ドライブサーガ 仮面ライダーチェイサー

登録日:2016/11/16 Wed 21:59:43
更新日:2024/03/24 Sun 20:27:16
所要時間:約 15 分で読めます








「チェイス、誰かがお前に感謝するのは珍しいことじゃない。」

「前は俺も感謝していた。今は、泊進ノ介達がお前に感謝しているはずだ。それだけでは不服か?」

「ハート…」

「お前は称賛の声がなければ戦えないほどやわな男だったのか…?」







概要


2016年4月20日にリリースされた『仮面ライダードライブ』のVシネマ作品、『ドライブサーガ』シリーズの第1弾。
チェイスを主人公に据え、端的ではあるがプロトドライブ時代の回想や仮面ライダーに復帰した後のハートブレンの関係性など、
テレビシリーズでは言及されなかったチェイスというキャラクターの掘り下げも行われている。

また、『仮面ライダーW』とのクロスオーバーとして風都署の照井竜および仮面ライダーアクセルとの共演が実現している。
これは本作までに警官ライダーの共演が実現していなかったことと、
三条陸が照井役の木ノ本嶺浩が『ドライブ』に出演したがっているという噂を耳にしたことがきっかけである。
が、三条氏がこの噂について撮影当日に木ノ本氏に確認したところ、否定された。
ただ木ノ本氏は出演のオファーが来た際には「ようやく来ましたか! 遅いです。」と語ったり、
当時の衣裳を着られるよう体重を落とし、万全の態勢で撮影に臨むなど出演自体にはかなり乗り気だった模様。

残念ながら実際に共演したのは泊進ノ介詩島剛のみで、
チェイスとの絡みはなかったが、2人が会話したらどうなるか分からないと木ノ本氏は語っていた。

当初は50分程度の収録時間を予定していたが、俳優陣の意向を盛り込んでいった結果、85分という映画に匹敵する長さとなった。
時系列としては、『サプライズ・フューチャー』と第41話の間に位置している他、『W』については『W RETURNS』や続編漫画『風都探偵』よりも後のストーリーだと思われる。



あらすじ


ロイミュード108=パラドックスロイミュードによる『永遠のグローバルフリーズ』を阻止してからしばらく経ったある日。
ロイミュード051による強盗事件が発生したという報告を受けたチェイスは現場に直行。
2度に渡って撃破した051と交戦するが、その際に居合わせた田宮日奈子という女性が怪我を負ってしまった。
責任を感じたチェイスは日奈子の怪我が治るまでの間、弟の洋の面倒を見ようとするが、人間らしい表情ができないチェイスを洋は不気味がってしまう。

そんな折、ロイミュード099ことエンジェルが彼の前に現れ、ロイミュードに感情をもたらすという回路「フェザーサーキット」を与えた。
これにより明るい好青年と化したチェイスはこの上ない幸福感に満たされ、洋と打ち解け友情を深めていた。

その頃、エンジェルは価値観の違いからハート達に反旗を翻そうとしていた…



登場人物


本作の主人公。
051との戦闘で日奈子が怪我を負ったことに責任を感じ弟の洋の面倒を見ようとするが、
元来の不器用さが原因で洋に不気味がられる、日奈子に笑われるなど散々な目に遭う。
そんな中エンジェルがもたらしたフェザーサーキットのおかげでいつもの無表情から一転し、明るい好青年となり人間らしい感情を手に入れた。
…普段よりもキャラが違い過ぎて、特状課の面々共々唖然とした人もいるのではないだろうか。
どっかのバナナと似ているような…(もっとも、あちらは容姿が瓜二つの別人だったが)。
しかしその裏にはある重大な問題が隠されていた…
容姿のモデルとなった狩野洸一は非番の日(?)に八百屋で買い物している所を後ろからコピーしていたことがチェイスの回想で描かれた。

ドライブ本編の主人公。
チェイスの突然の性格の変わりように、飲み物を剛に吹きかけてしまった。
051の事件を追う内に、ある刑事と遭遇するのだが…

  • 詩島霧子
チェイスの突然の性格の変わりように、飲み物を剛に(ry

進ノ介達と共に051の事件を追う。
今回進ノ介と霧子に飲み物をぶっかけられてしまう。ありがとうございます!
チェイスの変わりように一番ドン引きしたのは彼だろう。
先輩2号ライダーであり、進ノ介よりも階級が上の照井に対して厚かましく振る舞う。

  • ベルトさん
科学者「クリム・スタインベルト」の精神を宿した変身ベルト。
本作からダークドライブのドライブドライバーに意識を宿している。
プロトゼロを制作した関係上、チェイスが人間らしさを得るとは思っていなかったようで、性格の変わりように飲み物が吹き出てしまった。
そもそもどこから飲み物を摂取したんだ……
チェイスに何が起きたのかを探るべく調査を開始するが…

  • 沢神りんな
ベルトさんと皆既日食を楽しむ、行動不能となったベルトさんを回収するなど要所要所で活躍を見せる。

  • 追田現八郎
051のコピー元の三輪利雄を確保する。活躍は以上。
その分、次回作では大活躍が割り当てられているが。

  • 田宮日奈子
051による強盗事件に居合わせた女性。
チェイスに救われるも、051に左腕と左脚を撃たれて負傷してしまう。
チェイスのことは恩人として感謝しているが、チェイスが無理矢理笑顔を作った際には思わず笑ってしまった。

  • 田宮洋
日奈子の弟。趣味はバスケ。
極度の人見知りで、姉にしか心を開かない。
チェイスのことは最初は不気味がっていたが、交流を深める内に次第に心を開くようになるが…

俺に質問をするなでお馴染みの警視で、仮面ライダーVシネマの主役の先輩。だが上には上がいる
警視庁と風都市の管轄の境目で三輪利雄がガイアメモリを所持したまま死体で発見されたことで、
どっちが指揮を執るかで警視庁と揉めており、調査の邪魔になると判断したのか進ノ介と剛を追い払おうとする。
話聞く気ゼロ、やっぱこえーよなどと言われるほど、他人から質問される事を嫌う性格はあまり変わっていないようだ。
「ロイミュードより手強いぞ、こいつ」

それでも進ノ介が自身と同じく仮面ライダーの変身者だと知ると、仮面ライダーの流儀を語って進ノ介を勇気づけたり、
アクセルに変身してドライブやマッハと共闘したりもした。
今回なんと亜樹子との間に「春奈」という名前の子供が生まれていたことが判明。普段では見られない親バカぶりは必見。
なお、相変わらず彼女の事は「所長」と呼んでいる。



ロイミュード


直情的かつ派手好きな目立ちたがり屋の指揮官。
仲間思いな性格は相変わらずだが051の暴走やエンジェルの離反に遭うなど、仲間の人事に苦労している様子。
特にエンジェルとは価値観ややり方の違いから対立することとなるが…
再び敵対したとは言え、チェイスのことは今でも尊敬している模様。

愛すべきダメガネ。はんかちはもういらない!
愛について調べるメディックを、子供用の本を読みながら怪しいと睨む。
メディックのことはこの時でも気に食わないようで、何があっても彼女を助けないと豪語したが…
ハートのためとは言え一時はエンジェルの派閥に入ろうとするが、彼女の真の目的を知るとすぐに離脱する。
3人でいた頃を懐かしむなど、チェイスについて複雑な感情を抱いているようだ。

回復担当の紅一点。
超進化を遂げるために愛について調べたり、カラオケで熱唱したりと本編には関わらないが、
普段では見せないものスゲーかわいい一面を見ることができる。
本編でロイミュードの姿にならなかったのはエンジェルのスーツがメディックの改造であるため。

  • 051
2度に渡ってチェイスに撃破されたロイミュード。特殊改良を受けたロイミュードなどと同様に腕をキャノン砲に変化させることができる。
金に執着する性格は相変わらずで現金輸送車を襲撃したところをチェイスと対峙する。
ハートも苦言を呈すほどの暴れっぷりは変わっておらず、それどころか無関係の日奈子を襲うなど、
リセットをされても一向に改善されない無軌道さはかなり悪化していた。
行動を邪魔するチェイスには憎悪を向けており、幾度となく彼に再戦を挑むが…



本作オリジナルロイミュード


  • 077
バット型。051と同じく三輪利雄をコピーしていたロイミュード。
風都で入手したビーストのガイアメモリを使用するが、突然変異を起こして東京都と風都の境目で倒れた。
その後、意識を取り戻して警察官を襲いメモリを奪い返すと、それを使ってビースト・ドーパントへ変身して暴れ回る。
ドライブ、マッハ、そしてアクセルと戦い、最期はシグナルトマーレでの攻撃で動きを止められた隙に、
スピードロップとアクセルグランツァーの同時攻撃を受けて爆散した。アクセルグランツァー、CORE以来の同時攻撃である。

  • 099/エンジェル
妖艶な天使のような怪物と言った外見の上級ロイミュード。作中で登場した初の幹部クラスではない超進化態ロイミュードである。
「迷えるロイミュード達の味方」を自称し、自身が発明した人間と同じ心を持てるようになる羽根「フェザーサーキット」を用いて多くのロイミュードを勧誘。
素体は人間の精神を癒すことに人生をかけていた精神科医「羽佐間翔子」。死の間際だった彼女をコピーしたため、既にコピー元は死亡している。
ロイミュード達を自らが考える「究極の平和」をもたらすべく暗躍し、賛同したロイミュードを率いてハート達に反旗を翻した。
チェイスに対しても度々顔を合わせており、051を退けたり彼にフェザーサーキットとライノスーパーバイラルコアを与えたりもした。

戦闘面でも超進化態に恥じぬ実力を持ち、銀色の羽根を投擲武器として使用する他、念動力やエネルギーを集中させた強力なエネルギー矢を操る。
また天使の輪を思わせるリングにより、ロイミュードのコアを摘出する事も出来る。
スーツは見た目で分かるがメディックの改造である。

  • 超魔進チェイサー
チェイスがブレイクガンナーとライノスーパーバイラルコアで変身する魔進チェイサーの最強形態。
フェザーサーキットの影響で、仮面ライダーへの変身が不可能になってしまったために使用、通常形態同様銃撃戦と先端のブレードを活かした接近戦を得意とする。
051を反撃する隙を与えず一方的に撃破するなど超進化態に相当する圧倒的な戦闘力を得ており、チェイス自身「仮面ライダーより上かもしれない」と豪語した。



ネタバレ






「ふっふっふ、ふふふ… 悪魔?」

「ひどいわぁ、私は天使よ。」

「私がコピーした羽佐間翔子は何度も何度も考えていたわ。究極の平和というものを…」

「結論は一つ。全ての生物が心満たされ、活動を停止した世界。それが平和だわ…」

「そして私は感謝される… みんなを導いた天使として。」

「馬鹿な!それは死と同じだ!」

「そうそう!確かに天使って天国に誘導しますよね!」

「エンジェル、君は…」

「分からない人ばかりね!!!」

「仕方ない… 私が楽園に案内してあ・げ・る…」


当初は慈悲深い女性を思わせたエンジェルだったが、その本性はぶっちゃければ狂人
彼女の掲げる「究極の平和」も、実態は「ロイミュードをコアだけにした状態で吸収し、エンジェルの体内の中で、感情も停止した状態で永遠に夢に微睡み続ける」といったもので、彼女はその行為に微塵も罪悪感も疑問も抱いていない。
即ち彼女の行為は「ロイミュードに死を齎す行為」と言っても過言ではない。
そのため天使は天使でも、堕天使 という言葉が相応しい人物と言える。

ばら撒いていたフェザーサーキットについても、確かに人間と同じ感情を与えるが、
代償に使い続けると思考が停止していき、やがてエンジェルの言う事に何の疑問も持たない傀儡に成り果てる副作用が存在する超危険アイテム。
おまけに一度侵食が始まるとコアに食い込んで取れなくなる*1ばかりか、人間にも使える。実体は洗脳アイテムと考えてよろしい。
さらにこの回路に浸食された者は平和に逆らう行為、つまり戦うという行為が出来なくなるという効力も持っている。

そんな危険思想から、本性を知ったハートやベルトさんから一様に存在を拒絶された。
ちなみにこの思想は、コピー元であった羽佐間翔子が「人を癒す」ことを追い求めた末に辿り着いた結論である。人間って怖い……。

終盤、ブレンの策によって一旦はハート達に逃げられてしまうが、不意を突いてハートのコアを摘出・吸収する。
ハートのコアが奪われた事で決意を固めたチェイスは超魔進チェイサーに変身して彼女と戦うが、
洋に対しサーキットを用いたことで事実上人質に取られたこと、フェザーサーキットが身体に侵食し始めたことで、
完全に変身を封じられ、ついには超魔進チェイサーにも変身できなくなってしまう。
こうして精神的・肉体的に追い詰められたチェイスは、フェザーサーキットに取り込まれそうになるが…





「納得のいかない相手に支配されるのだけは、死んでもお断りです!」

「君は完璧な正義のマシンなんだ。」

「お前は称賛の声がなければ戦えないほどやわな男だったのか…?」


ブレン・クリム・ハートの言葉を思い出したチェイスは、ライノスーパーバイラルコアのブレードでコアや肉体の損傷も厭わず無理矢理サーキットを抉り取るという捨て身の策によりサーキットを捨てることに成功。そして…



「お前が求めているのは平和ではない。支配だ!

変身!

シグナルバイク!

(R)

ライダー!

Chaser!


「俺は生きとし生ける者、全ての自由の為に戦う戦士…」










「仮面ライダー、チェイサーだ!!」


フェザーサーキットを取り外したことで基本プログラムが回復し仮面ライダーに変身できるようになったチェイスは、
マッハドライバー炎とシグナルチェイサーを使って仮面ライダーチェイサーに変身する。

エンジェルはこのチェイスの自身の「平和」を投げ捨てるような行為を理解出来ず錯乱、更にチェイスに己の行いを「支配」と断言された事で「天使」とは程遠い悪鬼の様な形相で激昂した。
動揺を抑える事が出来ず錯乱しながら変身し、チェイスと戦闘になるが、動揺し切った精神状態ではロクに戦う事も出来ず翻弄され、
ロイミュードのコアを捕らえていた胸の中枢部にダメージを負ったことでコアを解放され、終いには洋も正気を取り戻してしまう。



「これはお前に返す。」

Super 

Execution……

Full break

Rhino!!


さらにライノスーパーバイラルコアをブレイクガンナーで撃ち出された後、続けざまにチェイサーエンドでトドメを刺され、絶叫しながら爆散。
チェイスに感情を与えていた事が逆に自分の破滅につながるという皮肉な最期であった。



「そんな… チェイス!あなたを救える天使は…」

「わたしだけだったのにぃ!!!!!!!!!!!!」




結末


エンジェルとチェイスの戦闘は蛮野天十郎とお供の004に目撃されており、
蛮野の言動からどうやら宿り木=ゴルドドライブの素体としてエンジェルのボディを狙っていたようだ。返り討ちにされなくて良かった。
またダークドライブ誕生の遠因となった悪性プログラムの件についても少しだけ触れている。

エンジェルとの戦闘に勝利したチェイスだったがフェザーサーキットを無理やり引き剥がした後遺症により、
日奈子と洋に出会ったこと、人間らしさを手に入れたこと、洋に一緒にバスケをしようと約束したことなど、一連の事件の記憶を全て失っていた。
洋を見届けたチェイスは進ノ介達と別れた後、砂浜に向かいライドチェイサーで一人走り去っていくのだった…





「そう、俺が人間に好かれる必要はないのだ。俺が人間を好きでさえいれば…」







「俺は追記し修正するものすべての自由のために編集するアニヲタ…」




「wiki籠もり、チェイサーだ!!」










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最終更新:2024年03月24日 20:27

*1 これによって基本プログラムが干渉されたおかげで、チェイスは仮面ライダー(チェイサー及びプロトドライブ)に変身できなくなってしまった