ゲスラ

登録日:2016/12/10 Sat 20:13:45
更新日:2023/12/10 Sun 19:38:00
所要時間:約 5 分で読めます





ゲスラとは、ウルトラシリーズに登場する怪獣もとい海獣である。

概要

種別:海獣*1
身長:60m
体重:1万t
出身地:ブラジル

ウルトラマン』第6話「沿岸警備命令」に登場。
本来は南米に生息するトカゲの一種であり、カカオ豆やそれにつく害虫を好んで食べる普通の動物である(後述するチビスケはこの状態)。
基本的には大人しい生物だが、大きな音や閃光などでストレスを感じると凶暴化し、全身に生やした緑色の猛毒のトゲでジャガーすら殺してしまうという実に危なっかしい生態を有する。
もっとも、サイズは机の上に乗るくらいであり、恐らくは銃でもあれば簡単に仕留められる……はずだった。

ところが、「その個体」は卵の状態でカカオ豆輸送船に紛れ込んで日本沖に侵入し、孵化した。
その結果、横浜沖で生活排水に含まれていた化学物質を大量に浴びた事により突如として巨大化し、
同じく生活排水で巨大化した魚(体長20mのサメなど、『ウルトラQ』であればそれだけで1話使えるレベルの巨大生物)を片っ端から食い荒らしていた。
なお、巨大化してもココアチョコレートは大好物らしく、カカオ輸送船を襲ってカカオ豆を食いまくっていた。
やはりあれだけ巨大な体では食事にも事欠くのだろう。

本来ゲスラは水中でも生活できる(船乗りは「両生類」と言っていたがワニやウミガメも爬虫類であるのでこれは間違い)ため、
カカオの匂いを嗅ぎつけては船を襲い、すっかり味をしめて以降はカカオ輸送船だけを狙いに定めて暴れ回っていた。

その水中移動速度は驚くなかれマッハ2.1
水中での音速は地上の4.4倍の為、マッハ7で飛ぶウルトラセブン泳いで追い越せるのである。
ちなみにグビラガマクジラはマッハ5という狂っているとしか思えない速度だったりする。
それだけの泳力を作り出す筋力もものすごく、怪獣図鑑によれば50万tタンカーを引き裂けるほど腕力は高い(出典:『ウルトラの常識 ウルトラQ・ウルトラマン編』双葉社)。

横浜に上陸しカカオ豆を探し回っていたが、そこで宝石密輸団ダイヤモンド・キックが逃げ出した人質に向けて発砲したため、その銃声を聞いて興奮し手当たり次第に倉庫を破壊して回る。
科学特捜隊はスパイダーショットやスーパーガンで迎撃するも大方の予想通り傷一つ与えられず、
神奈川県警のパトカーを借りて逃走しようとする彼らを車ごと踏み潰そうとするが、すんでの所でウルトラマンが割って入り阻止。

陸上でも見た目に似合わず素早い動きと猛毒のトゲでウルトラマンを苦しめ、猛烈な速度でウルトラマンのカラータイマーを赤にしてしまうが、
頭の上の黄色いヒレ(本編では「触角」)をむしられると死ぬという弱点はそのまま巨大化してしまったため、それが命取りとなった。
ウルトラマンを体当たりで海中に突き落とし、お得意の水中戦に持ち込もうとするが、
組みあっているうちにウルトラマンからヒレを引き千切られ、苦悶の声を上げながら海中に沈んでいき、二度と浮き上がってくる事はなかった。
ついでにダイヤモンド・キックの2人もハヤタ・シンにあっさり捕まえられて警察に引き渡されたのだった。

マイナーな怪獣ではあるが、意外な形で再びその姿を現すこととなる……


キングゲスラ

種別:海獣
身長:68m
体重:2万1千t

海中に沈んだ初代ゲスラを強化改造して復活させた個体。ゲスラに比べて顔は丸っこく、体つきもがっしりしている。
体中の棘はさらに長く伸び、黄色がかった色合いになっている他、頭のヒレも王冠型になっているのが特徴。
色合いが初代と変わっているが、これは以前の色がグリーンバック撮影に不向きだったため。

大決戦!超ウルトラ8兄弟』にて、スーパーヒッポリト星人が連れてきた強化怪獣の最初の1体として初登場した*2
初代同様横浜に出現し、横浜港赤レンガ倉庫を紙細工のように叩き潰すなどして大暴れした。
その後、現れたウルトラマンメビウスと戦闘になり、メビウスの攻撃を受けて劣勢に立たされるが、
毒が分泌される部位に攻撃したメビウスが猛毒「ショッキング・ベノム」を受けて怯んだ隙を突いて形勢逆転。
毒に苦しむメビウスを蹴り倒し、のしかかって首を締め上げピンチに追い込む。

しかし『ウルトラマン』第6話を見ていたマドカ・ダイゴ*3「その怪獣の弱点は、背びれだ!」と叫ぶのを聞いたメビウスに拘束から抜け出され、弱点である背びれをむしり取られる。
途端に動きが鈍くなったゲスラはその隙を見逃さなかったメビウスに投げ飛ばされ、止めにメビュームシュートを浴びてあえなく爆死した。

後にギガキマイラの下半身部分として怨霊も登場(通常よりさらに巨大化しており、ウルトラマンが口の中で暴れ回れるほどのサイズ)。
この際、キングゲスラの口から光線を吐いて横浜を蹂躙している。


その他の作品におけるゲスラ/キングゲスラ

◆『ウルトラマン THE FIRST

原種(通常サイズ)のゲスラが多々良島の生物として登場。


◆『ジャンボーX』

ジャンボーグA』の企画案を漫画化した作品。
まもるが乗船した豪華客船を襲撃したが、島に上陸した後にセブンと戦い、敗退した様子が描かれた。


◆『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE

ウルトラマンベリアルによって蘇らされた個体が登場。
初代の敵を討とうとしたのか、メビウスをガン無視して初代ウルトラマンに襲いかかるが、首を掴んで放り投げられ、岩場に叩き付けられて爆死した。


◆『ウルトラマンX

第17話「ともだちは怪獣」に登場。
出現した際に大空大地が「ゲスラ…いや、キングゲスラか!」と発言しているため、『X』の宇宙においても過去にもゲスラやキングゲスラが別途で出現した事があったようだ。
多々良町に落ちていたスパークドールズにダークサンダーエナジーが落ちて復活したため、珍しく海辺ではなく地底から直接出現している。

ダークサンダーエナジーの力で凶暴化・強化されているため目は赤く爛々とと輝き、全身から毒針「ベノムショット」をミサイルのように放つ事も可能。
その威力たるやベムスターアーマーを破壊してしまうほどであり、大地に「キングゲスラがこんなに強いなんて!」とまで言わしめている。
ならばとXioは弱点の背びれを集中砲火したが、その背びれまでもが強化されており、砲撃もまるで通用せず、軽く触れただけで初代マンやメビウス以上に苦しむなど、まさしく「キング」の名に恥じない強さとなっている。

ウルトラマンエックスエクシードXに変身してもなお互角の戦いぶりを見せたが、
最後はエクシードエクスラッシュで浄化されて元の姿に戻り、ザナディウム光線で再び封印された。

ちなみに脚本を担当した勝冶京子氏曰く「スパークドールズが世界中に散らばっているという設定から、本来海にいる怪獣が街中に出現したら面白いのでは」という発想からこのような演出になったとのこと。
また、飛び道具好きの辻本貴則監督(本エピソードの演出を担当)のアイデアで「ベノムショット」も新たに設定されたという。


◆『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』での活躍

第1話にクグツキングゲスラとして登場。
宇宙悪魔ベゼルブによって支配下に置かれ、同じく支配されたクグツアーストロンと無理矢理戦わされ、敗死した。
何も悪い事をしていないのにいきなり操り人形にされ、子供の玩具のようにぶっ壊されるというあんまりな扱いである。
それにしても『ウルトラマンオーブ』の世界ではキングゲスラは野生生物として生息しているのだろうか?


◆『ウルトラマンタイガ

第2話「トレギア」に登場。
こちらでは幼少期の工藤ヒロユキがゲスラの幼体だった頃に「チビスケ」と名付けていた個体であり、後にヴィラン・ギルドのレキューム人達によって怪獣兵器であるキングゲスラに改造されて運用されてしまう。
その後はウルトラマンタイガと交戦するも、ヒロユキの策によってヴィラン・ギルドのコントロールを脱した。
しかしその直後に出現したウルトラマントレギアに一方的に嬲られた挙句、トレギアが放った「トレラアルティガイザー」からタイガを庇う形で致命傷を負い、絶命した。
この一件は後々までヒロユキの心に深い傷を残すことになってしまう。

ちなみに、巨大化していない原種が登場したのは映像作品では今回が初となる。


◆『ウルトラマンZ

第23話「悪夢へのプレリュード」に登場。
特空機4号・ウルトロイドゼロの起動に呼応するように暴れ始め、同時に目覚めたタッコングと共にウルトロイドゼロの元へ侵攻。
とうとう何の説明もなくキングゲスラのまま出現した(TV局のアナウンサーも一目見ただけで「キングゲスラが出現しました!」と言っている)ため、少なくとも『Z』世界においてはキングゲスラがデフォルトの可能性もある。
ウルトラマンゼット アルファエッジが止めに入るが、異常な興奮状態によるパワーでタッコングと共に攻め立てて一度は振り切るが、
ギリギリで追いついたゼット デルタライズクローのデスシウムクローを喰らい、大人しくなってタッコング共々駿河湾へと帰って行った。

今回の個体はウルトロイドゼロが搭載したD4レイを排除しようとしていた為に異常な興奮状態にあったと推測されており、
その影響なのか毒針などを使用しない代わりに口から高熱の火炎弾を吐き出すと言う新技を披露していた。
ちなみに今作でキングゲスラが初めてプール撮影した上に、ゲスラ自体のプール撮影で数えるなら初代以来54年ぶりであり、非常に短いものの令和ウルトラマン初の水中戦をするという地味に凄い快挙を成し遂げた。
なお、この2体は「タイガと敵対していたが、最終的に和解した怪獣」という共通点がある。


◆『ウルトラマンデッカー

第10話「人と怪獣」にてまたしてもなんの説明もなくキングゲスラとして登場。
冒頭から市街地で新生GUTS-SELECTと交戦していたが、シゲナガ・マキに操られるネオメガスに襲われてそちらと戦闘を開始するも、
毒針が全く通じずボコボコにされ、最終的に無理矢理こじ開けられた口内に光線をぶち込まれて体内から爆散させられる。
ネオメガスのモデルがネオザルスという事を考えると、立ち位置的にはクローンシルバゴンに相当し、
シゲナガがクローン技術を用いた怪獣の兵器転用を研究していた事とこの戦闘がネオメガスのデモンストレーションの一環であった事を考えると、
このキングゲスラもシゲナガが作り出したクローン怪獣である可能性があるが、真偽は不明。


余談

  • 元々はゲラン蜂という蜂の幼虫の怪獣になる予定で、その場合はモスラ幼虫の着ぐるみ改造の想定だったとか。
    この名残りで、大伴昌司氏の『ウルトラ怪獣図鑑』やVFS『ウルトラ怪獣大百科 ウルトラマン編』など「一見トカゲに見えるが実はハチの怪獣」と解説されている資料も存在する。
    ちなみに『ウルトラ怪獣大百科』の方ではゲスラはトカゲの怪獣と前置きされながらも「ハチの幼虫が変異したという説がある」と疑問形で解説される形となっている。
    成田亨氏によって当初の想定の芋虫型ゲスラもデザインはされていたが、氏曰く「気乗りしなかった」とのこと。

  • 着ぐるみは『Q』に登場したピーターの改造で、ギョロ目やカクカクした頭蓋骨は瓜二つ。
    漫画『ウルトラマン超闘士激伝』ではエンペラ海軍のメタルモンスとしてピーター型とゲスラ型が並んで登場する。

  • 『怪獣入門』などの記述では口から発条(ばね)光線を放てるとされるが、劇中未披露。
    また同じく大伴氏の『怪獣図解入門』では、わざわざココア&チョコレートを溶かす専用の胃袋を備えていたり、頭頂部の鰭がカカオ豆を探すレーダーになってたりと、とにかく血糖値が心配になりそうな解剖図が掲載されている。

  • ゲーム『怪獣バスターズ』では最初の敵として登場。亜種も多数登場する。



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最終更新:2023年12月10日 19:38

*1 大伴昌司氏の『怪獣図解入門』では「チョコレート怪獣」とも。

*2 厳密に言えばこの個体はウルトラマンがいない世界へ連れてくる前の個体であるため、CREW GUYSのドキュメントに恐らく載っていると思われる。

*3 同作のダイゴは『ウルトラマンティガ』の世界(ネオフロンティアスペース)ではなく、現実世界に近い並行世界の一般人で偶然『メビウス』の世界に迷い込んでいた。