SCP-458

登録日:2016/11/02 Wed 12:29:17
更新日:2024/02/15 Thu 15:03:46
所要時間:約 8 分で読めます




私たちはこのボックスを持っている理由が、ただボックスを囲んでピザを食べて午後中を無為に過ごすためではないということを、すべてのスタッフに思い出させたいのです。


SCP-458はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)。
オブジェクトクラスは後述。

項目名は『The Never-Ending Pizza Box』、日本語訳『はてしないピザボックス』。


概要

SCP-458は見た目は普通のピザボックスであり、しかも米国ピザチェーンリトルシーザーの「HOT-N-READY」タイプの箱(でっかい箱だと思ってくれればいい)そのままの姿をしている。
ちなみにリトルシーザー社もHOT-N-READYサイズも我々の世界に普通に実在する。
なお重さの測定値には後述する異常性から一貫性がない。


…といってもどういう異常性かって言われると簡単で、「ピザを生成する」。

ピ ザ を 生 成 す る 。

より詳しく言うならば、SCP-458はそれを開いた人の嗜好に合わせたサイズ・トッピング・生地のピザを生成する。
トッピングは基本的には健康な人間の嗜好に基づくため、カニバリズムとかには残念ながら(?)対応していない模様。
ピザはシーザーブランドのものに限定されないため、あなたが普通の人間であるならば普通に一番おいしいピザが出てくる。
このことから、なにかしらのテレパシー能力や共感能力に優れているものと考えられるが詳細は不明。

なお箱を破壊する試みにはいずれも失敗している。なんでそもそも破壊しようと思ったのかはわからないが、
おそらくSCP世界の初期の頃なので設定がまだそこまで固まっていなかったのだろう。
というか後述の実験とか『たのしいざいだん(lolFoundation)』時代じゃないとできない貴重な実験だし。

あ、もちろんピザもただでは済まさない。
そらいいことばかりなわけがないでしょ、SCPなんだから。

こいつの異常性は「好みのピザしか出してくれない」ことに尽きる。
しかも無尽蔵に出しやがる。

…え、何がまずいのかわからないのかって?

文書#458-1a:
私たちはこのボックスを持っている理由が、ただボックスを囲んでピザを食べて午後中を無為に過ごすためではないということを、すべてのスタッフに思い出させたいのです。このままボックスの乱用が続けばメンバーの不健康な体重増加の報告と相まって、昼食時間後にダイエットの訓練をすることが強いられるでしょう。

  • デル・モリーノ博士

そう、ピザデブを量産してしまうのだ。『健康的な人間の嗜好』とは何だったのか。
…それだけ? とか言わないで欲しい。こいつの重要な点は危険性にあるわけじゃないので…。
ともあれ人間が手で触らなければ異常性は発現しないので、こいつのオブジェクトクラスはSafe。
危険物を生成したりもせず、健康的な食生活に気をつければ問題なく実用できるため、サイト17の職員食堂にアクセス制限もなしで普通に置かれている。
でもデブのアクセス制限はかけたほうがいいと思う。

なおこのピザボックスの話をきいて「これならK-クラスシナリオ群が起きた際にも食料を供給できるからThaumielじゃね?」という人が時々いるのだが、
好きなものしか出してくれないピザボックスに食料を依存してたらSCPオブジェクトによって死ぬ前に不摂生で死ぬからThaumielにはならないと思われる。
その前に、こいつが誕生した当時はまだThaumielというのが一般に認められたオブジェクトクラスではなかった...というメタい理由があるんだけど。


クロステスト

さて、基本的には健康な人間の嗜好に基づくピザボックス。
ということはSCPオブジェクトに使ったらどうなるのか。

付録1a:
SCP-458のテストにてSCP-███が生成したガーリックスライスとソーセージ&オリーブピザを一口食べた際、「これは素晴らしい。だが私は別のソースの方が好みだ」との反応が得られました。これによりボックスが人体が消化できない物質を使用できない事が推論され、後の試験でこれが確認されました。

人間だってカニバリズムやらがいるわけだから、そもそも人外だらけのSCPオブジェクトには人間が消化できない食い物を好むものもいるだろう。
ということで、人型SCPオブジェクトに使うと「まあまあ美味いけど別に好みドンピシャって訳でも...」という感想を得られる。

この性質を使うと、どんなピザが出てくるかによってそいつらの嗜好や性質を調べられるという重要な応用ができるのである。
というわけで好奇心にかられた博士がやってみた結果が以下。

  • 対象:SCP-040 - Evolution's Child (進化の子)
説明:8歳の白人の幼女。非常に弱い体をしている。既存の生物を作り変えて新種を作り出す能力を持つ。
結果:スモールサイズ、エクストラチーズ、チーズ詰め生地
幼女はチーズが大好きだった。

  • 対象:SCP-056 - A Beautiful Person (美しい人物)
説明:外観はハンサムな男。周りに嫉妬をはじめとしたネガティブな感情を抱かせる。なお本来の姿は不明。
結果:ミディアムサイズ、スライスピーマン、アルフレドソース、薄い生地

  • 対象:SCP-073 - "Cain" ("カイン")
説明:アラビアあたりの30代の男性の外見をしているが実年齢は不明。頑丈な体ととんでもない記憶能力を誇るが周辺の植物が軒並み死ぬ。
結果:最初の実験はSCP-073の異常性のせいで失敗。そのため再施行時はすぐにピザを取り出して食わせた。
生成されたピザは「ミディアムサイズ、フェタチーズとジャックチーズ、ソース無し、薄い生地」。
SCP-073は「こういったものを食べたのは初めてだ」と述べたため、おそらく収容以前はピザを食えなかったと思われる。
アメリカ在住でピザ食えないとかハードモードすぎませんかねえ…。

  • 対象:SCP-076-2 - "Able" ("アベル")
説明:普段は死んでいるが、時々生き返っては周辺の人を殺しまわるトンデモなく危険なKeter級SCP界の萌えキャラ。あ、男ですよ。
さ わ や か』といい、なぜ財団職員はアベルで遊ぶのか。
結果:特大サイズ、ミートボール、ペパロニ、ベーコン、カナディアンベーコン、ソーセージ、ハンバーグ、厚い生地
えらいにくにくしいピザが完成した。どうやらSCP-076-2は気に入ったらしく、
後にSCP-682との戦闘後に「今度会うときはさわやかなドリンクでも飲みながら肉だらけのピザでも食おうぜ」と述べている。
なお財団はクソトカゲ相手にはこの実験をしていない。してはいけないけど。というかアベルでもやるなや。

  • 対象:SCP-105 - "Iris" ("アイリス")
説明:特定のポラロイドカメラで写真を撮影すると、写真が当該場所のリアルタイム映像と化す異常性を持つ以外は
普通の「アイリス」という名前の女性。無限残機博士にポルノ女優にされかかっているためおそらくはかわいい。
結果:スモールサイズ、オリーブ、小麦の薄い生地
ヘルシー志向だった。かわいい。

  • 対象:SCP-108 - Extradimensional Nasal Cavity (異次元の鼻腔)
説明:普通のアフリカ系アメリカ人のおばさんなのだが、鼻の穴のなかがなぜかナチスドイツの建設した格納庫になってしまっている。
結果:ビッグサイズ、ペパロニ、厚い生地
やっぱりアメリカ人はでかいサイズがお好きなようで…。

  • 対象:SCP-134 - Star-Eyed Child (星眼児)
説明:細身でショートヘアのアジア人の女の子に見えるが目の部分は被膜で覆われ彼女は目が見えない。
が、暗闇の中ではその目に遠くの星星が映る。
結果:スモールサイズ、玉ねぎ、アンチョビ、オリーブ、薄い生地
ここまで来るとストレスの溜まってる人型SCPをもてなしているようにしか思えない。

  • 対象:SCP-181 - "Lucky" ("ラッキー")
説明:元々詐欺師として服役していた男で、その後Dクラスとして雇用されたが、
「明らかに統計学的にあり得ない確率ばかり引く」ことからSCPとして収容に至る。
結果:ビッグサイズ、ペパロニ、ソーセージ、マリナラソース詰め生地
彼はピザに満足したらしい。まあSCP-458の性質上人間のSCP-181が旨いピザを引き当てるのは当たり前だが、
それでも仮にもSCPである彼がちゃんと人間としてピザを食えているのは実際ラッキーだろう。
そもそもこいつ元Dクラスだし。

  • 対象:SCP-182 - "Rider" ("ライダー")
説明:白人のおっさん。聾唖者なのだが、自身の感覚を欠如を他者の中に「入り込む」ことで補っている。
結果:ミディアムサイズ、オリーブ、マッシュルーム、プレッツェル生地

  • 対象:SCP-3477 - "Will the Real Harold Holt Please Stand Up?" ("本物のハロルド・ホルトさんはご起立願います")
説明:元オーストラリア首相。失踪から50年の間に34名もの異常特性を備えた元首相が財団に収容された。
結果:ミディアムサイズ、アンチョビ、同様に配置されたトッピングが乗った、完全に同一のピザが全個体に提供された
思考回路も全員同じなので当然と言えば当然か。

  • 対象:SCP-4999 -"Someone to Watch Over Us" (私たちを見守るもの)
説明:黒いスーツを着た人形実体。数千年前から孤独な人間の最期に寄り添っている
結果:エクストララージサイズ、ハーフシュプリーム、ハーフペパロニ
※補遺:SCP-4999は、末期腎不全に苦しんでいたD-430276とピザを分け合いました。特筆すべきことに、これはD-430276が彼女の今は亡き配偶者と度々分け合っていたピザと同じ種類のものであり、SCP-458がその容量を超えるピザを提供した最初の既知の事例でした。
泣けるやんけ。やっぱ4999は凄いね

似たタイプのSCP

日本支部にもそいつの好みを出してくれるオブジェクトがある。

SCP-454-JP(通称・ぬか“美味しかった”漬け)
こいつは糠が入った桶なのだが、手を突っ込んだ奴の人生の中で一番美味しかったものを取り出すことができる。

ライスコロッケでもチーズケーキでもなんでもござれ。
やったね! ピザ以外も出るよ!

…全部ぬか漬け状態だけどな!
ピザボックスの上位互換だと思ったかい、そんなうまい話は(ご飯だけに)ないんだよなあ。


SCP-566-JPSCP-820-JPを作り出した準要注意団体「如来観光」が関与しているオブジェクトで、
産まれてから母乳しか口にしていないはずの赤ちゃんに食品を取り出させた際に、
17対の足を持つ未知の節足動物が生きている状態で取り出されたという実験記録が残っている。一体どういう事だ。
さらにこいつをすりつぶしてDクラス職員に食わせたところ、Dクラスが短時間だが極端な幼児退行を起こしている。


追記・修正はピザを食べた手でキーボードを叩きながらお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-458 - The Never-Ending Pizza Box
by Palhinuk
http://www.scp-wiki.net/scp-458
http://ja.scp-wiki.net/scp-458

SCP-454-JP - ぬか“美味しかった”漬け
by boatOB
http://ja.scp-wiki.net/scp-454-jp

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最終更新:2024年02月15日 15:03