Wii U

登録日:2016/11/13 Sun 02:12:25
更新日:2024/04/15 Mon 04:35:11
所要時間:約 21 分で読めます







スーパーなWii



Wii Uとは、任天堂が発売した据置型ゲーム機。


【解説】


任天堂が発売した第八世代据置型ハードであると同時に、世界初の第八世代据置ハードとなる。

任天堂初のフルハイビジョン対応ハードであり、『Wii U Game Pad』なるコントローラが存在。
『テレビを占有せずに遊べる据置機』という特徴もあり、自称『ホームコンソール型ハード』。

名称は前世代機であるWiiが「We」に由来するのに対し、Wii Uでは「You」のゲーム機となるという意味合い。
本ハードのコンセプト「集まればWii U。ひとりでも、みんなでWii U。」から見えるように、多人数でも一人でも楽しめるよという含みがある。
前世代で一部のゲーマーが抱いていた「Wiiは多人数で遊ぶゲーム機」という印象を払いたかった意図もあるかもしれない。

2011年4月25日にWii後継据置型ゲーム機として発表され、『Project Cafe』というコードネームが広まる。
そして2011年のE3において、具体的な詳細と正式名称「Wii U」が公表された。
2012年のE3においてはHDクオリティのゼルダの伝説の映像を披露し、大きな話題を呼んだ。

任天堂初のHD対応機(Wiiは非対応)だったことで、性能面でも大きな期待を集める。
Wii末期には不足していたサードのマルチタイトル増加も期待され、任天堂自身もそれを狙っていた。
『ベヨネッタ2』の独占販売など、発売前にもソフトラインナップは大きな話題を生む。
Nintendo Direct』による話題提供と共に、岩田社長自らが開封の儀を行ったりもした。

ところが、発売されると予想に反して徐々に売上方面は苦戦した。そもそも、E3 2011で初めて発表した直後から評価が落ちたらしい。

最初こそWiiの初動と比べて僅かに劣るくらいと悪いスタートではなかったのだが、
失速した最大の理由としては、ソフトラインナップに原因があった。
とにかくローンチタイトルに求心力がなく、購買意欲をそそられにくい*1
こうして発売から間もなくした年明けから、ソフト供給が一気に途絶えてしまう*2
任天堂自身も初のHD機での開発だったことから予定していたゲームが遅れに遅れて発売延期が目立ち、会社の規模的な問題もありソフト供給の継続に失敗する。

サードタイトルもローンチに後発マルチを少し提供し、しばらくして多くのメーカーは姿を見せなくなる。
『ZombiU*3』などの独占タイトルなども、やがて他社ハードでも展開してしまった。

やがて任天堂自身のソフト供給は改善の状況を見せるが、任天堂自身がWiiUゲームパッドの効果的な活用法を提示できず、
この間の沈黙によるダメージが大きく、既にサードタイトルの発売が殆どなく状況打開には至らなかった。
『任天堂自身の高品質なタイトルの提供と引き換えにソフト展開が遅い』と、Wii末期の状況に早々陥る。そもそも、WiiやDS時代でキラータイトルを出し続けたハドソンがコナミに買収されたことも勢力を落とした原因の一つでもある。
後期は実質任天堂初のfpsゲームの『Splatoon』の大ヒットや『スーパーマリオメーカー』のYoutube実況での人気など、所々で大きな盛り上がりを見せたが
この頃には撤退ムードが出来ており、本体が品薄になったのにもかかわらず、後述する理由もあるが増産という判断も取らなかったことから、絶対的な挽回は出来ず。

他にも、32bitCPUなので発売当初におけるOSの遅さ(後にある程度改善)など、任天堂らしからぬ失敗もあった。
もっとも、日本においては据置機自体が衰退傾向にあったこともハード不振の原因として大きい。そもそも、PlayStation4も日本で盛り上がるには発売から三年ほどかかっている上*4、XBOXに関しては商売にならないほどの売り上げしか日本で売れていない状況であった。もしかすると3DSシリーズの売り上げが異常すぎただけなのかもしれないといってもよい。

先行発売によるアドバンテージが今一つ機能しない中、しばらくして他社もPlayStation4やXbox Oneを発売。ただし、海外ではKINECT強制同梱やオンライン強制接続を義務化したうえ、ACアダプター(いわゆるカステラ)もまだ必要だったXboxOneは海外でくそみそに叩かれていたため、海外ではPS4の一人勝ちがメディアの世論煽りもあって成り立ってしまったと言える。
日本においては据置機自体が衰退していたことで、他社ハードも振るわず長い間ダラダラとシェアは抜かされなかった。
しかし、現在も据置市場に根強い支持を持つ海外市場ではあっという間に他社二機種に追い抜かれてしまい、GC以来の世界最下位へと転落する。

任天堂もWiiUに関する戦略の方向転換を行い、当初の目標だった普及層の拡大などは諦めたような動きとなる。
後に任天堂は新型ゲーム機『NX』の存在を示唆し、やがてWiiUのコンセプトになんかいろいろ他の歴代コンセプトを合体させたかのような次世代機『Nintendo Switch』を発表する。
WiiUは最期まで良作を輩出し続けたが、最終的に2016年11月に近日中の国内生産の終了を正式に発表した。
2016年における出荷台数を見れば想定内の動きと言える*5

最終的な普及台数は日本ので331万台、世界累計では1,356万台。
バーチャルボーイを除くと、任天堂ハードとしてはもっとも普及台数の少ない結果となった。

このように商業的にはあまり良い結果を残せなかったWiiUだが、購入者から満足する声は多い。
本ハードで販売されたソフトの多くはクオリティが高く、大きな高評価を得た物は多数ある。実際Switchに移植したものは3DSの後発マルチを遥かに超える売上を叩き出している。
幻影異聞録♯FE』や『ゼルダ無双』など、大きな話題を呼ぶコラボもあった。
国内の据え置き機市場の不振・不要論が叫ばれていた時代において、商業的に不振なハードでのSplatoonなどの新規ブランドの大ヒットは、かなり明るい話題だったとも言える。
これでもミリオンが1本しか出なかったゲームキューブとは違い、ミリオン越えのソフトがSplatoon含めて4本出ており、局所的な部分では大きな功績も残している。
特にSplatoonは本体売上数約334万に対し、ソフト売上約179万本と異常な装着率を誇ったことは語り草
また、同じくミリオンタイトルとなったマリオメーカーはネットにおいて大きなムーブメントを呼び、
これらのヒットが話題を呼んで後期には嘘のように品薄にも悩まされた。
ただ当時はもう増産は諦めており、重要な部品を生産していた工場の閉鎖もあって、ハードの勢いを取り戻すには至らなかった。
ローンチの求心力がもっと高ければワンチャンPS4ともやりあえた可能性もあったことを考えると勿体ない限りである。

また次世代機Switchは法律的問題…というよりかは64bitCPUを採用したことによるハードウェア面の互換問題でバーチャルコンソールの膨大なソフト資産を引き継げなかった。
よって本体の生産終了後ではあったがバーチャルコンソールに対応可能な最後の世代の機体として新たな需要も得たのであった。
おかげでソフトが販売しなくなってからもWiiUの稼働率は意外と高かったようである。
マリオカート8やSplatoonは実質的な上位互換がSwitchで登場しているのにもかかわらずオンラインがある程度回っており、
オンラインの脆弱性が発見された後も5ヶ月かけてそこを修復し、オンラインサービス終了まで稼働させ続けたことからもその「満足度」と熱中度の高さがうかがえる。

商業面ではWiiから大きく落ち込んだが、そもそも1000万台売れても「落ち込む」状況自体が家庭機のビジネスの末期的問題を示したともいえる。
「任天堂ハード最低売上」等のネガティブな話題でよく取り沙汰されるが、展開的には大きな挑戦と財産を残したゲーム機と言えるだろう。

【Wii Uの特徴】


本体外観/メニュー画面

本体外観はWiiがベースで高さも同じだが、重さや厚さなどは大きく変化。

外縁部分が丸みを帯びた直方体ラウンドスクエアデザイン。
全体的に「四角形」「箱」という印象は薄くなっている感じか。

実はこの丸みを帯びるようになったデザインは、WiiUは横置きでの使用を前提としているため。
Wiiとは異なってそのまま縦置きでは使えず、縦置きには別途『本体縦置きスタンド』を必要とする。

本体正面はWii同様に、スロットインタイプの光学式ドライブが存在。
左横に電源ボタンやイジェクトボタンが設置されている。

ドライブの下には蓋が存在し、開けると中には左からSDカードスロットとUSB 2.0ポートが2つ存在。
SDカードはWiiからの引っ越しなどで利用する程度で、WiiUのデータ保存などには特に貢献しない。
USBポートは、USB記録メディアによる本体の保存容量拡張に貢献する。
いわゆるUSB式外付けHDDが接続可能で、本体の保存メモリ容量が不足してもそちらに保存ができる。ちなみにUSBを接続してわらわら広場の画面などでUSBをぶっこ抜くとすさまじいノイズとともにエラー画面が出るので絶対に抜かないように。また、充電用にその辺のWiiUとは関係ないUSB周辺機器を接続して一時間ほど放置すると、いきなり電源が落ちることがある。
そんなに何百GBもダウンロード保存するほどソフトは出なかったが…。
WiiUに対応した外付けHDDはセルフパワー(要はHDD自体にACアダプタが付いていて自前で電力を取れる機種)が主で
バスパワー(USBで接続した母機から電力を取る機器、この場合はWiiU本体にUSBケーブルを繋ぐとUSBから電力も取るタイプ)は非対応となる。
本体の消費電力を抑えるためかWiiUは外部接続機器に満足な電力を送れる仕様ではないらしく
バスパワーHDDを接続してもほとんど認識されない。
ただし動作保証はされていないが、WiiUとバスパワーHDDの間にセルフパワーのUSBハブをかませると動くことが多いのでやるなら自己責任で。
繰り返すが任天堂が公式にWiiUの動作対象としている外付けHDDは基本はセルフパワーのものばかりである。
これらのスロットが収納されている蓋の横にある左の赤いボタンはコントローラのペアリング用SYNCボタン。

本体の左側面には特に何も無いが右側面には吸気口のスリットが見える。
本体底面はには小さなゴム足があり、これで本体を置く補助をする。
本体上部には何らかの機能はなく、右側面同様に吸気口のスリットがある。

背面は電源コネクタ・センサーバー接続コネクタ・AVケーブル接続用コネクタ・HDMI出力が設置。
さらに本体正面にもあったUSB 2.0ポートが再び2つ用意されている。

起動時のメニュー画面は「わらわら広場」と呼ばれる画面が表示される。ただし、本体の最初の読み込み時間はわらわら広場を読み込むことよりは、わらわら広場召喚後にインターネット回線関係の処理にほとんどの時間が食われているように見える。

起動した瞬間、広場に人気のゲームアイコンに群がる世界中のユーザーのMiiという光景が広がる。
Miiverseのコメントや投稿されたイラストなども表示される。

起動直後はTV画面にわらわら広場が表示されGamepad画面にはメニュー画面が表示される。(切り替え可能)
また、性質上インターネット接続を必要とするメニュー画面でもある。
インターネットに接続しない状態でわらわら広場を表示した場合は、内蔵ソフトのアイコンが浮かぶ。

Wii U Game Pad

サイズ 縦133.4mm×横255.4mm×厚さ41mm(突起部を除く)
画面 6.2インチ液晶(画面縦横比は16:9)
その他 加速度センサー
ジャイロセンサー
地磁気センサー
振動機能
内側カメラ
マイク
センサーバー
ヘッドホン端子

WiiU最大の特徴が、Wii U Game Padと呼ばれる独特な形状のコントローラ。

本機のコントローラは、6.2インチの液晶スクリーンが付いたタブレッド型となっている。触り心地はデンモクに近い。
このスクリーンに本体のゲーム映像が反映可能で、TVを用いずにゲームのプレイができる。
据置機の衰退の原因として叫ばれる『TVを専有するため親に敬遠される』『TVを付けるのが面倒』という弱点を消したのが、WiiUの最大の宣伝要素。
それだけではなく、デュアル画面特有の「情報量の多いゲームを快適にプレイ」という面も実現している。

通信距離はゲーム機本体の置かれた環境的な状況にも左右されるが、感覚的には10メートル前後。
通信が不安定な状況に突入すると、スクリーンに状況を伝える警告画面が表示される。

タッチスクリーンに表示される映像は、本体で生成された映像を無線で送信(パッド内部での映像形成ではない)。
スクリーンの都合上、画質はTVよりは落ちるが遊ぶには問題なく標準的に綺麗な画質。
そして何より凄いのが、一見ありそうな本体からの遅延などは一切ないこと。
これは特殊なチップを用いたことと、最初から映像通信機能を想定して設計したことで映像遅延をなくすことに成功したのである。
おかげで各種ボタンのレスポンスも結構快適だったりする。
特にバーチャルコンソールはほとんどのゲームで低遅延を誇るくらい凄まじい反応となっている。星のカービィSDXの刹那の見切りが顕著。

また、スクリーンはDSファミリーと同じく抵抗膜方式のタッチスクリーンとなっているのでタッチ操作が可能(タッチペン付属、よく無くしやすい)。
TV画面とスクリーン画面による、二画面を活かしたニンテンドーDS系統の操作が行える。
そのおかげか、バーチャルコンソールもニンテンドーDSタイトルの配信を実現している。

タッチ機能はもちろん、ジャイロセンサー・マイク・カメラ・センサーバー・NFC(詳しくは後述)などの要素が詰め込んである。
当然ながら十字キー・ダブルアナログスティック・ABXYボタン・LRボタン・ZLZRボタン・+STARTボタン・SELECTボタンも搭載。
一見奇怪そうな見た目に反して、従来的なゲームの操作も容易。
HOMEボタンや、TVリモコンとして機能するコントロールボタンなども存在する。

サブコンソールとして機能を詰め込んだことと、疑似的に携帯ゲーム機の格好を取ったこともあり、コントローラーとして見るとかなりのデカさ。
その重量は約500gとかなりのもので、そう聞くと長時間のゲームに向かないように思えるが、
コントローラーの裏側の出っ張りによりこの点を緩和できるよう設計されており、片手で長時間持つなどといったことをしなければ
見た目とは裏腹に慣れれば普通に快適な使い心地である。
そもそもゲームパッドプレイの際にルイージが寝転んで遊んでいる図が描かれているように、寝転んだりするなど負担の少ない遊び方を前提としている節も有る。

Wiiリモコンとは異なり、稼働方法にはリチウム電池を採用した充電式を採用。
ACアダプターと接続して充電を行い、(あまり良くない気もするが)接続しながらのプレイも可能。
充電時間は約2時間30分、持続時間は約3時間~5時間。

基本的に本体に接続できるパッドは一台のみ。
技術的には最大二台まで複数接続可能と思われる。
二台を同時接続したゲームの展開も予告されていたが、売上が芳しくなかったことなど色々と問題があったのか最後まで出ることはなかった。

本体に同梱されているパッドは一台のみだが、長く単独で販売はされていなかった。
当初は二台同時接続を必要とするゲームの発売と同時に単独発売予定だったが、上述したように最後まで出ず。そもそも二台に映像を伝送する性能が足りるか怪しい。
結果的に方針転換する必要性が出たためか、任天堂公式からオンライン限定で単独販売されることとなる。
価格は税別12,800円で、黒と白の2色が販売。

後のNewニンテンドー3DSの全体デザインなどは、このパッドのデザインの影響を受けていると思われる。

その他のコントローラ

上記のWii U Game Padが基本的なコントローラだが、WiiUには他にもコントローラが存在する。

代表的な物としてはWii U PROコントローラーがある。
立ち位置的には、前世代のWiiリモコンにおけるクラシックコントローラの役割に近い。

PROコンはコアゲーマー向けのコントローラであり、正統派なコントローラ。
他社とのマルチソフトにおいて、操作方法が独自の物にならないための処置でもあった。
その思想の表れか、形状はXbox360のコントローラーに近いスタイルとなっている。
独特なのはスティックの配置で、WiiUゲームパッドに合わせてかスティックが左右上方に設置されている。
充電式のコントローラで、約4.5時間の充電で約80時間の稼働を実現している。PCにつながらないことが難点。

後述するが、WiiリモコンなどWiiにおけるコントローラ機器にも対応。
『Wii Sports Club』『Wii Fit U』などはWiiの機器が必須のソフトとなる。
後にWii未所持者への配慮か『Wiiリモコンプラス追加パック』というリモコンが付属した同梱版も出ている。

ソフトメディア/パッケージ

ソフトメディアは専用の12cm高密度光ディスク採用。

サイズやぱっと見の外観はWii用12cm光ディスクと変化は見えにくいが、容量が桁違いに増加。
Blu-ray Discをベースとしたため、BD同様の片面1層25GBの容量を実現している。
これによって、大容量のゲームを実現可能とした。ただしディスクデータの取り込みはできない。

パッケージはWiiソフトのパッケージと同サイズだが、外観は変化。
やや薄めの青色と白色をベースとしたデザインとなっていて、パッケージ正面の上部には水色の下地と黄色のラインが入っている。
何というか、少しPlayStation Vita用ソフトのパッケージデザインに通じる物がある。
CERO:C以降のソフトは、黒色と紺色のような薄暗いデザイン。

気づきにくい点だがディスクの側面はなぜか球面加工されている。

本体性能

CPU IBM Power Architecture Based マイクロプロセッサ3コア
GPU AMD Radeon HD GPU
メインRAM 2GB eDRAM 32MB

ニンテンドーゲームキューブから続く流れとして、IBM製のCPUとAMD製のGPUを採用。
パッドへの出力も想定するためか、デュアルスクリーンに対応する処理能力はあると見える。

本体性能は前世代のWiiから大幅にパワーアップ。
全体的な性能面は、他社の第七世代HD対応ハードは超えているとみられる。プロトコルはXbox360によく似ている。CPUの単純な処理速度はPS3の一部の作品ほど早くはない場合もある。
ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド』はPS3・360版よりフレームレートが安定している上テクスチャの品質が上がっており(PC版と同等の品質になっている)、「ベヨネッタ」は360版と同じグラフィック・フレームレートを実現しつつティアリングが抑えられている。
消費電力も最大75Wと他社のHDハードと比べてかなり少なく、技術的な進化が見て取れる。
ちなみにCPUのダイサイズは4.74mm × 5.85mm。
HDハードとして驚異的な小ささなのはもちろん、Wiiのそれ(4.2mm×4.5mm)よりパワーアップしているにもかかわらずサイズがほとんど変わっていない。

しかし、一部マルチタイトル(特にローンチタイトル)は他社の第七世代ハード版と比較しての劣化も指摘された。
これは、既に使いこなせているハードと使いこなせていないハードの差がはっきりと表れた形となる。
任天堂も、公式の声明で他社ハードとの開発環境的な違いや最適化の不足を自覚した声明を出している。そのためか開発機を世代途中で丸ごと作り直した模様。

最終的には、他社の第八世代ハードには大きく性能差で引き離されてしまう。いわば考え方の問題で、突然PS4やXBOXONEがPC寄りのプロトコルを採用されて任天堂が付いていけなくなったことが原因。XBOXONEはOS自体がWindowsだがなぜかPS4に引き離されていた(理由はご察しください)。
他社ハードが対応していたDirectX11世代のAPIに対応できなかったりと、第八世代におけるマルチソフトは望みにくい結果に終わってしまった。

本体のストレージも大容量のハードディスクではなく、最大32GBのフラッシュメモリを内蔵している。
外付けHDDによる大幅な拡張も可能であるが、内蔵HDDの非搭載については本体の堅牢・耐久性を重視する任天堂の方針とのミスマッチという見方が強い。結局ニンテンドースイッチも32GBか64GBしか搭載していないが。
GB越えのゲームはほとんどでていないとはいえ、WiiUからはフルパッケージのゲームもダウンロードが出来るようになったことを考えると微妙。
ダウンロード版の容量の大きさによっては、外付けHDDが必須となってしまった。

映像出力は任天堂機初のフルハイビジョン、HDMI出力に対応。
HD画質の1080p、1080i、720p、SD画質の480p、480i出力などに標準対応している。
当然HDに対応したテレビやPC用モニターに接続すれば、高画質な映像が出力される。
HDMIのほかにWiiで使えたコンポーネント、D端子、S端子、コンポジット(黄赤白)端子ケーブルも使用可能。*6
HDCP非採用なのでHDMI以外の端子でもHD画質でのプレイが可能。LPCM5.1chサラウンドも実は対応。

ソフト展開

基本的にWiiUで発売されたソフトの大半は、任天堂のファースト製タイトルが占めた。

末期時のWiiがソフト日照りが続いたことから、任天堂もソフトの絶え間ない供給を約束していた。
実際に、WiiUのローンチタイトルは移植とはいえ、他社の主力タイトルも姿を見せていた。

ところが、発売から間もないうちにソフト供給は直ぐに途絶えてしまう。
冒頭にもある通り任天堂自身、初のHDタイトル開発ということ、そしてWiiの急激な衰退を補うため様々様々な試算が甘かったのもあって準備不足を起こし、新作の速い普及ができずに苦戦しだす。
それ以前にサードがソシャゲの開発などに夢中になりすぎてリソースを避けなかったことも原因。あるいは日本のサードパーティーが言うほど大量のゲームを2013年にまとめて開発できなかったことも原因かもしれない。
その結果、発売から長い期間は慢性的なソフト日照りが続いた。*7
WiiUの拡大展開を完全に止めた2016年は、任天堂から出たソフトがやけに少なかったので、そのころのソフト価格はプレミア化しやすい。

サードパーティも即座にWiiUに展開しなくなったり、他社ハードで完全版の発売に踏み切ってしまう。
結果的に他社の後発の第八世代ハードに大きく性能で劣ってしまったため、任天堂が狙っていたマルチタイトルの勧誘に失敗する。*8
性能の近いPlayStation3やXbox 360とのマルチを狙うにも、開発難易度はむしろ低い方であったが世論煽りや売り上げの問題から、態々WiiUでの展開の必要性が薄かったのも痛かった。

このように展開的には大きな影を見せたが、排出されたタイトルの多くは良作と高い評価を受けている。
『ゼノブレイドクロス』『ベヨネッタ2』『零 ~濡鴉ノ巫女~』など、高品質な独占ソフトを輩出した。

また、サードタイトル不足には苦しんでいたが、ダウンロード専売のソフトはなかなか賑わった。
任天堂も「Nintendo Web Framework」などで、こうした小粒な専売ソフトを出しやすい環境を作っている。このフレームワークに対応したタイトルの第一弾は……忘れていいよ。のちにWiiUでUnityエディターで開発した作品を動作させることも可能になっていた。


2013年からはWiiU版のバーチャルコンソール展開が始動。
ファミリーコンピュータスーパーファミコンNINTENDO64PCエンジンMSXのソフトはWiiから引き続き展開。
さらにWiiUにおいては、ゲームボーイアドバンスやニンテンドーDSのソフトが配信された(通信機能は未対応)。
一方で、WiiにはあったメガドライブNEOGEOタイトルは再配信されず。

3DSで導入された「まるごとバックアップ機能」は引き続いて採用された。
そしてWii版のバーチャルコンソールを既に購入済みで、再びWiiUで同一タイトルを買う際には無料にはならないが優待価格で販売される。
また、WiiのVCやSwitchONLINEの特典サブスクサービスにない機能として「キーコンフィグ」が存在する。
これはゲームごと、各種コントローラー別に設定出来るかなりきめ細やかなもの。ただしDSのVCのみ非対応。
Switchの場合は本体のボタン設定を丸ごといじらないといけず、場合によっては便利だが若干不便さが残る出来になったことを考えると現在も惜しまれる機能である。

GCより普及ペースが遅いWiiUだったが、任天堂製タイトルの売上方面はGCよりは大きく奮闘した。

ミリオンヒットを記録したのは『Newスーパーマリオブラザーズ U』『マリオカート8』『スーパーマリオメーカー』『Splatoon』の4本で、これはゲームキューブよりは遥かに多い。
特にその内のSplatoonは任天堂の新規ブランド作品としては大きく成功し、スーパーマリオメーカーと合わせてどん底状態であったWiiUが一時的に品薄になるほどの人気を博した。
国内では他社の第八世代ハードがミリオンはおろかハーフミリオンタイトルの排出さえ難しくなっていることを考えると、流石任天堂ブランドというところ。

一方で、前世代からの課題になりつつあったサードソフトのヒット不足は解消されなかった。
そもそも、サードパーティのソフト自体が殆ど展開されなかったので、ヒットもへったくれもなかったと言える。
数少ないサードタイトルも後発マルチが多く、当然だが売上は振るわず。
龍が如くDirectを企画してまで出した『龍が如く1&2 HD』の売上がかなり冷え込んだことは有名である。

任天堂製の新規ブランドは増えた一方、ソフト展開全体はWii末期からさらに縮小した印象となった。

Wiiとの互換性/3DS連動

前世代のWiiは任天堂初の前世代機との互換性を維持したが、今回も前世代のWiiとの互換性を保持した。

前世代のWiiソフトの殆どは、本機でも問題なく使用可能となっている。
安定性重視のためかWiiのソフトの画質がHD対応になるとかそういう補正機能はないが、正規でWiiソフトをHDMI接続できるのはWiiUだけ。
上述したが、基本Wiiで使用できたコントローラなども全て互換性を保持。使えない機能はWiiConnect24などマイナーなもののみで、CFW導入も不可能ではない。

2015年1月14日からは、Wiiのソフトのダウンロード発売を開始。
Wiiでの発売時よりも低価格で、数々の名作ソフトが提供されている。
パッケージ所有者でもセーブデータは引き継ぎ可能で、Wiiメニュー介入での開始の必要もなくなった。

所持しているWiiからWiiU本体へのデータ移行も可能。
SDカードを用意して、両本体に引っ越し用のツールをインストールして作業を行う。
リモコンの接続確認など、手順や必要な時間など色々と面倒なので慎重に進めよう。
実はWiiU本体からWiiU本体の引っ越し機能も隠し内蔵されている。

SDカードからのデータ移行時には、ピクミンがデータを引っ越している映像が流れる。
結構微笑ましい映像なので、見る価値は結構あり。
WiiUからWiiUの場合、ソピックスと呼ばれる謎の人型モデルのキャラクターが同じ要領で引っ越しを始める。ちなみに引っ越しにゲームパッドを二台用意する必要がある。
ただし、WiiにおけるWiiポイントはWiiU側のニンテンドーeショップでは利用不可。

Wiiが保っていたニンテンドーゲームキューブとの互換性は廃止。
二世代前のハードの互換性フォローは流石に難しいので仕方ないか。
ただし、ゲームキューブコントローラは『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』のみ接続タップにより限定的に使用が可能。スマブラの力恐るべし

任天堂ハードらしく、ニンテンドー3DSとのローカル通信という連携要素も搭載。
一部ソフトでは、3DSとWiiUを通信してデータをやり取りしたり、3DS本体をコントローラ代わりに使える。

NFCリーダー

前述でも触れたが、WiiUにはNFC機能を搭載している。

当初は『ポケモンスクランブル U』において、NFCフィギュアと連動した商業展開を見せた。
やがてこの機能はamiiboとリンクした展開を披露し、amiiboの展開に大きく貢献する。
また、公式ではサードパーティのアーケードゲームとの連動を匂わせるような発言もしていたが、特にそんなことはなかった。

2014年7月22日からWii Uの支払い決済に、Suicaなどの交通系電子マネーが使用可能となった。
これにより、家でもゲーム機で電子マネーの残高確認が手軽に行えたりもする。
ただしこちらのサービスは2022年1月18日、eショップ閉鎖に先駆けてサービス終了。

WiiUにおけるNFCの高評価を受けてか、Newニンテンドー3DSやNintendo Switchにも引き続きNFC機能が搭載されている。

内蔵ソフト

代表的な物を主に紹介する。

◇Miiverse

世界中のユーザーとMiiを通じたコミュケーションが行えるネットワークサービス機能。

はてなと共同開発した任天堂ユーザーによるコミュニティサイトになる。
ゲームごとにコミュニティが存在し、そこでユーザー同士情報のやり取りが行える。
他にも、文章だけの会話に留まらずタッチ機能を活かしてイラストのやゲーム画面の投稿も可能。

低年齢層のユーザーと20~30代のユーザーが入り乱れる環境だったことからか、独自の雰囲気を持つコミュニティサイトへと形成されていった。
2015年からは大幅なリニューアルもあったりしたが、ここでは詳細は省く。

後にブラウザでの観覧も可能になったほか、ニンテンドー3DSでも実装された。
しかし誹謗中傷も絶えず、任天堂的にも相当な気苦労があったと見え、2017年11月8日にサービスが終了された。
なお、WiiUゲームパッドは感圧式のタッチパネルのため、Switchよりもイラストが描きやすいともっぱらの評判だった。

◇Wii U Chat

ゲームパッドのカメラ機能を活かして、テレビ電話を行えるソフト。

フレンド登録した相手と、世界中のどこでも無料で電話可能という点が魅力的。
テレビ画面でもゲームパッドでも映像を映して会話ができる。
タッチスクリーンに文字や絵を描いて相手に見せることも可能。

ソフトを遊んでいる際に着信があると、パッドのHOMEボタンが青く点滅して知らせる。
ただし、応答すると遊んでいたゲームが強制終了するという欠点もあるので注意。


◇Nintendo×JOYSOUND Wii カラオケ U

任天堂とJOYSOUNDが手を組んで作ったカラオケソフト。

インターネットに接続して、カラオケを歌って楽しめる通信カラオケである。
使用料金は、3時間/200円・24時間/300円・30日/1,000円・90日/2,000円という具合。

ゲームパッドをカラオケ店のデンモクのように利用して操作する。
マイクはパッドのマイクも使えるが、USBマイクが発売されているのでそちらを使ったほうが良いだろう。
採点や全国とのオンラインランキングによる競争も、実際のカラオケに負けないクオリティ。

様々な映像も用意されているが、任天堂ハードなだけあってMiiによる映像も存在。
また、Miiを様々な衣装に着せ替えられるという着せ替え要素も楽しめる。

ネット接続がない人にも楽しんでもらうためのトライアルディスクも販売されているが、仕様は大きく異なる。


◇インターネットブラウザー

現在のゲーム機には当然搭載されているであろう、インターネット観覧機能。

ニンテンドー3DSにおけるブラウザーのノウハウもあるのか、簡潔ながら快適度は高い。
タッチペンによる入力が行えるので、文字を打つのも楽々。

Youtubeなどの動画再生も可能となっていて、2画面を活かしてTV画面で動画を流しながら下画面でネットサーフィンという芸当も行える。
Youtubeに関してはユーザーから「公式のWiiU用Youtubeアプリより快適だ」と評する声も……。
ただし、画像やPDFファイルは閲覧可能だが保存はできない。

ゲームとの同時起動が可能で、任天堂ハード初のタブブラウジングも実現(タブは最大六枚)。
ゲーム中に起動すると、ゲームのタイトルが検索ワードとして自動入力してあるなど細かい配慮も完璧。
ブラウザからゲーム中のスクショを作って投稿することも可能。

テレビ画面側にカーテンを付けるという面白い機能があり、Xボタンで開くなどの演出が出来る。
カーテンが閉じている間にも、画面でMiiが演出を見せるなど楽しさ溢れる。
任天堂的にはとっておきの動画を見せる場面での演出的な使い方を推奨している。
……エロサイト観覧でカーテン機能が生かされると色々と大変なことが起こりそうでもある。

かつてはWiiUのブラウザからもアニヲタWiki(仮)の編集は可能だったが現在は不可能。
というか8年以上経った現在はYouTubeやWikipediaなど大半のサイトがエラーコード表示されるようになってしまった。

【モデル】


ベーシックセット

WiiUの基本的なセット。

価格は25,000円(税別)で提供。
本体カラーは基本的に白色のみの提供となった。

内蔵フラッシュメモリは8GB。
DL版中心のユーザーにはきつく、パッケージ版中心のユーザーから見ても追加データなどをダウンロードするには心細いか。
金銭的な余裕ができたのならば、外付けで容量アップを狙いたい。

プレミアムセット

名前の通り、少し高級感が溢れるセット。

価格はベーシックから値上げして30,000円(税別)。
本体カラーはプレミアム特有の黒色のみ用意されていたが、「Wiiと言えば白」というユーザーからの希望もあって後にベーシックと同じ白も追加された。
逆に言えばこれ以外のカラーは発売されなかった。

価格が高いのと引き換えに内蔵フラッシュメモリは32GBとベーシックセットから四倍に増加。
ある程度のDLソフトやDLCなどにも耐えうることが可能。

付属品も増加し、『本体縦置きスタンド』『GamePad充電スタンド』『GamePadプレイスタンド』が付属。
縦置きスタンドはWiiUを縦置きで遊ぶ際に重宝するだろう。

発売当初は、プレミアムセット購入者限定で『ニンテンドーネットワークプレミアム』なるサービス特典が存在。
これは、ダウンロードソフトやダウンロードコンテンツの購入金額の10%が還元されるという物。
2014年の12月末までサービスを行っていた。

【販売不振の考察】


任天堂の据え置きゲーム機としては大敗気味だがソフトは好評気味だったという二律背反のWiiUの販売不振は、かつてのセガのドリームキャストや、ソニーの初期PS3や、パソコンメーカーつながりでパソコン連動も構想したがゲーミングPC前の時代からか早すぎたNECのPCエンジンやMSのXboxなどとよく比較される。同じ任天堂の過去の据え置きならば64やGCとよく比較される。

冒頭の前述でも書かれてはいるが、風が吹けば桶屋が儲かる世界は、運も実力のうちで、ビジネス面で成功の有無は予測はほぼきかない。現に、任天堂がファミリーコンピュータを出したタイミングで、セガはSGゲーム発売で対抗したが善戦は叶わなかったし、任天堂が64を出してから2年半でドリームキャストで先手も打ったが、作戦は優秀だが経済力と人脈運と技術面には恵まれない不利のハンデが打ち破れなかった。(その点は先手を打ったWiiUも同じであった。)

WiiUの売上に悪影響を与えた社会的要因の一つに、東日本大震災は避けられない。自粛ムードに加え、3DSもスピード値下げ沙汰を示し、WiiUも値下げの可能性が購入のためらいにつながった。岩田社長は後に「WiiUはギリギリの金額で売ってるので値下げはない」と明言したが、逆に言えば3DSで無茶な値下げをしたおかげで、64やゲームキューブと同じようにWiiUでその手が取れなかったとも言う。
また、復興が不十分な地域では、復興アピールに自粛要求の本末転倒クレーマーがいてはPVもはかどらない。大震災なく2011年度中に発売が叶っていたならば、史実の倍は売れ、なおかつ任天堂のHDソフト開発も前倒しできたかもしれない。つまり日本大陸上でゲーム市場を展開すること自体が限界である。

WiiUのゲームパッドも、後日に発売されたPlayStation4やニンテンドースイッチのコントローラーと比べ、触り心地は安く感じ、ただでさえ軽量化頓挫からの触り心地の高級感の欠如は、実際のプレイには不親切の苦情の多かったドリームキャストのコントローラーを彷彿させる。テレビを置けない状況ならばテレビがなくても据え置きゲームをプレイはできるが、機能は限られた上、中にはスプラトゥーンやスターフォックス零など、そもそもシステム上ゲームパッド単体プレイ非対応ソフトも少なくない。なにより、DSと3DS感覚で据え置きゲーム機にまで二画面チャレンジは意欲性は高かったが、同時に開発の手間も高まってしまうことになる。実際、ノートパソコンなどをモニターなどにマルチタスクで映して作業も、作業内容次第ではかえって煩雑になる。
というよりもDSの設計開発の時点で「画面を2つ用意しても視点を動かして複数見るのは手間がかかるだけだ」と宮本茂に突っ込まれており、頭をひねってDSの形状にしたところ「これなら実質1画面と同じ使い方だから大丈夫」となったわけで過去に指摘された欠陥を再現する結果にもなっていた。そもそもDS自体、4:3の画面を二つ縦に並べることで、スマートフォンの縦画面に構成が似ていたから革新的だったのかもしれない。

キラータイトルには、DS、Wii、3DSに続けて、Newスーパーマリオシリーズ新作(それぞれ無印、Wii、2、WiiU版はU)を同時発売に投入し、スイッチ版のリメイクのUデラックスを2019年発売までには最終的には120万本余りヒットはしたものの、3DSまで立て続けにNewスーパーを連投した反動からか、無印の600万本超えやWiiの400万本超えは特例としても、3DSの200万本超えに肩並べまでは届かなかった。ハード機能特化ソフトの『ニンテンドーランド』も、前回の『はじめてのWii』より革新的なゲームパッド操作などが盛り込まれたが、ボリュームも継続的なPVも不足したのかほとんど売れていない。スイッチの『1-2スイッチ』よりも認知度も怪しい。
一応、本体同時発売のサードパーティものには、プレイステーションを彷彿させる1人用年齢制限もの(ニンジャガイデンなど)も出たが、それらの多くもプレイステーション3に移植されてしまうのが、過去にセガサターンソフトがプレイステーションに、ゲームキューブソフトがプレイステーション2に移植の繰り返しとなってしまった。

WiiUのCPUにはパワーPC系が採用されており、消費電力を抑えた経費面の優れものではあるが、代償に新世代のゲーミングPCほどは馬力も新ソフト開発にも不向きとなり、残念ながらこの時点で時代遅れの旧型CPUであった。ではなぜIBMはゲームキューブで任天堂にCPUを提供したのだろうか?そう、つまり2006年に任天堂、ソニー、マイクロソフト全部にPowerPCを提供したゲーム業界の勝者はIBMであり、PowerPCが古くなり、WiiUでその問題を晒したことで事実上勝ち逃げしたのである。
メモリならばプレイステーション3よりはるかに高い2GBだが、メモリ勝負でも間も無くプレイステーション4の8GBやゲーミングPCの16GBに抜かれたのは災難としかいいようがない。*9

総評として、Wiiとの互換性は成功したが、古いCPUカスタマイズの結果は、新興のゲーミングPCやそれに倣ったプレイステーション4では活かせる最新技術も活かせず、ゲームキューブ時代やWii時代のゲームエンジンなどは活かせても最先端のそれらとは相性を悪くした。古いCPU延命ゆえの失敗で、実際に1990〜2010年ごろに作られたパワーPC系のパソコン用のソフトは、大抵は2023年現在のパソコンには対応できる代物ではない。逆もしかりである。
しかし、マイクロソフトはそれでも2015~2021年にかけてXboxOneにCPU上の互換性がない360の作品を移植する試みを行っていたことはあまり知られていない。Oneには360のソフトの一部*10をそれでも600作ほど搭載することに成功している。つまりWiiUやPS3もエミュレーターさえ誰かが開発すれば理論上はPCでもプレイできる。この影響でバンジョーとカズーイの大冒険などを移植できたおかけで、XboxOneだけでRARE社のN64移植作品をほぼ全部プレイできる「レアリプレイ」という作品も発売された。


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最終更新:2024年04月15日 04:35

*1 当時はPS3が全盛期すぎたため、同時移植の魅力が薄くなりすぎた。ただし、性能的にはPS3がグラフィック面と開発で最も難易度が高いことは内緒である。

*2 ただし日本での話であって、海外では日本の2~3倍くらいのソフト量が最終的に出そろうことになった。当然ながらWiiU本体にはリージョンロックがかかっているので海外のソフトを挿入して遊ぶことはできないが。

*3 UBIソフトが開発。なんだかんだあってウォッチドッグスジャストダンスでソフト供給はしばらく続いた。

*4 つまりNintendo Switchが発売された時期と同時期にソフトの出る速度が全盛期になっている。

*5 供給が減ったことで本体の中古価格が大きく向上したほか、一時期はどの店舗でもWiiUが売り切れて新品が入手できないという状態に発展している

*6 余談だが次世代機であるNintendo Switchではこれらアナログ端子がオミットされているので、WiiUがアナログ端子に対応している最後のハードである。

*7 任天堂ハードは自社の有力タイトルがハード普及に大きく貢献する為、自社タイトル不足→ハードが普及しない→マルチタイトルが来ないという状態に陥っていた。

*8 ただしその後のPS4/XboxOne系ソフトは一本のゲームに100GB以上使用することがザラになることも増え、容量が膨大化しすぎたのでニンテンドースイッチでも移植するのが難しいケースが生じることも増えている。そのためスイッチはインディーゲームをよく発売している。

*9 そもそもWiiUに搭載された32bitCPUは理論上でも4GBまでしかメモリを搭載できない。64bitCPUはシステムが根本的に32bitと異なるため、リソースも膨大化することからメモリを8GB以上搭載することは義務であるとしか言いようがない。そのうえ4Kに対応したゲーム機を開発するのであれば、1.5倍の12GB以上は搭載しないと動作がかなりきつくなる。

*10 ほとんど洋ゲーであり、オンラインプレイも可能。ギャルゲーはリージョンロックが撤廃された都合上から倫理的問題で移植できないばかりだったらしく、移植に成功したのはシュタインズ・ゲートやCLANNADなどの5本程度である。