ワルター・フォン・シェーンコップ

登録日:2016/08/10 Wed 08:18:10
更新日:2024/02/19 Mon 20:28:05
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このうえは私も微力を尽くすとしましょう。永遠ならざる平和のために


ワルター・フォン・シェーンコップは銀河英雄伝説の登場人物。

銀河帝国からの亡命者で編成された薔薇の騎士(ローゼンリッター)」連隊の連隊長。

CV:羽佐間道夫、三木眞一郎(Die Neue These)


■[人物]■

グレーがかったブラウンの髪と瞳、彫りの深い顔、長身で洗練された容姿を持つ事から、女性関係において僚友のオリビエ・ポプラン中佐と共にヤン艦隊の『双璧』と呼ばれる。

ある朝、シェーンコップとポプランがそれぞれ隣り合った女性士官の部屋から出てきたところでばったり出くわし、次の日にはそれぞれ前日とは逆の部屋から出てきたところで出くわした……なんて話も伝わっている。

関係を持った女性の数をいちいち覚えていないため、後に自分の娘であるカーテローゼ・フォン・クロイツェル(通称カリン)が名乗り出た時も、
カリンの母親であるローザライン・フォン・クロイツェルのことを思い出すことが出来ずカリンからマジギレされた。
実際、衛星ヴァンフリート4=2に駐留していた頃は、「夜ともなれば、複数の女性兵士のベッドを狭くする夜課を怠らなかった」そうで、OVA版では銀河英雄伝説では珍しいベッドシーンまで披露している。

娘に対しても感動の親子の対面…なんてことは全くやろうとせず、むしろ複雑な思いを抱えるカリンにもわりと平然と接して、たまに毒まで吐くためポプランがフォローに入るレベル。
カリンを嫌っていたわけではないようだが、とにかくこのことに対する心情は娘にも周りにも見せようとしなかった。

ユリアン・ミンツにとっては射撃や白兵戦の師匠であり、シェーンコップの方も荒事の苦手なヤン・ウェンリーを引き合いに出して、度々ユリアンの筋の良さを褒めている。
ちなみにユリアンとカリンの仲については「ものわかりの悪い父親になって、娘の結婚を邪魔する楽しみができた」などと言って、からかいながらも彼なりに応援している。

毒舌家としても有名で、上官にも決して媚びず、不甲斐ない同盟政府に対しても度々痛烈な批判を浴びせていたため、軍のお偉方からは煙たがられていた。

ただ、面倒見の良い性格のせいか、部下からは割と慕われており、シェーンコップがヤン・ウェンリーと共に自由惑星同盟から離反した後も薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊は最後まで彼に従い続けた。

■[能力]■

白兵戦の実力は、達人とも言われるほどで、しかも、白兵戦の猛将であると同時に策士としての才能もあり、冷徹な戦略眼も備えていた。

ヤンの才幹を高く評価しており、「兵力が互角でラインハルトと戦えばヤンの方が勝つ」と考えている。この仮定が戦略を無視した無意味な仮定なことは本人も承知している。
ただ、そのせいかヤンが政治権力を持つことを忌避することに強い不満を持っており、救国軍事会議によるクーデター時やバーミリオン会戦における政府の停戦命令発令時など、ヤンが政治権力を握れるチャンスが訪れる度、ヤンをけしかけている。

特にバーミリオン会戦の時など掴みかからんばかりで


分かっておいでなら、今一度確認しておきましょう!

さぁ政府の命令など無視して、全面攻撃を命令なさい!

そうすればあなたは3つのものを手に入れることができる。

ローエングラム公の命と宇宙と未来の歴史をね

さらに、「そのまま進む(戦闘を続行しラインハルトを討ち取る)だけで、歴史の本道を歩むことになる」とまで言い切っている。
彼が広い視野を持ち、戦略的な思考が出来る人物だからこそ、このような発想も出来るのだろう。


■[来歴]■

元々は自由惑星同盟ではなく銀河帝国の貴族の生まれで、六歳の時に祖父母に連れられて帝国から同盟に亡命した*1

16才の時、同盟軍士官学校の入学試験を受験し合格したが、校則に嫌われた(?)らしく入学はしなかった。
代わりに下士官を養成する軍学校の陸戦部門に入学。

卒業後は帝国からの亡命者で編成された薔薇の騎士(ローゼンリッター)」連隊に配属され、そこで数々の武勲を重ね若くして薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊の13代目連隊長に任命される。

宇宙暦796年薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊ごとヤン・ウェンリーの第13艦隊に編入され、以後ヤンの指揮下に入り、数々の陸上・白兵戦闘において活躍した。

第7次イゼルローン要塞攻防戦で同盟軍に一切の犠牲を出すことなくイゼルローン要塞を無血占領出来たのは彼の功績が大きい。この戦いの功績で准将に昇進し、薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊長をリンツ大佐に譲っている。帝国領侵攻作戦後はイゼルローン要塞防御指揮官として、要塞運営のNo.3となっている。

救国軍事会議のクーデターでは薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊を指揮して、惑星シャンプールを3日で制圧、さらに脱走を装ってヤン艦隊に乗り込んで来たバグダッシュの意図を見抜いてヤン暗殺を阻止した。なお惑星シャンプール制圧の功績で少将に昇進しているが、これはヤン艦隊の将帥では唯一の昇進であった。

第8次イゼルローン要塞攻防戦ではヤン不在の中、司令官代理となった要塞事務監・アレックス・キャゼルヌ少将を補佐し、また装甲擲弾兵部隊の降下作戦に際しては、薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊を指揮して獅子奮迅の戦いぶりを見せた。

ラグナロック作戦では帝国軍の作戦を逆手にとってオスカー・フォン・ロイエンタールの御座艦であるトリスタンに乗り込み、ロイエンタールと一騎打ちを演じあと一歩まで追い詰めた。ハイネセン帰還の際に中将に昇進。

バーミリオン宙域会戦で自由惑星同盟がラインハルト・フォン・ローエングラム率いる帝国軍に降伏した後は軍を退役し予備役に編入。

その後は実質的に銀河帝国の統治下に入ったハイネセンで地下活動を行い、軍務尚書パウル・フォン・オーベルシュタイン元帥の示唆によって、帝国高等弁務官のヘルムート・レンネンカンプ上級大将とジョアン・レベロ最高評議会議長に暗殺されそうになっていたヤンを、ダスティ・アッテンボロー中将やバクダッシュ大佐、ブルームハルト中佐指揮の薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊と共に間一髪で救出。レンネンカンプを拉致してジョアン・レベロに取引を持ち掛け、ヤン一行のハイネセン脱出を成功させた。

ハイネセン脱出後は第10次イゼルローン攻防戦*2においてメルカッツ提督の指揮の下で薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊を率いてイゼルローン要塞の奪還に尽力する。

続く回廊の戦いは艦隊戦の為出番はなく、地球教徒によるヤン・ウェンリー暗殺もイゼルローン要塞の防衛力の強化に専念すべしという理由から、イゼルローン要塞に待機を命じられていたため救出に間に合わず、結果的にヤンを死なせ、ヤンの警護にあたっていた部下のブルームハルト中佐の死を見取る事となった。

ヤン亡き後はヤンの後継者としてユリアンとフレデリカを擁立。イゼルローン共和政府を立ち上げ、ヤンの後継者であるユリアン・ミンツを支え続けた。

最期は両陣営にとっての最後の戦いとなったシヴァ星域会戦において、帝国軍総旗艦「ブリュンヒルト」への突入に成功した後、ユリアンがラインハルトの元に辿り着くまでの時間稼ぎを行い戦死。
致命傷を負いながらも周囲を威圧しながら階段を上がり、一番上に悠然と座って相手を見下ろしながら絶命したその死に様は、歴戦の勇者に相応しいものであった。


ワルター・フォン・シェーンコップ、三七歳、死に臨んで言い残せり―――
わが墓碑に銘は要らじ、ただ美女の涙のみ、わが魂を安らげん、と。

ふん、どうもいまひとつ、修辞が決まらんな。
アッテンボローの青二才に、代筆させたほうがまだましか。

……そうだ、あの娘だ、ローザライン・フォン・クロイツェルといった。
ローザと呼んでほしいと言っていたな……



薔薇の騎士連隊


銀河帝国からの亡命者で編成された部隊で、陸戦においては同盟最強の部隊と言われており「ローゼンリッター連隊の戦力は一個師団に相当する」と評されていた。

ただ、戦闘においては極めて優秀な能力を持つ薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊だったが、それと同時に帝国へ逆亡命するものも多かったため同盟軍内部での信頼は薄く。
事実、薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊の歴代の連隊長12人のうち4名は帝国軍との戦闘で死亡し2名は将官に昇進した後に退役したが、残りの半数の連隊長は帝国へ逆亡命している。
特に第11代連隊長を務めたヘルマン・フォン・リューネブルクが逆亡命した際には薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊は一時廃止寸前にまで追い込まれた。

しかし、連隊の創設理念に亡命者への政治宣伝が含まれていた事や、薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊の戦果が他の部隊に比べ凄まじかった事から、なかなか廃止に踏み切れないといった状況が続いていた。
やがて薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊は、ヤン・ウェンリーが率いる第13艦隊に編入され、以後ヤン・ウェンリーの指揮の下で数々の激戦を潜り抜けた。

両陣営にとっての最後の戦いとなったシヴァ星域の会戦では、元連隊長のシェーンコップをはじめ、多くの隊員が戦死し、イゼルローン要塞攻略時には1,960名を数えた連隊員は、5年の激戦を経てシヴァ星域会戦終了時には204名にまで減少し、生き延びた隊員も全員が負傷していた。

■[隊員]■

  • ヘルマン・フォン・リューネブルク
第11代連隊長。
優秀な軍人だったが帝国へ逆亡命してしまった。
そのため残された薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊の隊員からはひどく恨まれている。
宇宙歴794年の第6次イゼルローン要塞攻防戦で、薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊の挑発に乗せられざるを得ない状況に追い込まれ、シェーンコップとと戦い、敗死する。

  • オットー・フランク・フォン・ヴァーンシャッフェ
第12代連隊長。
シェーンコップとは違い冗談の通じない堅物で部下からの評価もあまり高く無かった*3
第6次イゼルローン要塞攻防戦に先立つ、衛星ヴァンフリート4=2の戦闘においてリューネブルク率いる陸戦隊の攻撃により戦死した。

  • カスパー・リンツ
第14代連隊長。
知勇の均衡という点ではシェーンコップを凌ぐ人物。
シェーンコップが将官に昇進したのを機に連隊長に就任したが、シェーンコップが実戦指揮を執ることが多かったため、補佐役に徹していた。
シヴァ星域海戦時も負傷しながら生存し、数少ない薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊の生き残りとなった。

  • ライナー・ブルームハルト
薔薇の騎士(ローゼンリッター)連隊最後の連隊長(但し最終階級が中佐のため連隊長代理)。
リンツが「動くシャーウッドの森」艦隊に参加し、記録上戦死扱いとなった為連隊長代理となる。
ヤン・ウェンリーが地球教徒に襲撃された際は命がけでヤンを逃がしたが、結局ヤンは逃げ切れず死んでしまった。

■[余談]■



イゼルローン要塞において1月8日は「奇術師ワルター・フォン・シェーンコップの日」として祝日とされている。


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最終更新:2024年02月19日 20:28

*1 亡命した理由はメディア間で差異があり、原作やコミック版、OVA版では「祖父が友人の保証人になった結果破産して借金に追われる羽目になったため」、Die Neue Theseでは「祖父が貴族との利権争いに敗れ、『共和主義思想者』の汚名を被せられたため」と設定されている

*2 イゼルローン再奪取作戦

*3 就任前は気の良い人物であったようだが、就任の経緯もあり連隊長の職責に耐える器量を持ち得なかったとも言われる