SCP-055

登録日:2016/12/17 Sat 23:39:18
更新日:2024/03/11 Mon 16:44:01
所要時間:約 7 分で読めますが数分で記憶を失います






いつ、だれがSCP-055を回収したのかは不明です。




SCP-055はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)である。
オブジェクトクラスはKeter。
項目名は『[UNKNOWN]([正体不明])』。

概要

SCP-055はとてもある意味において危険なオブジェクトである。
というのもこのオブジェクト、「なにがなんだかわからない」のである。
考察内容が多いのでもない。情報量が多すぎてちんぷんかんぷんになるのでもない。
あるいは謎があるとかでもなければぶっ飛び過ぎてて理解できないとかそういうことでもない。

文字通り、「なにがなんだかわからない」オブジェクトなのである。

どういうことか。

例えばこのオブジェクトは、いつごろ収容されたかは不明である。
また、誰がそれを収容したのかも不明である。
サイト-19にそれはあるが、どうしてサイト-19にそれが収容されることになったのかも不明である。
取扱い方法はきっちり定められていて、
オブジェクトは、5×5×2.5メートルの、ファラデーケージで包まれた50センチメートル厚のセメントでできた壁を持つ部屋に格納されます。部屋への出入りは2×2.5メートルの、故意に押さえない限り自動的に閉鎖・施錠が行われるドアを通して行われます。警備員は決してSCP-055の保管室の外に配置されてはいけません。さらに、このオブジェクトのメンテナンスや研究を行う職員は、実行可能な限り出来るだけ、部屋の幾何的中心から少なくとも50メートルの距離をとることが推奨されています。
とあるのだが、これらの取扱い方法を定めた経緯も不明であり、どうしてそんな部屋を用意したのかも不明である。
そしてKeterオブジェクトであるにもかかわらず情報自体は秘匿されておらず、誰でも入れる「にもかかわらず」、
サイト-19の全員がSCP-055について語れない。「わからない」のだ。

簡単に見ることができ、スケッチだってできるし写真も撮れる。
だが実物にせよ絵にせよ動画・静止画にせよ、見た人は数分でその記憶を忘れる。
膨大な科学的データも取得したのだが、それらもすべて研究できない。
研究中に「俺達は何を研究しているんだ?」となってしまうからだ。

よってこのSCP-……ちょっとまって、俺は今なんのオブジェクトを解説してたっけ。
SCP-048だっけ?SCP-579?…ああ、055だったか。失礼。
SCP-055は結局どういうオブジェクトなのかわからないのである。

このオブジェクトの報告書は定期的に『再発見』され、読んだ人に不安を抱かせるが、
当然それも忘れられる。
一度このオブジェクトを破壊しようとしたり、別のサイトに移送しようとしたこともあったようだが、
どちらも不詳の原因で失敗している。ここまで徹底しているともう素晴らしい。

故にKeter。だってこのオブジェクトが自分の情報を隠す、すなわち反ミーム的であるから。
我々はただこいつが自分を隠すということ以外覚えておけないのだ。
ある意味では最強のミーマチックオブジェクトである。「伝えられない=どうあがいてもミームにできない」という意味で。
こいつが仮に収容違反しても再収容は絶対できないし、財団職員を殺しまわっても生存者は同僚の死体以外見つけられない。
当然、SCP-055によるものだともわからないだろう。そもそもどういう危険性を持つ(あるいは持たないのか)すらわからない。
心理的影響を考慮したわけである。

このオブジェクトの筆者はこのオブジェクトは「実際にはなんらかの理由で不明の第三者により送り込まれたエージェントではないか」と推測している。
つまり、財団内部やオブジェクト、人間世界、あるいはその他のオブジェクトを監視するためではないかということである。

財団の挑戦

とはいえ財団もまったく手を打たないわけではない。
こいつをどうにかして「認識」する試みをしようとしたのだ。

そこである研究員はこのオブジェクトの特異な点に着目した。

「これが”反ミーム的”であること」自体は覚えており、それ故にSCP-055というオブジェクトの存在は覚えているということ。

そこで、ヒューズ博士は「こいつが何では『ない』か」を記録していけばオブジェクトを間接的に表現できるんではないかと仮説を建てた。
そしてヒューズ博士の建てた仮説に基づいてエージェントたちは記録をノートにまとめ、ヒューズ博士への報告に望んだ。

ヒューズ博士: よし、では君にナンバー55についていくつか質問をさせてもらおう。

███████: ナンバー何ですって?

ヒューズ博士: SCPオブジェクト55。君がさっき観察したオブジェクトだ。

███████: ええと、私はあんたが話しているのかよくわかりません。私たちは55番を持ってないようですが。

ヒューズ博士: よし、それなら、███████、直前2時間何をしていたのか報告してくれたまえ。

███████: え?えーと… <対象は不安感を呈している>…覚えておりません。

ヒューズ博士: そうか、では、これは覚えているかね? 私たちはアレが球状のものではないとお互い確認したことを?

███████: そう、あれは… そう!そうでした!確かにアレは丸くなかった!オブジェクト55は丸くありませんでした!

ヒューズ博士: さあ、どんなものか思い出しただろう。

███████: いいえ、ダメです。私にはアレがどんなものかわかりません。でも間違いなくありました。アレは何かこう、覚えていられないもので、とりあえず球の形はしていませんでした。

ヒューズ博士: ちょっと待ってくれ。何が球の形をしていないって?

███████: オブジェクト55がです。

ヒューズ博士: オブジェクト何だって?

███████: 博士、先ほど我々はアレが球の形をしていないってお互い確認したことを覚えていますか?

ヒューズ博士: そうだった!

…ごめん、二人共大真面目なのはわかっているんだけどコントにしか見えない。
そうなのだ、否定的情報によって覚えておけること自体は実証されたのだが、結局「何ではないか」はわかっていないのだ。
というかこれ延々と確認していくのか?気が遠くなりそうだ。
これのせいでしばしば055は「丸くないやつ」と呼ばれる。

存在の認識自体に干渉してくるSCiPの代表格なのだが、実はいわゆる「反ミーム」系オブジェクトの中ではマシな方とも言える。
というのも「否定する形で存在を特定でき」「Keterに分類することが出来ており」「収容手順も確立されている」から。
つまり、過程が失われているにせよ、財団に存在を捕捉され、特別収容手順として残されている以上、完全な隠蔽にはなっていないのだ。
逆に言えば、SCPナンバーを割り振って記録に残すこともできないようなオブジェクトも存在しうるということ。

あるTaleでは、こういった反ミームオブジェクトに対して記憶補強剤なる薬品を服用することで対応していることが示唆されている。

余談

SCP-2932(ティターニアの檻)という、異常存在を捕らえておく檻のオブジェクトが存在するのだが(Thaumiel)、
そこに”Mal-Va-Gar-Ta-Mor”という、今は収容されていない存在がある。それの特徴としては
「檻の管理人に人間の前の支配種が正体を知らせず閉じ込め、管理人にもあいつは知らんほうがいいと言った」
「それが脱獄した時、管理人は確かに『知らなくてもいいこともあるんだ』とおもった」と書いてある。
ようはこいつもわかっていないので、SCP-055との関連が疑われている。

またSCP-001提言の一つ、SCP-001/Roget's Proposal(Keter任務)というオブジェクト(Thaumiel)では、
Keterオブジェクトは互いにセットにされており、それで互いの特徴を打ち消し合うという機械が描写されるのだが、そのなかで
こいつはSCP-579とセットにされている。…このSCP-579は『[DATA EXPUNGED] ([データ削除])』というタイトルで、
055とことなり何なのかはわかっているはずなのだが、概要も補遺も、というか特別収容プロトコルですらデータ削除済という
なにがなんだかさっぱりわからない、というか筆者のFar2氏もわかってねえだろこれ*1というオブジェクトであり、
「わけわからんもの」同士でペアを組まされている。…どうやって打ち消し合うんだ?

…まあ説明されても忘れてしまうんだろうけどな!
ところで俺はなんのオブジェクトを解説してたっけ?





追記・……と何をお願いしたらいいんだっけ?


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-055 - [unknown]
by xthevilecorruptor
http://www.scp-wiki.net/scp-055
http://ja.scp-wiki.net/scp-055

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最終更新:2024年03月11日 16:44

*1 つまり、特になんであるかという正体をまったく設定されていない