SCP-096

登録日: 2016/11/13 Sun 01:10:22
更新日:2024/01/19 Fri 21:22:05
所要時間:約 8 分で読めます






えーと、俺はその時決してアレの顔を見なかった。だが部下たちは見てしまった、そして高いツケを払わされた。



画像出典:http://www.scp-wiki.net/incident-096-1-a ,by Communism will win,2016/11/12閲覧
この画像は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。


SCP-096はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)の一つである。
オブジェクトクラスはEuclid。

項目名は『The "Shy Guy"』で日本語訳も『”シャイガイ”』。

概要


誰にだって見られたくないものはある。


SCP-096は人型実体。
「シャイガイ」の名に恥じない恥ずかしがりやさん。
どれだけ恥ずかしがりやさんかというと、恥ずかしさのあまり自分の顔を見たやつをどこまでも追いかけて殺すレベルで。

ちなみに本当に恥ずかしがっているのかは正直わからない。コミュニケーションそのものが取れないのである。
「彼の姿を見る」、あるいは「彼が写っている写真・映像を視認する」ことでこの恥ずかしがりやさんは
ひどく苦悶し、顔を両手で多い、泣き叫び、そして見た奴が地球上のどこにいようが「最低でも」35km/hの猛スピードで
察知して追いかけて追いかけて追いかけて謎の方法*1でぶち殺す。シャイっていうレベルを超えている。
追いかける時には本人は顔を隠そうとしないので、脱走を許すと二次被害がガンガン広がる。

なお絵画を通してはこの現象は発生しない。

このため、その特性とは裏腹にどういう見た目をしているかは実はわかっている。
身長は2.3mを超え、両腕も1.5mくらいある。
顎は平均的な人間の4倍の大きさに開くことができ、目を除いて色素がない人間の姿をしており、
目が見えているかはよくわからないが、脳はおそらく未発達で知性は欠如していると考えられている。
そして35km/h以上のスピードが出るくせに筋肉が少なく、どうやら栄養失調のようだ。
ただし叫ぶ際に「支離滅裂なこと」を叫ぶと記載があるので、何かしらの言葉は話す模様。
まあ理解する前に死んでしまうわけだが。
多分内容的に顔を見たことに対する怒りなのだろう
しかも彼の進行はどうやっても妨げられないらしい。閉じ込めてても駄目ということなんだろうか。

なお彼は財団の記録上では唯一の例外を除き、顔を見た奴はみんな死んだ。
例外が誰かって?そらみんなだいすきクソトカゲだよ。



『標的との鬼ごっこ』


初期捜索とかクソだな。技術屋は最低限の事しか話さねえ、アンタはいいよな全部聞けるんだろ。
俺らには"標的との鬼ごっこ"としか言わねえ。顔を見るなとすら伝えられなかった。

このSCP-096を捕らえるために捜索隊Zulu9-Aが派遣された。
ただこの捜索隊にはなんと財団は「顔を見るな」ということすら伝えなかったようだ。
財団が把握してなかった可能性もあるが上述の隊長のセリフからするに本当に何も言ってくれなかった模様だ。

隊長は何の偶然なのか、結局その死闘の間一度も顔を見なかった。部下は見てしまって全員死んでしまった。
SCP-096は裸のくせに雪山でも動きは鈍らず、意味不明な人間のそれに近い叫び声を上げ、
銃も対戦車砲もまったく効かなかったようで、なんとか座り込ませて後続部隊によって捕獲された。
インタビューを終え、隊長は完全にトラウマになっており、退職したようだ。

さてそのインタビューをした博士は即刻の終了処分を申請したのだが…。



こっからが本番である。



SCP-096は収容され、以下のような特別収容プロトコルで収容されていた。
SCP-096は常に5m×5m×5mの鋼鉄製の密封された独房に収容されています。週に1回、独房に裂け目や穴ができていないか検査します。SCP-096の独房の中に監視カメラや光学的道具を設置してはいけません。保全員は設置されている圧力センサとレーザ検出器で独房の中のSCP-096をチェックしてください。

そして職員たちがSCP-096の様子を調べるために、センサの測定値を見ていたが…
その瞬間、なにかしらの理由でSCP-096は鋼鉄の収容房をひん曲げて逃亡してしまった。
セキュリティ部隊が向かうが90%が彼の顔を見てしまい、結末までは書いてはないがそれはそれは大惨事になったのだろう。
SCP-096は収容サイト外の砂漠に逃走。

さてここでこのサイトにいたオルクシー博士という人がいる。
インタビューを載せておこう。
<記録開始>
ビデオインタビュー記録096-1-A
[オルクシー博士はとても落ち着いて、覚悟した様子で、すべての質問にゆっくり、慎重に答える]

質問者: 脱走時何処にいたのですか?
オルクシー博士: 脱走時か、コーヒーを飲んでいたよ。収容エリアにいなくて本当に幸いでした。
質問者: 脱走後のあなたの行動を教えてください。
オルクシー博士: ぼくはエコー・ロメオ-アクチュアルにSCP-096を追跡させ、ダン博士に状況を報告しました。それからぼくたちはSCP-096-1を探す仕事に取り掛かりました。SCP-096が向かっている大体の方向が決まったらすぐに、SCP-096の進行経路にある居住地域から人を避難させるために機動部隊タウ-1を派遣しました。すべて収容プロトコルに従っています。
<記録終了>

え、なんで引用したのかって?あとでわかる。

次はダニエル・█████博士。彼はその後はダン博士と原文には書いてあるのでここでもダン博士と呼ぶ。
ダン博士はオルクシー博士とともにとあるゴーグルを開発していた。SCRAMBLEというゴーグル。
これはSCP-096を見た際に映像を一瞬で編集し、頭だけ隠すというもの。だがどうやらうまく作動しなかったようだ。
彼はオルクシー博士を残し一人山岳地帯に向かっていた。例のSCP-096が発見された雪山である。

さてSCP-096はその後とある街に逃走。その際に通りかかった市民たちが彼を見た。
…見たというのは正確なのだろうか、実際には「網膜に一瞬写った」。
だから市民たちからしたら実質何も見えてない。だが車が何台も壊されており、おそらくドライバーは皆殺しになったのだろう。
その後も街でいろいろ騒乱が起きたのだが、多分書かなくても大体わかるだろう。

さて先程のSCRAMBLEなのだが、現場の兵士にとっては意味がなかった、つまり部隊が3人を残して壊滅。
「別にやつの顔に袋をかぶせろじゃ駄目なのかクソ野郎」とまで言われたがそれに対してダン博士は激昂。
「あ?網膜に映ったらこっちが見たと把握してなくったってアウトだってわからんかったんだ!、
それに写真はあちこちにある、本体に袋被せても解決策にならねえんだよ!!(要約)」
みたいなことを言い放つまでに。

なお途中でCNNが何かを報道しようとしてたのでカメラを機動部隊が止めさせた。機動部隊GJ。
もしなにか映ったら世界中が死ぬ。


…さて。オルクシー博士の話に戻る。

<記録開始>
オルクシー博士: これで終了ですか?
質問者: 最後に1つ質問、と言うよりもそのままの意見を。おかしな話ですが、研究サイト██には休憩室がありませんよね。コーヒーもです。

[回答者は沈黙したまま。]

質問者: もうそろそろお話しいただけると良いのですが。

[残りのビデオインタビュー記録096-1-Aは編集]
<記録終了>



…ん?




…もうカンのいい人はわかると思うが、実はダン博士とオルクシー博士は、SCP-096を即刻終了させたかった。
写真を見ただけでアウトな化物が「収容できている」だなんて考えられないためである。
…が、おそらくはすぐに申請が通らなかったのだろう。

だが彼らはある情報を掴んでいた。







…この化物、なんと写真にたった4ピクセルしか写っていなくても「顔を見た」判定が降りるのだ






とある雪山で男性がとった記念写真。彼は通例写真の自分の部分しか見ていなかったのだろう。
数年越しに写真を見て、おそらく「SCP-096が映った部分」も見てしまった。それも、SCP-096が映ったと自分が認識していないまま、
この恥ずかしがりやさんに殺されたのだ。






ダン博士とオルクシー博士は一計を案じた。
「だったら意図的に収容違反を起こせば、終了処分を出させることが出来るんじゃないか?」

つまりこの大騒乱は全部二人が引き起こしたこと。
もちろん彼らがやらなくても結果的に似たことは起きたかもしれないが、
少なくともだからって彼ら二人がやらかしたことは許されるべきではない。

O5はダン博士に「博士のSCP-096終了申請は通そう。あのままじゃ危険だからな。だがもちろんそのあとは君だ(要約)」と告げた。
こうして、ダン博士はSCP-096の終了許可を、自らの命と引換に取り付けたのであった。



…え、ところでその雪山の写真ってどれだよ、って?
見たでしょみなさんも。そうだよ一番上の写真だよ。その黄色のマルのなかに4ピクセル…

…と言いたいところだが、実のところ上の写真は財団が回収した後にSCP-096の存在する4ピクセルを削除したものであり、穴が空くほど見つめたところでSCP-096がやって来るようなことはない。
ご安心を。

追記・修正はSCP-096を終了してからお願いします。


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最終更新:2024年01月19日 21:22
添付ファイル

*1 報告書に書いてないという意味で。おそらくどういう殺し方をするのか自体は判明している。