餅カエル

登録日:2016/08/11 Thu 16:04:11
更新日:2024/04/16 Tue 01:28:25
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そいつは公式Twitterにいきなり現れた


《餅カエル》とは、遊戯王OCGに存在するカードの1つ。

エクシーズ・効果モンスター
ランク2/水属性/水族/攻2200/守 0
水族レベル2モンスター×2
(1):自分・相手のスタンバイフェイズにこのカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
デッキから「ガエル」モンスター1体を特殊召喚する。
(2):1ターンに1度、相手がモンスターの効果・魔法・罠カードを発動した時、自分の手札・フィールドの水族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
その後、破壊したカードを自分フィールドにセットできる。
(3):このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の水属性モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを手札に加える。

第9期10番目のパックである「インベイジョン・オブ・ヴェノム」で登場したカード。
重なった2匹の白いカエルの上にみかんが乗っかったイラストからも分かるように鏡餅を餅ーフにしたモンスター。
カード名は「持ち帰る」とかけたガエル&カエルシリーズ伝統のダジャレになっている。
相手のカードを持ち帰り、墓地の水属性も持ち帰る。

こんな色々とふざけたモンスターだが、そのスペックは全然ふざけてない。というかめっちゃ強い。
素材縛りがあるとはいえ攻撃力は《サイバー・ドラゴン》・《フォトン・スラッシャー》ラインを超える2200。
ガエルデッキと相性が良い《キャット・シャーク》の効果を使えば神をも上回る打点になれる。


(1)の効果はX素材を使用しての「ガエル」のリクルート効果。
効果を使用できるのがスタンバイフェイズに限られているが、この手の効果にありがちなレベル指定や効果の無効化などのデメリットがなく、
(2)の効果のコストを簡単に用意することができる。

呼び出す「ガエル」はこのカードを相手の攻撃から守れる《魔知ガエル》や、「ガエル」を墓地に落として更なる展開へと繋げられる《鬼ガエル》などが強力。
《死の合唱》を入れたファンデッキ寄りの構築では《地獄の暴走召喚》のトリガーにも使用できる。

この効果で他のカエルを呼んで来られるので、餅カエルが無制限の頃はあっという間に複数体並ぶという地獄絵図となっていた。


(2)の効果は手札or場の水族モンスターをコストにして、相手のカードの発動を何でも無効にし自分の場にセットするというとんでもない効果。
言うなれば「素材2体で出せる簡易的な《シューティング・クェーサー・ドラゴン》である。
この手の無効化効果持ちへの対抗策は普通「適当な除去を撃って効果を使わせてから本命を通す」ことだが、
こいつにそれをやると相手にその除去カードを奪われてしまう。
ちなみに「セット」なので、《E・HERO アブソルートZero》をパクると全体除去が発動しない。

魔法・罠だけでなくモンスターまでも奪い取ることができるので、コントロールを得たモンスターを使って相手に攻め込むことも可能。
超重荒神スサノ-O》と同様に墓地発動の効果を持つ魔法・罠の発動もある程度妨害できる。
セットなので奪われたカードをそのターン中に使われることはないし、何があるかはバレバレだが厄介なことに違いはない。

始末に終えないことに、この効果の発動にエクシーズ素材を使わない。
つまり、素材無しで呼び出す《バハムート・シャーク》と併用することが可能であり、水属性を使うランク4デッキからランク2のこのカードが出てくる。
《ブリキンギョ》の存在から、カテゴリ内にレベル4水属性がいると簡単に出張できる。
……あれ、ちょっと前にものすごく似ている光景があったぞ!?

コストとして必要になるのは水属性でなく水族であるため若干コストを調達しづらい…と思いきや、
このカード自身が水族なので、緊急時には《虹光の宣告者》のように自身をリリースして効果を使用することもできる。むしろこの使い方のほうがメイン。
しかも、(3)の効果で自身をエクストラデッキに戻せるので、このカウンター効果を使わせてもまた出てくる。

自身を墓地に送れば《スキルドレイン》や《D-HERO Bloo-D》をすり抜けられる利点もある。

なお、《魔知ガエル》・《引きガエル》をコストにしてもタイミングを逃すためサーチ・ドローは出来ない点には注意しよう。

また「墓地に送る」ことが条件なので、《マクロコスモス》や《M・HERO ダーク・ロウ》が存在していると発動できなくなる。
しかし、先に出してしまえばこのカウンター効果で妨害できるのであまり気にならない。

ぶっちゃけ(1)の効果とコストの条件が逆な気がする。


(3)の効果は墓地に行った時に水属性モンスターをサルベージする効果。
フィールドのみならず、あらゆる場所から墓地に送られた際に発動可能。
「場合」なのでタイミングも逃さず、「特殊召喚を無効」にされても墓地に送られたなら発動する。
鬼ガエルや《深海のディーヴァ*1など召喚することで効果を発動するモンスターを繰り返し使おう。
(2)の効果で墓地に送られた場合でも発動でき、このカード自身も水属性なので1枚入れるだけで使い回しが可能になる。
この効果によって、破壊されても自身を簡単にエクストラデッキに戻せるため非常に粘り強い。餅だけに

この効果を封じるためには《SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング》で殴り倒したり、《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》などでカウンターしたり、
前述したマクロコスモスやダーク・ロウの先出しで除外する必要がある。



このように3つの強力な効果を持つ恐ろしく厄介なモンスター。
下手に除去を撃てばカウンターされた上に相手に奪われ、ようやく除去してもあっさりエクストラデッキに戻って再び出てきてしまう。
その上、攻撃力は2200と絶妙なラインのため、そんじょそこらの下級や半上級では返り討ちにあってしまう。
(2)のカウンター効果は「発動を無効」にするタイプなので、ダメージステップでも発動可能。
《フォトン・ストリーク・バンサー》のような隙も無い。

対抗手段が無いデッキだとこいつが出てくるだけで頭を抱えることになってしまう。

なんだこいつ……


だが、レベル2水族×2という縛りがあるので正規の方法で召喚するデッキは限られる。
【ガエル】は餅ろんのこと、レベル2水族を展開しやすい【バージェストマ】【アクアアクトレス】【グレイドル】辺りに投入しよう。
変わったとこでは《トライワイトゾーン》などで水族レベル2の《化合獣カーボン・クラブ》を簡単に場に並べられる【化合獣】なんかにも採用できる。

(1)の効果を最大限利用するために、これらのデッキに魔知ガエル・鬼ガエル・粋カエルといった「ガエル」の精鋭達を出張させるのもいいだろう。
逆に【ガエル】に、同名カードも釣り上げられる《グレイドル・スライムJr》&それをサーチできる《グレイドル・インパクト》のセットを投入するのもアリ。

一度場に出てしまえば(2)の効果でこっちのカードを餅かえり、(3)の効果で自分はエクストラデッキにカエル、非常にうっとうしいモンスター。
対策で一番有効なのは、召喚させないこと。
素材やバハシャが出た段階で激流葬、エクシーズ召喚時に《神の通告》等、場に出さなければどうということはない。

……先攻1ターン目で出てくる?《浮幽さくら》でも使え。

一応、後出しの対策としては全体除外・無効化できない《超融合》や《ブレイクスルー・スキル》の墓地効果・安心と信頼の《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》&「壊獣」・素で2300以上の攻撃力のモンスターで戦闘破壊など。
除外以外はエクストラデッキにカエってまた出てくるが。

ちなみに(2)の効果をモンスターに対して使った場合、《屋敷わらし》で止められてしまう。
これは「モンスターを無効にして破壊し、そのモンスターを自分フィールドにセット」という過程が「破壊したモンスターを相手の墓地から裏側守備表示で特殊召喚する」という処理になっているため。コンマイ語って難しい。

そんなこんなで活躍した結果、2017年1月に制限カードに指定された。
鏡餅なのに正月から規制されるとは皮肉なものである

墓地に送られてもエクストラに戻って使い回しは可能だが、他のモンスターを回収すると戻ってこれない。
一時的にフィールドから離れて効果無効という見方をすると、《スターダスト・ドラゴン/バスター》の亜種ともとれる。

その後新マスタールールの導入によってバハシャで出し辛くなったこともあってか、準制限を経て無制限カードに落ち着いた。
いかにパワーカードといえど正規の方法で召喚する分には妥当と判断されたのだろう。


と思いきや…
2020年の更なるマスタールールにより、リンクモンスターを介さなくてもエクストラデッキからモンスターが出せるようになり制限に出戻りとなった。は?


それでも時たま出てくる厄介なカードという立ち位置に落ち着いた……はずだった。

だが……奴は弾けた。

2022年、レベル2やリンク2、そしてランク2のモンスターと強烈なシナジーを発揮するカテゴリ「スプライト」が登場した。
詳しくは後述だが、あらゆるレベル2モンスターを引っ張り出せるこのデッキにおいて、レベル2を多く擁する【ガエル】はそのポテンシャルを十二分に引き出してしまった。
勿論、レベル2を素材にして出せるこの餅カエルも例外では無く、他の封殺効果を持つ「スプライト」と並べることにより相手に何もさせずに勝つ【ガエルスプライト】が環境をほぼ独占。
下級を寄せ付けない攻撃力の高さと制圧能力の高い餅カエルは再びヘイトを集めることとなってしまい、これを危惧されたかのように「スプライト」が登場してすぐ次の同年7月のリミットレギュレーションにおいて遂に禁止カードに指定されてしまった。

一度制限されたカードが環境の変遷を経て制限緩和を受けて戻ってくるというのは昨今の遊戯王において珍しくなくなったが、制限緩和されたカードが禁止カード扱いされるというのは非常に珍しい事例である。*2
そも、制限緩和された時点でもこのカードパワーの高さは据え置きであり、それを十全に活かせるカテゴリが現れれば弾けるのは必然だったと言える。
今後、このカードが再び舞い戻ってくるには相当厳しいエラッタを受けない限りまずないだろう……。

その後、禁止カードから緩和されてはいないものの、2022年12月マスターデュエルのメイトで《餅カエル》の実装が発表。なんと鏡餅らしく翌年の1月1日配信開始が決定した。
KONAMIからプレイヤーへのお年玉ということなのか、はたまたマスターデュエルでも《餅カエル》が禁止となる布石なのかと動向に注目が集まっていたが、
そのわずか1ヶ月後の2023年2月6日に禁止カードに指定。言わずもがなスプライトの実装に先んじての規制である。
デュエルで使用できなくなってしまったが、その分メイトをもちもちして楽しもう。


相性の良いカード

エクシーズ素材がなくても(1)以外の効果は使えるので、バハシャの効果で呼び出し使い捨てのカウンターにするのも強力。
現在のカードプールではレベル2水族×2よりレベル4水属性×2の方がはるかに並べやすいのである。
(3)の効果で自身をエクストラデッキに戻せるので、蘇生制限を満たさない点も気にならない。
バハシャへの除去を無効にして次のターンまた呼び出すことも可能。

こちらの方法で出すデッキには水精鱗海皇・シャークさん*3などの水属性軸の他に、ブリキンギョやバブルマンの存在からE・HEROでも使われる。
キーカードのサーチを得意とするHEROデッキならば先攻1ターン目からバハシャ餅フレシアダークロウなどという頭のおかしい盤面にすることも出来なくはない。


  • カエルスライム
カエルじゃなくて"ガ"エルだったらもうちょい使いようがあったのにとネタにされてきた貧弱バニラ。
…だったのだが、《レスキューラビット》や《予想GUY》でリクルートできる最も攻撃力の高いレベル2水族通常モンスターだったためスポットライトを浴びるようになった。
実際、このカードを投入したデッキが大会に入賞してたりもする。

他のレベル2水族通常モンスターには《サイコ・カッパー》《とろける赤き影》等もある。
ステータスで劣るといってもぶっちゃけどんぐりの背比べなので気にしなくていい。


  • 《海亀壊獣ガメシエル》
壊獣」の1体。餅で対応できないモンスターを除去しよう。
また水族であるため(2)の効果のコストとして使用できる。
さらに攻撃力が餅と同じ2200なので、相打ちした後に(3)の効果で回収して使いまわせる。


正規召喚するデッキなら蘇生カードも候補。
1回フィールドを離れることで無効化効果を再利用でき、(3)の効果を別のモンスターに回すこともできる。
【ガエル】なら蘇生と相性のいいモンスターを擁している。


レベル2・ランク2・リンク2を主体としたテーマ。
雷族テーマではあるものの、レベル2モンスターをなんでもリクルートする《ギガンティック・スプライト》とレベル2モンスター(条件付きでランク2・リンク2も)を釣り上げる《スプライト・エルフ》の存在からカエル・ガエルを並べて餅カエルのX召喚に繋げやすい。

しかも餅カエルのカウンター効果はX素材を使用しないので、スプライト・エルフによる釣り上げで複数回のカウンターが狙える。

ギガンティック・スプライトのリクルートにはそのターン中レベル2・ランク2・リンク2以外出せなくなるデメリットがあるが、餅カエル含め支障なく展開出来る上、何故か相手にもデメリットが及ぶため逆に《原始生命態ニビル》による妨害を気にせず展開出来るメリットになっている。

上記の通り、このカードを主軸にした【ガエルスプライト】が環境を独占したために餅カエルは2022年7月のリミットレギュレーションにて禁止カード扱いとなってしまった。

……のだが、餅カエルが消えてもその素材となるカエルたちのギミックは据え置きであり、以前としてこのカテゴリの厄介さは健在である。



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最終更新:2024年04月16日 01:28

*1 X素材には使えないが

*2 現時点でこの条件を満たしている禁止カードは《王宮の勅命》と《グローアップ・バルブ》の2枚のみ

*3 エクシーズ軸の魚族デッキ