アンドロス/レッドスペースレンジャー

登録日:2016/11/06 (日) 20:28:32
更新日:2024/01/12 Fri 17:42:17
所要時間:約 9 分で読めます







アンドロスとは、パワーレンジャーシリーズ第6シーズン/第4作「パワーレンジャー・イン・スペース」に登場するレンジャーの1人。

演者:クリストファー・カイマン・リー
吹替:保志総一朗


初代からストーリーが地続きだった通称『ゾードン編』の最後の主人公であり、原作における伊達 健太/メガレッドに相当するキャラ。
他のレンジャー4人が前作『ターボ』から続投しているのと異なり、彼自身は『インスペース』において新たに物語に加わった戦士である。
吹き替えの保志は後に日本の戦隊『炎神戦隊ゴーオンジャー』の炎神バルカの声でレギュラー出演することになる。


○経歴


惑星KO-35出身の宇宙人。サイコキネシスが使え、軽い物なら自在に操れる。
彼の故郷は高度な技術力を持ち、かつて宇宙の善の勢力のリーダーであるゾードンと同盟を結び、
ゾード(戦隊の巨大戦力)の技術を提供した経緯を持つため、パワーレンジャー関連の装備を一式所有していた。

だが、故郷であるKO-35を悪の勢力に蹂躙され、妹のカローンも連れ去らわれ、
親友であるゼインは激しい戦いの中で重傷を負い、いつ目覚めるとも知れぬコールドスリープを余儀なくされたため、
長年に渡って孤独な戦いを強いられていた。
そんなある日、ゾードンがダーク・スペクターに捕らわれるという緊急事態が発生。
単身で敵の本拠地に乗り込んだアンドロスはゾードンの情報を奪取して、彼を救う算段を立てていたところで、
同じくゾードンを助けるために『地球』という惑星から飛び立ってきたTJ達と出会ったことから『インスペース』の物語は始まる。


当初は、技術力が低い文明の出身者であるうえに『ターボ』の戦いで戦力を全て失ったにもかかわらず、
アンドロスの共闘を申し出る彼らの主張を「無謀すぎる」と至極真っ当な理由で却下。
彼らの身の安全を優先して地球に送り返そうとするが、アルファ6の説得を聞き方針を変える。
だが、TJ達がダーク・スペクターの腹心であるアストロ・ネマに捕らわれる事態が発生。
救出に向かったアンドロスは、TJ達に変身道具「アストロモーファー」を託し、戦う力を与える。
かくして、新たなヒーロー「スペースパワーレンジャー」が誕生したのである。



【キャラクター】


一見するとクールな人物だが、その実かなりの猪突猛進な激情家。
また、長年1人で戦っていたためか、一匹狼的気質の持ち主であり、戦隊のキャラでありながら単独行動を好む。
悲惨な過去の影響なのか極めて強い正義感を持つが、この気質のせいで何かと自分1人で物事を背負いがちである。
これらの性格が相まって、他の仲間達の総意よりも自分の判断や感情を優先する事が多々あり、それが原因で足を引っ張ることもあった。

だが、これはかつて大切な人物を立て続けに失ったトラウマから周囲との繋がりを忌諱していることが根幹にあるのが、作中の節々から読み取れる。
特に、カローンの一件は彼の心に多大な傷を負わせたようであり、彼女絡みの戦いになると途端に平静さを失うことが多い。
また、長期に渡って1人で戦ってきたことで、その戦い方に慣れきってしまっており、
「1人よりみんなで戦った方が強いのは分かるが、そこに自分が加わる意義が見出せない」と、本人なりに思い悩む事もあった。


この辺は、他のパワーレンジャー達と戦いに加わった背景の違いが大きいと考えられる。
ゾードン編のレンジャーは、ほとんどがゾードンからスカウトされた上でそれを了承して戦いに加わっている。
しかしアンドロスは母星を侵略されたうえに仲間を失い、文字通り戦わなければ生き残れない環境下にいたのである。
同じ目的を持っているというだけで、彼の過去や戦う背景の違いをよく考えずに同じサイドとして接していた地球のレンジャーにも問題がある。
勿論、考え方の違いを理解しながら、自発的に歩み寄ろうとしなかったアンドロスの態度に問題があるのも事実だが。
なお、身内が絡んでいないところでは無関係な人々をなるべく巻き込まないようにするなど、ストイックな姿勢が強くなる。


総評して、『チームワークが無い』というよりも『チームワークを学ぶ機会が無かった』戦士と言える。
特に、TJ達との交流を通じて成長していった精神面とは対照的に、単独行動癖は最終回まで一切治ることはなかった。
もっとも、そんな一匹狼キャラ故にアンドロスと仲間達が徐々に絆を深めていく描写は感慨深い。
普段の孤高な姿勢も時には事態を打破するきっかけになることもあり一概に悪いとは言えず、
特に最終回では単独行動のおかげで、宇宙の命運を担う重大な決断を任されることになる。


多くの主要キャラクターが「地球を守る」という目的で戦うスーパー戦隊シリーズにおいて、
己の「宿命」を戦う動機として、かつその姿勢を一貫し続けた希少なキャラクターである。


余談だが、作中で唯一日本語を発するシーンがある。

『サヨナラ』


【戦闘力】

アンドロスを語る上で欠かせないのが彼の戦いっぷりである。
なぜなら、このアンドロスというキャラクターは、


強いのである。



超 強いのである。




異星人であることを考慮しても、他のスペースレンジャーとは一線を敷く戦闘力を有している。
その根拠を上げて見ると



  • ①歴代ラスボス達がいる敵本陣に単身乗り込んで逃げ切る
『インスペース』1話で行った、今だ向こうの国のファンに語り継がれる大暴挙。
一応、真正面から殴り込んだわけではなく、情報収集のために潜入していたのがバレて撤退、という形ではあったが、
歴代ラスボスクラスが勢揃いした宴会場のど真ん中で正体がバレたにもかかわらず、ほとんど無傷で逃げ延びたのはどの道とんでもないことだろう。
敵が混乱していたとはいえ、歴代のラスボスクラスの敵複数と対峙したのは、シリーズの中でもアンドロスが唯一である。
まぁ、ラスボス達が結託したのも『インスペース』が唯一ではあるが……。



  • ②平常時にはボスクラスの幹部をフルボッコ
アンドロスは、劇中でダーコンダ(ギレール)やエクリプター(ユガンデ)など最高幹部クラスの敵をタイマンで圧倒している。
特に、エクリプターは最終話ではカローンを死なせた件で殺す気マンマンだったにもかかわらず、ほとんど何もできないまま打ちのめされている。
なお、エクリプターは、あくまで自分の意志でカローンの下についているだけであり、本来の実力はカローンと同等以上、
歴代ラスボスクラスであると劇中で公言されている。そして、彼と互角に戦えるダーコンダも同じである。



  • ③幹部以上との戦いに強化形態を使わない
なんと、上記のボスレベルの幹部を倒す時すら、通常形態のままである。
一応強化形態「バトライザー」の力を恐れて多用しないという設定があるのだが、
通常形態で圧倒できるなら、使ってれば倒すチャンスはいくらでもあったんじゃ…………。
え、流用の都合? ……ナンノコトデショウ?




これらを考慮すると、アンドロスは単身で悪の組織のボスクラスの実力を持っていることになる。
ただし、動揺すると途端に普段の戦闘力を発揮できなくなる悪癖があるため、その実力にはムラが大きい。
「平常時には」と形容したのも、この悪癖のためである。

最終話では圧勝していたエクリプターにも、序盤の戦いではカローンをダシに誘き出された動揺を引きずり完敗しており、
サイコレンジャー(ネジレンジャー)登場時も、初戦は自分に化けた相手にやっぱり動揺して圧倒されている。
ゼイン登場回では、傍の宇宙船にいるコールドスリープ状態のゼインの身を案じるあまり戦いに集中できず、一般怪人に追い詰められている。


野球で例えるなら「チームナンバー1の能力を持つが、精神的に未熟なエース」。
これを「実力は劣るが精神的に成熟しているリーダー」のTJがフォローに回る感じで、戦いが進む事が多い。


このように苦戦することも多い半面、興が乗った時は強敵だろうがワンサイドで圧倒するため、
向こうの国のファンからは今なお(動揺状態で無ければ)パワレン最強の戦士として度々名が挙がる。


実際敵からは宇宙征服における最大の障害として他のレンジャー以上に危険視されており、
とりわけエクリプターは、アンドロスだけをターゲットにして戦うことも多かった。



【メタ話】


実は『インスペース』は前作『ターボ』の不振により、パワレン完結編の予定で制作されており、
制作陣は風呂敷を畳むと同時に、採算が合うように大幅なテコ入れを余儀なくされていた。
そこで制作陣はまず前作の後半主人公だったTJを準主人公に降格させて、新主人公のアンドロスを起用したのである。

とはいえ、フツーの脚本ではそれまでレギュラーとして出番があったキャラにアンドロスが存在感を食われかねず、
かといって、あんまりアンドロスだけに見せ場を作っては前作のレギュラー達がかませ化するように見えるので、
スタッフはその辺を踏まえてデリケートにストーリーを作る必要があった。

そこでスタッフはアンドロスを「最強の実力を持つが精神的に未熟」という立ち位置にしてそれをTJサポートする形をとり、
前作主人公の顔を立てつつ、近作の主人公にもちゃんと見せ場があるような関係を作ったのである。
同時にアンドロスには、

  • パワレン初の主人公のライバルヴィラン・エクリプターの登場
  • 妹のカローンを巡るイザコザ
  • バトライザーの導入

などの要素を与えて、前作のレギュラーに負けないほどの個性を作ったのである。
(意外かもしれないが、パワレンでキャラのプライベートな部分が物語の本筋に絡むのはアンドロスが初である)


これらの工夫が功を奏してアンドロスは人気を博し、『インスペース』はシリーズの打ち切りを回避する程のヒット作となった。
同時にサバンは従来の制作方針の限界を実感し、同時に日本の戦隊シリーズで毎年役者が変わる理由を理解したのである。
それまでのパワレンでは戦隊が変わっても世界観は同じで役者は大体続投していたのだが『インスペース』以降は日本と同じ形式になり、
次回作『ロストギャラクシー』の成功を以って、それが正しかった事を証明したのだった。




【装備・戦力】


Let’s Rocket!!


3・3・5


MORPHING
COMPLETE

○レッドスペースレンジャー
アンドロスが変身する赤色の戦士。
他のレンジャーとの規格は同じだが変身者が桁違いに強いため、結果的に他の連中とは別次元の戦闘力を誇る。またアンドロスはサイコキネシスが使える為、そちらも希に使用する(作中の一例としては手元から離れた場所に落ちているアストロブラスターを引き寄せている)。



  • アストロ・モーファー(デジタイザー)
スペースレンジャーの変身道具。
変身時には日本と同様カバーを開けて3・3・5のナンバーを打ち込む必要がある。


  • アストロブラスター(メガスナイパー)
銃型の共通武器。原典同様に2つの銃(メガマグナム・メガショット)に分離できる。


  • スパイラルセイバー(ドリルセイバー)
レッドレンジャーの専用武器。他4人の武器と異なり、他メンバーの武器と合体せずとも必殺技を放てる(原典でのスクリュー・ドリルセイバーとセイバースラッシュ。後者はゾードンに放っている)。
1人で戦ってきたアンドロスが合体武器持っているのもおかしいので設定通りとも言えるが、ある意味彼の孤高振りを象徴する武器である。
ハブラレッド感があるメガレッドよりもあってるという声も


  • スパイラルセイバー・ブラスターモード(ドリルスナイパー/ドリルスナイパーカスタム)
スパイラルセイバーとアストロブラスターを合体させた必殺技形態。


  • ギャラクシーグライダー(サイバースライダー)
サーフボード型の乗り物。
学園モノからスペースオペラに題材が変わったことで、宇宙用の移動手段としてかなり出番が増えている。


  • バトライザー(バトルライザー)
デルタメガシップのコントローラーのデバイス。3つボタンがあり、それぞれを押すことで特殊な機能を発揮できる。
原典とは違い、こちらは完全にアンドロス専用装備となっている。
「01」→身体能力の強化。変身前でも使用でき、劇中では特にパンチ技が多用された。
「02」→強力なレーザーを発射できる。
「03」→レッド・バトライズド・レンジャーに変身する。



  • レッド・バトライズド・レンジャー
レッドレンジャーの最強形態。日本版にないオリジナルの強化形態「バトライザー」の第1号である。
全体的なシルエットはマッシッヴになり、背中には巨大な翼が追加されている。
単体で大気圏を突破できるほどの飛行能力を持つ他、基礎能力も大幅に向上しており、スパイラルセイバーを一振りするだけで雷撃を纏った斬撃を放ち、多数の戦闘員を秒殺するほどである。
左腕にはフィン形状のガントレットが追加され、アンドロスのサイコキネシスのパワーを格段に強化し、複数の敵の武器を奪っている。
攻撃面だけでなく防御面も、頑強なシールド「バトライズシールド」を張れるので隙が無い。
必殺技は背中に装填されている「バトライザーミサイル」。
あまりの強さ故にアンドロスも使う事をできるだけ避けている。



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