デアリング級ミサイル駆逐艦

登録日:2016/09/20 Tue 22:18:32
更新日:2023/01/29 Sun 07:48:05
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デアリング級駆逐艦とは、紳士の国で生まれた最新鋭ミサイル駆逐艦である。
第二次大戦中に建造された同じ名前の駆逐艦が存在していたので、その名前を引き継いだ命名と思われる。

概要

イギリス海軍が保有する最新鋭ミサイル駆逐艦
…とだけ書けば今時の駆逐艦としては当たり前に見えそうだけど、
そこはイギリス、(特に外見が)かっとビングな船となっている。

開発の経緯

デアリング級の開発の経緯はフランスイタリアとのミサイル駆逐艦の共同開発計画「ホライズン計画」にまで遡る。
ホライズンとはいってもどっかの嘘つき女神とは関係ないぞ。

…が、ホライズン計画が進展するに連れ、英仏伊のそれぞれの思惑の違いが浮き彫りとなってきた。
まあ具体的に言えばこんな感じである。
  • イギリス:いやー、やっぱ大英帝国の名残で世界各地に(元)下ぼk…じゃなかった知り合いが居るからさ、外洋の長距離航行は必須なのよね。でもそうすると潜水艦とか対潜哨戒機とかが襲ってくるからこいつら撃退する必要もあるし、ま、要は「遠くに行けて、潜水艦や飛行機と殴り合える能力も欲しい」ってこと
  • フランス:うちはどっちかって言うと空母の用心棒としての駆逐艦が欲しいのね。昔で言う巡洋艦みたいにも使いたいし
  • イタリア:うちは地中海に面しているから地中海の中で自国防衛できればそれで十分!外洋航海なんて要らんとです!
ぶっちゃけイギリスは「戦艦」属性、フランスは「巡洋艦」属性、イタリアは「近海防衛」属性の船が欲しいってことだったのだ。
てなわけで「あーもう!カエルとでんでん虫うめぇwwwwwとか言っている奴らとか、虫入りチーズうめぇwwwwと言っている奴らとかと共同開発しようとしたのがそもそもの間違いだったんだよ!もう自分らで『ぼくのかんがえたりそうのくちくかん』を作ってやる!」となり、
イギリス独自のミサイル駆逐艦としてデアリング級が開発されることとなった。

開発コンセプトである「長距離航行能力を備え、なおかつ潜水艦・対潜哨戒機・対艦攻撃機と殴り合える『駆逐艦』」という時点で既に「駆逐艦ってなんだっけ…」「やっぱ英国面か」と思ってしまう方も居るだろうが、
そもそも今時の駆逐艦は艦隊戦華やかりし時代で言う巡洋艦に相当する「とりあえずどんな場面でも使える何でも屋」的な性格の艦種となっており、
海外に幾つも関係の深い国があるイギリスからすれば駆逐艦にこのような性格を求めるのは当然といえば当然である。
同時にフランスとしても「空母の用心棒」という性格を、イタリアとしても「近海防衛用の船」という性格を駆逐艦に求めるのは現代ではこれまた当然と言える。
何でも屋だからこそどんな使い方でもできるのが今の駆逐艦である、決してぶっ飛んだ発想ではない。


仕様

船体そのものはステルス性に配慮した構造物以外は、一般的な駆逐艦の形状をしている。
後述のサンプソンレーダーさえ除けば。
尤も、「船体は普通なのに艦上の構造物はステルス対応」という姿を英国面の一種と捉えるかどうかは皆様の判断に任せるものとする。
動力はガスタービンエンジンで発電機を稼働させ、その電力で推進用モーターを回し、さらに艦内の電源までも供給する「統合全電気推進方式」(IFEP)を採用。謂わば「ハイブリッド駆逐艦」である。
振動や低周波騒音の少ないガスタービンエンジンと動作音の(比較的)静かなモーターにより推進するため静粛性は高い。(静粛性は対潜戦闘で重要な要素の一つでもある)
内部的な特徴としては、中枢システムのOSにWindows2000を採用していること、長距離の航海に備えた娯楽向けにiPodの充電用ドックを備えていること、
更に筋肉モリモリマッチョマンの変態もとい海兵隊向けのトレーニングルームを備えているなども割と特徴的かも知れない。
…だが、デアリング級がデアリング級たる所以はこんなものではない。

サンプソンレーダー

そう、本艦を決定的に特徴づけるものこそ、マストの頂上でグールグルしている「サンプソンレーダー」だ。
サンプソンレーダーはいわゆるフェイズドアレイレーダー(細かいレーダーを多数固めた昆虫の複眼のような構造のレーダー)であり、
デアリング級の防空能力を支える文字通りの「複眼」である。
が、問題はその形状。
多少歪んだ形状の球形となっており、さらにトゲまでニョッキリ突き出ているレドームとなっている。
このレドームが一分間に60回転、つまり毎秒一回転という高速でグルグルする姿はじわじわと見たものの腹筋を蝕んでいく。
…だが、これをお笑いではなく「カッコイイ」と見れるようになったら、あなたも立派な英国紳士。

…見た目はアレだが性能までも英国面とはならず、それどころか欧州でも屈指の高性能艦載レーダーなんだぜこれ。
何しろ、
  • 180km先にある鳩と同じ大きさの反射源(モノ)を見分けることが可能
  • 一般的なサイズの飛行機なら250km先までロック可能、しかも最大500機まで同時に追跡可能
  • 対艦ミサイル(飛行機より全然小さい)を最大12発までロックオン可能
なんですよこれ。
…何この小学生が考えた「ぼくのかんがえたさいきょうのレーダー」みたいなの。

問題点

そんなデアリング級でも問題点が無いわけではない。
何と言ってもお値段がトンデモなく高い。
THE・ミサイル駆逐艦のアーレイ・バーク級が日本円換算でおよそ1400億円/隻に対し、
デアリング級が同じく日本円換算でおよそ2400億円/隻。
アーレイ・バーク級より約1000億円程高い。

また最近ではエンジンが高温環境に弱いことも露呈。
もう少し詳しく書けば「クソ暑いところに行くとエンジンのパワーが不足して艦内が停電するかもしれない」ってことが判明したのである。
謂わば「オール電化軍艦」であるデアリング級には割と致命的な問題点でもある。
現在追加の発電機を搭載する計画が進行中とのこと。

艦名

一番艦の「デアリング」(Daring)を始め、「ドーントレス」(Dauntless)、「ダイヤモンド」(Diamond)…というように、
「D」で始まる艦名となっている。
これは飽くまで「駆逐艦」(Destroyer)に引っ掛けた命名法でも有り、決して海上をとんでもないドリフトで爆走するというわけではない。
また一番艦の「デアリング」であるが、本艦は英文での綴からpixivなどでイラストを検索すると、
海外アニメ「マイリトルポニー トモダチは魔法」の登場キャラクター「ダーリンドゥー」と混信する場合がある。(Daring Doでデアリングと被るため)

サンプソンレーダーを笑わず「カッコイイ」と感じられるようになったあなたはぜひとも追記・修正をお願い致します。


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最終更新:2023年01月29日 07:48