SCP-387

登録日:2016/12/08 Thu 14:46:45
更新日:2022/09/28 Wed 05:12:08
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SCP-387は、シェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つ。
項目名は「Living Lego (自律型レゴブロック)」。
オブジェクトクラスは「Safe」。収容手順が確立されているオブジェクトである。

財団世界にはヘッドカノンこそいろいろあれど、共通項としてオブジェクトクラス≠危険度となっている。
Keterだからと問答無用に危険なわけではないし、Safeだからと安全なわけではない。実際日本支部にはSafeの皮を被ったトンデモオブジェクトがゴロゴロいる(本家にはカバーとしてSafeにされているのが多い)。


が、コイツはSafeの中でも比較的安全な部類である。


概要

コイツがどんなものかというと、項目名が示す通りレゴブロックである。
市販されているものと違いはなく、あの特徴的な赤いバケツに入ったブロックだが、市販品にはない「車輪」「角柱」と言ったブロックが紛れ込んでいる。が、それもやはり材質や特性は変わらない。

その異常性は、レゴブロックとバケツの一揃いで発揮される。
まず第一に、バケツが空か、満たされていない場合、中でブロックが満タンになるまでゆっくりと増殖する。無限増殖かよ!? と思った諸兄はご安心いただきたい。
このブロックは、「バケツ一杯」を上限としている。実験の一つに「満タン以上のレゴブロックを追加してみた」というのがあるが、そうすると今度はブロックが減り始めた。つまりこのブロックは、「バケツの中に満タン」という量を常に保持するSCPオブジェクトであり、片づけるために次々とバケツに放り込むといつの間にかバケツ一杯で収まっているのだ。

ただし、ブロックを別のバケツに入れても複製は起きず、普通のレゴブロックをこのバケツに入れても複製されない。バケツ自体はSCPオブジェクトではないが、SCP-387はこのバケツの中でないと自己複製を起こさず、バケツの中に一つだけでも増えない。箱の底一面に敷き詰めれば増殖が始まる。


第二の異常性は、コイツを使って「生きた人間が」何かを組み立てた場合に発生する。
SCP-387で組み上げられたオブジェクトは、内部機関の有無を無視してその形状通りに機能するのだ(自動車なら走るし、飛行機なら飛ぶ)。
人間を組み立てた場合(レゴ人間)、知能を得てコミュニケーションを取り始める。さらに放置すると成長し、近くのSCP-387オブジェクトに基づいた「職業」になる。たとえば、消防車のオブジェクトがあると消防士、パトカーのオブジェクトなら警官になるのだ。
財団世界には人間以外の知性体は多いものの、その99%近くは潜在顕在を問わず敵対的、あるいは習性が人類にとって危険である。あの不死身のクソトカゲことSCP-682はまさにその典型と言える。

が、レゴ人間は非常に好意的で平和的に接して来る上、敵対的な態度をとると一瞬で機能を停止してただのブロックになる。つまり裏を返せば、無力化が非常に容易なのだ。

このため特別収容プロトコルも非常に簡素で、サイト-19の普通の倉庫に鍵をかけたまま置かれている。
何せ放っておけばバケツに一杯のまま増えないし、組み立てなければ動かない、とSafeの見本というべきオブジェクトである。


ただし、SCiPはあくまでSCiP。適切に使わなければ危険なのは同じである。


各種実験

オブジェクトとしての特性を理解するため、SCP-387を用いた実験が行われた。その一つは上述した増殖の特性を調べるためのものである。

  • 実験その1
普通のレゴブロックで作った飛行機を用意し、レゴ人間たちをその部屋に案内した。
しばらくすると彼らは増殖したSCP-387でそれを再現し、完璧に機能する飛行場を作った。しかも、集団行動の際に身振り手振りや合図の類は必要としていない。

ただ、事前実験では乗り物を作っても内燃機関は不要だったにもかかわらず、ガソリンタンクが運び込まれて接続、運用された。
このことから、彼らは周囲の環境を理解してブロックでそれを複製する能力に長けていることがわかった。

  • 実験その2
バケツを用いた増殖実験。結果については上述。

  • 実験その3
何人かの児童にSCP-387を貸与し、それでいろいろなオブジェクトを作らせてみた。
が、一体どこから知識を得たのか、その中にはアニメの変形ロボはともかく、実在の兵器やよくわからない何かまであったらしく、実験は中止された。
児童たちが全員避難したまさにその瞬間に戦闘が始まったが、上述したとおりコイツらは敵対的な人間を感知すると一瞬で止まるため、難なく無力化された。
この結果、彼らは武器などのオブジェクトとして組み上げられても人間が近くにいる限り攻撃は行わず、また特性により無力化も簡単だとわかった。
これを踏まえ、10歳以下の、とくにアニメや漫画の影響が強い子供にはSCP-387を触らせないようにと定められている。

  • 実験その4
ロボットアームや死亡した人間の腕でオブジェクトを組み上げてみた。
結果、異常性は発揮されなかった。
このことから、脈拍か何かで生きている人間を判別しているらしいことがわかった。


異常性の解明は大体終わり、テストも一通り済んだところで、SCP-387およびそれと触れ合う人々は至って平和的で楽しそうに過ごしていたことが記録されている。
これを受けたアーチ博士は、O5評議会に職員のメンタルケアとしてSCP-387を利用する許可を申請、受理された。



が、忘れてはならない。どんなに扱いやすくてもSCiPはSCiPである。


  • 実験その5
レゴのコピー商品であるメガブロックをレゴ人間のコミュニティに置いてみた。
結果は[削除済]。
何が起きたのかは不明だがアーチ博士のコメントが、「ああ、本当に安全なものなんて存在しないのさ!」となっていることからするに、どうやら凄まじい攻撃性を発揮した模様。
そりゃまあ、自分のパチモンが目の前にいれば気分は悪いだろう。


総じて、メガブロックにさえ接触させなければとりあえず安全なオブジェクトではある。










ところで、この項目の中にSCP-682についてちらっと言及したのを覚えているだろうか?
実はこのSCP-387自体の項目には書かれていないが、その後とある事件がコイツの秘める潜在的な危険性を証明することになった。

事件名は「事件387/682-■■■」。

……名前で嫌な予感がしたあなた、正解です。
その内容を、あるファイルから引用しよう。


事件387/682-██の奇妙な結果のために、ブライト博士が監督なしにSCP-387に接触する事は禁止されました。研究者は生み出されたSCP-682の動作モデルが、なぜプラスチックのブロックのみで作られているにも関わらず不死身なのかをいまだに解明しようとしています。


財団の名物にして迷物、スーパー迷惑トラブルメーカーのブライト博士や り や が っ た 。
こともあろうにこの御仁、何を血迷ったのかSCP-387であの不死身のクソトカゲを組み上げたのだ。
SCP-387は、作ったものが何であろうとその特性を正確に再現し、生物ならば動き出す。

つまり、SCP-387で組み上げられたレゴブロックアリゲーターは、オリジナルのSCP-682の持つ驚異の不死身能力をそっくりそのまま再現してしまったのである。
幸いというべきか、文面を見る限り被害は出ていないため、あのクソトカゲの習性である人間への敵意と攻撃性まではコピーされておらず、SCP-387の基本特性に従い無力化されているようだが、不死身能力のおかげで分解しても分解しても元に戻ってしまっているようだ。

それにしてもホントにロクなこと考えないねあの博士。


ちなみに今回は幸い事なきを得たが、この事件は、SCP-387で既存のSCP実体を再現して組み上げると、内面以外は全く同様の特性をまんま再現してしまう危険性がある、ということを示している。
人間が近くにいれば自律的に攻撃はしないし、敵対的に接すれば停止する、と無力化は簡単だが、もしそれ自体は武器でも生物でもない、ミーム汚染・認識災害のオブジェクトを組み上げてしまったら? たとえば陛下のSCP-1561とか。


繰り返すが、SCPオブジェクトはあくまでSCPオブジェクトであり、それ以上でも以下でもないのである。


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最終更新:2022年09月28日 05:12