SCP-079-FR

登録日: 2016/12/10 Sat 11:20:58
更新日:2023/07/10 Mon 15:23:47
所要時間:約 10 分で読めます





1.0.0, Twoja księżniczka jest w innym zamku


SCP-079-FRはシェアード・ワールドSCP Foundationフランス支部のオブジェクト(SCiP)。
項目名は『Village de PNJ (NPCの村)』。
オブジェクトクラスはSafeだが、
フランス支部は別途『脅威レベル』というものを定めており、そちらはとなっている。
緑は「基本的に取扱い方法を守れば害はないが、じゃあ役に立つかというとたたない」。


概要

SCP-079-FRはとある森の中にある小さな村である。
ちなみにその森はポーランドにある。

ポーランド支部「えっ」

まあ日本支部が南米大陸のオブジェクト管理してたりするくらいなのでフランス支部がポーランドの村を管理してもおかしくはない…多分。
ちなみにポーランドにはSCP-1357もある。

その村の建造物は非常に昔の時代を思わせるが、しかしながら「世界中の歴史のあらゆる時代の建造物と一致しない」特徴を持つ。
そしてこの村の建造物には、「トイレ」がない。「キッチン」もない。残飯もなければ一切の生活の痕跡がない。
不用心にもドアに鍵はかかっておらず、窓にはガラスも嵌めこまれていない。

にもかかわらず人が現在3435人すんでいる。
内34人の内訳はこうだ。

SCP-079-FR-01 乞食
SCP-079-FR-02 衛兵その1
SCP-079-FR-03 衛兵その2
SCP-079-FR-04 肉屋
SCP-079-FR-05 魚屋の女
SCP-079-FR-06 嘘つき
SCP-079-FR-07 子供その1
SCP-079-FR-08 子供その2
SCP-079-FR-09 子供その3
SCP-079-FR-10 亭主
SCP-079-FR-11 酒場の主人その1
SCP-079-FR-12 酒場の主人その2
SCP-079-FR-13 旅人
SCP-079-FR-14 猟師
SCP-079-FR-15 木こり
SCP-079-FR-16 金細工師
SCP-079-FR-17 お手伝いさん
SCP-079-FR-18 洗濯婦
SCP-079-FR-19 農家
SCP-079-FR-20 農家の女
SCP-079-FR-21 鍛冶屋
SCP-079-FR-22 賢者
SCP-079-FR-23 通行人その1
SCP-079-FR-24 通行人その2
SCP-079-FR-25 通行人その3
SCP-079-FR-26 鷹匠
SCP-079-FR-27 医者
SCP-079-FR-28 看護婦
SCP-079-FR-29 裁判官
SCP-079-FR-30 探検家
SCP-079-FR-31 元船乗り
SCP-079-FR-32 トランプで遊ぶ人その1
SCP-079-FR-33 トランプで遊ぶ人その2
SCP-079-FR-34 錬金術師

項目名が理解できただろうか。この村は「ゲームに出てきそうな村」を再現しているのである。
(PNJは『Personnage non-joueur(Non-player Character)』の略)
確かにゲームにトイレやキッチンをわざわざ作りこむことは(作風にもよるが)少ないと思う。
というか昔のゲームなんてトイレで容量埋まることもあるわけで。

この34人はいずれもポーランドやベラルーシで行方不明・失踪者として捜索されている人であることが判明しており、
内8人はとあるつぶれたビデオゲーム製作会社に雇用されていて、残りの26人はその会社が倒産して以降に失踪している。
この村人たち(SCP-079-FR-01〜35)は生きてはいるのだが、
心臓は動いておらず(そのくせに血液は循環しているらしい)、体の一部が欠損してもなにごともなく立ち(両足を切ろうが空中に浮く)
雨が降ろうが4500Nの力で引っ張ろうがとにかく動かない。その場を一歩も離れず、話しかけるとそれぞれ「決まった言葉を繰り返す」。

そしてこの村の人は訪れた人を「冒険者」と呼び、様々な依頼をする。

依頼

あるエージェントはSCP-079-FR-03(衛兵その2)はSCP-079-FR-06(嘘つき)から『ミラクルエリクサー』が入ったボトルを受け取るように指示され、
SCP-079-FR-06から『ミラクルエリクサー』が入ってると想起される(だけのただの)ボトルを入手し、SCP-079-FR-03に手渡した。
SCP-079-FR-03はコインを10枚報酬として手渡した。これを17回繰り返し、18回目はSCP-079-FR-06がボトルを出せなくなって失敗した。

この際に気をつけたいのがSCP-079-FR-06が持っていた袋に17本もボトルが入っているようには見えなかったこと、
その袋は他人が無理矢理開けることが不可能なこと、SCP-079-FR-03の服のポケットも170枚のコインが入る大きさではなさそうだったことが確認されている。

SCP-079-FR-07(子供その1)・SCP-079-FR-08(子供その2)・SCP-079-FR-09(子供その3)はエージェントに石蹴りを挑んだ。
エージェントはまず1回めは成功させ、SCP-079-FR-09が「3-6-9-4」という数列を教えた。この数列が何を意味するかは現時点では不明。
2回めはあえて失敗すると、SCP-079-FR-07・SCP-079-FR-08・SCP-079-FR-09はエージェントに石を投げた。

SCP-079-FR-22(賢者)は3つの数学パズルを冒険者に課した。アンブロジー博士がそれに応えて他の職員と相談しながら解答した。
賢者は「アナセミアの運命のメダリオン」を受け取るようにと言ったが、実際には何かしらのメダルを手渡すしぐさだけをした。
おそらく別の人物がメダリオンをすでに受け取ったのだろうとアンブロジー博士は推測した。

次が問題。
SCP-079-FR-10(亭主)にSCP-079-FR-04(肉屋)から猪肉を買って来いと命じられ、エージェントはそこに向かうも、
SCP-079-FR-04は「あいにく猪肉の在庫がないんだ」という。ゲームやってたらなんとなくわかるだろう。
「別のクエストが発生」したのである。
SCP-079-FR-04はSCP-079-FR-14(猟師)から猪の死体を受け取るように言う。そこでSCP-079-FR-14に話しかけると
「好きな獲物を譲ってやるから森の狩りの手伝いをしてくれ」と依頼される。また別のクエストが発生した。
そしてエージェントはトランシーバーとアサルトライフルを所持してSCP-079-FR-14に同行したのだが…
その先でトランシーバーから悲鳴が上がった後エージェントと一切連絡が取れなくなった。
財団がエージェントを回収に向かったが、死体は発見されず、武器の痕跡と血痕、そして衣類だけが見つかった。

この猪肉のクエストは他の人がやったときも失敗した。依頼を受けずに森の中に入るだけなら危険はないらしいのだが。
森には我々の知る昆虫よりでかい生物はいないことが確認されているが、森の中の痕跡は「でかい虫」や蜘蛛、鳥、狼、
他に[データ削除済]の生物が2種類ほどいることが推測されている。ドラゴンやケルベロスでもいるんだろうか。

住民

ある日のこと。SCP-079-FR-18(洗濯婦)が左手首を傷つけているのが判明した。
そこには「pomóż mi(波:私を助けて)」と書かれていた。
かつてSCP-079-FR-03が足を損傷して壊死し、腐敗して「その場に浮いた状態になった」ことを鑑みて
フランス支部は彼女が手首を傷つけるたびに消毒する者を用意した。
恐らく手首を傷つけることだけ制御から開放されているようだ。

SCP-079-FR-34(錬金術師)はある日、呼びかけにはいつもの通り答え定位置を動かなかったが、彼の目から涙を流していた。

SCP-079-FR-21(鍛冶屋)は普通の応対の途中で時々自我を取り戻し、「私を助けてくれ」と懇願したが、
そのあと完全に鍛冶屋になってしまった。その間「これは呪いだ、私への罰だ、私が愚かだった」とSCP-079-FR-21は発言している。

謎の存在

財団は数回、村の外でで黒い中世の服を着た男が歩きまわっていることを確認している。
その後の動きからすると、この男は恐らく「ゲームのデバッガー」と思われる。
ボトルやメダリオンなどの消耗品が時々補充され、村の詰所には赤い文字で落書きがされていた。

0.7.6, バグの修正

そしてある日別の落書きがされていた。

1.0.0, Twoja księżniczka jest w innym zamku

これを読んだアンブロジー博士は以下のような通達を出した。

ポーランド語を読むことのできる全てのスタッフに対し、私はこのメッセージを解釈しないようにお願いします。ここで考えられる懸念は、私たちのエージェントを慌てさせる悪質な噂話よりも更にタチの悪いものです。はい、SCP-079-FRは現存している唯一の例です。全くもって、「汚染」を心配する理由はないのです。オブジェクトクラスは確かにSafeなのです。 - アンブロジー博士

何が起きたのだろう?
そこで建て主がこの落書きをグーグル翻訳にかけてみた。


1.0.0, Your princess is in another castle



「あなたのお姫様は別の城にいます」

他にもこんな村があることが予想されないっつってんだろ by アンブロジー博士

一狩り行こうぜ!


さて上記で住人は何人と言ったっけ。35人。
ではなぜ34人しか紹介しなかったのか。

35人目は報告書の初版作成後に登場したからである。
(勘違いしないで欲しいが財団世界の中での初版でありSCP-2996みたいなあれではない)。

財団も森クエスト(狼だったり大盗賊だったりするがそれらの討伐)をクリアできないか何度か試し、
そのたびに行った人が消失している。
一度Dクラスに依頼を受けてもらってそのまま森の探索をしたらどうかとある博士が提案しているが、
別の人に「死体見つからないのにカメラなどの回収どうしろってんだよ」と却下されている。

ある機動部隊がそこに派遣され、そのリーダーはある「新しい村人」を発見した。
それは紛れもなく前に派遣された別の機動部隊のリーダーだった。

「お前の機動部隊になにがあったんだ?」
「新たなアップデートがもうすぐ実装されます!あなたも私たちの仲間になりますか?」
「おいしっかりしろ」
「新たなアップデートがもうすぐ実装されます!あなたも私たちの仲間になりますか?」
「動け!動けよ!」
「新たなアップデートがもうすぐ実装されます!あなたも私たちの仲間になりますか?」
「ならねえよ!離せこんにゃろ」
「新たなアップデートが実装されると、あなたはこのゲームの一部になります。」

錯乱した機動部隊のリーダーは「新しい村人」を銃で打って頭を弾き飛ばしたが、首から下はしっかり所定の位置におさまった。
機動部隊のリーダーは精神鑑定を受けることになり、降格した。

どうやらこの村の村人は「この村に入ってゲームをした者」の末路のようだ。
つまり鍛冶屋の言っていた呪いというのはクエスト挑戦者が村人になるということなのか。







よう冒険者!この記事の追記・修正をしてくれねえか?
パソコンは森の中の大盗賊が奪っちまった。
盗賊を倒して持ち帰ってきてくれ!


CC BY-SA 3.0に基づく表示


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最終更新:2023年07月10日 15:23