21:36:03
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問題がある。タンポポのお酒を作るときにはまず花を摘み取らないといけないってことが問題だ。




ここでは、シェアード・ワールド怪奇創作『SCP Foundation』に於ける、「終末論」について解説する。


概要──K-クラスシナリオとはなにか?

アニヲタWikiで多数のSCP Foundationの記事を読んできた諸兄は、財団世界に多数の異常物品があること、それらを収容したり破壊したりあるいは目的のために利用・奪取しようとしていることを理解していることであろう。

たとえ害が少なくとも、概して性質が完全に判明しない異常存在は不用意な使用によって人や動物、環境などに害を齎し、それを悪用する者達が世界を脅かす。特に危険性の強いオブジェクトを放置すると酷い場合にはそれこそ「世界滅亡」だ。

そんな「世界が滅亡の危機に瀕する、あるいは滅亡してしまう」ことを財団は「K-クラスシナリオ」と呼称する。
これを防ぐためには異常存在を確保・収容・保護、あるいは徹底的に破壊するしかない。…………まあ、しまいこんだことや破壊したことがきっかけでやばいことになることもよくあるんだけど。

早い話、「K-クラスシナリオ」とは「世界\(^o^)/オワタ」状態だと思えばいい。

一応、そんな世界滅亡のトリガーになりうるオブジェクトは財団から厳重にチェックされて分類されている…………はずだが大半は収容困難or不可能。
財団世界の明日…………というか、昨日がすでに大丈夫か?


注意事項

…………さて、分けたのはいいんだが、SCP創作はシェアワールドのヘッドカノンで創作されているので、K-クラスシナリオの説明が複雑化している。

ヘッドカノンをざっくり言えば「俺設定」。しかも、SCP創作ではある人の「AとはBである」に対して「いいや、AとはCのことだ」という新たな定義付けをしても面白ければ許されるので、ただ似ていても若干違ったりもする。同じAでも本当にAなのか、それともBなのか、はたまたCなのかは作品を読んでみない限りわからない。(詳細はリンク先を参照)、

もちろん、全く皆が違うとそれはそれで読みづらいので、大概は議論の末に決着を見せたり、ある特有の偉大な先駆者に則って定義付けが似たようなものになることが多い。
そういったものをひと括りに語りにくい、というのがK-クラスシナリオの難しさであるといえよう。

とりあえず「あんこといえばつぶあんだし、うどんといえば讃岐だし、唐揚げにレモンは絞らないし、駆逐艦雷は俺のママだし、野獣先輩は後輩にアイスティーを持ってきてくれる人間の鑑だし、きのこはたけのこより上」とか喚き散らすヤツに対して思う「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではなという考えに似ていると理解しておけばいい。

以下の説明も、大多数にある程度共有されたヘッドカノンを元に、やはり項目作成・編集者独自の解釈が入っていることを前提の上で読まれることを推奨する。
例えば財団には各アルファベットに別のシナリオを当てはめている記事もあるし、○○シナリオを命名していない記事もある。




各シナリオについて

AK-クラス:文明終焉シナリオ

人間の知覚プロセス・思考プロセスのいずれか、あるいは両方の崩壊でみんなの常識がまるっと置き換わり、もはや元の人間らしさを失って「すべてが狂ってしまう」シナリオ。

すごく変な形で文明が崩壊していく自己喧伝性感染図形が有名な例。
これは「その図形を見た人は必ずそれを書き写したくなり、書き写したあとは他者にそれを見せて書き写させようとする」概念オブジェクトだが、この図形を一度見た人は延々と文字通り死ぬまで行い続ける。なにしろ書き写すことが他の活動より優先されるから。


CK-クラス:再構築シナリオ

別世界の歴史や物理法則にこの世界が上書きされるシナリオ。
過去改変や現実改変によって発生する。



IK-クラス:世界崩壊シナリオ

小隕石の衝突などで地球人口の半分以上が死んでしまう後述のXKに近い定義のシナリオのうち、「SCP封じ込め違反を直接の理由としない」シナリオ

…異常性も収容違反もないのになんで対応するのかという話になるが、財団のサイトは世界中にあるわけだから、どこに落ちても収容違反は起きてしまうだろう。例えば「それに乗じて数百レベルの収容違反が起きる」とか「財団の武力と政治力なら有効に対処できるから」とか。

とはいえ、『いずれ図鑑に載る(Explained)かもしれないが「大陸プレートを破壊するかもしれないさかなクンさんも驚嘆の魚」』とかで秘密組織の財団を物語に織り込む意義を見せないといけない。

…よく考えれば、財団の大目的が『世界を守る』ってんなら『動かなきゃいけない時はあるわな』という感じではあるが。


MKクラス:財団終焉シナリオ

これは世界ではなく、財団の「確保、収容、保護」という理念が変わってしまうシナリオ。
財団の理念が「人類の根絶、オブジェクトの徹底破壊、世界の終焉」なんかにでもなれば世界終焉真っしぐらということ。
CKのように現実改変をキーとして起きることもある。


NK-クラス:”グレイ・グー”シナリオ

「自己増殖する物質」による終焉シナリオ。
地球の全てがそれに置換されたり、地表が完全に埋め尽くされたりするイメージ。
SCP-505(インクの染み)では、自己増殖するインクによってどんどん黒く汚れて地球環境が悪化していくシナリオが語られる。
アニヲタWikiの読者ならばドラえもんの『栗まんじゅう問題』といえばどういう顛末か想像がつくだろう。
財団世界は栗まんじゅうを増幅させるエキスは存在しないが、増殖したケーキを止める装置も存在しない。
具体例として挙げられるものが、エラーによって暴走したナノマシンが乗算的に自己増殖し、最終的には地球そのものが(ナノマシンの塊(グレイ・グー))と化す現象であることから"グレイ・グー"と呼ばれる。


SK-クラス:支配シフトシナリオ

何らかの強力な知的生物や団体が現行の地球支配種である人類にとって代わり、国家や文明、財団もその支配下に置かれるであろうシナリオ。
一部の危険な要注意団体が本懐を成し遂げるばかりでなく、ある種の知的存在が収容を突破して支配を広げてしまった場合もこのシナリオに当てはまる。

財団世界の地球の支配種はヒト種で、財団もGOCも、MC&DやMCFといった一部の要注意団体もそこは共有している。特に財団は隠蔽面でも予算面でもDクラス供給面でも現在の国家と文明に依存している。
一方で財団では、ヒト種にとって代わって新たな文明を地球上に築きうるほど強力な組織や種族を異次元に確認、あるいは地球上に収容している。
ではもしそういった強力な存在や組織が地球や人類に野心を抱いたらどうなるのか。脆弱なヒト種は駆逐されるか奴隷になるか、少なくともヴェールの崩壊、人類文明の異常な変革を強制されるだろう。

財団世界ではサーキック・カルトダエーバイト文明のような組織は言うに及ばず、SCP-435『かの闇を作りし者』*1およびティターニアの檻で、「妖精」のような支配種が夜行性の類人猿に追われ、そして人間が彼らを隅に追いやった可能性が指摘されている。
ちなみに違うヘッドカノンに基づく歴史の支配種シフトにも人間が関わっている。

XK-クラス:世界終焉シナリオ

もう文明を再建できない領域まで崩壊してしまった塩漬けの地球」シナリオ。
K-クラスシナリオの中でも他に比べるとイメージがしやすく、アブラハムの宗教的黙示録のイメージに近い、読んで字のごとく「世界が終わる」シナリオである。*2

シナリオ開始時点でもう手遅れなありとあらゆる方法で、たとえば未知の病とか、未知の放射線とか、大量に自己増殖した彫像とか、それこそ現実でどっかの独裁者が核ミサイルを全世界に撃ちこむことでも起きる「可能性が高い(かつ一番救いがない)」シナリオ

制定時点で財団含めた人類が全滅した静かなる日々のように破滅までのプロセスを語る『エピローグ』として扱われるものとも言えるが、あまりに使いやすかったせいでアベルを指して「XKレベル」というような俗語として「XKが起きる」なんて使い方がされている。


YK-クラス:真空崩壊シナリオ

『YK-クラス:エントロピー消滅事象』。
XK-クラスがもう取り返しがつかないけど一応世界が残るのに対して、こちらは世界自体が消えてしまうシナリオである。

テレフォース及びトンあるいはウロボロスでは「オブジェクトの暴走で世界が消滅」し、ゼロから作るアップルパイでは「オブジェクトの中で世界がNK-クラスシナリオを経てアップルパイになる」という終わりを迎える。

言うなれば「ビッグバン(宇宙の始まり)」の対極の「ビッグクランチ(宇宙の消失)」。


ZK-クラス:現実不全シナリオ

Kクラスシナリオが整理される以前から取り扱われていたアイデアであり、現実が「停止」し、宇宙が完全に破壊・抹消されるシナリオ。
心不全を起こすと脳の精神活動全てが消え失せるように、現実が現実不全を起こすと宇宙がなかった事になる。
古い記事では別の呼称で言及されていて、CK-クラスやYK-クラスとの区別も必ずしも明瞭ではなく、起きてしまうと描写しようがないので、前兆現象としての「崩壊の途上にある不安定な現実」が描かれている場合が多い。

「悪趣味なホラー作家一団*3」、時空連続体を引き裂いて飲み込む長野県の穴、真空崩壊によって宇宙の熱的死に至ると予期されている「ZK-0世界停止シナリオ」が典型例だろう。
一時的にCK-クラス再構築シナリオを起こし、経年劣化によって永続的なZK-クラス現実不全シナリオを引き起こすゲーム機や、滅亡の危機に瀕する並行世界の通信を受信して財団がZK-クラス現実不全シナリオが起きているものと判断しているものもある(記事内に明確な根拠はない)。

原因や因果関係がどれほど不条理であっても成立するため、「ある特定の条件を満たすと世界が終わる」という、終末論・終末の危機を演出する存在として扱われている事もある。


GH-クラス:”デッドグリーンハウス”シナリオ

80%以上の生命は死に絶えるが、地球が生命を維持し、文明を立て直すまでに回復可能なシナリオ。

絶対に避けなければならないシナリオに見えるだろうが、財団的には最善ではないが次善のある意味望ましいシナリオである。

ほぼすべてのSCPが収容違反して、文明をあらかた破壊され尽くした『マリアナ海溝から回収された文書』の「GH-0"デッドグリーンハウス"シナリオ」が有名であろうか。

ここで「文明を立て直す」ための存在が、起動することで人類を再生産し、再び世界を元の状態に戻す機械仕掛けの神
ただし、現在この機械は停止しているし、あくまで地球そのものが無事ではないと意味はないので、GHあるいはGHと等価のシナリオに持ち込めないと使えない。
要は、速く修理して地球は守らないといけない。


ここからは少し色が異なるK-クラスシナリオである。


ΩK-クラス : 死の終焉シナリオ

全人類が完全な不死となるシナリオ。ただし、妊娠もすれば普通に老いるし、老いきって全く体が動かせなくなっても、脳死状態にもならず、結果的に長期睡眠状態に追い込まれたうん百歳の老体によるNK-クラスシナリオ*4

SCP-1344-JPや、ワダツミ計画アマチュア病院の医薬錠剤など意外に多くあるが、どれも関与するオブジェクトというよりそれが発生した後の話が多い。

一般市民にとったら急に不死になることから下記のLV-Zeroシナリオもついてくるし、増え続ける人口のせいで資源の奪い合いによる戦争が発生する事は想像に難くない。

ΩK-クラスシナリオが発生した完全に悪夢な世界で見られるのは、銃を手にして敵陣に突っ込み合うゾンビたち。

まさしく、地獄絵図な(これまでの)世界(常識)終焉シナリオ。


LV-Zero : 捲られたヴェールシナリオ

またはLK-クラス: ”捲られたヴェール”シナリオ
SCP-JPのカノンハブ『1998年』のように、オブジェクトや要注意団体、自然災害等々の原因により世間一般にアノマリーや財団などの存在を知られてしまうシナリオ。

「世界終焉関係ないやん!」と思うかもしれないが考えて欲しい。

このシナリオの発生は世間からアノマリーを隔離して収容し、平穏な日常を保護する財団にとって完全敗北を意味する。

財団は許容しないだろうが意外すぎるベールの剥がされ方をされたりするので、いっそのこと早々にアンニュイプロトコルをやっちまってベールが剥がされた世界で異常性を孕む人間の待遇を描いたりすればいいのだが、一般人がアノマリー開発異常性を含む宗教にでも傾倒すれば負担を増えるから御免であるという事情もあるのかもしれない。

ただし、サーキックをぶっ潰すためならやむなしとしたり、ピエトロさんの世界では自分でXKシナリオを引き起こしてベールをめくっちゃってるので、他のシナリオに比べると財団的には比較的セーフな部類としているようだ。


SD-クラス:“シャットダウン”シナリオ


SCP-JPの『筐体作り』ハブに登場するK-クラスシナリオ。

具体的に何が起きるのかはまったくわからないが、定義された時点から64日後に発生することだけが判明しているという特異性から独立した呼称で呼ばれる事になった。
突然、全ての未来予知系オブジェクトがある日付に起きる世界の終焉を告げ始めたことで発覚した。
これは財団のみが確認したシナリオではなく、故にこのハブの財団はGOC、蛇の手、”Are we cool yet?”、”何者でもない”等のあらゆる要注意団体と手を結んで終焉に抗うことになる。

この未知のシナリオへの対抗策が筐体、つまり機械仕掛けの神を造り出すことである。


これから財団世界で起きるであろうK-クラスシナリオ例


  • 2019年3月5日:SCP-3519(静かなる日々)の影響で全人類が自殺
  • 2019年12月31日:サーキック・カルトとの決戦
  • 約30年後:SCP-2317(異世界への扉)の封印が解け全長200キロメートルの巨人が復活
  • 2234年:SCP-2700(テレフォース)が起動し宇宙が崩壊
  • 3128年:SCP-1436-JP(それはずっと先の話で、たいしたことではないかもしれない)の影響が地球全域に拡大。
    12月31日の午後22〜24時の2時間の体感時間が約2904年に拡大
  • 約5700年頃:旧SCP-1548(きらいきらい星)が地球に衝突
  • 銀河歴10997年頃:クラス-10 Behemoth実体により地球の生物の90%、人類の95%が死亡。
    銀河歴54000年に再び地球に襲来。地球を犠牲に返り討ちに成功(SCP-4100「フューチャー・インパーフェクト」)
  • いつか:SCP-1000の「いま」が終わる
  • いつか:SCP-001-JP/Ikkeby-Vの提言の正体が判明する
  • アリソン・エッカート:アリソン・エッカート
  • いつか:SCP-1690-JPに地球が飲み込まれる

等SCPの世界はK-クラスシナリオで満ちているのである。

この他にもいくつかのタイプ分けされていて、世界終焉シナリオの新たなタイプを提案したり、古典的なシナリオに新たな拡張を齎すことも許されている。
画面の前の諸兄も独創的なK-クラスシナリオで世界を破滅に追い込もう!犀賀派「やめてね。」


追記・修正はK-クラスシナリオが発生する前にお願いします。

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最終更新:2024年01月02日 21:36

*1 鉄の隕石(SCP-435-1)と不規則な形状の物質(SCP-435-2)2つで構成されるオブジェクト。光を当て続けていないと極めて危険。

*2 ほかはまだ人類が逆転できるが、XK-クラスはそのまま滅びるしかない

*3 S・アンドリュー・スワンの提言

*4 厳密には異なるが、増え続ける物品により文明が崩壊するという意味では似たようなもの