神の宣告

登録日:2016/08/15 (月曜日) 22:10:07
更新日:2023/12/05 Tue 18:56:15
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神は言っている……お前の行動は無効であると。

《神の宣告》とは、遊戯王OCGに存在するカウンター罠カードである。

●目次

カウンター罠
(1):LPを半分払って以下の効果を発動できる。
●魔法・罠カードが発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。
それを無効にし、そのモンスターを破壊する

【概要】

初出は1999年発売のVol.6。通称「神宣(かみせん)」。

イラストにはいかにも神といった威厳のある風貌の老人がこちらに手を掲げており、
その後ろに従者らしき天使たちが神妙な面持ちで佇んでいる。

モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚か、魔法・罠カードの発動を無効にして破壊してしまうカウンター罠。
専用の構築を必要としないものでは、非常に広い範囲で相手の行動を阻害できるカードである。

だが、発動するにはコストとして自分のLPを半分払うことを要求する。
LPが変動していない序盤なら最大4000支払う必要があることを意味するため、気軽に発動するには躊躇われる。特に初心者には敬遠されやすい

しかし《マジック・ジャマ―》《盗賊の七つ道具》《昇天の角笛》といった三つの罠の効果を1枚でこなせるというのは魅力的である。
状況に応じて使い分けることができるためデッキのスロットに余裕を持たせることができる。

この内、「召喚・反転召喚・特殊召喚を無効」についての詳細は《昇天の角笛》の項を参照されたし。

LPを半分払うという一見重いように見えるコストも、裏を返すとライフの残量に関係なく支払い自体はできるということ。

モンスターや手札の破棄など、コストとしてカード・アドバンテージを失うことなくいつでも発動することができるため、デュエルの終盤で引いてしまっても腐ることなく使える。

ライフコストの高いカードや固定値のカードから使い、後からこのカードを使えば性能の割には驚くほど安いコストで使う事が可能。
逆にこのカードから使うと固定値のライフコストのカードが使えなくなってしまい、足を引っ張ってしまう可能性はあるが。

ちなみに遊戯王OCGではLPが小数点以下になった場合、四捨五入するというルールがある。LPが1の状態で発動すれば0.5から1に戻るため正真正銘のノーコストとなる。
LP8000から1にするには13回半分にする必要があるため、狙ってやらないとまずできないが。

一方で、魔法・罠カードの「効果の発動」は無効にできないモンスター効果は無効にできないという欠点がある。
すでに表側で存在している魔法・罠や墓地から発動する魔法・罠カードの効果は防げないのである。
例えば新たに発動しようとする《竜の渓谷》はカウンターできるが、すでに表側表示でフィールドに存在している《竜の渓谷》がサーチ・墓地肥やしの効果を発動してきた場合、《神の宣告》では止められないということ。

モンスターの効果、モンスター効果によるチェーンに乗る特殊召喚は防げない。
例えば《冥府の使者ゴーズ》や《ダーク・シムルグ》の特殊召喚は自身のモンスター効果によって行われるため、《神の宣告》ではこれらも止めることはできない。

ライフコストの重さゆえに発動のタイミングを見誤り、そのまま相手にゲームエンドに持っていかれてしまうといった穴も存在している。
「強力ではあるもののある程度発動のタイミングを見極める必要性がある」カードであり、それらを補って余りあるポテンシャルを秘めているカードといえるだろう。


しかし初登場時はグッドスタッフと10ターン以上かけるテンポの遅いデュエル双方ならではの戦術が多かったため、強力なカードを1枚無効化するだけでは決定打になりにくく、むしろ最大4000分のライフのディスアドが大きすぎることから、
「強力なカードだがライフコストが重い」ということで、評価はあまり高くはなく採用率も低かった。

しかし、GXの終盤辺りからデュエルが少しずつ高速化していき、10ターン以内で勝負がつくという状況が珍しくなくなる。
更にシンクロ召喚の登場によってデュエルがますます高速化、ワンショットキルが可能なデッキが増え、性質上2枚以上のカードを消費するシンクロ召喚の妨害すれば実質2,3枚分以上のアドバンテージを稼げる状況が劇的に増えた事で

「ライフなんてすぐに無くなってしまうのだから相手の妨害のために使った方がいい」

という半ば開き直り的な考えが広がっていくとともにこのカードの使用率も激増。
このカードのライフコストを渋って死ぬよりは、4000だろうが払って止めて生き延びた方が良いという「死ななきゃ安い」傾向が強いカードゲームとしては至極全うな考えではある。
往時の強欲な壺よろしく三積が当たり前となっていき、大会はこのカードだらけとなっていった。
コストが「現在のライフの半分」という性質上、使えば使うほどお得感が増し腐る状況も皆無だったため当時は3積みが基本だった。
当然神の宣告どうしで撃ち合うこともできるため、相手が撃ってきた神の宣告をこちらの神の宣告で無効にする、なんて光景は日常茶飯事。
誰が言ったか「神々の言い争い」
結果としてデッキ構築やプレイングの幅を狭める事態になったため、このカードは2009年9月の制限改定にてカウンター罠としては初の制限カードに指定されてしまった。
規制当初は上記のライフコストの利点が失われ使用率が減るとも言われていたが、実際は1枚でも便利なためそんなことはなくむしろトラップを原則採用しないデッキでも時に採用されるぐらいには人気だった。

しまいには9期ではEM系統のペンデュラムデッキで下記の警告通告と共にアリアドネを使ってサーチして構えられ、場を打開しないとゲームエンドなのに神に阻まれて負けるという先攻制圧を助長していた。
しかし、それでも環境が高速化し過ぎた10期で相手の先攻1ターン目で使えない罠全体が敬遠されがちになり、罠の汎用妨害の役割を担うことになった手札誘発型モンスターを止めることができない本カードの欠点が致命的になり使用率が激減。
以前からではあるが罠よりも手札誘発を入れた方が相性が良いデッキタイプが増えたことから、必須という程でもなくなった。
2018年4月の制限改訂にて準制限カードに、そして2019年7月の制限改訂にて無制限カードとなった。

とはいえ規制が一切ない状況にはなったが現在でも罠を主体としたビートダウンでは未だに妨害札の代表格として高い採用率を誇っており、防御範囲が非常に広いため侮れないカード。
それだけに突破してくる側もこのカード1枚のみでは安心できない程強烈になり発動タイミングを誤ればワンキルを助長してしまう結果になりかねない為、より発動タイミングを的確に見極める必要がある。
またライフコスト以外に制約はない為《拮抗勝負》対策としては《レッド・リブート》以上に優先されるカードである
相手の命を懸けた逆転カードを神の一喝で止めることができればもう勝利は確実だろう。2枚飛んできた場合は知らんが。

因みに海外では2013年、9月のリミットレギュレーションでは汎用罠の規制のためか禁止にされている。
しかし2018年2月5日改訂で制限復帰、2019年7月15日改訂では準制限をすっとばして一気に無制限カードになった。


~派生カード~

罠カードの中でも飛び抜けた強さと知名度を誇るためか調製版や派生カードがいくつか登場している

神の警告

カウンター罠
(1):2000LPを払って以下の効果を発動できる。
●モンスターを特殊召喚する効果を含む、
モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。
それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

2010年、4月に発売したDUELIST REVOLUTIONで登場した神宣の調製版として登場したカード。
通称「神警」or「警告」。後者を口に出す際には近い時期に出た「渓谷(けいこく)」と間違われる事も多少あった。
支払うライフコストが2000と固定され無効化できる魔法・罠カードの範囲が「モンスターを特殊召喚する効果を含む」
といった具合に調製されているが、こちらは特殊召喚を含む効果ならモンスターの効果も無力化できる利点がある。
一方でモンスターの召喚・特殊召喚に対しては神宣と同じ範囲で無効化できるためこちらの効果の使い勝手はあまり変わっていない。

ただし魔法・罠カードで止められるのはカードの発動時だけでありカードの効果の発動には対応していない。
フュージョン・ゲートやヴァルハラや煉獄の虚夢など「カードの発動時に特殊召喚する効果はない」カードには対応できない。

神宣が制限を受けた後はこのカードがシンクロ召喚などに対するメタカードとして採用され、
このカード三枚と神宣を一緒に入れシンクロ召喚のメタカードとして使用された。
が、メタカードが一極化してしまう事態を避けるためか2011年3月のリミットレギュレーションで準制限、2013年3月には制限カードとなった。
その後、環境の高速化が進み罠の採用率が低下したこともあり2018年1月より準制限カード、2019年4月改訂では制限解除された。

このカードが最も緩和が早かった理由として考えられるのは、止めたい範囲が下記の通告と被り宣告、警告、通告の中では最も採用が見送られやすかったため。
通常召喚は止められないが、通常召喚で出てきたモンスターで止めたいものは大抵がその効果であり、後伏せでも使える可能性がありライフコストが500少なく済む通告の方が使い勝手がいいからである。
しかし、モンスターの効果や特殊召喚を封殺するメタビート系統では通常召喚から出てきて、何かしら手段でこちらのメタモンスターを殴り倒してこられる方が厄介なため通告より強いと言われることもある。
また、環境次第ではあるが通常召喚で場に出てしまっては遅い耐性持ちのカードが流行ればこちらが優先されることもある。

2012年の世界大会にて「マクロコスモスの発動をこのカードで無効にできる」点を逆手に取ったある戦術は、
普段やらない戦術ということもあり、会場を沸かせている。(詳細はこちら)。

これだけ便利かつ長い間使われている定番のカウンター罠だが初出はなんとただのノーマルだった。
なのでノーマルとしては高めではあったが環境カードの中ではかなり安く入手できた。

神の忠告

カウンター罠
(1):自分の魔法&罠ゾーンにセットされているカードがこのカードのみの場合、
3000LPを払って発動できる。
●モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。
その発動を無効にして破壊する。
●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。
それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

2014年7月に発売されたネクスト・チャレンジャーズで登場したカード。

ライフコストが3000と神警よりも大きくなってしまったが、
神宣の効果に加えモンスターの効果にも対応できるようになっており効果は神宣の上位互換である。

しかし、このカードの一番上にはこんな事が書いてある。

自分の魔法&罠ゾーンにセットされているカードがこのカードのみの場合

…そう、このカード書いてあることは神宣より強いのだが発動するための条件が少し厳しめなのである。
一枚だけ伏せて置いてあったとしてもサイクロンなどの除去カードを打たれてしまえばお終いだし、
仮に発動できたとしても3000という重いコストを支払うためどうも使い勝手が悪く「神の~」シリーズの中ではおそらく一番使用率が低いカードである。

使用する場合はあくまでセットされているカードがこのカードのみである場合に発動可能なので、
永続カードを多用するデッキに投入するといいだろう。またあまり関係ないがフィールド魔法はセットしてあっても大丈夫である。
範囲の広さは「神の~」シリーズで一番なので殆ど伏せないデッキでちょっとだけ罠を入れる場合これが一番優先されることもある。

こちらは初出はスーパーレアだがデッキをかなり選ぶ性質を持つのであまり高くない。というか安い。
ついでにストラクチャーデッキ-ペンデュラム・エボリューション- にも再録された。

神の通告

カウンター罠
(1):1500LPを払って以下の効果を発動できる。
●モンスターの効果が発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
●自分または相手がモンスターを特殊召喚する際に発動できる。
その特殊召喚を無効にし、そのモンスターを破壊する。

2015年10月発売のブレイカーズ・オブ・シャドウに登場した「神の~」シリーズ最新のカード。
通称「神通」or「通告」。前者の読みは「かみつう」であり「じんつう」ではない。
ライフコストが1500と最小になりモンスターの効果や特殊召喚を無効にするなどモンスターに対して特化した効果を持つようになった。
その反面、魔法や罠の発動は一切無力化できず、通常・反転召喚にも対応が出来なくなったが、
ぶっちゃけ今の時代は特殊召喚をすることのが多いためこっちはあまり意識しなくてもいい。
通常召喚してくるモンスターですら効果を発動しないってことはあまりないのでどのみち引っかかってくれるし腐ることはほぼないカードと言える。

良くも悪くも現代の遊戯王のニーズに合わせて調整されたカードだといえるだろう。
先に展開した側がトドメの一発として伏せる使われ方をすることもある。
実際、現在の環境での採用率は結構高い。

これだけ便利かつ強力なカードが長い間無制限で野放しにされており、先攻ゲーを助長する要員の一つにもなっていたが規制されるのは2017年7月と随分時間がかかった。
ついでに準制限なのでこれからの採用率次第では制限化もあり得るかもしれない。
ちなみにこれが規制される手前の環境は真竜が暴れまわっていた頃であり召喚行為を止められず、モンスター効果に対抗しようとしてもアドバンス召喚時に真竜永続魔法の墓地効果で割られてしまったり、ほぼ罠耐性をつけて出てくるマスターPに全く対抗できないこのカードは神宣、神警に比べてかなり採用率が低いという珍しい自体が起きていた。
しかし、実際には制限カードになることは無く、その後のリンク召喚による環境の超高速化によって罠カードの採用率が大幅に低下。
展開も凶悪化しこれ1枚じゃ間に合わない事も増えた為か2019年10月に制限解除された。
これにより、宣告、警告、通告の各3枚投入の合計9枚体制が実現できるようになった。
しかし、展開や伏せを突破する手段も凶悪化しているため安心はできない。

当然の如くスーパーレアかつ必須レベルに強さと汎用性を兼ね揃えたカードなので高く、複数積みがほぼ前提なので財布泣かせなカードだった。
ストラクチャーデッキ-サイバース・リンク-に再録されたため入手が容易になり値段も落ち着いた。

〜余談〜

アニメシリーズの主人公では現在、遊城十代のみが使用している。
だが、なぜが十代モチーフのストラクである「HERO's STRIKE」には神の警告が入っており、
次の遊星モチーフの「シンクロン・エクストリーム」のほうに神の宣告が入っている。……遊星は相手に使用された側なんだけどなぁ



冥殿の宣告
ライフポイントを半分払って発動できる
立て逃げ・丸写し項目の作成を無効にし
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最終更新:2023年12月05日 18:56