大合作(月刊アフタヌーン)

登録日:2016/11/16 (Wed) 23:16:00
更新日:2020/04/30 Thu 22:30:04
所要時間:約 14 分で読めます




『大合作』とは、1997年に発表されたやる側からしてみれば悪夢のようなアフタヌーン創刊10周年記念企画である。

当時アフタヌーン誌上で連載していた作家陣が一堂に介して一つの漫画を書き上げるというもの。
絵柄も作風も何もかも違う作品同士を1ヶ所にぶち込んだ結果、闇鍋のようなカオス極まりない内容になっている。
その結果シリアスな作品のキャラさえも程度の差はあれ皆ギャグキャラと化してしまっている。原作の方では間違ってもギャグなんか絶対にやらないキャラですら例外ではない。
ハジケまくった『寄生獣』や『地雷震』のキャラが見られるのは本作だけ!

製作総指揮・構成はトニーたけざき 、スーパーバイザーはあさりよしとおが担当している。
この構成業務というのが相当に難儀だったらしく、トニーは自身のホームページに掲載した製作裏話で「俺はもう、かなりテンパってたんだよ、マジで」「胃ィにかなりきた」と書いている。
というのもこれ、要は都内や地方に在住している各作家に少しずつ原稿を書いてもらっていき、連絡ミス等が発生した場合はトニーが他作家の原稿を手直ししなければならなかったのだ。
場合によっては大先輩の原稿に修正を入れなければならず、トニーはこれまたホームページで「いま考えると、恐れ多いコトを...と思います」と当時の心境を吐露している。

読者からは好評だったらしく、わずか4年後に『大合作2』が制作された。こちらも本項で合わせて紹介する。
こちらでは構成が園田健一に変更になっている。トニーはよっぽどやりたくなかったらしい。
前回と比べてCG処理を多用したことで各作家の負担は減ったとのことだが、結局これ以降『大合作3』が制作されることはなかった。
もし恒例企画と化していたなら、『蟲師』や『おおきく振りかぶって』のキャラ達も暴走に巻き込まれていたかもしれない……。それはそれで見てみたいけど。

本作最大の見所は、参加した作家陣が描いた水着姿のベルダンディーを見開きに掲載し、どの作家がどのベルダンディーを描いたか当てるというクイズ企画。
己の画風を隠す気のない者、オリジナルである藤島康介の絵に似せてくる者、普段とは全く違うタッチでかく乱してくる者と様々。
参加した作家陣の中でも、「あれは誰が描いたのか」と情報交換が行われたとのこと。
『大合作2』にもやはり見開きクイズページがあり、そちらのテーマはスクルド。
吸血姫美夕』の垣野内成美や『聖闘士星矢 エピソードG』の岡田芽武らが描く『ああっ女神さまっ』のキャラが見られるのは本作だけ!

ちなみに当時本誌で連載中だった作家だけでなく、友情出演のような形で士郎正宗も参加している。


【あらすじ(大合作)】


ゴールデンタイムにて各局は様々な番組を放送していた。
マラソン大会にクイズ王決定戦、通販番組にサスペンスドラマ、そして水泳大会。
ザッピングして様々な番組を見ていくが、かなり早いペースでチャンネルを変えてしまうせいで話がよく分からなくなっていき……。

【あらすじ(大合作2)】


加農病院――ぱっと見ただの総合病院だが、実際には暴利をむさぼる悪徳医師の巣窟だった。しかも院長に至っては世界征服を目論むガチの悪党である。
敵対する秘密結社、警視庁のテロ対策部隊、入院患者や医師、看護婦……様々な人々の思惑が交差し、事態は収拾不能な状況へと向かって転がっていく。
なお、加農病院に勤務している看護婦の中には明らかに子どももいるが悪の組織なので児童福祉法とかは気にしてはいけない。

【主な登場人物】

  • パパ
『ワッハマン』の登場人物。主人公ワッハマンと敵対する悪役。
『大合作』のストーリーは、彼がテレビのザッピングをしているという体で進行する。

  • 岸和田博士
『岸和田博士の科学的愛情』の主人公。マッドな天才科学者。
『大合作』のサスペンスドラマパートは、彼の下に殺人事件の捜査を依頼する電話がかかってくるところから物語が始まる。
原作では自己中心的かつ自己主張の激しいキャラだったが、本作では流石に控え目になっている。
マラソン大会パートでは見開きで高笑いしながらセンターを走るという自己主張満々の登場をしているが、ちょうど谷間の部分のためほとんど見えていない。
『大合作2』でもちょっとだけ登場する。

『ああっ女神さまっ』のヒロイン。三女神の次女。
『大合作』では殺人事件の捜査のために岸和田博士を呼び出した。
当の岸和田博士は名前のイメージから女装して体に鈴(=ベル)をつけた変態伊達男(=ダンディー)を連想してしまい、物味遊山で現場に駆けつけたところ本物を目の当たりにして勝手にガッカリしていた。
マラソン大会では主人公の螢一とイチャつきながら走っていた。爆ぜろ。
水泳大会では前述の通り増えた。
『大合作2』では加農病院の看護婦としてナース服姿を披露している。後輩看護婦に慕われる人格者だが出番は非常に少ない。

  • 定吉
『スカタン野郎』の主人公。
バラバラ殺人事件の被害者。
しかし原作を読んでいる人ならご存知の通り、こいつの正体は生きた人体模型なので死んではいない。
そのため岸和田博士からは「これで殺人事件の方は解決」と言われてしまう。
ちなみに体のパーツはその後恐竜に食われた。

  • 佐藤一郎
『そんな奴ァいねぇ!!』の登場人物。医学、薬学の知識に精通した高校生。
『大合作』では事件現場で原作同様に専門的な知識を披露している。テーマは「時間経過による肉の旨み成分増加について」
『大合作2』では警視庁テロ対策部隊の一員として加農病院にヘリで突入する。こちらでの語りのテーマは「役不足の意味について」。

  • 星之スミレ
『菫画報』の主人公。新聞部に所属する女子高生。
定吉のバラバラになった体を観光地の顔ハメ看板に見立てて記念撮影するという不謹慎なことをやらかす。

  • 飯田響也
『地雷震』の主人公。新宿署の刑事。
原作でのハードボイルドぶりはどこへやら、『プギ・ポンマリ』と『スズキ』のキャラを相棒に迷走しまくるダメ刑事と化す。
殺人刑事としての矜持からか、マラソン大会の時でも銃は手放さない。

  • ワッハマン
『ワッハマン』の主人公。古代アトランティス文明の勇者。悪食。
遺体の第一発見者だが、当の遺体を一心不乱に食っていた。

『寄生獣』の主人公。平凡な高校生。
バラバラ殺人事件の容疑者として連れてこられる。
その後、出現した恐竜をなんとかするようミギーに頼み込むが……。
ちなみに本作が掲載された時点でとっくに『寄生獣』の連載は終了しているため、キャラ崩壊の被害はそう被ってない……はず。

無限の住人』の主人公。隻眼の侍。
『大合作』では殺人事件の現場に居合わせたため犯人扱いされるかと思いきや、怪し過ぎて逆に犯人じゃないという理屈から無罪となった。
その代わり、彼を除く全ての人間が逮捕されるという事態になってしまったが。
恐竜出現後はその剣技を存分に振るい、大型恐竜をバラバラにする活躍を見せた。
一方、通販番組では人斬り包丁セットの実演販売をしていた。
『大合作2』では加農病院の外科医として登場。患者の体をあちこち斬り開くのが好きという危ない役どころだった。

  • ダンナ
『よしえサン』の登場人物。漫画家。
一番怪しくない奴が犯人という理屈から、響也にバラバラ殺人の犯人として逮捕される。
その際、息子のタクミくんからも犯人として訴えられた。

  • 初瀬野アルファ
『ヨコハマ買い出し紀行』の主人公。女性型ロボット。
『大合作』では彼女もまた響也にバラバラ殺人の犯人として逮捕されてしまった。
『大合作2』では加農病院の看護婦として登場。白昼堂々セクハラされる。

勇午』の主人公。敏腕ネゴシエーター。
『大合作』ではクイズ王決定戦の出場者。出題者の意図に気付かず、卑猥な答えの問題に淡々と解答していく。
『大合作2』には直接の登場はないが、彼と思しき人物がタイでバラバラになって死んだ後、加農病院のクローン技術で蘇ったとされている。
こいつが死ぬってどんなレベルの拷問だったんだ……。

  • アペプ・ハイデマン
『セラフィック・フェザー』の登場人物。ヒロインの義兄。イケメン。
やはりクイズ王決定戦に出場し、卑猥な解答をして自身のイメージ崩壊に頭を抱えてしまう。
ちなみにこの人、曲がりなりにも連載初期はラスボスポジションだったキャラです。

  • ラリー・ビンセント
『ガンスミスキャッツ』の主人公。賞金稼ぎを生業とする褐色美女。
運び屋のビーンと共に通販番組で怪しげなカーワックスの実演販売を行う。
サスペンスドラマでは他作品の巨乳キャラと共に乳を揺らしまくったことで共振現象を引き起こし、ブルーホールから無数の恐竜を召喚してしまった。
恐竜出現後は「銃は人を殺さないのよおォォ」と叫びながら涙目で発砲しまくっていた。人間相手に。
ちなみに撃たれた相手はギャグ補正で死ななかった。

  • アティム・マザク
『セラフィック・フェザー』の登場人物。「紅の守護天使」の異名を持つ査察官。
『大合作』では響也の横暴を糾弾しつつ乳を揺らしまくっていた。あとタコに絡まれてエロそうに喘いでいた。
『大合作2』では加農病院に勤める遣り手の女医として登場。クローニング・ルームのずさんな管理体制にキレて院長室へ抗議に向かう。
ちなみにヒロインのケイはマラソン大会に参加したり加農病院で看護婦として働いているのだが、主人公のスナオは『大合作』、『大合作2』のどちらでも姿を見かけない。主人公ェ……。

  • さゆりちゃん
『カームブレイカー』の主人公。女性型の戦闘用ロボット。
乳を(ry
恐竜との戦いでは「ケンカしちゃダメー!!」と言いながらプラズマキャノンをぶっ放していた。

  • オメガ/飛刃史郎
あの井上敏樹原作、雨宮慶太キャラデザという漫画『Ω』で主役を務める変身ヒーロー。
変身に失敗し、変身後の姿に名前を書いた白ブリーフを履いているという非常に情けない格好で殺人事件の現場に駆けつけた。
基本的に「オメガー!!」と叫ぶ以外のことはしない。
マラソン大会やクイズ王決定戦にも登場。全ての番組において、やけにおいしいポジションにいる。

  • キャメロット教授
『ブルー・ワールド』の登場人物。ブルーホールを通ってジュラ紀に迷い込んだ地球物理学の教授。
「キャメゴロウの恐竜王国」というどこかで聞いたようなタイトルの番組MCを務めていたが、恐竜に2コマで即捕食されてしまう。
ちなみに作者は『宗像教授伝奇考』などで知られるベテランの星野之宣で、「若い人たちのお祭りに、長屋のご隠居が参加したような気分です」とコメントしている。

  • スクルド
『ああっ女神さまっ』の登場人物。ベルダンディーの妹。
『大合作』での出番はほとんど無いに等しいが、『大合作2』ではベルダンディーと共に加農病院で看護婦として一生懸命働いている。
が、お手伝いロボのばんぺいくんを手打ちにされたり、勝手に自分のクローンを大量生産されたりと酷い目にばかり遭っている。

  • ミギー
『寄生獣』におけるもう一人の主人公。新一の右腕に寄生した生物。
新一に乞われて恐竜と戦うべく数メートルの大きさに肥大化した。
必殺技は「シンイチパンチ」「シンイチキック」「シンイチチョップ」「シンイチ飛びヒザげり」「シンイチビーム」「シンイチハリケーン」。
技の概要は……お察しください。

  • 五十嵐那智
『Compiler』の登場人物。主人公コンパイラのパートナー。
収拾がつかなくなって混乱する弟の淑に対し「わけのわからなさには慣れっこよ!!」と言い放ち、その場で朝メシを食い始めた後、大量にリバースする。
ぶっちゃけ主役のコンパイラよりも目立っており、作者の麻宮騎亜もトニーの采配に対し「なぜ?」と疑問を露わにしている。

  • ナイチンゲール(仮称)
『午後3時の魔法』の主人公。悩みを抱えた人の心を癒やす謎の存在。
死んだ恐竜を魔法で蘇生させてしまい、万次に怒鳴られる。

  • 反町徹也
『反町くんには彼女がいない』の主人公。イケメンだが今一つ目立たない高校生。
目から反町光線を発射して恐竜と戦う。
……原作は普通の学園コメディです。

  • 斗器始
『やす子の太陽』の登場人物。主人公やす子の父親。変人。
サスペンスドラマパートのオチ。

  • 小原愼司
上記『菫画報』の作者。
『大合作2』に本人として出演する。
これは当時連載していた『女神調書』がルポ漫画だったため。
盲腸炎で入院したのに誤って開頭手術を受けたうえ、「実は頭も悪かった」と言い含められ納得してしまう。

  • 加農砲介
『砲神エグザクソン』の登場人物。主人公砲一の祖父。
加農病院を運営し、違法行為を公然と行っては荒稼ぎしている。
と言うか、手段が変わっただけで世界征服を目指している点は原作通り。
「病人は生かさず殺さず薬づけ」がモットー。

  • 桜玉吉
『なぁゲームをやろうじゃないか!!』の主人公にして作者本人。
加農病院の個室に入院しており、検温に来たアルファやパートナーのM上に白昼堂々セクハラを仕掛ける。
ちなみに彼の病室に入ると、原作の作風に合わせて会話内容がフキダシを使わず直接背景に表示されるようになる。

  • 船長大和
『G組のG』の登場人物。主人公たちが所属するクラスの担任。
集団食中毒で生徒たちと共に加農病院へ搬送されるが、テロ事件が発生したせいで最終的にウンコをもらす。

  • 山県掠
『風林火嶄』第2部主人公。炎を操る暴走族総長。
加農病院の救急隊員。ジオン軍のびっくりどっきりメカそっくりな救急車でチキンランレースを行い、大破させてしまう。
結果、自らが急患として搬送される羽目になってしまった。

  • 首代半四郎
『新 首代引受人』の主人公。『大合作2』の世界観において最も浮いた人物。
原作は劇画時代劇であり、衣装を変えることなく編笠に着物姿の侍として普通に病院内を歩いている。万次ですらちゃんと医師の格好をしているのに。
スクルドに付き従うばんぺいくんを妖怪と勘違いし成敗してしまった。
その後己の過ちに気付き、責任を取ろうとばんぺいくんのフリをしてスクルドの前に出て行ったが当然ながら拒否された。
作者の平田弘史は、本作に参加した作家陣の中で最年長の63歳(当時)。

  • ハトのヨメ
『ハトのおよめさん』の主人公。ハト。
ストレッチャーに連続で轢かれ瀕死の状態だったところを治療されるが、ウルドの作った薬だったため等身大に巨大化してしまう。
そのことでぶちギレ、院長をコロスと宣言。院長室まで乗り込んでハトビームを発射した。

  • 漆崎辰五郎
『ぽちょむきん』の登場人物。
秘密結社ゲルニッカーの首領で世界征服を目論むという、原作と全く同じ役どころ。
故に新興勢力である加農を快く思っておらず、叩き潰そうと画策している。
テロを起こしてその隙に乗じ病院へ潜入しようと目論むが、その前に加農側が自作自演のテロを市街地で起こしたため本物の急患として入院する羽目に。

  • 玉依シイナ
知る人ぞ知るハートフルボッコ作品『なるたる』の主人公。
加農病院の看護婦。原作では小学6年生だが普通に看護婦として働いている。出番も多い。

  • ソフィア・テオドレス
『EDEN ~It's an Endless World!~』の登場人物。少女の姿をしたサイボーグ。
加農病院の看護婦だが、病院内のサーバーが落ちそうな時は自身の首から上にコードを繋いで負荷を軽減している。
ゲルニッカーの山岸峯太郎を相手に情報戦を繰り広げるが、途中何度も入ってくる全然重要じゃないナースコールのせいでテンパってしまう。

  • 橘一
『夢使い』の登場人物。真性のロリコン。
よりによって加農病院の小児科医をしている。
おジャ魔女どれみの登場人物たちを溺愛しており、自身の欲望を満たすために病院のクローニング・ルームを不法占拠してスクルドのクローンを製造していた。

  • 柊八皇
『ニライカナイ ~遥かなる根の国~』の登場人物。八皇玉音四十八法を操る音使い。
加農病院の医師。
眼鏡の似合うクールなイケメンだが、他人に聞かれてはマズい症状見開きを使ってあたかも必殺技を放つかのような大声で宣告する癖がある。

  • 霧亥
BLAME!』の主人公。未来世界の探索者。
八皇の被害者。これには普段無口な彼も声を上げずにはいられなかった。重力子放射線射出装置をぶっ放すほどに。




追記・修正をまたやる!?
聞いた瞬間、4年前の悪夢がよみがえる。いやな色の汗がふきだす。
落ち着け!!今回はオレがやるわけじゃない。何度も自分に言いきかせるオレ。
よしよし大丈夫。
それはそれとして追記・修正、下手になってるなオレ。自分の建てた項目を見ながら編集。
何がなんだか。

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最終更新:2020年04月30日 22:30