SCP-1111-JP

登録日:2016/12/21 Wed 19:28:20
更新日:2023/12/09 Sat 14:56:14
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メッセージを受信しました。

from:█████████████@scp-site81.jp"日本支部理事"鵺"
名:重要な引継ぎ事項について

お疲れ様です。██君、いや次期日本支部理事"鵺"と呼ぶべきだね。
本格的な引き継ぎまで残り僅かとなり、多忙な日々に目を回していることだと思う。サイト管理者と理事では便宜上セキュリティクリアランスレベルは変わらないとは言え、新たに知るべきこと、覚えるべきことは山ほどある。
SCP-1111-JPについてもそうだ。
この奇妙なSCiPについては君が新たに知るべきことが存在する。当案件は最重要機密であり、セキュリティクリアランスによって与えられる情報が厳密に制限されている。どの情報を誰が知るべきかを理解するために、セキュリティクリアランスレベル0の職員に開示された内容から順番に再確認した上で、日本支部理事として知るべきことを確認してほしい。
ページの閲覧権限は既に付与している。先日保安用情報災害対抗ミーム"ENIGMA"の接種を行ったが、万一記憶処理等で効果を失っている場合は必ず再度接種した後に情報を参照してくれ。
確保、収容、保護。君が守るべきもの、財団日本支部が守るべきものが何か、君は知っておくべきだ。
必ず読んでくれ。


SCP-1111-JPはシェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクト(SCiP)のひとつ。JPのコードが示す通り日本支部の管轄である。
項目名は「国体護持」。
オブジェクトクラスは後述する。
……まあこれと、上のメッセージがある時点で内実はある程度お分かりだろう。
この際なので先にぶっちゃけてしまうが、一番最後の情報以外は大体フェイクである。
新しく日本支部の理事“鵺”に昇進することが内定したあるサイト管理者が、前任の“鵺”から理事としての知るべき情報を教えてもらった、という体裁になっている。






SCiPNET

SCP-1111-JPについての情報を開示します、ログインID及びパスワードを入力してください。
ログイン履歴は記録情報セキュリティ管理室(RAISA)によって常時監視されており、位置情報についても同時に収集されます。
警告:不正アクセスは厳重に禁じられています、保持セキュリティクリアランスレベルに関わらず許可された情報以外にアクセスした場合即座の終了、人格破壊といった不可逆な制裁を与えられる可能性があります。付与された権限外の情報にアクセス可能となっている場合、RAISAにその旨を報告して下さい。



職員コード:Site81-5_████
パスワード:**********


認証を確認しました。ようこそ。







セキュリティクリアランスレベル0~2職員公開情報



SCP-1111-JPとは、サイト-81政府との協力で収容されている、三つ一組の儀礼品である。
それぞれ剣、鏡、勾玉の形状をしている。

オブジェクトクラスはSafe。

特別収容プロトコルにより、現在はサイト-81政府の所有する高度重要物収容コンテナに収められ、宗教施設内に保管されている。
ついでに、サイト-81政府の宗教的理由から財団と協定が結ばれていて、実験も観測も許可されていない。

コイツらが何をするのかというと、周辺のヒューム値、つまり現実性を調整するのである。
SCP-1000-JPで問題となっているこの数値は、簡潔に言うと現実としての強さの値であり、高い方から低い方へ不可逆に影響する。
「通常の現実」のヒューム値が1で、現実改変能力者はヒューム値がそれよりずっと高い上、周囲のヒューム値をを下げることもある。
ヒューム値が高い存在の「現実」に、低い方が塗り潰されるのだ。

コイツらもそうなのかと言えばさにあらず、上昇ではなく「調整」する。
つまり、収容サイトでの現実改変を抑止するのである。
それぞれどういう風に作用するのかと言えば、

  1. 剣:サイト-81内に存在する人間のヒューム値を調整。これにより現実改変者の改変能力が下がる。ただし5以上の現実改変者には効かない
  2. 鏡:サイト-81内の宗教的重要人物であるSCP-1111-JP-Aの個体ヒューム値を上げる。ただし最大1.1程度で、明確な現実改変が起きるレベルではない。
  3. 勾玉:SCP-1111-JP-Aの個体ヒューム値と同じレベルまでサイト-81内の空間ヒューム値をアップさせる。

となる。

噛み砕いてしまえばサイト-81限定の現実改変抑制装置
このため、サイト-81は他と比べて一個人による現実改変が少ない傾向にある。

さらに、SCP-1111-JP-Aはその直系血族から、サイト-81政府が定める後継者に対し、SCP-1111-JP群を模した宗教儀礼的物品を用いた「継承イベント」を行うことで効果対象を変更することが可能となっている。
SCP-1111-JP群がどのようにして継承イベントを認識しているかは不明であるが、サイト-81住人の集団深層心理にアクセスすることで認識しているのではないか、と考えられている。













セキュリティクリアランスレベル3職員公開情報



まあ、当然ながらカバーストーリーである。
実際のオブジェクトクラスはEuclid


オブジェクトとしての特性は既に開示された内容どおり「現実値の調整」で正しいが、取り扱いはやや異なる。
さらにここでは収容の経緯についても語られている。


宗教上の理由による協定ではなく、「破損および異常性喪失を回避するために」接触が禁じられている。
どうやらこのオブジェクトは相当に脆いらしい。

コイツらのヒューム値はカント計測器を用いて常に測定され、5を超えた場合はクラス4の職員に通報するよう命じられている。


SCP-1111-JP群は財団日本支部設立以前は皇室の協力の下、蒐集院において管理されていた。また連中である。
蒐集院での管理時、収容されていた建造物が戦乱、火災に罹災するという不運が重なり、SCP-1111-JP群は長期間の保管に伴い破損、劣化が進行しているらしい。
さらには、歴史的にSCP-1111-JP群が視認されたと考えられるケースにおいては、ヒューム値の急激な変動に伴う天変地異とみられる現象が発生している……つまり予期せぬ現実改変が起きている。

これらから推測されるのは、SCP-1111-JPが目視されると異常性が減衰、あるいは消失し、こいつが押さえ込んでいた現実改変が一気に噴出するのだ。
そうなった場合、サイト-81内の基本のヒューム値が大幅に減少…つまりサイト-81の「現実」自体が揺らぐ可能性や、多数の現実改変者が出現するかもしれないと言われている。
最悪、両方とも起こるかもしれない。

あくまでこれらは可能性の話だが、現在のサイト-81のヒューム値はSCP-1111-JPありき。
SCP-1111-JP群の効果抜きのヒューム値がどれくらいなのかは知るすべが無いため、
無くなったらどんな影響が起こるのかは想像するしかないのである。

そりゃSCP-1111-JPを止めなきゃ測れないし、止めたら現実改変祭りなのだから試せるわけもない。

破損がそのまま局所的なCK-クラス:再構築シナリオに繋がる危険性を鑑みて、厳重な保管、監視がなされている。



わかりやすく言うと、このオブジェクトが異常性を失ってしまうと、サイト-81の基本の現実性が一気にガタ落ちし、周辺の「現実」に塗り潰される危険がある、という話である。
さらに、サイト-81の管理者はこのように述べている。

古代、国を興した人間の多くが神に近い存在であったとされている。単に歴史が進むにつれて神格化されただけである場合も多かったろうが、一部の国家創始者については何らかの現実改変能力を持っていた可能性を示唆している。能力を持った彼らの多くが死んだ後、現実改変によって発生した国家は殆ど姿を消した。
現実改変能力は多くの場合遺伝せず、後継はその政治的才覚でのみ国家を維持する必要があったからだ。ただし、一部の例外が存在する。サイト-81において、真に神格化されているものは個人そのものでなく"三種の神器"を所有する一族である、と定めたことでサイト-81を統括する存在は代々生き延びることとなった。
主要な国において古代の現実改変者の影響がこれほど強く、今日まで続いている事実は非常に興味深い。問題はこの影響が即座に消失した場合サイト-81がどういう形になるか予測ができない点にある。収容は万全の体制にて執り行う。


もうおわかりだろうが、SCP-1111-JPの正体は、歴代天皇の証である「三種の神器」。

それを祀り管理するサイト-81とは日本国そのものである。













セキュリティクリアランスレベル4職員公開情報



はい、ここまでの情報は半分ほどカバーである。
オブジェクトクラスはKeter。またこのパターンかよ!! と思われるかもしれないが辛抱いただきたい。

SCP-1111-JPはいわゆる「三種の神器」。
現実改変抑制装置なのも本当。

では今までの説明と何が違うのかというと、本物のSCP-1111-JPは収容できてない。
職員の混乱と士気の低下を防ぐため、レプリカを用意して収容できているように装っている。

サイト-81政府および財団が保有しているのはいずれもレプリカであり、周囲にこっそり仕込んだ小型スクラントン現実錨によって、SCP-1111-JP-A=今上天皇*1と同一のヒューム値を保つよう仕掛けられている。

また蒐集院による記録では、

  1. 剣:帝は朝敵を生れる前に滅殺する。
  2. 勾玉:帝は日本を総べる徳と権威を持つ。
  3. 鏡:帝はその徳と力を持って日本国の魑魅魍魎を調伏する。

という効果があると記されており、これらの記述と財団によるサイト-81内のヒューム値の解析により、具体的な影響が明らかになった。

セキュリティクリアランスレベル3以下の職員に公開された情報がそれ。
「剣」は周囲のヒューム値を下げ、さらに「朝敵」をいなかったことにする。
そして「勾玉」が帝の現実性を底上げし、「鏡」は国全体の現実性を帝と同程度まで強化する。

ただし、SCP-1111-JPの現実改変的な効果はヒューム値1.1程度に限定されるため、あまりに高い個体ヒューム値を持つ現実改変者には効果がない。
古来存在した「朝敵」は非常に高いヒューム値を保持していたと考えられる。

オリジナルのSCP-1111-JP群が散逸した経緯としては、1400年代に蒐集院がSCP-1111-JP群の確保を実施しようとした際に生じた戦乱に伴い、レプリカと取り違えられたのが原因だと考えられている。

あろうことか日本国の現実を維持する超重要アイテムを失くしちゃったのだ。
なんてことしてくれてんだ……

現在収容されているオブジェクトがこのレプリカである。
蒐集院上層部はこの失態を隠蔽するため、レプリカをSCP-1111-JP群実体であると流布。
その事実を知る人間を上層部のみに限定する措置を取った。

サイト-81の「現実」がまだ無事なため、オリジナルのSCP-1111-JPはまだ壊れていないと考えられる。
財団が未だに捕捉していない宗教施設内、あるいはサイト-81領海を含む国土のどこかに現存しているのだろう。

だが、サイト-81のヒューム値、すなわち日本国の「現実性」はSCP-1111-JPの効果ありき。
もしこのまま人目に触れないところでぶっ壊れでもしたら、支えられていた「現実」が一気に揺らぐ。

とはいえ、未発見の現状ではどうしようもなく、職員の士気低下を防止するため未収容である、という事実は秘匿されている。


しかし、本物を見つけ出す手がかりはある。鍵を握るのは「継承イベント」。

SCP-1111-JPの中心人物とも言うべきSCP-1111-JP-A。
その直系血族からサイト-81政府が定める後継者に対し、宗教儀礼である"継承イベント"を行うことで、効果対象を自身からその後継者に変更することが可能だと、すでに説明した。

この「継承イベント」の際にサイト-81内のヒューム値の変動が観測された。

「SCP-1111-JP-Aが代替わりする時、SCP-1111-JPの効果に若干の変化が生じる」ということである。

それを利用した捜索・収容活動が1989年1月(平成元年)に実施されたが、本物のSCP-1111-JPは見つからなかった。

…となると、ある作戦が思い浮かばないだろうか。
継承イベントの時に起きるヒューム値の変動は、本物のSCP-1111-JPの在り処の手かがりとなる。
もしSCP-1111-JP-Aが何らかの原因で役目を果たせなくなったとしたら、サイト-81政府は「継承イベント」を行うだろう。
ということは、「残酷ではないが冷酷」な財団がSCP-1111-JP-Aをアレしちゃったとしたら………


財団に吸収される以前に、蒐集院によって現行のSCP-1111-JP-Aを終了することで意図的な継承イベントを発生させ、SCP-1111-JP群の探索を行う試みが実施されたとの記録が残されています。
しかし、いずれの場合もSCP-1111-JP群の効果により終了に失敗するか、終了が成功した場合においても蒐集院に対する危害が及んだために探索はいずれも失敗したと記録されています。
財団に対する悪影響を回避するためにSCP-1111-JP-Aの終了計画は恒久的に停止されています。

……蒐集院がもう試していた。
が、SCP-1111-JPの現実改変に阻まれ、うまくいった時も蒐集院に何らかの問題が起こったらしい。
そのため、幸いにして現在の財団がこの手を使うことはない。

そうはいっても、そうなると「継承イベント」が自然に発生するのを待ち続けるしかない。
財団はその日に備えて、再探索のためのプロジェクトを進めている。


過去の「継承イベント」の発生タイミングは基本的に予測不能だったが、平成→令和のケースにおいては事前に日時が確定済み。
財団にとっては都合がいいことであり、その日に合わせて捜索活動が実施できるだろう……










お疲れ様でした、こちらから秘匿情報についてアクセスしてください
























レベル5セキュリティクリアランス/SCP-1111-JP統括管理者(日本支部理事"鵺")公開情報



以上は全てカバーストーリーである。
真のオブジェクトクラスはNeutralized/Thaumiel
財団の最終兵器となりうるオブジェクトであるが、本体は実はフェイク。
その上、潜在的にはKeterとなりうる危険性まで秘めている問題児である。


特別収容プロトコルは、ここまで述べたカバーストーリー「国体護持」を「表向きの真実」として秘匿し、もし神器が破損した場合はクリアランスレベル4の情報を「隠匿していた真実」として公開するよう指示されている。
すなわち、これから述べられる「真実」が明かされることは決して無い。

正体としては三種の神器なのだが、実は裏にもう一つの真実がある。




財団が三種の神器を収容したのは太平洋戦争の終戦直後。
日本にやってきた財団は蒐集院の蒐集物の調査を実施。その中には「三種の神器」も含まれていた。

最初私は三種の神器、つまりSCP-1111-JP群の調査には反対した。当然だ、三種の神器は過去現在未来に渡って日本を守護する存在でなくてはならない、畏敬の念を忘れては天災が下ると信じていたからだ。しかし財団は「だからこそ我々と君たちはこのオブジェクトを知る必要がある、危険が及ばないよう最大限の措置を用意する。」と決して譲らなかった。数日続いた交渉の結果、財団監視の下、蒐集院主体で調査が行われることとなった。
私は調査員として立候補した。

蒐集院のメンバーは神器の調査に反発したが、最後は蒐集院が主体で調査することとなった。
そして、この人物だけがSCP-1111-JPの持つ真の異常性を知ることとなる。


現実改変による影響を最小限とするために実験は離れ小島で行われ、調査員もごく少数に限定された。あらゆる注意を払いながら数百年単位で開けられなかった箱を開け、私はこの目で三種の神器を確認した。私はあらゆる結果に対して覚悟していた、不敬によって死ぬこととなったとしてもこの偉大な神器に殺されるならば光栄だとすら考えていた。

そして、何も起きなかった。

カント計測機は正常に作動していた、あらゆる護符や式神による感知も正常に行われた。ただ何の反応もないということ以外は完全に順調だった。

財団と蒐集院は慎重に、あらゆる手段で三種の神器を調べた。
だが、それらには何らの異常も見受けられなかった。

三種の神器そのものはSCPオブジェクトとしての特性を何一つ有していなかったのである。


あらゆる計測、霊視によって三種の神器に何の効果もないと判明した時、私は大きなため息をついたと記憶している。それが安堵だったのか失望だったのか、その両方だったのかはよく覚えていない。
ため息をついた途端、周囲のヒューム値は一気に下降し、現実性は薄れ、周囲は魑魅魍魎の跋扈する世界と変化した。すぐさま蒐集院の同僚や財団職員がやってきて事態は収拾した、というよりもやってきた途端に世界は元の姿を取り戻した。私が見た幻覚だった、ということでその場は収まったが私は三種の神器の持つ特性を理解していた。
これは信仰そのものだ。
信仰が失われると信仰が収めてきたあらゆる災厄は姿を現す、私は間違ってはいなかった、私の想像とは違う姿であったが。


三種の神器そのものに異常性はない。だが、それを知った瞬間には確かに現実改変が起こる。


現実改変を防いでいたのは「三種の神器」ではなかった。


「三種の神器」への信仰 こそが「現実」を支えていたのだ


SCP-1111-JP-0

真のオブジェクトとはSCP-1111-JP-0
「三種の神器は今上天皇を介して日本国に特別な効果を与える」というミーマチックエフェクトである。
これの影響を受けた日本人はSCP-1111-JP-Bとなり、ミームで述べられている効果を無自覚に発揮する。
さらにこのミームの内容は変異、あるいは変更可能であることが確認されている。

SCP-1111-JP-0が財団本部に捕捉、収容された1946年の時点では、「三種の神器を代々受け継いできた天皇は現人神としてこの世に存在し、日本国を拡大発展させる能力を持つ」という内容だった。

現在のミームは、上で述べたカバーストーリー「国体護持」、「オブジェクトである三種の神器が日本を現実改変から守っている」という内容になっている。


だが、一度「三種の神器」に疑念を持った人間はSCP-1111-JP-Bとしての能力を失い、いかなる記憶処理を施しても能力は戻らない。
現在、財団外においてSCP-1111-JP-Bは日本人のうち数%しか存在しておらず、おまけに減少傾向にある。


SCP-1111-JP-Bの減少の原因は先の大戦にある。
日本におけるSCP-1111-JP-Bの割合は第二次世界大戦時に最大となった。
これは当時の政府及び軍部がミームの内容を変異させた上で日本人に対して強制的にミーム感染させたことに起因する。
ただし、当時の関係者はSCP-1111-JP-0というミームの存在や特性についてわかっていたわけではなく、
三種の神器を日本国における象徴として設定したための、偶発的な事象であることが確認されている。

察しはつくだろうが、太平洋戦争当時に流布されていたミームの内容とは「神風」である。

当時の軍が「天皇」や「三種の神器」をシンボルとする「神風」を広めた結果、SCP-1111-JPが日本中に広まった。
このミームがそれに基づく現実改変を引き起こすことを思えば、ある意味では有力な手法にも思える。

だが散々述べたが、このミームによる現実改変効果には制限が存在していて、日本の存続と安定といった現状を維持するような効果については十分な効果を発揮するものの、日本の領土の拡大や急激な発展といった、影響範囲を拡大するような効果は非常に低い。


この結果、第二次世界大戦時に流布されたミームは十分な効果を発揮せず、日本は敗戦。
多くの日本人が「神風のミーム」に疑念を持ち、SCP-1111-JP-Bのほとんどが「信仰」を失ってしまった。


SCP-1111-JPの効果が切れる危険性については語ったとおり。
ではどうしたらいいのか。

多くの現代日本人は「三種の神器」が魑魅魍魎から日本を守っている、なんて考えはオカルトだと笑い飛ばすだろう。
それに信じさせたところで、また誰かが調査を始めてしまえば、正体が知られてしまう。


では、そのオカルトが存在することを知る人間たちならば。
日夜それらを目の当たりにし、それを「そういうもの」と受け入れる人間たちならば。


すなわち、財団職員によってミームを維持すれば、財団日本職員に「三種の神器」の効果を信じさせればいい。


各職員に「SCPである三種の神器によって日本の現実は保たれているんだよ」と教え込む。
セキュリティクリアランスレベルに応じて各職員に与えられる情報は、それぞれ上で述べたSCP-1111-JP-0の内容となる。

面倒なことに、SCP-1111-JP-Bが「SCP-1111-JP-0がミーム的情報である」という事実を認識した場合も能力を失うことが確認されている。
真相を知ると同時に信仰が失われるので、真の特異性についてはO5評議会員と日本支部理事"鵺”にのみ公開されることになる。

セキュリティクリアランスレベル4の職員に公開される「三種の神器は未回収でありレプリカが収容されている」という情報及び、蒐集院において保管されていたとされる記録は財団本部により改竄、捏造された欺瞞情報。
これらの欺瞞情報は、天変地異等により政府宗教施設内に保管されている神器のいずれかあるいは複数の破損が明白となった場合における特別防備措置であり、最終的なフェイルセーフとしての役割を果たすことになる。

ようするに、災害などで「三種の神器」が破損した場合、そのニュースが広まってしまって信仰者たちが「もうだめだ!」と信じてしまう場合に備え、
「壊れたのはレプリカだ、真の神器はまだ日本のどっかに存在してるよ!」というカバーストーリー「秘められた真実」を全日本支部職員に公開するのだ。

ちなみにそれぞれの内容は、初代の日本支部理事“鵺”及び財団本部によって策定されたもの。
SCP-1111-JP-0の収容を容易とするだけでなく、サイト-81内のヒューム値恒常性を保つために利用されている。






財団と私は共謀し、この信仰というミームを守り続けることとした。一般市民の信仰に頼ることはできない。異常な物品の存在を信じさせることは異常な物品から無辜の民を守護し、隠匿する財団や蒐集院の理念と完全に相反していたからだ。例え一般市民に信じさせたとしてもいずれどこかの誰かが調査して三種の神器の真実を知ってしまうだろう。世界には異常な物品が多く存在していることを知っており、それが自然だと感じる人間でなければこの信仰を守ることなど不可能だ、財団日本職員によって信仰を守り続けることは必然的な帰結であった。
だからこそ私と私を引き継ぐ者だけは知らなければならない。これが私と君だけに課せられた使命だ、私が退いた後も十分な働きを期待している。
  • 初代財団日本支部理事"鵺"(旧蒐集院上級祈祷技師 ██祈祷官)








……つまり、日本にはSCPオブジェクトとなるだろう妖怪変化の類が存在しており、それらのヒューム値は恐らく1未満。神器が完全に機能を停止すれば日本のヒューム値はそれを下回り、悪鬼羅刹の世界になってしまう危険性が高いのである。



日本に明日はあるのか? 





CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1111-JP - 「国体護持」
by hannyahara
http://ja.scp-wiki.net/scp-1111-jp

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最終更新:2023年12月09日 14:56

*1 在位中の天皇の事