ガンダム・フレームMS(鉄血のオルフェンズ)

登録日:2016/11/18 (金) 21:23:29
更新日:2024/04/09 Tue 10:52:37
所要時間:約 16 分で読めます






300年前、長く続く厄祭戦のために人々は疲弊し、人類存亡の危機に瀕していた。
人類が生き延びるためには、誰かが戦争を終わらせる必要があった。
戦力の均衡を破る圧倒的な力、人間の能力を超えた力でな。
同じ志を持つ者たちが集まり、国や経済圏の枠にとらわれない組織が編制された。

そして彼らは、人類最強の戦力である、「モビルスーツ」の運動性を最大限に高めるシステム。
即ち「阿頼耶識システム」を作り上げた。
そして、その力を限界まで発揮できる72機のモビルスーツを。

元を辿れば、全てそこに行きつくのさ。
人間であることを捨てて人間を救った救世主たち。彼らは後に――


マクギリス・ファリド P.D.323 ヴィーンゴールヴにおける友との会話より―





本項では『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』に登場するモビルスーツ(MS)シリーズについて解説する。
また、これと関連深く、作品世界観でも大きな役割を果たす設定「阿頼(あら)()(しき)システム」に関しても記載する。




ガンダム・フレーム


概要~厄祭戦の終わりに~


冒頭に記載したマクギリス・ファリド特務三佐の証言が示す通り、作中時点から300年前に行われた大戦「厄祭戦」の末期に開発されたMSフレーム(骨格)。
最大の特徴は、動力源のエイハブ・リアクターを2基並列稼働させる「ツインリアクターシステム」を採用しているところ。
これによって他のフレームとは段違いのパワーとタフネスを獲得。特別な装備が無くとも、重力圏内での短時間での飛行を可能にするほどの推力も得ている。
骨格自体も「阿頼耶識システム」の搭載を前提に、主流のモーター駆動ではなく、筋肉の動きと理屈が同じシリンダー駆動を採用している。
結果、極めて柔軟性の高い構造となり、様々なオプション装備に対応できる拡張性の高さを獲得、多様な状況に対応できる骨格となった。
基本的にどれも高出力・高機動なので、コクピットはエイハブ粒子の慣性制御による搭乗者へのG負荷軽減機能を活用し易くするために、二基一対のリアクターに挟まれた真ん中に配置されている。

そのスペックは概して高く、恐ろしいことにP.D.323時点の最新鋭機と比較しても引けを取らない。
運用能力や信頼性を初めとする兵器としての統合性能では流石に劣るが、大出力とそれを生かした各機毎の特化戦術は今なお脅威である。
ガンダムと同時期に開発されたヴァルキュリア・フレームに至っては完全に注目を奪われ、超少数生産品になってしまった。

しかし、厄祭戦当時においてもツインリアクター機構は製造が非常に難しい(ただ並べて設置すればいいという物では無くリアクターの出力同調などの細かい調整が必須である)ものだったため、
総生産機数はなんとたったの72機に留まる。
その性質上、ツインリアクターシステムは『ガンダム00』におけるツインドライヴシステムと類似のものと言えるだろう。
さらに、厄祭戦が終結後は、戦後復興の混乱と阿頼耶識システムの非人道的な性質が問題視されたことで、新たなガンダム・フレームは生産されず、そのまま歴史に埋もれいった。
ツインリアクターシステムも、技術レベルが当時より後退した『オルフェンズ』の時点ではMS開発ラインから消滅し、「幻の機体」と呼ばれるようになってしまった。
現行機にツインリアクターシステム採用型が存在しないことが、300年前のMSにもかかわらずガンダムが戦える要因の一つとなり、そして僅か10機ほどしか作られなかったヴァルキュリアが生産性を評価され、戦後MS史をリードしていく存在になったのというのも、歴史の綾とも言えるなんとも皮肉な話である。


個体の仕様


「ガンダム」という名は、歴史の変わる節目毎に現れた存在に肖ったものらしい。
72機にはそれぞれに個体名が割り振られているが、この名称はソロモンの72の魔神をモチーフにしている。
起動時にはコクピットのメインコンソールにソロモン魔法陣(シジル)のイラストと個体名が表示される。開発陣は最初から72機で打ち止めにするつもりだったのかもしれない。
ちなみにこの序列は開発順としての意味を持っており、後継機種には先行開発された機体のデータがフィードバックされている。

各ガンダムはそれぞれの設計思想ごとに艤装が行われており、同じフレームを採用していながら、その外見は機体毎に大きく異なる。中にはフレームそのものに更に手を加えたものもある。
ちなみに、元ネタの魔神が司る分野と各機の特徴は、特に関連付けられているわけではないが、一応外見についてはバルバトスは狩人、グシオンはローブを着た体格のいい男、キマリスは馬に跨った戦士、
フラウロスは豹あるいは人間の姿、アスタロトは竜に跨って右手に毒蝮を持った天使と元ネタを意識してデザインされた機体もある。
ただ、海老川氏によるとフラウロスはデザインしてから名前を決めたそうなので必ずしも名前が先行してデザインされたものではなさそうである。
また、開発当時の段階で機体のデザインには搭乗するパイロットの趣向が反映されているとの事。

全ての機体に共通する仕様の1つとしてモビルアーマーの反応を感知すると、機体の出力を制御するリミッターが強制的に外れる。
この状態では従来の戦闘の限界を越えた出力・機動力・反応速度、言うなれば悪魔の力を発揮する。
しかし、同時に膨大な情報量がパイロットに流れ込むという問題が発生し、阿頼耶識の情報交換量が低い(鉄華団が施術された海賊版など)場合はパイロットの保護を優先して出力に制限を付けてしまう弊害もある。
これがMAとの初交戦で起きたパイロットの気絶や機体の挙動の制限である。
なお、阿頼耶識を用いないガンダムがMAと交戦した記録が無いので、この仕様で相対した場合の影響については未知数である。

本編第一話の時点で現存しているガンダムは26機
本来の所有者の子孫達に管理されてきたもの、闇市場を渡り歩いているもの、古戦場や廃棄場所から発掘されたものなど、その立場は様々である。
戦後に運用されている機体は阿頼耶識システムを使わずとも操縦出来るように、コクピット回りを換装したものが殆ど。
ガンダム・グシオンを始め、厄祭戦後の300年間で新たな所有者に改造され、オリジナルがどんな仕様だったか分からなくなってしまったものもある。
なお、この数はギャラルホルンが把握している数であり、本編開始時点でギャラルホルンが存在を知らなかったバルバトスや2期になって新たに発見されたフラウロス、詳細が秘匿されている端白星のように未確認の機体も存在している。

また少なくとも29号機にあたるアスタロト以降の機体には強力な一芸ともいえる装備を有する機体が多い*1
ダンタリオンは先行ロールアウト機のデータを基に複数回の設計変更が行われたことから、設計時の戦況を考慮して一点特化型の装備が導入されたと思われる。


メタな話


各ガンダムのデザインは様々なデザイナーが担当している。
ガンダム・フレーム自体のデザインは、コンペ用に篠原保が起こしたMSの画稿を元にして、鷲尾直広がフレーム風にリファインしたもの。
長井龍雪監督が篠原氏の画を気に入り、内部骨格用として登場させることになったらしい。

これまでのガンダムでもソロモン72神を名の由来とする機体はそこそこ存在する。
例えばガンダム・アスタロトとガンダムアシュタロンは元ネタが同じ。
72のうち機体や人名で使われていない名前もまだ多いのに、何でわざわざ被る名前を選んだのかは不明。語感やイメージが良いという理由だろうか?
まあ鉄血以外にもフェニックスガンダムとユニコーンガンダム3号機フェネクスなど被った作品はあるのだが。
アニメや月鋼の終了によって一時新規ガンダムフレームの追加は途絶えていたが、アプリゲーム『ウルズハント』配信前から徐々に新規が追加。
アプリ配信後には不明だったセブンスターズのガンダムまで判明するなど大きく前進した。

現存するガンダム


項目がある機体に関しては当該項目を参照されたし。

ASW-G-01 ガンダム・バエル

大きく横に伸びた頭部アンテナと、背部に翼状スラスターユニットを備えた白銀の機体。その姿は、まさしく王と呼ぶにふさわしい。
ギャラルホルン創設者であるアグニカ・カイエルが厄祭戦当時に駆った最初のガンダム・フレームMSで、「アグニカの魂が宿っている」と実しやかに伝えられている。

ASW-G-04 ガンダム・ガミジン

『鉄オルG』に登場。
セブンスターズに名を連ねるファルク家初代当主のカルフ・ファルクが搭乗したとされる機体。
厄祭戦時は多くの戦果を挙げたとされ、戦後はファルク家の厳重な管理下に置かれている。
武装は零距離発射式の小型ダインスレイヴ弾をリボルバーヘッドに仕込んだ巨斧「リボルバーガンアックス」、背部サブアームに懸架された110ミリ六連ガトリング砲。
なんの前触れもなく設定画が公開されたことやセブンスターズ内でもモブ同然だったファルク家のガンダム・フレーム機ということもあり*2、多くのファンを驚かせた。

ASW-G-08 ガンダム・バルバトス

本編の主人公機。汎用性を重視したオーソドックスな機体で、何をやらせても器用にこなす。
火星の民間軍事会社CGSのマルバ・アーケイ社長が、砂漠地帯で放置されていた同機を偶然発見し、将来的な転売を見据えて回収。
エイハブ・リアクターを基地の動力炉代わりに使うため、地下格納庫に秘匿されていた。

ASW-G-11 ガンダム・グシオン

番組本編に登場した中では唯一、厄祭戦当時の姿が不明な機体。
デブリ帯に放棄されたものが所有者を転々とした後、宇宙海賊ブルワーズの手に渡り、デブリ帯での活動を前提とした魔改造が施された。
その後、鉄華団の手に渡り、「グシオンリベイク」「グシオンリベイクフルシティ」として幾度目かの魔改造が行われていて、
リベイクの面影を残すフルシティはいいとしても、登場時のグシオンとリベイクを初見で改造元・先だと分かる者はまずいないだろう。

ASW-G-16 ガンダム・ゼパル

『鉄オルG』に登場。
セブンスターズのクジャン家初代当主のエンブリラ・クジャンが搭乗したとされるガンダム・フレーム機。
バックパックやバインダーのスラスターを駆使した変則的な機動が特徴で、機動性を損なわないよう装備も軽量にとなっている。
武装はバエルソードと同じ希少金属で錬成された「ゼパル・ソード」と同じく希少金属製のクロー4枚をもつ小型の「ゼパル・シールド」。

ASW-G-29 ガンダム・アスタロト

外伝『月鋼』の主人公機。
大型フライトパーツを装備し、長時間の単独空中戦能力を重視した機体。右腕には特殊粒子兵器の為のカスタムが施されている。
ギャラルホルンの貴族であるウォーレン家が月面調査中に発掘し、家の象徴としてきたが、不祥事の発覚でお家取り潰しになった後は廃家の機体という事で買い手が付かず、闇市場に流れた。
その後、ほぼフレームのみの状態でタントテンポに買い取られ、寄せ集めのパーツで外装を補填された。
そのため公式画稿やガンプラには「作中登場版」「本来の外装版(アスタロトオリジン)」の2種類がある。
『月鋼』二期の開始に伴って新たに「強化改修版(アスタロトリナシメント)」が公式画稿とガンプラに加わった。

ASW-G-32 ガンダム・アスモデウス

スマホアプリ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ウルズハント』公式サイトにて存在が明かされた機体。
厄祭戦後は消息不明となっており、戦禍の中で消失したと思われていたが侵入困難なデブリ帯の中に浮かぶ「コクーン*3」内部で偶然発見された。
戦闘記録が残っておらず、実戦投入する前に終戦したものと思われるため、ギャラルホルンが管理するガンダム・フレーム機以外では開発当時の姿そのままで武装も全て揃っている珍しい機体。
メイン武装は射出機構によってあらゆる装甲を貫通可能な両腕の「グラン・トンファー」、ワイヤーで接続された刀身をスラスター噴射によって撃ち出す大刀「ギガント・ジャベリン」、サイズを最適化した110mライフル、足裏の展開式クロー、煙幕によるかく乱を目的とした両腰のグレネード4基。
実はこの機体のデザイン自体は2018年にWEB上に投稿されており、当初は「ガンダム・セーレ」ではないかと考察されていたが、実に3年越しに名前が判明する事となった。

ASW-G-35 ガンダム・マルコシアス

スマホアプリ『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ ウルズハント』公式サイトにて存在が明かされた機体。
実は現存が確認されている26機のガンダム・フレームの中には含まれておらず、厄祭戦時に失われたと思われている。
ギャラルホルンの保有するデータベースには固有周波数が記録されており、実戦投入されていたことは確かだが、当時の機体やパイロットに関する史料も不自然な程に何も残されていない。
背部に翼状のバインダーを装備し、その姿はハシュマルなどの天使を彷彿とさせるものとなっている。
がいざという時は腰部バインダーを含めた四本のサブアームと短剣を剥き出しにし、敵に向かうその姿はまさに悪魔にふさわしいものである。
メイン武装はモビルアーマーのナノラミネートアーマーを破壊するために開発された大太刀だがこの世界の刀系武装には珍しく鞘が存在し鞘に納め重量を持たせ、バスタードメイスとしても使用可能。
他の武装として翼の先端と腰部バックパックの先端にある各バインダーに収納されている計4本の短剣と唯一の射撃武器であるレールガン。
腕部のナックルクローやアーム展開時の取り回しを重視した小型のシールドも装備している。
ファンの間ではフレームを初めとした装甲の色や武装コンセプトの類似、「ウルズハント」PVにて主人公機のガンダム・端白星のモニターに浮かんだ魔法陣がマルコシアスのものである事から、

ASW-G-47 ガンダム・ウヴァル

外伝『月鋼』に登場する機体。
近年になって存在が確認された機体でもあり、タントテンポ幹部のロザーリオ・レオーネが厄祭戦時代に廃棄されたコロニーの動力炉付近で発見して秘密裏に保有していた。
オリジナルの外装のほとんどを喪失しており、ウォーレン家の人間を挑発する意味も兼ね、闇市場からかき集めたアスタロトのパーツで戦闘艤装されている。
その後、艤装をアスタロトに移植したのち長らくフレームのみのままホコリを被っていたが、ジャンマルコの手により改修されて「ガンダム・ウヴァルユハナ」となった。
ちなみに、名前こそユハナとあるがパイロットは彼女の兄サンポである。別に死んだ妹の名前をつけているとか大層な設定はなく単にユハナのいたずらだとか……

ASW-G-48 ガンダム・ハーゲンティ

『鉄オルG』に登場。
セブンスターズに名を連ねるエリオン家初代当主のアンゼリカ・エリオンの愛機とされる機体。
ガンダム・フレーム機体の中でも軽量機でありながら戦果を挙げたとされ、現在はヴィーンゴールヴの格納庫に保管されている。
武装は特殊な錬成により見た目以上の重量と強度を獲得した「カタナ・ブレード」二振り、牽制や攪乱、プルーマへの攻撃を目的とする130ミリショートバレルライフル「ヒュージ・ガン」。

ASW-G-54 ガンダム・ムルムル

『鉄オルG』に登場。
セブンスターズのファリド家初代当主の蒔絵・ファリドが搭乗したとされるガンダム・フレーム機。
ガンダム・フレームの中では珍しく曲線主体の女性的な体型や大型の後頭部と腰部スカートを特徴とする。
武装は分割使用が可能な接近戦用の双頭刃「サージカルナイフ」と機体全長を上回る6連式超大型攻撃ユニット「サージカルフェザー」。
なおサージカルフェザー各基は阿頼耶識を介して有線操作されるが、阿頼耶識前提という性質上技術が禁忌扱いとなっている戦後においては実質扱えないと思われる。ぶっちゃけ阿頼耶識がないとただの巨大な背負い物でしかない……

ASW-G-56 ガンダム・グレモリー

外伝『月鋼』に登場する機体。
全身を覆うナノラミネートコートにより圧倒的な防御力を誇っている機体。
武装の打撃用の錨「バトルアンカー」は厄祭戦当時に片刃を破損したとされており、前述のナノラミネートコートも相まってその姿は鎌を携えた死神を彷彿とさせる。
腕部機関砲も装備しているがこれが戦前からのものか戦後装備された物かは不明。
なお300年前でもその手間から採用例の少ないナノラミネートコートはロストテクノロジー化、バトルアンカーも軽量化にはなっているが結果機体バランス悪化も招いている。
ギャラルホルンの名門のひとつであるナディラ家の所有する機体であり、現在はMSの操縦に長けた次期当主デイラ・ナディラの乗機となっている。
2021年10月にガンプラが発売されたが、バトルアンカーは破損側と現存側でジョイント部分の構造が同じなため、
キットを2つ揃えるかアンカー部分を部品注文することで両刃の揃った厄祭戦当時の姿の再現や両刃が破損した状態にすることも可能。
ちなみに2023年時点では部品注文は1パーツ2個までの上限があるため、在庫があって注文できても両刃付きのバトルアンカーは1個しか作ることが出来ない。

ASW-G-61 ガンダム・ザガン

『ウルズハント』に登場する機体。
厄祭戦で初代イシュー家当主のアルゾナ・イシューが搭乗したとされるガンダム・フレームの一機。
戦後はイシュー家が代々管理しており、ヴィーンゴールヴ内のバエル宮殿ではなく禁足地「ラタトスク」の最深部で厳重に保管されていた。イシュー家の次期当主に関する争いの中で、かつてカルタ・イシューの親衛隊を務めていたロンド・ブロンが搭乗する事になる。
希少金属製の分厚い重装甲が特徴だが、コクピットは大戦当時の阿頼耶識用のままであるためにロンドとは相性が悪い。
武装は希少金属製の盾と握砕用サブアームとしての機能を兼ね備えたリアスカート左右の「シールドプライヤーユニット」。「ラタトスク」で追撃部隊のグレイズと交戦した際は、機体本体の拳をドリルのように回転させてのパンチも使用している。

ASW-G-64 ガンダム・フラウロス

バックパックにレールガンとマシンガンを一対ずつ装備した砲戦仕様機で、変形することで四脚姿勢の砲撃モードとなるのが特徴。
テイワズが押さえていた火星のハーフメタル採掘地から発掘され、鉄華団の手に渡る。
修復後はパイロットであるノルバ・シノの愛機伝統のピンク色で全身を、特徴的な目の模様が角に塗装され、「四代目流星号」をめでたく(?)襲名した。

ASW-G-66 ガンダム・キマリス

ギャラルホルンの創設者・セブンスターズに連なるボードウィン家に伝わる伝統の機体。
大槍を主装備として大出力の脚部内蔵ブースターを用いた突撃戦法に特化した機体で、胸部には特殊な出力回路が搭載されている。
戦後しばらくは式典にも出席していたが、時が立つにつれて影が薄くなり、今では家の者からも「骨董品」呼ばわりされている。

ASW-G-70 ガンダム・セーレ

外伝『月鋼』で確認された機体。
アルジの運命を変えた10年前のシャトル事故に居合わせたとされるが、それ以外の詳細は一切不明。

ASW-G-71 ガンダム・ダンタリオン

アーケードカードゲーム『ガンダムトライエイジ』及び外伝『月鋼』に登場する機体。
先行投入された他のガンダム・フレーム機の戦闘データを基に数度の設計変更が行われた結果、頭部や膝などフレーム自体にも独自の改修が施され、
単独であらゆる戦局を打開する万能機として完成し、機体の一部を変形させることで、多彩なオプション兵装の装着が可能となっている。
基本形態は「ネイキッド」と呼ばれ、目立った特長を持たない汎用性重視の機体。この素体に各種ブースター(ハーフカウル)や武装を装備する事で様々な戦局に対応する。
ネイキッドは骸骨の様なシルエットと、それに合わせたかの如くドクロっぽくもRX-78-2(1stガンダム)V2ガンダムの顔を折衷したような「ガンダムっぽい」所も併せ持った顔が特徴。
元々はトライエイジ5周年記念の時期にオリジナル機体として登場したためか、トライエイジ黎明期の頃の主役機のような「Aの字に見えるディテール」が配されている。
トライエイジでの初登場時のカラーリングは白と青を基調としたスッキリとしたカラーリング。
ギャラルホルンにおいてセブンスターズに次ぐ名門であるザルムフォート家が保有するガンダム。だが、機体が何者かの手で持ち出されて行方不明との事。
一応作中では初期のキマリス同様通常の操縦手段で操縦されているが阿頼耶識システムの有無は不明。
またザルムフォート家本来のカラーリングは黒基調でティターンズ時代のガンダムMk-Ⅱ等を彷彿とさせる物である。


ASW-G-XX ガンダム・ヴィダール

高速戦闘を前提としたチューニングが施された機体。現在はギャラルホルン月外縁軌道統合艦隊(通称「アリアンロッド艦隊」)が確保している。
ちなみに「ソロモンの魔人」には「ヴィダール」の名は存在しない。ファンの間では北欧神話の神「ヴィーザル」が由来ではないか、とも推測されている。
型式番号も不明で、新たに新造された機体の可能性もある。

ASW-G-XK エックスケー

MSV企画に登場。
ガンダム・ヴィダールの試作段階時の姿。
そもそもヴィダール自体が極秘の機体ということもあり、開発等は辺境コロニーで行われ、結果をもとにヤマジンにより武装と阿頼耶識TypeEの調整が行われた。
武装はバインダーの位置が完成版と異なる試作型の「プロト・バーストサーベル」、ギャラルホルン開発部門の試験運用品を流用した「110ミリヴィダール用ライフル」。

ガンダム・端白星(はじろぼし)

スマホアプリ『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ ウルズハント』の主人公機。
金星のラドニッツァ・コロニーの動力部奥に隠されていたモビルスーツ。
コロニーが正体不明のモビルスーツに襲撃された際、ウィスタリオ・アファムが搭乗し、長き眠りから目覚めた。
武装は細身のショートメイスを始め、小型ライフルやシールドなど、全体的に小型化されている。
使われているフレームはガンダム・フレームだが、72機の内の一機かは不明。
機体には大規模な改修が行われた形跡があり、フレーム以外の武装は全て近代技術によるものが大半を占めている。
「ウルズハント」PVでは起動時の画面に映る紋章がソロモン72柱の悪魔の一体であるマルコシアスの紋章と似ているため、

ガンダム・端白星アレクトール

MSV企画に登場。
デムナーの祖父が生前に考案したフルアーマー装備「アレクトール」を端白星に装備した姿。
単機運用を念頭に置いた設計となっており、敵艦隊との正面衝突を想定した重装甲と重装備が施されている。
武装は機銃とワイヤーによる射出機構や刃が展開するギミックを有した近接メイン武装「スタッグワイヤーハンマー」、戦艦にも長距離で有効な精密射撃を行える400ミリ超大型ライフル「アレクトールグランドキャノン」。



阿頼耶識システム

その恐るべき利便性


宇宙作業機械――ひいては戦闘用MSの操縦用に開発された、人体結合型の有機デバイスシステム。
人体(脊髄)にナノマシンを注入・定着させ、空間認識を司る器官を疑似的に形成。同時に「ピアス」と呼ばれる外部コネクタを脊髄にインプラントする。
このコネクタを介してシステムの施術者=パイロットの神経と搭乗機を直結。パイロットは搭乗機からの情報を直接脳内で処理できるようになり、まさしく「人機一体」と化す。
要はサイバーパンク系作品でおなじみの「ジャック・イン」「思考操縦」である。

鉄血世界のMSは、基本的にあらかじめプリセットされたプログラミングによって機動を行う。
●「パイロットが(プログラムパターンを念頭に置いて)スティックやペダル等で操作入力」→「MSが現時点で最適なプログラムパターンを選定」→「機動実行」
……という形になるため、動きが大ざっぱになったり、対応がコンマ数秒遅れてしまうなど、柔軟性に欠ける部分がどうしても出てくるのだ。

これが阿頼耶識システムを介すると
●「パイロットが思考で操作入力」→「機動実行」
……と、行程の圧倒的なスリム化と、機動の高精度化を簡単に両立できる。
行動パターン特有のアルゴリズムも生まれず、変に人間臭い奇怪な動き方をするようになるため、
プログラム前提の一般的な操縦法では対応が難しくなるという思わぬ利点も生んでいる。

もう1つの利点として、操縦訓練が大幅に簡略化できる。複雑なデータはいちいち目で読んで意味を覚えなくても、全て脳内に「解る形で」叩き込んでくれる。
機体そのものを自分の肉体の様に扱えるため、細かい微調整も楽々。
冗談でも何でもなく、最低限度の識字しか出来ない程の無学な人間や、小さい子供でも中堅以上のパイロットになれる。なれてしまうのである。
このため、MSを擁する民兵団や海賊組織では、安く雇った貧民少年兵や、それ以下の値段で買い付けたヒューマン・デブリに無理やり阿頼耶識システムを施術し、
即席で機動兵器のパイロットに仕立て上げる例が後を絶たない。
雇われる方も殆ど修学経験や身寄りがないためまともな働き口がなく、己の生存の為に危険性の高い条件すら飲まざるを得ないのが実状である。

なお、施術は複数回にわたって行え、その分情報交換量も向上させる事が可能で作中での三日月・オーガスの3回が最高。
三本のピアスで厄祭戦当時の阿頼耶識システムと同じ性能になるとされている。
ただし2回施術をしている者も昭弘・アルトランドしかおらず、鉄華団の他のメンバーは一本しか付けていないので2回以上の施術自体もハイリスクである可能性が非常に高い。

また作中を見れば分かるが実はガンダム・フレームや他のフレームでも完全な思考のみの操縦はしておらず、基本的にはペダルやスティック、モニターと言った
通常の操縦機器をある程度は併用する仕様だった。完全に思考のみで機体を管制し操縦した描写は実は後述の「グレイズ・アイン」しか無かったりする。

代償


メリットとデメリットがセットであるように、阿頼耶識システムもいくつかの無視できない欠点を抱えている。

1つ目は「年齢制限」
ナノマシンは成長期の子供(作中第二期のハッシュの描写によると17歳辺りで不可能になる模様)でないと定着しないため、大人には施術不可という、割と重大な欠陥がある。

2つ目は「施術難度」
ちゃんとした医療施設で行う分にはまだマシなのだが、前述したならず者紛いの武装勢力間では、脊髄に注射針を直接ぶっ挿す(大抵は麻酔無し)乱暴な施術方法が当たり前の様に行われている。
CGSでは、10人が受ければ4人が死ぬか、植物状態になるか、半身不随の障碍を負うレベルだったらしい*5

3つ目は「神経への負担」
機体からの情報フィードバックは脳にかなりの負担をかける。
モビルワーカー艦艇(操船限定)など、比較的シンプルなものでも「非人道的」と非難されるレベルの負荷がかかる。
これが人体に限りなく近いMS級になると、フィードバック量も半端ではない。
ガンダム・バルバトスに初搭乗した三日月は鼻血を吹き出して臨死体験を味わい、戦闘後は疲労のあまりコクピット内で気絶した。
阿頼耶識の施術を三度受けた三日月ですらここまで高い負荷がかかっている。
あまりに機体との接続リンクを深めた場合、阿頼耶識非接続時に失明や四肢の運動機能を喪失するなど、肉体機能に影響が出るケースもある。

4つ目は「インプラント故の不便」(これは劇中で明確な描写がないので、推測の域に入るが)。
背中の脊髄から飛び出たプラグ状の「ピアス」は日常生活で邪魔になる。施術者達は基本的に横向きかうつ伏せの状態でしか眠ることが出来ない。
(ただし一期終盤の鉄華団の負傷兵が治療を受けるシーンでは普通に仰向けに寝ている描写があった。)
何かに引っ掛かって捥げたり、砂や水が入ったらどうなるのか、いろいろと不安な妄想が出来る。
悲しいことに、最低限の認識票(ドッグタグ)すらもらえない少年兵たちにとって、このピアスが唯一の遺品となることもあるようだ。

これらの欠点によって、厄祭戦後、阿頼耶識システムは「非人道的」と散々に叩かれ、地球の人々の嫌悪の対象になっていく。
再生医療が発達した地球では義手義足やインプラント等の人工物埋め込み系医療技術を忌む風潮が芽生え、阿頼耶識もその仲間に数えられたのである。
阿頼耶識の施術者は「ヒゲ付きの宇宙ネズミ」と蔑まれる存在となり、現在では公的に使用が禁止され、ほとんど非合法な組織でしかその姿を見ることはない。
ただし物語終盤「すべての人類(ヒューマンデブリのような人権が与えられていない存在さえ)体内にナノマシンを埋め込まれ個別認証がされている」という大本をひっくり返すような設定が出てきた。


因みに、本編中で女性の阿頼耶識使用者は登場していない。
安い値段とはいえ、せっかく買った少年兵やヒューマン・デブリを4割の確率で使えなくなるリスクもあるし、
そもそも債権者が女で金稼ぎをさせるなら別の意味で体を使わせた方がずっとローリスクで効率がよいのだろう。これもこれで倫理もへったくれもない話だが。
メタ的に言ってしまえば、阿頼耶識使用者はコネクター接続時に上半身の服を脱ぐ(宇宙服を必要としない地上での運用時)事も有るため、
放送時間と放送倫理規定的にR指定に引っかかる描写を避けているのかもしれない。


真実



由来


詳しくはWikipediaを参照して頂きたい。
唯識思想により立てられた心の深層部分の名称であり、大乗仏教を支える根本思想である。
眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識・末那識・阿頼耶識の8つの識のうち第8番目で、人間存在の根本にある識であると考えられている。











追記・修正は阿頼耶識システムからのアクセスでお願いいたします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガンダム
  • 鉄血のオルフェンズ
  • ガンダム・フレーム
  • ガンダム・バルバトス
  • ガンダム・グシオン
  • ガンダム・キマリス
  • ガンダム・アスタロト
  • ガンダム・ヴィダール
  • ガンダム・フラウロス
  • ガンダム・バエル
  • 阿頼耶識システム
  • 悪魔
  • ソロモン72柱
  • 神経接続
  • 主人公機
  • ライバル機
  • 鷲尾直広
  • 刑部一平
  • 海老川兼武
  • 篠原保
  • 天使を狩る者
  • 厄祭戦
  • 鉄華団
  • ギャラルホルン
  • ブルワーズ
  • ウォーレン家
  • タントテンポ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月09日 10:52

*1 アスタロト:γナノラミネートソード、マルコシアス:背部と腰部のバインダー、グレモリー:ナノラミネートコート、フラウロス:ダインスレイブ対応長砲身レールキャノン、キマリス:大推力とマルチスロットアクセラレーター、ダンタリオン:各種追加装備との合体機能

*2 同じくバクラザン家もモブに近い扱いではあったが、バエル宮殿の格納庫が空ということで考察の的になっている。

*3 厄祭戦期に航行する船が物資や燃料を補給する中継基地で、戦後はロストテクノロジー化しているフルオートの自動防衛システムが搭載されている。

*4 鉄血世界で決闘を申し込む証としてMSにマント・布を装着するのは1期3話のクランクや23話のカルタがやっている

*5 ちなみに、CGSでは失敗した「産廃」はそのまま病院に放り込んで放置するなり、元居たスラム街に送り返すなりしていた。当然ながらそうなった浮浪児の未来はほぼ絶望的と言える