特車二課(機動警察パトレイバー)

登録日:2016/11/13 Sun 22:09:49
更新日:2024/02/15 Thu 21:39:19
所要時間:約 25 分で読めます





特車二課とは、『機動警察パトレイバー』に登場する主人公たちが所属する組織。

レイバー産業の発展とともに急増したレイバー犯罪に対抗するために、警視庁内に新たに創設された特機部隊。
未来の象徴たるレイバーを専門とした最新鋭の部署であり、未知の犯罪に立ち向かうため、最新鋭の装備や人材が宛がわれている
警視庁でも新進気鋭の特殊部隊である。


……と、書けば聞こえはいいが、実際のところは本庁からは金食い虫と揶揄され、出動しても周辺被害を出せば世間から叩かれ
よくわからない事件が起きれば「よくわからない事件はよくわからないレイバー犯罪相手にしているあそこでいいや」「金かけてんだから働け」理論で
押し付けられた挙句駆り出されるという、何とも世知辛い部署。

職場である二課棟も、本庁から遠く離れた陸の孤島同然の埋立地に存在しており、「島流し」「ここより場末の部署はないと思う」と言われる始末。
人員もまともじゃない警察官が多く(特に主役となる第二小隊)、警察組織の中では極めて異質な、というか変な部隊となっている。

ある刑事曰く
「警官というよりも、『正義の味方』ってところだな」
ストーリーでは主人公たちが所属する第二小隊の活躍が主に描かれている。


正式名称は「警視庁警備部特科車両二課」


現在、特車二課は三代登場しており、最後の時代となっている『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』 では、
「栄光の初代」「無個性の二代目」「無能の三代目」と呼ばれている。






■初代


初代OVA(通称・アーリーデイズ)、劇場版1、TVアニメ版とその続きの新OVA版、漫画版に登場。
特車二課のイメージといえば大体コレ。
増加するレイバー犯罪に対抗するために作られた新設部隊。


初期OVA版・漫画版・TVアニメ版で設定に差異はあるが、南雲隊長率いる第一小隊だけではレイバー犯罪に対処しきれず
後藤隊長率いる第二小隊が発足し新型パトレイバー「AV-98 イングラム」と新隊員がやってくる所から物語が始まる所は一致している。

真面目でそれなりにエリートの第一小隊と対照的に、ストーリーの中心となる第二小隊は急きょ増設された小隊で、
正規の警察教育を受けていない新人や問題警官で構成されており、よく言えば個性的・悪く言えば問題児の集団となっている。


出動すればまず周辺被害をもたらすため、第二小隊の世間からの評判は最悪であり、「第二小隊が通ったあとにはぺんぺん草も生えない」だの言われたり
第二小隊が来たというだけで救助対象が絶望に落ちるなど、散々な評価となっている。

本庁からの評価もあまり高くなく、出世の王道たる警備部内の部署であるにもかかわらずここに来たら出世は諦めるとも言われている。
更に最新鋭の機械を多数導入していることから、機材の装備運用に莫大な金がかかってる上、そのくせ上記の周辺被害の問題から
その保証やら補填やらでさらに札束がすっ飛んでいくため「金食い虫」と影口を叩かれている。


少しでもお金をかけた分働いてもらうためか、レイバー犯罪以外の事件への出動要請も二課に回されてきており、若干警察組織内で何でも屋と化している節がある。
そのため変な事件や正体不明の事件を扱うことも多い。
レイバー鎮圧から警備・救助・広報・来賓招待はもちろんのこと、UMAの山狩りや暴走した自衛隊機の確保、東京湾に迷い込んだクジラの保護に、公安のおとり捜査。
しょぼい仕事では、事故ったトラックから逃げ出した牛をレイバーで捕まえたり、混雑した駐車場の整理をしたり(レイバーによる人力?運搬で)。
果ては怪獣騒ぎや実際に怪獣と戦う事件まで取り扱っている。

それらの多種多様な事件に立ち向かっていった結果、いつしか特車二課は超法規的活動を行う部署として内外に知れ渡っており
第二小隊を纏める隊長の後藤喜一と合わせて各所で有名になっている。
(おそらく有名になった一番のきっかけは、劇場版1における方舟事件)


◆職場としての初代特車二課

悲惨の一言

都市部から遠く離れた東京の埋立地にぽつんと存在しており、その姿はまさに陸の孤島
周囲には本当に何もなく、セイタカアワダチソウが建物の周りに生い茂る様は、この世の果てを想像させる。
また地下には埋め立て工事に使われた地下道が網の目のように存在しており、誰も把握していない侵入口があるなど保安体制にも不安が残る職場となっている。


首都圏にレイバーが集中しているとはいえ、たった2個小隊で日本国内全域のレイバー犯罪に対処している状態であるため、
その任務は多忙を極めており、宿直任務は日常茶飯事で、この陸の孤島に限りなく職住一致を強いられている
にもかかわらず、予算のほとんどは装備運用や補償に消し飛んでいるため居住環境は著しく低く、たびたび居住環境改善要求を上申しているものの
特に改善される様子はなく、一切無視されている状況が続いている。

その中でも食生活は特に酷く、
  • 食堂が存在しない
  • 埋立地という僻地から周囲にコンビニは一軒もなく、一番近いコンビニでも時間がかかる。
  • 出前をしているのは中華食堂・上海亭一軒のみ。しかも夜は野犬が出ることから、昼間しか出前を取ってくれない。
と、悲惨を通り越して何もしないと飢え死にするという、どこの貧困国だと言わんばかりの生活となっている。


その為二課では埋立地での自給自足に取り組んでおり、鶏小屋で鶏を飼うことで貴重なタンパク源である卵を手に入れ、
トマト畑で野菜成分を補給し、海でハゼを釣って干物にするなど、食生活の改善を試みている。
手の空いた隊員や整備員は総出で鶏やトマト畑の世話やハゼ釣りにいそしんでおり、その光景はおよそ警察官とはかけ離れたものとなっている。
ここらへんも「警官というよりも、『正義の味方』」と呼ばれる理由の一つ。

またハゼ釣りに関しては、保存のために作ったハゼの干物に強い習慣性があったことから、その味や干物づくりそのものにハマる人員が続出しており、
整備班の所有する高速艇で東京湾で漁に出るなど、もはやわけのわからない状況と化している。

+ 特車二課の秘密!
ミニパトにて、実は本庁からの予算では二課の運用費を賄いきれておらず、それを解消するために後藤隊長の策略で
予算不足解消の為にこの麻薬同然のハゼの干物の通販事業を秘密裏に展開して、独自の財源を確保していたことが明かされている。
無論、漁は漁業権侵害、並びに通販は公務員服務規定違反犯罪
が、背に腹は代えられないことからこの怪しい副業は続けられ、二課内では公然の秘密だったもののその事実は外部に出ることはなく
特車二課の闇として葬られることとなった。


この特異な職場環境は二課に数々の騒動を巻き起こしており、周囲を分断されて敵組織に攻め込まれたりするのはまだマトモなほうで
地下通路に潜伏していた泥棒に侵入されたり、酷い時には何もない場所で被害が出ても特に問題ないからと、怪獣と戦う場所に設定されたことなどもある。
(自分達の職場におびき出して怪獣と戦うのは、二課からの発案であったが)

特に食事関連は死活問題に直結しており、食事が原因で壊滅したことが一回。
壊滅まではいかないまでも、兵糧攻めに合い再び壊滅しかけたことがもう一回あった。
このため貴重な食料源を確実に確保するために、冗談でも何でもなくイングラムで上海亭の出前護衛のために出動したことがある。



◆整備班

特車二課を支える男たち。
複雑極まりないレイバーや装備の整備点検を一手に引き受けており、人員もべらぼうに多く二課員の大半を占めている。
パトレイバーの影の主役。

「整備の神様」と呼ばれる榊清太郎班長を筆頭に、お調子者だが「新進気鋭の天才」との呼び声もあるシバシゲオを若頭に据え
整備班としての高邁な理想に燃えつつ、混迷する現代をトレンドに生き抜かんとする若き人材たちが集結している。
仕事内容は整備はもちろんのこと、二課棟に文字通りの職住一致を強いられているため、居住環境の改善や食料の確保など多岐にわたっている。

その生活は榊班長の威厳と貫禄によってコントロールされており、若い人間の集団であるにもかかわらず高いレベルでの綱紀や風紀の安定が保たれている。
が、私生活やプライバシーがほとんど存在しない特車二課内で大半の時間を過ごすという特殊事情により、裏ではささやかな娯楽の追及が逐次行われており
隠れてエロ本やエロビデオを溜め込んだり、補助食物の生産や闇取引などが行われている。
一応言っておくが、整備員とはいえこいつらもれっきとした警察組織の人間である。

エロ本に関しては徐々にエスカレートしていった結果、最終的には100冊以上が宿直室に隠されており
これが榊整備班長の逆鱗に触れ、ガサ入れの結果、発見された全てが処分されるという『エロ本焚書事件』がその後に発生。
並びに、綱紀ある整備班の歴史に唯一の汚点を残すこととなった『火の七日間』と呼ばれる綱紀粛正の嵐が吹き荒れることとなった。



◆メンバー

詳しくは『機動警察パトレイバー』の記事参照。
・第二小隊
声:冨永み~な
イングラム一号機操縦士。

  • 篠原遊馬(しのはら あすま)
声:古川登志夫
イングラム一号機指揮担当。

  • 山崎ひろみ(やまざき ひろみ)
声:郷里大輔
イングラム一号機輸送車担当。

声:池水通洋
イングラム二号機操縦士。

  • 香貫花・クランシー(かぬか クランシー)
声:井上瑤
イングラム二号機指揮担当。

  • 熊耳武緒(くまがみ たけお)
声:横沢啓子(現・よこざわけい子)
イングラム二号機2代目指揮担当。
(漫画版では香貫花が隊員として登場しないため、最初から二号機指揮担当)

  • 進士幹泰(しんし みきやす)
声:二又一成
イングラム二号機輸送車担当。

声:大林隆介
特車二課第二小隊長。


・第一小隊
  • 南雲しのぶ(なぐも しのぶ)
声:榊原良子
特車二課第一小隊長。

  • 五味丘務(ごみおか つとむ)
声:大塚明夫
第一小隊一号機操縦士。

  • 結城(ゆうき)
声:小形満、中嶋聡彦
第一小隊二号機操縦士。

  • 石和(いさわ)
漫画版での一号機操縦士。
キャラ的にはほとんど五味岡の名前違い。実力面では作中でもトップクラス。

  • 古賀(こが)
漫画版での二号機操縦士。
メガネのサラリーマン風の男で結城とはかなり印象が異なる。


・整備班
  • 榊清太郎(さかき せいたろう)
声:阪脩

  • シバシゲオ
声:千葉繁

  • 整備員たち
声:いろいろ
余談になるが、アニメ版だと新人時代の子安明夫石田梁田立木などが声を当てており異様に豪華。



・その他
  • 福島隆浩(ふくしま たかひろ)
声:小川真司
特車二課課長。OVA版のみキャラが異なる。
いかにもな中間管理職で、第二小隊が何かやらかす度に後藤隊長を呼び出してお説教するのが主な仕事。
漫画版だと一人の警察官として事件に向き合う姿が結構ある。

  • 空谷みどり
声:石村知子
イングラム三号機指揮担当。
PSゲーム版に登場する主人公の相棒。警察学校からの同期で、主人公と同じくして第二小隊に配属された。
性格はおしとやかだが、やや天然気味。プロレスが趣味で、試合観戦で興奮すると近くの人間に無意識に技をかける癖がある。
主人公やテロリストなど、彼女のコブラツイストの被害者多数。

  • 主人公
イングラム三号機操縦士。
PSゲーム版の主人公。一切喋らず彼の視点でゲームは進むので、性格は不明。
どんな性格かはプレイヤーしだい。
ただ結構ノリはいいらしく、3話の秋葉原電流デスマッチの際に元プロレスラーが乗ったタイラントに
ヒール役のようなポーズを三号機で向けている姿が新聞に載っている。

実はかなりの不幸体質の持ち主で、
  • 初出撃でレイバーの自爆に巻き込まれる。
  • プロレスで興奮したみどりに技をかけられる。
  • その場面を野明に見られ、変なことをしようとしたんじゃないかと誤解される。
  • たった一機で軍用レイバー・ガネーシャやグリフォンと闘うはめになる。
  • ウィルスでOSが暴走したアルフォンスの相手をさせられ、結果大破させたせいで野明に追いまわされる。
と、作中散々な目に逢っている。



◆装備機体

リンク先参照

  • 97式改 パイソン
TV版第一小隊に配備された機体。
TV版では警察用に専用設計されたものとしては初のパトレイバー。
新型機であるイングラムと比べるとあらゆる点で劣っているが、まだまだ現役。

  • AV-0 ピースメーカー
TV版終盤でパイソンに代わり第一小隊に配備された新型パトレイバー。通称・ゼロ。
劇場版の零式・漫画版のAVR-0に近い外見をしている。
イングラム以上に金のかかった超高性能機で、人間の神経を模した「ニューロン・ネットワーク・システム」を搭載。
が、これが仇となってOVA版のグリフォンとの戦いでは敗北してしまった。

  • 95式
漫画版第一小隊当初の機体。
登場時点でかなりの旧式であり、ほぼ破壊されたシーンしかない。

  • 96式改
破壊された95式に代わり配備された機体。
外見や性能はあまり変わらず、マイナーチェンジ版といったところ。
それでもかなりの長い年月を戦い抜いている。

  • AVS-98Mk-II イングラム・スタンダード
漫画版第一小隊に新たに配備された新型イングラム。
イングラムの発展改良型で、性能面では本来のイングラムには劣らず、操縦面では扱いやすくなっていた。
石和が使えば初陣でもバドのグリフォンを圧倒できる。
TV版でも試作機として登場。
しかしこちらは正式採用されず、改良型に留まらずにさらに性能を引き上げたゼロが採用されることとなった。






■二代目


機動警察パトレイバー 2 the Movie』に登場。
突如特車二課を襲った人事異動の嵐により、初代隊員たちは別々の部署に異動になり、隊長二名と一部隊員を残して新人が加入することとなった。
警視庁上層部では実験部隊としての役目は終えつつあると判断されており、レイバー犯罪の地方拡散や増加を懸念して本格的な大部隊としての
運用構想が持ち上がっており、そのため現在の特車二課を解散させ新たな大隊組織に再編成する動きが始まっている。

通称、「無個性の二代目」
劇中新型パトレイバー・ヴァリアント共々活躍はこれっぽっちもなく、ほぼ人々の記憶からは消え去っている。
劇場版2の事件の首謀者である柘植行人の逮捕のための強襲も、後藤隊長の要請で集まった初代特車二課メンバーで行われることとなった。


◆メンバー

・第二小隊
  • 後藤喜一
相変わらず昼行灯の「カミソリ後藤」。
新人達に張り合いがなく、東京湾に釣糸を垂らす日々が続いている。
酒もタバコやらない人間ばかりなので、肩身が狭く孤立気味。

  • 山崎ひろみ
第二小隊唯一の居残り組。
あまり変わらず鶏やトマト畑の世話をしている。

  • 二代目第二小隊の方々
それなりのエリートだが、作中活躍もなければ名前も明らかにされない影の薄い人たち。
定時に帰ることが趣味のような連中で、その後のシゲにすら名前を忘れられている。

・第一小隊
  • 南雲しのぶ
再編成までの人事として課長代理(警部)に昇格。
課長会議や地方警察へのレイバー犯罪に関する講演会など、埋立地と本庁を行き来する多忙な日々を送っている。
「警視庁始まって以来の才媛」との声もあるにもかかわらずここまで出世が遅れていたのには理由があり、今回の事件で明らかになる。

・整備班
  • シバシゲオ
榊班長の引退により整備班長に昇格。
変わらない性格で整備班を率いている。


◆装備機体

  • AV-2 ヴァリアント
98式・ゼロに続く新型パトレイバー。通称二式。
あらゆる点で先代2機を凌ぐ高性能機だが、本編中では全体像が殆ど出てこない上に、まともに稼働する前に柘植の戦闘ヘリ部隊が開戦とともに二課棟を強襲され、待機していた全機体が瞬く間に機関砲でスクラップにされてしまった。
出渕氏が新規に描き起こしたのに完全な無駄遣いである。
無念。






■三代目


『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』に登場。
初代・二代目と続き、新たに再編成された三代目特車二課。
初代の時代から16年近く経過している。


バブル崩壊から続く長期の不況とバビロンプロジェクトの完了による需要の低下から、コストのかかるレイバー産業は斜陽を向かえており
それに伴いレイバー犯罪も激減。
レイバー犯罪が無いため特車二課もその存在意義を失いつつあり、レイバーの運用スキルを後世に継承するという名目で存続している

予算縮小のために第一小隊は解散。第二小隊も人員の補充はされておらず、機体はとっくに旧式となったイングラムが出戻りになり、
隊員たちはいつもの埋立地であるかどうかもわからない出動に備えて、暇を持て余す日々が続いている。


通称、「無能の三代目」
歴代の第二小隊の中でもぶっちぎりでダメ人間揃いであり、エリートであり二課の綱紀を担っていた第一小隊も解散・レイバー犯罪もめったに起きないため
士気・綱紀・風紀の乱れが著しく、ますますまともな警察組織から大きく外れたよくわからない変な組織と化している。
警察官として「致命的」「無能」の二つしかないため、隊長の後藤田も隊員の将来を本気で心配している始末。
しかし、何だかんだ言いつつやる時はやる部署である。

また初代からの特車二課の超法規的活動は今に至るまで良くも悪くも有名となっており、そのためか爆弾を設置されたり
公安に目をつけられて無理難題を押し付けられたりと、ある意味逃れられない「伝統」となっている。


いつ部隊解体になってもおかしくない状況であるが、不思議と解体されないのにはそれなりに訳があり、
幻のクーデター事件の際に、警察上層部が状況を悪化させたことで引き起こした自衛隊の治安出動とそれによる警察機構への信頼の失墜を、
初代特車二課メンバーが首謀者である柘植を逮捕したことで回復させたという、いわば大きすぎる借りがあること。
さらに特車二課には前隊長の二人が残した「発覚すると警視庁警備部がひっくり返る何か」が眠っており、
そのため本庁が迂闊に手を出せない状態になっているということが理由となっている。

特に後者に関しては三代目特車二課内部でも話題になっており、柘植逮捕に関わった初代特車二課メンバーが、全員警察から退職していることと併せて
クーデター事件後に全員退陣した旧警察上層部と何かしらの取引があったのではないかと噂されている。


◆職場としての三代目特車二課

さらに悲惨の一言

第一小隊が解散となったため、特車二課の24時間常時待機を第二小隊の六名で維持するという、とんでもない状態になっており
二班に分かれて即時待機の24時間勤務と準待機8時間勤務を交互に繰り返すという、ブラック企業も真っ青の勤務シフトとなっている。

しかも二日間で許される私物の16時間も睡眠時間と出勤時間で削られ、個人の自由となる時間は実質1時間のみ。
さらに準待機体勢でも、帰宅こそ許されるが緊急事態に供えて常に所在を明らかにしなければならず、
事件が起きたら速攻で呼び戻されるため、もはや私生活は無いに等しく、プライベートもクソもないという職場になっている。
人権ってなんだっけ?


生活の大半が待機任務と化しているため、二課内には隊員の私物や暇つぶしの道具が大量に持ち込まれており
ゲームや酒やモデルガン・ネットサーフィン用のパソコンや雑誌・競馬新聞・レンタルDVD・AK(本物)などが散乱している。
整備班内でもレトロアーケードゲームやバスケットゴールなどが装備されており、暇なときはこれで時間を潰している。
また何故か簡易プールや水着・水鉄砲・日傘やアウトドアチェアなども装備されており、二課棟に爆弾を仕掛けられたときは
これらを引っ張り出して二課全員で外で夏休みを満喫をしたこともある。
(犯人にペースを取られないための後藤田の作戦という理由はあったが)


食生活は予算が削られているため全く状況は変わっておらず、相変わらず二課内での自給自足やコンビニでの調達が生命線。
また上海亭が謎の中国人に乗っ取られ、注文しても言葉の違いですっとぼけて店主が楽できるメニューを勝手に作って運んでくるため
出前すらも好きなものが食べられないという、変わらないどころかさらに悲惨な状況となっている。

このあまりの食生活の悲惨さを嘆いてか、隔週の水曜日は二課総出での大規模なバーベキュー大会となっており、鉄板を持ち出して焼きそばやフランクフルトを焼き
寸胴鍋でスープを作り、上海亭を呼び出して子豚の丸焼きを作り貪り食うという一大イベントが開催されている。


現在の二課棟は、幻のクーデター事件の際に二課がヘルハウンドの攻撃に合い壊滅したことに伴い、埋め立ち地の別の場所に移転した別のもの。
周辺の状況はあまり変わっておらず、陸の孤島の呼び名からは脱却できてない。
地下に張り巡らされた地下道も健在であり、よせばいいのに金に目がくらんだ若い整備班が封印を解いたため、三度目の悲劇が訪れることとなった。


ちなみに、作中3回ほど爆発オチで跡形もなく吹っ飛んでいるが、次の回では何事もなかったかのように復活している
どういうことなの……。


◆整備班

相も変わらず、特車二課の装備を整備し続ける縁の下の力持ち。
が、時代の変化か整備員に女性が幾人か採用されており、若干華が咲いた。


整備そのものはしっかりとやっているが、部品が足りなくても稼働させるためにイングラムに違法改造を施したり、勝手にリボルバーカノン用の榴弾を
お手製で作るなど(言うまでもなく銃刀法違反)、ノリそのものは変わらないが、ちょっとブレーキの外れた集団となっている。
まぁ、まともにメーカーからサポートが受けられない機体を運用しているので、多少無理を通さないと装備を維持できないという事情もあるのだが。

時間が空いたときは、草刈や鶏・畑の世話等のほかに、レクリエーションで空手の稽古やマスゲームの訓練などをしている模様。
また前整備班長である榊さんの写真が神棚に飾られており、御神体となっている。


◆メンバー

・第二小隊
  • 泉野 明(いずみの あきら)
演:真野恵里菜
一班・イングラム一号機操縦士。
明るい三代目特車二課のマスコット的存在。シゲからは「お譲ちゃん」と呼ばれている。
ゲームが趣味で、非番の時はゲームセンターに通い詰めており、待機任務中は私物のPSPやバスケットボールなどで時間を潰している。
操縦士としての腕は良く、いざという時はゲームで鍛えた高い集中力を発揮する。

ちなみに実写版のプロトタイプとも言える小説『番狂わせ 警視庁警備部特殊車輛二課』にも同名の男性が登場している。


  • 塩原 佑馬(しおばら ゆうま)
演:福士誠治
一班・イングラム一号機指揮担当。
ちゃらんぽらんなミリオタの青年。口数が多くオタク気質で、能力は高くないがよく喋る。
口が達者なので、隊員たちの中でなし崩し的にリーダーのような立ち位置に収まっている。
ミリオタとしての知識はそれなりにあるため、その手の情報が必要なときに後藤田に便利屋扱いされることもしばしば。
軟派だが爆弾を積んだトラックを海に落とすために乗り込んだり、テロリストのいる施設に情報収集のために単身潜入したりと、要所要所で結構身体を張っている。


  • 山崎 弘道(やまざき ひろみち)
演:田尻茂一
一班・イングラム一号機輸送車担当。
巨体に似合わず小心者の巨人。鶏の世話が趣味。明からの愛称は「ヒロちゃん」。
人間関係がらみでトラウマがあるらしく、明の悪意なき一言で刺激されてよく泣いている。


  • 太田原 勇(おおたわら いさむ)
演:堀本能礼
二班・イングラム二号機操縦士。
短気なアル中の中年。勤務中でも隠れてはちびちび酒を飲んでいる。
酒関連以外ではそれなりにまとも。酒を飲むと操縦能力などが一時的に上がるというよくわからない特技ある。
稼働機体を確保するために2号機をばらして1号機のパーツ補填に使われることが多く、よく搭乗機体が無いという憂き目にあっている


  • カーシャ
演:太田莉菜
二班・イングラム二号機指揮担当。
本名『エカテリーナ・クラチェヴナ・カヌカエヴァ』。ロシア連邦保安庁(FSB)より、研修目的で赴任したロシア人女性。
口と素行が悪く、よくロシア語で他の隊員たちを罵倒したり、火気厳禁の場所でもタバコを平気で吸っている。
待機中の暇つぶしによく私物のAK74で銃剣術の訓練をしており、その凛とした雰囲気から整備班内でファンが多く逆らうものは存在しない。

おそらく歴代特車二課で最強の戦闘技術を持つ女。
テロリストに占拠されたコンビニにAKとナイフ一丁で単騎で突入するわ、要人を狙う狙撃手相手にカウンタースナイピング決めるわ
生身の武装した人間相手では右に出る者はいないと思われる。


  • 御酒屋 慎司(みきや しんじ)
演:しおつかこうへい
二班・イングラム二号機輸送車担当。
元妻子持ちのパチプロ。結婚していたが不倫がバレて妻と子供に逃げられ、慰謝料をパチンコで稼ぐ日々を送っている。
そのため金に苦労しており、金に関することになると目の色が変わる。
佑馬ほどではないが、無駄に広い知識を持つオタク気質で、妙な話でよく盛り上がっている。
「フホホホホホホホ」と笑い方がヘン。


  • 後藤田 継次(ごとうだ けいじ)
演:筧利夫
第二小隊隊長。
やる気があるんだか無いんだかよく分からない隊長。
しかしその能力は本物で、前隊長のカミソリ後藤の再来とも言われているキレモノ。
が、後藤と比べる今一歩及ばない点があり、不用意な一言で状況を悪化させるなどポカをやらかすこともある。

後藤とは先輩後輩の間柄で南雲とも面識があり、柘植のクーデター事件の後に姿を消した二人のことを気にかけている。


・整備班
  • シバシゲオ
演:千葉繁
特車ニ課創設から現在に至るまで残り続けている、数少ない人物。
以前のようなお調子者の性格は鳴りをひそめ、榊前整備班長を思わせるような職人気質の厳格な性格になっている。
が、かつてのおやっさんほどの貫録はなく、ババを引くこともしばしば。
特車二課の過去の栄光と衰退の全歴史を知っている生き字引的人物で、昔の隊員や過去の悪行のことをよく知っている。

  • 淵山 義勝(ぶちやま よしかつ)
演:藤木義勝
班長となったシゲと共に整備班を支える古参の整備員。
初代ではロン毛で眼鏡のひ弱な青年だったが、二代目では番長と化し、三代目の現在では筋骨隆々の漢となった。
シゲの右腕として、整備員たちをまとめ上げている。


・その他
  • 南雲 しのぶ(なぐも しのぶ)
演:渋谷亜希 声:榊原良子
元特車二課 第一小隊隊長。
クーデター事件の後、後藤と同じく警察から姿を消し、現在は後藤の手引で国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)のスタッフとなって紛争地帯を渡り歩いている。

かつての活躍のこともさることながら、クーデター事件の際の警察上層部の陰謀と恥の全てを知る人間として、現在の警視庁でも有名な人物であり
名前を出すだけで警視総監を初めとした面々が凍りつくなど、その存在は恐れらている。



◆装備機体

  • AV-98 イングラム
旧式となった往年の名機。
かつての第二小隊が使っていた機体と同一のもの。

とっくにメーカー保証は切れているためメーカー修理はおろかパーツの調達もままならず、それでも無理矢理稼働状態に持っていくため
整備班の手による違法改造が所かしこに施されており、その結果さらに修理がやりにくくなるという悪循環を抱えている。
そのため、現在の稼働時間は五分が限界。
しかも動かせば必ずどこかが壊れる(特に足回り)という悲惨な状態となってしまっている。


それでも人間のような動きができるという利点は健在であり、空手の型をやったりモーション・トレーサーでメインシステムがダウンしても
リボルバーカノンをぶっ放せるなど、随所でその器用さは光っている。




追記・修正はハゼ中毒になってからお願いします。


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最終更新:2024年02月15日 21:39