パイルドライバー(プロレス技)

登録日:2011/04/09 Sat 07:43:30
更新日:2023/02/04 Sat 17:19:36
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  • パイルドライバー

パイルドライバー(Pile Driver)とは、プロレスに於ける代表的な必殺技で、投げ技、痛め技の一つ。
和名は“脳天杭打ち落とし”
主に“ドリル・ア・ホール”式と“ツームストーン”式があり、前者は米国で、後者は欧州を源流にするという説がある。

ドリル・ア・ホール式の元祖は20代後半にしてボクサーからプロレスラーに転向して活躍した“ワイルド”・ビル・ロンソンであり、1937年よりプロレス入りした彼により持ち込まれ、その後で定着した技だと見られている。
ロンソンはプロレスに於ける悪役(ヒール)の定義をも完成させた名レスラーであり、悪漢キャラながら世界王者の座にも長く就いた実力者であった。
この他、同世代(年齢は下だがプロレスでのキャリアは上)には、バックドロップの元祖として知られる鉄人ルー・テーズが居り、テーズが使用していた“リバーススラム”も元祖パイルドライバーと呼ばれておりパイルドライバーの原型なのではないかと考えられていたが、今日では元祖のロンソンの時点でドリル・ア・ホール・パイルドライバーの型が完成していたことが判明している。
ロンソンが完成させたパイルドライバーは、彼等と同世代(だが、年齢は下の)初代“ネイチャーボーイ”・バディ・ロジャースも得意技の一つとしており、ここから更に多くのレスラーに広がっていったと考えられる。
ロジャースは足4の字固めの元祖と知られる名レスラーである。
一方、テーズのリバーススラムはテーズ以外に目ぼしい使い手は居なかったものの、80年代にテーズより直接の指導を受けたテリー・ゴディがパワーボムとして昇華させたことで漸く系譜が繋がれた。

ツームストーン式の方は元祖が誰なのかは定かではないのだが、欧州のレスリングで以前から存在していた“欧州式パイルドライバー”と呼ばれる技が原型で、その形が整えられたのではないかとする説が有力。
この技はカール・ゴッチやビル・ロビンソンもフィニッシュの一つとしていた技で、相手をボディスラムで逆さまに抱えて頭部を両膝で挟み込み、股に手を差し入れて垂直に落とすという天山広吉のTTDのような技であり、多少のホールドや落とし方の違いはあるものの、こちらもほとんど形が完成していた。
米国にてプロレスビジネスが始まった頃には、ゴッチやロビンソン以前の欧州出身のレスラーも入り込んでいたので、彼等により持ち込まれたと考えるのは難くない。


【型】
前述の様に大きく大別すると、
●ドリル・ア・ホール・パイルドライバー
●ツームストーン・パイルドライバー
の2種類がある。

※ドリル・ア・ホール・パイルドライバーは、相手をおじぎをさせる様な態勢から持ち上げ、尻餅をつく様に脳天を落とす技で、普通“パイルドライバー”と言えばこの型を差す。

※ツームストーン・パイルドライバーは、向かい合った状態の相手を逆さまに捕らえて膝を付く様にして脳天を打ち付ける技で“ツームストーン(墓石)”と呼ばれる。

上記の様に源流がバラバラである事から、元々は非常に多様な形の“ドライバー”が存在していたのだが、この2種類に纏められたのは、偏に“危険過ぎる”が故である。

格闘技である以上、ダメージを与える事が目的のプロレス技でも“相手を殺す威力”や“再起不能にする威力”までは必要無い訳で、
技の形を整える事により受け身のスタイルも一元化させる目的もあったのだと思われる。
事実、独特の“引き込み型パイルドライバー”を得意とした往年の名レスラー“バディ”キラー・オースチンは、純粋に(※他の要因無しに)この技で2名のレスラーをしている。
……今より、マットの安全性が低く、また死んだ選手の技術が未熟であったが故の事故と言われているが……実はヒールとして自分に箔を付ける為のギミックであったらしい。

とはいえ、パイルドライバーが実際に危険な技であるのは変わりはなく、リング禍は無くとも大怪我を負う選手が居たのは確かであったらしい。

こうした歴史もあり、90年代中頃までは“パイルドライバー”系の技は大きく発展していなかった……が、
……その後のプロレス界は異常進化を遂げた「四天王プロレス」や「新日Jr.」の影響により、「高度な受け身により、大技を仕掛け合う」と云うスタイルに変貌……
“みちのくドライバー2”を始めとする数々の“スーパードライバー”が生み出される事になった。


【主な使い手】

【ドリル・ア・ホール・パイルドライバー系】

  • “ワイルド”・ビル・ロンソン
前述のようにパイルドライバーの元祖。
悪役レスラーという定義自体の元祖でもある。

  • “ネイチャーボーイ”・バディ・ロジャース
往年のNWA世界王者で、ジャイアント馬場が最も憧れた選手。
足4の字固めの元祖だが、ビル・ロンソン流のパイルドライバーを取り入れ、映像ではオースチンよりも先に引き込み式パイルドライバーを使っている姿が確認出来る。
“ネイチャーボーイ”のニックネームからも想像出来るが、実はリック・フレアーはキャラもスタイルもロジャースを踏襲している“2代目ネイチャーボーイ”である。
ロジャースのスタイルはフレアーが正式に継承する以前よりニック・ボックウィンクルがフォローしている。
そのせいか、後の世界王者には足4の字と共にパイルドライバーを使う選手が非常に多い。

  • “キラー”・バディ・オースチン
1950年代にロンソン(ロジャース)流のパイルドライバーを武器に実力派ヒールとして活躍。
前述のように“リングで二人を殺した”と喧伝していたものの、あくまでもギミック上の物であったらしい。

1970年代を代表するプロレス王者で、腕自慢相手の賭けプロレス上がりの実力者。
ダイビングヘッドバッドの元祖、バーティカル・スープレックスの使い手として有名だが、
バディ・オースチンより直接の指導を受けたとしてパイルドライバーも得意としていた。

  • ケンドー・ナガサキ
「ステゴロ最強」を謳われた往年の名レスラー。“安全ドライバー”と揶揄される事もある通常型を必殺技の域にまで高めた名人。

  • ブルーザー・ブロディ
高い身体能力を誇った「超獣」も通常型を得意とした。ハンセンアンドレ鶴田らと並ぶ歴史上の最強レスラー候補。

  • ボブ・バックランド
80年初頭代を代表する名レスラーで、「WWF(WWE)」がTV主導に移る前の最後のチャンピオン。
漫画の様な“ジャンピング・パイルドライバー”を披露した。


  • ピーティー・ウィリアムズ
“回転エビ固めの要領で飛び付き、空中高速一回転”でパイルドライバーを決める“カナディアン・デストロイを開発……。
漫画やゲームを超えた男。

カマだかゲイだかハッキリしないが実力は高いインディーの猛者。
相手の頭をタイツに突っ込み仕掛ける“男色ドライバー”が必殺技。
……イロモノと侮るなかれ、直に一物に接触させる“リアル”やマジメな形では“男色デストロイ”も存在するのだ。
そもそもタイツの中に頭突っ込む=外が見えない為叩きつけるタイミングが分からず受身が取り難くて普通に強力なのである。

  • 鈴木みのる
各団体を渡り歩き参戦する事に爪痕を残す「世界一性格の悪い男」。
相手の股で腕を交差させてテコの原理で持ち上げる“ゴッチ式パイルドライバー”をフィニッシュにしている。


【ツームストーン型】

「WWE」の象徴たる「墓掘り人」
かつては巨人レスラーに使い手が多かったが、危険過ぎるが故に廃れた本物の「墓石落とし」を現代に伝える最後の名手。
……何故廃れたか?テイカーの技を実際に見てみよう。

見た目はブルファイターだが、実際には高い技術を持つ天山は変型ツームストーンの“TTD”を使用。
中でも“元祖(原型)TTD”はプロレス界で禁じ手とされていた“着席式ツームストーン(ツームストーンの形で尻餅をつく)”をアレンジした超危険技だ。
“オリジナルTTD”という型もある。こちらは奥の手として極稀に使用。

  • ダイナマイトキッド
初代タイガーマスクのライバルとして知られる往年の名レスラー。
スーパーヘビー級の技だったツームストーンをJr.の技にした開祖。
軽く持ち上げ、ストンとマットに相手の身体を“突き刺す”のが特徴。

  • デイブ・フィンレー
WWE時代のケルティック・クロスやケルティック・ノットのイメージがある人も多いが、WCW時代をはじめとした多くの時期はツームストーンパイルドライバーをフィニッシャーとしている。

  • クリス・ベノワ
Jr.時代のベノワは、何と“雪崩式ツームストーン”を繰り出している。
……ちなみに全女マットでも使われた事があり、若手時代の北斗晶は首を折っている

リングに金の雨を降らせる「レインメーカー」。
長身の彼が放つツームストーンは説得力抜群。場外で放つ危険な一面も持つ。



【スーパードライバー系】

  • TAKAみちのく
“みちのくドライバー2”(ドリルアホール+ツームストーン+ボディスラム)により、パイルドライバー系必殺技の新時代を開いた。
数々のスーパードライバーも、結局は“みちのくドライバー2”の変型でしか無い事も多いのが、そのスゴさを物語る。

「四天王プロレス」最強の男。
自身最後の必殺技「エメラルドフロウジョン」は相手をサイド方向に落とす変型ドライバーだ。

  • CIMA
相手を正面から担ぎ上げ、背中越しに後ろ手で相手の頭部を捕らえて尻餅をついて垂直に落下させる“シュバイン”を開発。
変型ドライバーの型に新風を吹き込んだ。
パイルドライバーおよびパワーボム系の技への返し技にもなる。


【架空のドライバー】

両手で相手の両足を持ち、両足で相手の両腕を押さえつけて叩きつける“キン肉ドライバー”(疾風迅雷落とし)は悪魔将軍を打ち破ったキン肉マンのオリジナル技。
元が現実の“キン肉バスター”とは違い、絶対に現実では不可能な大技。
48の殺人技・プラス1。
鉄拳』シリーズの二代目アーマーキングも『マッスルドライバー』の名で使用する。

「超人ハンター」として名高い完璧超人の一人。
“Ωカタストロフ・ドロップ”はギミック付きのツームストーンドライバーだ。

空中で回転しながら地面に叩きつけるスクリューパイルドライバーは、「ロシアの赤きサイクロン」の伝説的な必殺技。現実では不可能だが、もはや全人類の夢。
ケニー・オメガがファイナルアトミックバスターを使用したときも半回転くらいしかできなかったし

自身が主役の映画にて使用。
グレンファイヤーとの戦闘時にグレンからパイルドライバーを喰らうもお返しとばかりに空高くから喰らわせた。現実的には間違いなく死ぬ。
その後のウルトラマンベリアルとの戦闘時にも使用しており非常に印象に残る必殺技となった。

持ち上げてからジャンプして回転しながら落とす。彼の怪力ぶりが非常にわかりやすく表現されている。



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最終更新:2023年02月04日 17:19