クリストファー・ヴァルゼライド

登録日:2016/12/05 (月) 13:09:32
更新日:2024/03/24 Sun 20:35:35
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Mr.デリンジャー ――まだだっ! 「英雄出撃→ガシッ、ボカッ→悪は滅びたガンマレイ♪」 その涙の理由を変える者 もはや主人公 ガンマレイ クリストファー・ヴァルゼライド ケラウノス シルヴァリオ ヴェンデッタ シルヴァリオシリーズ ストーカー被害者 ラスボス 七刀流 主人公補正持ちのラスボス 二刀流 人造惑星 光の奴隷 光属性 勇者 天霆の轟く地平に、闇はなく 意志の化物 愛国者 星辰奏者 最強 有言実行 本領は格上殺し 極晃星 気合と根性 特化型の究極系 総統 美少女ゲームの人気投票で1位を取った男 英雄 英雄合体 質実剛健 軍事帝国アドラー 軍人 遠藤大智 金髪 閃奏 馬鹿 魔星




涙を笑顔に変えんがため、男は大志を抱くのだ

宿業は重いが、しかしそれを誇りへ変えよう。俺は必ずこの選択が世界を拓くと信じている

人々の幸福を、希望を未来を輝きを――

守り抜かんと願う限り、俺は無敵だ。来るがいい! 明日の光は奪わせんッ!






クリストファー・ヴァルゼライドはlightから発売されたPCゲーム『シルヴァリオ ヴェンデッタ』の登場人物。
CV:Mr.デリンジャー(PC版)/遠藤大智(CS版)。



◆概要

軍事帝国アドラー第三十七代総統。帝国に黄金時代を到来させた始まりにして最強の星辰奏者であり、
武力だけでなく、国の統率者としても並外れたカリスマと実行力を併せ持つ傑物。

貧民窟出身であるため入隊時はかなりの冷遇を受けていたが、独力でこれを撥ね退け帝国の総統にまで上り詰めた。
本編から5年前(当時の階級は大佐)、謎の生体兵器マルスとウラヌスによって引き起こされた未曾有の災厄『アスクレピオスの大虐殺』で、
両存在を単独撃破するという伝説を打ち立てたことでアドラー救国の英雄となる。

ヴァルゼライドの在り方を一言で表すなら、それは間違いなく『英雄』である。
己に厳しく、民を愛し、そのためなら如何なる地獄へも立ち向かう、まるで物語の中から現れたような理想の指導者。
その英雄像に間違いはなく、体験版のプロローグで早々に『アスクレピオスの大虐殺』の最中で死にかけていたゼファー(※主人公)を救い、
威風堂々と魔星に立ち向かう姿を見て「あれ? 主人公誰だっけ?」となったプレイヤーが続出した。
しかし、これは英雄の物語ではない。

公明正大・滅私奉公を体現したその在り方はまさに帝国軍人の鑑そのもの。
質実剛健な堅物ではあるが、手が足りなければ恥を惜しまず助力を乞い、
己に不足があったなら部下にさえ同じ人間として頭を下げる好漢として多くの人物から尊敬を集めている。
その英雄的活躍は当然ながら全国民に知れ渡っており、彼に憧れて軍に入隊する者は後を絶たず、中には彼個人を崇拝する者もいるほど。

軍内部の腐敗を嘆き、血筋や家柄だけで権力を握る無能や、
嘘偽りを用いて甘い汁を吸う卑怯者、力を用いて我欲を満たす愚者などを、ヴァルゼライドは決して許さない。
大虐殺の以前から革命派を率いて精力的に活動しており、総統になってからまず始めに行ったのはそういう腐った輩の切除と再配置であった。
大虐殺によって軍が半壊していたことも大きな後押しとなって、軍上層部の顔触れは一新されることになり、国民から見ればその誠実な行動力も支持される一因。

今日も彼は誰かのために戦い続ける。壊れるまで、砕け散るまで、それが勝者の責務ゆえ。

現在は何らかの極秘プロジェクトを水面下で進行しており、その不審な動きを察知したチトセやランスローに疑念を持たれている。
実はかつて討伐した筈のマルスとウラヌスを、帝国の地下に存在する謎の施設に生きたまま匿っており、更にそこに存在する“何者か”とは強い因縁を持っている様子。











以下、ネタバレ












当然ながらこの物語の最重要人物の一人。
全ての元凶というわけではないが、この御方がいなければ物語が成り立たず、始まりすらしなかったのも紛れもない事実。
ゼファーとは同じ貧民窟出身でありながら“勝利”に対する姿勢が真逆であり、互いに天敵と言える精神性を有している。

生まれてより達観した価値観を有していたヴァルゼライドは、常に勝ち続けてはいても自己救済を持たず、出世欲や他者への妬みとは無縁、貧民窟出身という境遇にすら不当と感じることはなかったという。

ただ彼は、人は平等ではなくとも『公平』ではあるべきと思い続けていた。
功ある者には信賞を。罪を犯したなら必罰を。才能には然るべき評価が与えられ、無能はそれに相応しい扱いを受けるべき。
立場や貧富の差があることは構わない。だが権力や財力によって公平さが歪められることは許されない。
為したことはすべてあるがままの結果として返ってくる、非情なまでに厳格な法則をヴァルゼライドは欲っした。

しかし世界ではそんな理想とは正反対の不条理が日々横行している。
しかもそれは貧民窟の中の出来事だけでなく、帝都でも同様の有様だったのだ。
貧民窟を出て軍に志願したのも貧困からの脱出が目的ではなく、そこならば自分の理想とする厳格な世界に出会えると考えたからだが、その期待も裏切られることになった。

そんな中でもヴァルゼライドは妥協せずに正しく在り続け、戦場でも戦果を上げ続ける。
そしてその破格の意志力を「神星」カグツチに見出され、それを自らの大願を成す好機として彼の計画の代行者となった。

ヴァルゼライドは確かにこの物語の黒幕の一人であり、カグツチの計画に加担しているのも事実だが、実は隠された目的や野望など一切ない
全ては徹頭徹尾『帝国アドラーとその民の永遠の繁栄』のためという指導者としてはいたって普遍的なもの。
具体的には『大和が持つ星辰体制御技術の全てをアドラーが独占すること』。

カグツチの目的である『第二太陽の降臨』が果たされるまでは協力関係にあるが、
それが果たされた時に両陣営は『聖戦』を行い、勝利した方が祖国を繁栄に導くと誓い合っている。



◆歪み

彼が英雄たる源は、その人の域を超えた意志力と精神力。
一度何かを成すと決めたのなら、それにひたすらに突き進む。いかなる壁が阻もうともとも止まることはない。

まさに英雄譚の主役ごときヴァルゼライドだが、
全てを“正しさ”に振り切ったその人間性はどうしようもなく歪んでおり、作中では幾度もそれを指摘されることになる。

周囲に惑わされず己を通す、才能の差を努力で覆す、どれだけ絶望的であっても諦めない。
言葉にするのは簡単で綺麗でも、これら全てを実現し続けることなどまるで現実的ではない。
しかし、直面すれば誰もがどこかで妥協し堕落するそれらの苦難を、
ヴァルゼライドは何の疑いもなく当然のように試練と捉え立ち向かうことができる。できてしまう。
あまりにもその意思が強固すぎるせいで、人としては正しいことを続けている筈なのに、そこに人間味は感じられない。

阻むのがたとえ守るべき帝国民であっても、かつて肩を並べた親友であろうとも、
国家繁栄の障害になるなら迷わずその屍を超え、そして犠牲が積み上がるほどそれを背負い、決意がさらに強固になっていく。
この異常としか言いようのない鋼の意思こそ彼が英雄たる所以であり、同類であるカグツチが計画の代行者として選んだ最大の理由。

「犯した犠牲を礎に民に繁栄をもたらさん。涙を明日へ変えるのだ」というのは作中の彼の言葉は、色んな意味で彼の英雄像を物語っている。



問題なのは、ヴァルゼライドが目指している理想が完全に自己完結した願いであること。
実のところ彼が掲げる国家の繁栄は、国民の総意を代弁しているわけではなく、国の議会で取り決めたことを彼が実行しているわけでもない。
かといって何か特別な経験があって立ち上がったわけでも、家族・友人・恋人といった特別な存在から望まれたわけでもない。
何か理由があるとすれば、単に彼がかつてこの理想を実現すると“決めた”から。

つまり彼の行動と理想は一見利他的な様で、実際はどこかの誰かが救いを求めているだろうという、
都合のよい不幸を勝手に頭の中に作り上げた上で行っている一方的な奉仕に過ぎない。

一度決めてしまったら最後、いずれ報いるからとその過程であらゆるものを傷つけ、願いの根本が揺らいだとしても決してその歩みを止めないし、止められない。

繁栄を与えられる側にとってはこの上ない指導者ではあるが、
犠牲になる者にとっては迷惑極まりなく、そもそも国民であれば否応にも彼の野望に関わらずにはいられないのも問題。
というかカグツチとの聖戦が起きた場合、余波で帝都が崩壊する可能性すらあるので、犠牲が出ることは避けられない。



とはいえ、国の未来と顔も知らぬ多くの誰かのために戦い続けるヴァルゼライドがアドラーにとって英雄であるのは間違いない。
どのような理想であろうとも、救いたい民がいるからこそかつて決意したのは変わらない。
目的のためなら他がどうなっても良いという人間ではなく、それらの価値を分かった上で自分を止められないだけのだ。だからこそ性質が悪いのだが……。
犠牲にした命のことも決して軽んじているわけではなく、
犠牲にすることに迷いはなくてもその全てを断腸の思いで下し、傷ついた無辜の民のことは全て記憶している。どこかのエレガント閣下ですかあなたは。

現実的に見れば国の代表が掲げる指針としても正統であり、勝利すれば多くの利益と平和を生むのも事実。彼以上に国の未来を案じている人物はいないだろう。
倫理観そのものは真っ当で人格者であることも間違いなく、総統としての立場や英雄としての活躍抜きで彼を慕う者も存在する。

彼は他者のことを信用・信頼しないわけでは決してない。
むしろ自分を支えてくれる部下や友に対して礼と感謝を欠いたことはなく、その人物を正しく評価している。
愛や友情・団結といった人と人が互いに与え合う力にも理解を示し、むしろ自分が持てなかった強さとして尊んですらいる。
ただヴァルゼライドにはそれを理解することはできても、決して共感することはないのだ。



この物語が護国のために戦う英雄の物語ならば主人公でもおかしくないかもしれないが、残念ながらこれは逆襲者の物語なので敵側なのは自明の理なのである。
この歪さは本人も正しく理解しており、そんな自分を嫌悪すらしている。
周囲からの英雄という評価に対しても「なんでお前ら俺のことそんなに高く評価してんの?(意訳)」と不相応と感じている。
しかしそんな歪みを全て自覚していても、一度決めたら自分で自分を止められないのが総統クオリティ。



◆能力

アドラー最強と称されるその実力は、血筋や才能によるものではなく、彼個人の驚異的な精神力と鍛錬によって磨き上げられたもの。
星辰光こそ扱えたものの、実は才能そのものはゼファー以下の非才。信じがたいことに。
悲願のためにと如何なる修練もこなし続け、その果てに稀代の才すら凌駕してしまった。
え? 魔星になる以前に単独で傭兵集団壊滅させたり一個中隊相当の歩兵と戦闘車両を制圧したりしてる?
……才能なくても気合と根性があればヨユーですよ(感覚麻痺)

アダマンタイト製の軍刀を腰に1本、背に6本の合計7本を駆使する剣士型の星辰奏者。
数々の戦場を潜り抜けた経験と、常軌を逸した鍛錬で培った技量は他の追随を許さない。
練達という評価さえヴァルゼライドには侮辱でしかなく、余すことなくすべてが絶技と称されるほど。

戦場で鍛え上げたその変幻自在の抜刀術の速度は超音速に達しており、
さらに背の七つの刀を同時に扱い、立ち会った相手はまるで七人の敵から切り刻まれるような恐怖を味わう。
星辰光の性質から攻撃の一つ一つが信じられない程の威力と重さを持っており、
加えて膨大な経験と技術、本人の折れない精神性と相まって、特化型の星辰光以外の部分で隙の無い強さを発揮する。



何より厄介なのがその意志力と精神力。
ヴァルゼライドはどれほど追い詰められても決して倒れず、それどころか窮地に陥るほどに気合と根性で覚醒し爆発的に強くなっていくのである。まるで英雄譚の主人公のように。
本編でも幾度の戦闘を潜り抜ける度にその執念で己の限界を突破し、勝利を掴み続けている。
この人と戦うと、もれなく正義の味方に倒される悪役の気分を味わうことになる。

彼を倒したいなら気合と根性を無意味にする程の異能で蹂躙するか、覚醒するほどの接戦になる前に勝利度外視の捨て身で倒すしかない。
無論言う程容易いわけがなく、前者は同じ位階に達された場合総統の勝利は時間の問題であり、後者を成功を許したのは全ルートで一度だけである。

ラスボスなのにこの主人公補正の様な強さ、というよりもはや固有能力は公式でもネタにされる始末。



◆星辰光


天霆の轟く地平に、闇は無く(Gamma-ray Keraunos)



創生せよ天に描いた星辰を──我らは煌めく流れ星

巨神が担う覇者の王冠。太古の秩序が暴虐ならば、その圧制を我らは認めず是正しよう

勝利の光で天地を照らせ。清浄たる王位と共に、新たな希望が訪れる

百の腕持つ番人よ、汝の鎖を解き放とう。鍛冶司る独眼よ、我が手に炎を宿すがいい。大地を、宇宙を、混沌を──偉大な雷火で焼き尽くさん

聖戦は此処に在り。さあ人々よ、この足跡に続くのだ。約束された繁栄を新世界にて齎そう

超新星(Metal Nova)──天霆の轟く地平に、闇は無く(Gamma-ray Keraunos)


基準値 発動値 集束性 拡散性 操縦性 付属性 維持性 干渉性
B AAA AAA E E A D E

ガンマレイ・ケラウノス。
その能力は「核分裂・放射能光発生能力」
発動時には黄金色の光熱が刀身を纏うが、その輝きは星辰で疑似再現された放射性分裂光(ガンマレイ)である。
この光に僅かでも触れれば激痛と共に触れた部分から細胞が破壊され壊死する。
さらに集束性に一点特化した星辰光の性質によって攻撃一つ一つがあらゆる防御を貫徹し、光が掠っただけでもそこから放射能の毒光が体内に浸透して激痛が襲い続ける。
無論まともに受ければ死は免れない。まさにヴァルゼライドが求めた邪悪を滅ぼす死の光そのものである。

光熱はただ刀身に付与されるだけでなく、剣撃に合わせて刀身から放出することもできる。
超高熱+放射能毒を纏った斬撃が頭のおかしいレベルの技量で繰り出されるだけでも悪夢なのに、加えて剣の間合いから逃げれば万象絶滅のガンマレイビームが亜光速で襲ってくる。

絶大な火力を持つ反面、欠点としてこの異能は基準値から発動値の差が非常に大きいため、発動の度に凄まじい激痛が体を駆け巡っている*1が、彼はそれを気合と根性で耐えている。
そこに異能を使っている訳でも何らかの超存在からの補正や加護を受けている訳ではない。
文字通り理屈もクソもない単なる根性論と鍛えた肉体だけで己の能力の欠点を無理矢理克服し無双の戦闘力を発揮している。



ヴァルゼライドの魔星としての異名は『ゼウス-No.γ(ガンマ)
ただ、一度死んでから肉体を造り替えられて蘇った他の魔星とは違い、彼は歴然とした人間のままである。
魔星に匹敵するこの力は死亡率9割の強化措置の重ね掛けによってもたらされたもの。
そのため寿命はもはや数年以下にまで縮まっており、代償に彼は星辰奏者でありながら魔星という規格外の位置にいる。
なおこの強化措置によるブーストが為される前は術後と比べてステータス自体はかなり低かったらしい。

+ 詳細
シナリオライターのコラムでの話によると、具体的には集束性が1ランク、基準値と発動値が2ランク*2、付属性が2〜3ランク下、という具合。

表にすると以下の通り。
基準値 発動値 集束性 拡散性 操縦性 付属性 維持性 干渉性
D A AA E E D~C D E

飽く迄当該コラムにおけるシナリオライターの談だが、ステータスだけを見るならば凡百以下の星辰奏者。
ヴァルゼライドが強化措置を受けるにあたって最も上げたかったのは付属性であり、他の能力の向上はおまけの様なものとのこと。
天霆は彼をあまりにも象徴しすぎており、高い付属性がなければガンマレイを肉体や刀身に負担なく纏わせることが出来ないため、ヴァルゼライドですら数回の戦闘で燃え尽きてしまうのだとか。


天霆の轟く地平に、闇はなく。閃奏之型(Gamma-ray Keraunos)


基準値 発動値 集束性 拡散性 操縦性 付属性 維持性 干渉性
B AAA EX E E A D E

ヴァルゼライドが、正確にはケラウノスが至った不完全な極晃星
多くの場合「閃奏」と称される。
能力は放射能光集束。光速突破、因果律崩壊。
基本的な能力はヘリオスの烈奏とほぼ同様だが、こちらの方がより攻性かつ破滅的。
集束性を極めたスフィアは星光による概念・事象・法則の破壊を可能とし、攻撃面では概念破壊の理を自身と武器に乗せ、防御面では自らが負った損傷という結果を破壊(なかったことに)できる。
ヘリオスがその両面をバランスよく使っているのに対し、ケラウノスは生存よりも敵の撃滅に多大なリソースを割いた攻撃全振り。
「遠距離の敵を倒さなければならない」という状況においては空間を切り裂いて距離という概念を破壊した後、目の前にある敵の顔面を引きずり出したりする。

だが閃奏は不完全な極晃ゆえに欠陥があり、「出力を上昇すればするほど完成に近づいていく反面、膨大なエネルギーに耐え切れず自己崩壊を始める」という致命的な問題を抱えている。
だが一度新生を果たした英雄にとって、それが真に終焉となりえるのかは誰にもわからない。



◆本編での活躍

全ての始まりは、ヴァルゼライドが旧日本(大和)が残した超兵器カグツチ一目惚れ見出されてしまったこと。
本来であれば十年前にカグツチとヴァルゼライドの決戦で目的は達成されるはずだったが、
第二太陽降臨の鍵であるヴェンデッタが如何なる理由か機能不全を起こしたため、計画は延期を余儀なくされる。

『アスクレピオスの大虐殺』にも関わっており、これは血統派の一掃とオリハルコン技術の流出を防ぐ目的で、試験運用も兼ねて魔星を解き放ったのが原因。
しかし魔星の暴走によって、首都全体を巻き込んだ大虐殺が発生してしまい、それに自ら始末をつけたのが大虐殺の真相である。
多くの無辜の民を巻き込んだこの惨劇はヴァルゼライドとしても予想外ではあったが、それすらも礎として胸に刻んでいる。

そして物語の序盤、突如起動したヴェンデッタとその原因になったゼファーの確保のために魔星を動かし、計画を最終段階に移行しようと画策する。



チトセルートでは純粋にラスボス。ヴァルゼライドの人間としての歪みが語られる。
ゼファー確保のために魔星を送り込むが反政府勢力とチトセの裏切りによって失敗。反政府勢力との全面抗争となる。
反政府活動の主導者になっていたかつての親友アルバートとの対峙するがそれでも揺るがず、容赦なく彼をその手に掛けた。
最後にはゼファーを奪わせないと誓うチトセ、彼女のための銀狼として再起したゼファーの前に立ちはだかる。

決戦の最中、善が悪に容易く蹂躙されてしまう現実、悪の行いが日常茶飯事で横行しているにもかかわらず、
それを黙認する世界を許せず、自らがそれを正す裁断者となりたいのだという心中を明かした。
二対一でありながら終始その圧倒的戦闘力で寄せ付けなかったが、
チトセとの連携に合わせたゼファーの捨て身の口撃で人体最大級の急所である頸動脈を咬断され、彼らにアドラーを託して絶命した。



ミリィルートでは、ヴェンデッタがミリィに星辰光を託し眠りについてしまったため計画は中断。
再びヴェンデッタを起動させるため、ゼファーの確保に魔星を送り込むが、最終的に国外への逃亡を許してしまう。
カグツチがアドラーの領土拡大の後に新しい月乙女の素体を探すプランを提案したが、
それはヴェンデッタの犠牲を無にしてしまう行為であるため「死んでも御免だ」と拒絶している。
しかしこのままで状況が改善することは無いとも理解しており、結局それに乗ったかは不明。



ヴェンデッタルートではヴァルゼライドの英雄としての歪さとカグツチとの関係が語られる。
中盤にて他のルートと同じくゼファーとヴェンデッタを確保するべく魔星を送り込むが、なんと突如そこに総統自ら乱入し、ゼファー(とプレイヤー)を絶望のどん底に落とす。
勝てるはずもなく確保されたゼファーはヴェンデッタと連結されてしまい、ついに計画の最終段階『第二太陽の降臨』が果たされる。

そこからは聖戦の前哨戦として、主人公のゼファーそっちのけでまさかの総統vs魔星(+α)の連戦にもつれ込む。
どれも本来なら労せず倒せる相手だったとされているが、魔星がそれぞれ心の覚醒を果たし予想外の大苦戦を強いられる。

特にルシード戦では彼の勝利を捨てた執念によって瀕死の重傷を負ってしまう。
それでも意志力で立ち上がり、ヴェンデッタと融合し反星辰光の力を手に入れたゼファーと激突。
しかし圧倒的な相性差を覆すことはできず、聖戦を目前にして生涯最大の敗北を喫する。

ヴァルゼライドは己にさらなる覚醒を促すも、連戦に次ぐ連戦によってついに肉体という器に限界が生じ崩壊を始め、意思は滾りつつも死と生の間を彷徨う。
そこに――



「立て、我が宿敵よッ。おまえは、ここで斃れるべきではない」


その声は、聖戦を誓った宿敵からの叱咤激励だった。
まだだ、まだ死ぬな、それは違うぞ英雄よと、普段の余裕や尊大さをかなぐり捨て秘めた本音をヴァルゼライドに叩き付ける。
そこにはただの兵器には存在しない使命感以上の感情があった。


「己の敵は、奴ではない。如何に強く恐ろしかろうと、断じて奴ではありえない。我らの紡ぐ英雄譚は、あくまで我らのものなのだから」

「それは使命でも同情でもない。己とおまえが共に抱いた、原初の誓いであろうがよォッ」

「ゆえに立て、クリストファー・ヴァルゼライド! 我が宿敵、我が好敵手、尊敬すべき英雄よ」

「――ここで勝たぬというならば、己は貴様を許さんぞ。煌めく真価を見せてくれ!」


「――ならば」

「勝負だ、カグツチ……俺を喰らって再誕しろ。吟遊詩人に出来たこと、我らに出来ぬはずがない」



総統はなんとお前を倒すのはこの俺だ云々から続く宿敵との一時共闘の過程をすっ飛ばし、まさかの『合体』を提案。
つまりは、ゼファーとヴェンデッタと同じく星辰体への粒子化による融合。己を対価にカグツチを復活させることで勝利を得る決断をする。

しかしそれはヴァルゼライドの精神が消失することを意味していた。
意識を共生したままの融合を実現したゼファーとヴェンデッタは特異すぎる前例であり、互いの意思がせめぎ合う彼とカグツチにはその一例にすら当てはまらない。
そもそもカグツチの復活に必要な星辰体はヴァルゼライド一人で補えるような量ではないのだ。つまり物理的に実現不可能。前人未到の一発勝負。
しかし彼はそんなカグツチの思案を一喝。ヴァルゼライドは当然のように勝利を宣言し、カグツチに魂まで譲らないと「隙あらば内から食い破る」とまで豪語してみせる。

その宣言にカグツチは歓喜し、ついに――




「来るべき、聖戦の到来を目指し――」

「我ら、今ここに一つとならん――」

「すべては、"勝利"をこの手に掴むためッ」



流石というかやはりというか、ヴァルゼライドは星辰体の感応量、同調係数、人と星との関係性など、
すべての常識をねじ伏せ、主人格のカグツチを下手をすれば塗りつぶしかねない強固な意志を共存させた。
その事実に心震えたカグツチも負けてはいられないと相乗効果でさらに限界を突破する。
こんなイチャイチャした復活劇を見せつけられたゼファーとヴェンデッタは、
お約束で奇跡を起こされて逆転される悪役の気分を味わい「本当に救えない」とげんなりするのだった。

その後も天井知らずの出力で決戦中は終始攻勢に出ていたが、自らを特異点の一部にするという勝利を捨てた逆襲により、カグツチは斬首される。
斬首される最中、大和からの秘匿通信にて願いの根底を否定されたカグツチを今度はヴァルゼライドが激励し、互いに聖戦を誓い合った。



表向きにはこれらの真実は秘匿され、ヴァルゼライドは敵国が盗み出した新型のアストラル兵器に特攻し命と引き換えに帝都を守り抜いたと民衆には伝えられている。
あまりに英雄に頼り過ぎた統治だったため、彼の死亡によって国内はかなり混乱。
同時にアストラル技術が国外に流出し、アドラーは周辺国から虎視眈々と狙われることになる。



シルヴァリオ トリニティ

既に死亡しているため、本人は登場しない(と思われる。しないよね?)。
しかし主人公の回想では元気なころの総統の勇士が見られる。

彼にとっては極めて不本意な話だが、気合と根性に信頼を置きすぎて他人にもそれを押し付ける元同期の天才将校や、本気に絶対の価値を置き他人にも強要するテロリストが作中に登場。ヴァルゼライドという光に目を焼かれた彼らは光の亡者と称された。

だが『トリニティ』のアペンドシナリオ「“誰かのために/Hero‘s“」でついに復活
滅奏に敗れ、肉体を失い特異点へと投げ出されてなお「まだだ!」で奇跡を起こし極晃奏者として新生した。
自身はケラウノスを名乗りヴァルゼライドとは別人であると主張しているが、実質的にヴァルゼライド本人そのまま。



シルヴァリオラグナロク

直接登場することはないが、強烈な存在であったためか複数の人物から言及される。
セシルルート、ミサキルートでは「閃奏」としてその権能でジェイスを援護した。



◆余談

人気投票の結果は1位。
『ラグナロク』発売後に行われたシリーズ全キャラ総選挙でも当たり前に1位。
2位と3位の得票を足してもなお追いつけない程の圧勝であった。








追記・修正は英雄の後継者になってからお願いします。

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最終更新:2024年03月24日 20:35

*1 例として骨がイカれたり内臓が潰れたりといったダメージ

*2 ともにゼファー・コールレインとだいたい同じであるとのこと