ミーム(SCP Foundation)

登録日: 2016/11/11 Fri 13:24:28
更新日:2023/12/07 Thu 23:00:04
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ここでは、SCP Foundationの世界を理解する上で必要な知識であるところの『ミーム』を
財団的にどう捉えているのかについて解説する。
なお人によってヘッドカノン*1が変わるため、全ての人が納得するミームの説明になり得ない場合がある。
この辺は異論があれば書き足して欲しい。


「ミーム」という概念の導入

そもそも「ミーム」という言葉は、財団が産みだした言葉ではなく、
リチャード・ドーキンスという進化生物学・動物行動学の権威が産みだした言葉である。
彼はギリシャ語の「mim(模倣する)」から語根を取り、「mimeme(模倣素)」という言葉を生み出したが、
「ジーン(gene)」という感じの語感に近づけたかったため、「meme」と縮めたのである。

彼は「情報」を伝えることそのものを、自身の専門分野であるところの生物の遺伝と対比し、
共通項を見出そうとした。そこでミームという概念を導入した。

ドーキンスが『利己的な遺伝子』で出した例で(比較的)分かりやすいのは「鳥の鳴き声」。
物凄くざっくり言うと、「鳥って他の鳥の鳴き声を真似するから、同じ群れの鳥はだいたい同じように鳴くよね!」みたいな話。

この「文化や規範によって習慣や技能・物語などが伝染していき、人の行動に影響を及ぼす」という概念は、
非常に物事を解釈するのに都合が良かったために多くの科学・哲学分野で採用された。
まさしく「『ミーム』という概念もまた伝染したミームである」という感じである。

…が、それだけ多くの分野によって使われれば、当然分野ごとにより深化し、分野ごとに違う意味合いを持ちうるようになり、
そしてそれらすべてを解説し切ることはほぼ不可能である。

そこで財団ではミームをとりあえずどう解釈しているのか、を取り上げてみる。
これさえわかればSCP記事を読む時すんなり読めると思う。

財団における「ミーム」

財団においては、ざっくり「人の言動に影響を及ぼすなにかしらの要素」と認識しておけばぶっちゃけ大概のSCPを理解できる。
ただこれだけだと誤解も生じるので少しだけ解説しておく。

上述の通り、ミームは「知識・情報・規範によってその人の行動に影響すること」を指す。
つまり魔法のようなものでもなければオーラのようなものでもない。

例えばあなたは法律を守って生きているだろうか。なぜ守っているのか?
「法律を守るのは義務だから?」そうだね、それがミームだ。
法律を守ることを義務だと知っていなければ、あなたは法律を守るはずがないからだ。

例えばAさんは誰もいないところでもポイ捨てしたりしないいい人だとする。
Aさんに何故そうするんだと聞くと「人が見てなくても神様は見ていますよ」という。
…これも『宗教』というミームである。

ミームはでかいものであれば文化・政治イデオロギー・信仰心といったもの、
小さいものならばポケモンの個体値やちょっとしたクラスメートのうわさ話、デマなど多岐にわたる。

そしてそれらによって、「行動様式が自然と変わってしまう」。
日本人はご飯を食べる前に、なんということもなく手を合わせていただきますというし、
アメリカ人は家を出るときに、奥さんとキスをしてから出て行くのだ。
これも文化というミームである。

ミームは認識にも当然影響を及ぼす。
例えば「長門は俺の嫁」といった文章を書いたとする。
あなたがイメージした長門は「プライドの高いビッグセブン戦艦娘」だろうか?
でもかつては「情報統合思念体の端末」だったはずである。
「イヤーッ!」という叫びを聞いてニンジャのシャウトと捉えただろうか?
でもそれは、「襲われている女性の悲鳴」として書いたつもりだったんだ。
こういった「認識を上書きされてそうとしか認識できなくなるようにしてしまう」ことを「ミーム汚染」と呼ぶ。

そして汚染されたミームに人は「感染」し、そしてそれらを別の人に「伝染」させる。
今となっては「なんでも」という四文字を見て、「ん?今なんでもって(ry」と返す人が多いことだろう。

ミームはやがて変質していき、似たような事例に転化して行ったり、
別の形式を取るようになることもある。

このことから「複製・伝達・変異」するという遺伝子の性質と情報を重ねあわせ、
「遺伝子と同等のふるまいをみせる『生物的ではないなにか』」を指すものをミームとして理解すればいい。


頭が???で埋まった人のために

ここで『SCP-2536-JP-J - 模範的ミーム』というオブジェクトを解説してみよう。

SCP-2536-JP-Jは、非常に凶悪なミーム的性質を持ったメッセージです。詳細は不明ですが、「このメッセージを複製せよ」という命令が記されていることが知られています。SCP-2536-JP-Jを読み、理解することができた人間(SCP-2536-JP-J-2に分類されます)がSCP-2536-JP-Jを複製し自分以外の誰かに読ませるという動作を介して伝染し、SCP-2536-JP-J-2がそうしない場合何らかの「SCP-2536-JP-J-2にとって望ましくない事象」がSCP-2536-JP-J-2にもたらされることがわかっています。SCP-2536-JP-J-2によって複製されたSCP-2536-JP-Jと同一の内容の文章(SCP-2536-JP-J-1に分類されます)の文章は、SCP-2536-JP-Jとほとんど全く同じ性質を持ちます。
また、SCP-2536-JP-J-2がSCP-2536-JP-J-1を作成するときに、まれに内容が変化する場合があります。このことから、SCP-2536-JP-Jは環境に適応するための柔軟な変異能力を持っていると推測されます。ほとんどの場合異常性に影響はありませんが、より凶悪な性質を持つもの、異常性を失ったものが確認されています。

これ、何を表しているか気付いただろうか?
そう、「不幸の手紙」というやつである。

不幸の手紙は「これと同じ手紙をいついつまでに何人に送れ、さもないとこういう不幸になるぞ」という手紙であるが、
手紙それ自体は別になにかしらの強制力を持つわけではない(このオブジェクトは持っているようだが、それは一旦置いておく)。
しかしその「ただの紙っきれ」にたいして、もし「怖い」と思ったり、あるいは「面白い」と思うと、その人は指示通りに送るわけだ。

そしてミームの特性である「別の形式」というのは不幸の手紙がやがて「チェーンメール」になっていくようなものであり、
そのものが変質するというのは例えばそれが「不幸の手紙」から「棒の手紙」になっていくようなものである。

それでもよくわからないというなら一言で言おう。


ミームとは乱暴に言えば「常識」「固定観念」である。そしてミームは、同じ情報=常識を得た存在へと広がっていく。
要するに財団世界におけるミーム災害とは、「感染力を持った異常な情報による、認識や記憶の歪曲とそれに伴う行動」である。本来ミームの変質は、時間をかけてゆっくりと行われる。それを、強制的に書き換えて新しい常識を曝露者の中に作ってしまうのが、ミーム汚染なのである。
空気や飛沫内ではなく情報に宿るウイルス、と言うとわかりやすいだろうか。
あくまで異常な「情報」というのがミソである。誰が言ったものかを問わないのがミームなのだ。


あと、感染力と言うと勘違いされやすいが、ミーム(≒常識)は人から人へと移動することができるが、ミームそれ自体は自力で勝手に人から人に移ったりはしない。
上で挙げた不幸の手紙にしたって、「他の人に回さないと不幸になる」、つまり「誰かに伝えろ」という指示が書いてあって、それに影響された人が誰かに回すからこそ伝わるのであって、ミームを移動させるのはあくまで人間なのである。
たとえば、上の不幸の手紙の文面が「これを読んだ人がこの手紙のことを誰かに教えたら死ぬ」だったなら、読んだ人は「手紙のことは秘密にしよう」と考えるはず……つまり、「不幸の手紙のことを言えない」というミームに感染するのだ。





「ミーム」の恐ろしさ

ミームはなんの防護服でも防げない。テレキル合金が何の役に立つというのだ?
あなたが「見て、聞いて、知って」それを「理解」してしまうことで、ミームに感染する。
そして人間はゆりかごから墓場まで、ずっとミームに感染し続ける。

朝起きて家族におはようという。これもミームの影響である。
外に出るときは服を着る。これもミームの影響である。
そうかと思えば低個体値のポケモンは逃がす?やっぱりミームの影響である。
元旦には初詣?童貞であることをコンプレックスにしている?
寝るときはTwitterに「無限に練りをしますつ」と書いてから寝る?
全部ミームの影響じゃないか!

ほかにも政治や宗教的な理由によるテロリズムとか、物騒だがミームなんだから当然悪い方にも作用する。
差別とかいじめとかだってミームの影響である。
「なんか俺達と違うやつがいる、キモい」というのも「認識」するから起きるのである。
そもそも現実でもミーム災害は既にいくつも起きている。
西洋史における「魔女狩り」などはまさにその好例で、
「悪い事が起きたらそれは魔女の仕業」というミームが引き起こした認識の歪曲とそれに伴った虐殺である。

そして財団はミーム的なオブジェクト(ミーマチックオブジェクト)を多数収容しているが、
SCiPがまともなはずがないので、こういったミーム的なオブジェクトは大概悪い方に作用する。

じゃあどうしたらいいんだよって?

強大な存在がピンクのナイトガウンを羽織っていると想像してみて下さい。呪いの絵には口ひげを加えましょう。
石の祭壇には排泄物をぶっかけてやります。恐ろしい彫刻は愉快な絵柄に変えてアクセサリーにしてみましょう。
それでも上手くいかないならもう諦めて下さい。冗談で言ってるわけじゃありません。こういうテクニックは本当に有効なのです。

(「財団的ミーム学入門」から)
つまり、刷り込む認識そのものを変えてしまう、言い換えればこっちもミーム汚染で対抗すればいいのである。
実際、暗闇に潜む恐るべき暗殺者を 萌えキャラとして 刷り込み直す事で封じ込めに成功したSCP-835-JPという例も存在する。

間違えやすいこと

「ミーム的である(ミーマチックオブジェクトである)」ことと、「精神的な作用がある」ことはイコールではない
例えば、『SCP-1025 - Encyclopedia of Diseases (病気百科事典)』は
読んだ人がそのページに書いてある病気の症状を示すようになると周囲が錯覚する(実際にその病気になっているわけでもないのに)。
しかしそれを聞いた人が別にそっから更に異常性を拡散していくというわけではない。
よってSCP-1025はミーム的であるか?というと認識災害ではあるが伝染はしない。
「それを拡散し始めて」はじめてミーム的であると言えるのだ。

これはSCP-096SCP-513も似たような部類である。
「見たら終わり」「聞いたら終わり」だが、「拡散しない」のでミーム的であるとは言えないのだ。

だが本部職員でも混同してしまいがちなことが多いために、
当然他国支部でも混同してしまうことは多い。
これはSCPオブジェクトである以上、「通例ミームと考えられる範疇を当たり前のように飛び越えてくる」ことが多いためであろう。
SCP-701 - The Hanged King's Tragedy(吊られた王の悲劇)』なんてまさにそれで、
「ミームの伝染方法」として「いきなり劇台本が高校・大学の図書館に出現したり、違うタイトルで隠された台本がオンラインで流布され」
「演じているうちにミームに感染し」役者たちや観客たちが暴動や傷害・あるいは自殺に及ぶのである。
流石にこんなミーマチックオブジェクト、SCP世界じゃないとでてこないでしょう…。



オブジェクトが引き起こすミーマチックな問題・災害

分類はある程度恣意的であり、しかも「他のにも当てはまるだろう」というものが多いが
(というか単体だけで終わらないからこそSCPと言えるのだが)その分類ごとにその側面が強いものを
いくつかピックアップしている。

オブジェクトによっては項目が作成済みのものもあるため、そういうものに関しては詳しい解説をそっちに譲る。

認識そのものを変えてしまうもの

  • SCP-040-JP - ねこですよろしくおねがいします
SCP-040-JPはとある県のとある村にある井戸小屋である。
小屋の中の井戸(深さ不明)を覗き込んだ人は「”ねこ”がいる」と認識し、
それ以降、イエネコ(普通のねこのこと)をこの”ねこ”と認識し始める。

更に、ねこを他者に伝達しようとしてねこはいますそこにいるということを伝えようとする。
それを理解した人もきいてますかまたこのミーム(ねこ)の影響下におかれる

よろしくおねがいします

メモ

  • SCP-2602, which used to be a library - Exbibliothetic (旧・図書館)
かつて図書館だったSCP-2602は、その建物を見た人に「これはかつて図書館だった建物である」と認識させるオブジェクト。
更にそのかつて図書館だった建物がなんであるかを他者に伝えようとする際も、文章中において自然な形で
「そのオブジェクトはかつて図書館だった」ことをしきりに言及するようになる。
たとえ「図書館にふつうはないもの」がこのかつて図書館だったSCP-2602にあっても、
「しかるにこれはかつて図書館だった建物である」と結論づけてしまうようになる。

やや引き起こすミーム汚染が特殊なタイプ。
普通はミームは「認識し・それを人に伝えようとする」ことで拡散するが、
このSCP-055は「『そのオブジェクトがなんであるか』をあらゆる形で隠蔽してくる」オブジェクトである。
収容施設に行けばそのオブジェクトを見ることもできるし、映像などに残せる。
だが特性によって記憶は忘れるし、記憶媒体はもれなく失くすかデータが消去される。
そのせいで、「どうしてそういう収容施設を作り、どうしてその場所に収容したのか、そもそもどうして収容できたのか」すら
記録が失われている。再収容は絶対不可能だろう。

よって、「ある」ということだけはわかっても、「それが何でないか」という形でしか伝えられない。
そして「わからない」ことが人々に不安を与え、それを人に伝えていく。
こうして「よくわからないがなんかある」ってことがミームとして拡散していくので「反ミーム的」と称される。

  • SCP-053-JP - 存在感のない布
既存のミームに対応して効果を発揮するタイプ。
SCP-053-JPは、三重県の露店で売られていた長さ約2.3mの黒い木綿の布。顔を隠すように巻くと、周囲の人は巻いている人を認識できなくなる。騒いでも無視され、肩を叩かれても誰に叩かれたのかわからず、その際に反射的に繰り出した裏拳はクリーンヒットしても空振りしたと思い込む。写真などでも効果は同じ。
この効果は、[編集済]を知る者にだけ発動する。被験者に「なぜ気づかなかったのか」とインタビューすると、「[編集済]がそんなとこ歩いてるはずがない」「[編集済]だから見つけられるはずがない」「[編集済]の攻撃なんて避けられるはずがない」等の答えが返ってくる。つまり、SCP-053-JP着用者=ミーム[編集済]=認識不能という認識を植えつけるSCP。
ちなみにエージェントが露店の店主を捕まえようとしたところ、「我らについて多くを知る者ほど、我らにとってたやすい相手となろう。」とのコメントを残し目の前で消失した。
編集済]を知らない者には何の効果もないが、世界的に有名な[編集済]を知らない人が日本にどれだけいるのかと言うと……
汚いなさすが[編集済]きたない


行動に影響を及ぼすもの

陛下のSCP-MDLXIは最も優秀な鍛冶屋がこの地で
最も価値ある宝石を巧みに用いて作り上げた素晴らしい金色の王冠です。

陛下の王冠について話される、被られる、または記される時、この品は魔法を引き起こします。
陛下の王冠を被った下賤なる着用者は最も権威のある者と周囲に認識させ、
王冠を視界に収める位置にいた者は元々していた勤めに応じて新たな職分が与えられます。
例えばもともと警備員をしていたならばその者は王宮を守る騎士に、
科学者ならば王宮学者に、その他の平民は王宮のために働く小作人となります。

一度下賤なるD平民に被せられた際は、偉大なる啓示により断頭されるまでの三ヶ月間、
その者はサイト-[編集済]王国を統治しました。

……とまあ、こんな感じ。ちなみにコレ、ミーム的な認識災害を引き起こす典型例である。

行動を先延ばしにさせる石です。多分ミームか何かです。
あとで書き上げます。
……真面目に言うと、これはこのSCPの特性によって「行動を先延ばしにしてしまう」という特性を持つ。そして近くにあればそれだけで先延ばしにしていくという影響を及ぼす。多分ミーム的ななにかなんだろうから多分その影響が他の人にもやがて伝染していくんだろう。まあ確かにやる気のない奴が隣りにいたらやる気が減るわな。

  • SCP-426 - I am a Toaster(私はトースター)
こんにちは、私はSCP-426。誤解が無いように自己紹介させてもらうよ。
さて、早速だけど私そのものの特性は私の項目を見てくれると嬉しいな。
ここでは私そのものの特性ではなく、「この項目を見ているあなたの世界」における、
私のミーム的な影響を考察してみようか。

今私はこうして「一人称」で紹介されている。そういう特性だからだろ、って?
そうだね。でもそれって私が存在している「SCP Foundation」というシェアード・ワールドでの特性であって、
あなたの世界においては別に本来ならばそんな能力を有しているはずがないよね?

先ほど「長門」とか「イヤーッ!」って文字を見た時のミーム的な影響について解説していたね。
実はこれと同じで、本来ならば別にこれを書いている人、見ている人は特性に左右されず
私を三人称で呼ぶことだって可能なはずだ。
でも、多分コメントでも、あなたは私を「ああ、私の話か」と書いてしまうんだ。
それは「お約束」という一種のミームで、別にあなたに誰かが強制したわけでもないのに
「それを無視するのは空気が読めていない」なんて思ってしまうんだろう。

似たような例として「いきしてもいい?」ときかれて「ゆるすよ」と答えたり、
景気のいいケーキ」「きらいきらい星」というダジャレを聞いてトマトを飛ばしたり、
「猫」とか「鳥」を見ただけでSCP-040-JPSCP-444-JPが収容違反したり、
別にかつて図書館だったSCP-2602の本当の正体を考察したっていいのに「つまり…図書館ってことだな!」と書いてみたり。

そういう意味において、私はあなたの世界でもミーマチックオブジェクトと言えるんじゃないかな?


補遺:認識災害、情報災害とは

SCP初心者はこれらとミーム汚染を混同しがちだが、認識災害とミーム汚染は厳密には別物である。
「情報自体が危険をもたらす」という意味では同じだが、必ずしもこれらがミーマチックエフェクトを含んでいるわけではない。

「認識災害」は、オブジェクトについて五感のいずれかで認識した場合に発生する影響である。
SCP-444-JP-緋色の鳥よ』はその筆頭で、コイツは「存在を知ること自体が害となる」典型だが、ミーム的効果は何もない。
逆に、認識災害は起こさない=存在を知った、観て聴いてわかっただけでは何も起きないものの、ミーマチックエフェクトを持つオブジェクトもある。こっちは『SCP-2513-ともあれ、カルタゴ滅ぶべし』が典型。
混同の原因は、ミーマチックエフェクトを持ったオブジェクトは、定義の関係上総じて認識災害にカテゴライズされるのに対し、認識災害はミーム的効果を含んでいるとは限らない、ということである。

つまりミーム⊂認識災害は成立するが、認識災害⊂ミームは必ずしも成立しない、ということである。


一方、「情報災害」は、それについて記述する、言及する時に発生する影響である。
上で紹介した『SCP-426 - I am a Toaster(私はトースター)』がその一つである。これは、私について言及する・記述する際に一人称を使ってしまう、という情報災害だね。
それが広まった結果、第四の壁の向こうの世界では、「私=SCP-426について何か書く時は一人称視点から」というミーム感染が起きているわけだ。

他の一例は『SCP-1159-風鳴琴』で、これはオブジェクトについて文書化しようとすると絶対に失敗するという情報災害である。よって、音声記録によってのみデータが存在している。


ここまでの話を総括すると、

「それについての情報を書いたり言ったりしようとしたら、その内容が勝手に改変された」のが情報災害。
「見たり聞いたりする(=知覚する)ことを阻害された、あるいは見たり聞いたりした内容が実際とは異なるものだった」なら認識災害。
「見たり聞いたりしたら思考・記憶が歪められ、しかも同じことをまた聞きした人の思考・記憶も同じように狂わされた」のならミーム汚染。(ただし、見聞きしたその情報を他の誰かに伝えたくなるとは限らない。)
「見たり聞いたりしたら物理的に何かされる(例:連れ去られる、追っかけられる、爆破されるなど)」のなら、認識災害でもなんでもないただの影響。


だいたいこんな具合。





余談

このアニヲタwikiにはミーム汚染をリアルに体感できる項目が建てられている。
SCP-2472-JPの項目がそれにあたるのだが、内容が内容なので閲覧の際には注意。特に猫好きの方は控えた方がいい。
財団世界とは違って記憶処理剤なんてものはないので、一度心に傷を負ったが最後、抱えて生きていくしかない。



追記・修正は自己喧伝性感染図形のことを人々がアリソン・エッカートと認識しだしたら行ってください。
よろしくおねがいします

かしこ



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最終更新:2023年12月07日 23:00

*1 その人が作品を作る際の脳内設定のこと。ある人の中では例えば「Aは優しい女の子だ」となるが、別の人の中では「Aは猫をかぶっているが実際は悪辣な少女だ」となる。このへんの設定違いから当然描写も置き換わるわけである。