俵藤太(Fate)

登録日:2016/08/02 (火) 19:22:32
更新日:2023/06/28 Wed 19:06:31
所要時間:約 15 分で読めます




よし!飯にするぞマスター!『腹が減っては戦ができぬ』いい言葉だなあ…




Fate/Grand Order』に登場するサーヴァント
クラスはアーチャー。レア度は☆3。

ガタイがかなり良い大男で、赤色の着物を纏い五人張りの強弓を武器とする。
また肩には自身の代名詞とも言える米俵を担いでいる。


イラスト:下越
CV:鈴村健一


身長:183cm
体重:98kg
出典:俵藤太物語
地域:日本
属性:中立・善
性別:男性
サーヴァントであるが、食に拘りがある。


◆ステータス
筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
B B D C B A


【スキル】
○クラス別スキル
  • 対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

  • 単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。

◯保有スキル
  • 龍神の加護:C
大百足を退治した事による、龍神の祝福。
戦闘の際に助力を受ける事ができる。
ゲーム上の性能は自身にバスター性能アップ効果(3ターン)と、HP回復効果。

  • 矢避けの加護:C
飛び道具に対する対応力。矢を含む投擲武器を中確率で自動回避する。。
ただし超遠距離からの直接攻撃、および広範囲の全体攻撃は該当しない。
ゲーム上では自身に回避効果を付与(2回)+防御力をアップ(3ターン)。


【宝具】
八幡祈願・大妖射貫(なむはちまんだいぼさつ・このやにかごを)
ランク:B 種別:対人宝具

では、やるか!
南無八幡大菩薩……願わくば、この矢を届けたまえ!

なむはちまんだいぼさつ・このやにかごを。
若い頃から愛用している五人張りの強弓による射撃。湖に住む龍神の加護が特別に与えられている。

藤太が龍神の娘に懇願され退治に向かった大百足に放った矢。
矢に唾を付け、八幡菩薩に祈念して射るとそれは見事大百足の眉間に刺さり、退治することが出来たという。

ゲーム上では自身に魔性特効状態を付与(1ターン)〈オーバーチャージで効果アップ〉+敵全体に強力な攻撃。
幕間の物語をクリアすると魔性特攻が3ターンに延長される。
周回で魔性系の剣エネミー相手なら超有効である。


『無尽俵』
ランク:EX 種別:対宴宝具 レンジ:0 最大補足:1人

美味しいお米がどんどん出てくる。
(マテリアルより原文ママ
後述にもあるように大百足を退治した礼に龍神から与えられた宝物であり、EXランクの対宴宝具である。
ゲーム上では、味方全体にHPアップ状態を付与する(3ターン)。




室町時代に成立した「俵藤太物語」の主人公。
藤原北家魚名流を出自とする平安時代中期の武士であり、藤原秀郷(ふじわらのひでさと)の名で日本史の教科書にも載っている人物である。
それと同時に、平安時代を代表する妖怪殺しの英雄でもある。

史実ではかなり若いころからやんちゃを繰り返し、流罪にされかかったり追放されたりと、武勇はあれども手のつけられない若者であったらしい。

しかしある時、近江国の瀬田の唐橋に大蛇が横たわり、人々は大蛇を恐れて何日も橋をわたることが出来なくなってしまった。
そんな中通りかかった藤太は臆することなく大蛇を踏み越えて橋を渡ったという。

その日の夜、藤太のもとに一人の美しい娘が訪れる。
彼女は昼間藤太によってまたがれた大蛇であり、自身を琵琶湖に住む龍神の娘と名乗った。
そして三上山*1の大百足に苦しめられていると訴え、勇猛な武士である藤太にその退治を依頼する。
藤太はそれを快諾し、祖先である藤原鎌足から伝わる太刀と自慢の強弓を携え、討伐に乗り出した。


……ん?ちょっと待った。


言わずもがな型月的に龍/竜とは東西問わず最強クラスの幻想生物。魔と神の性質を併せ持つ、万獣の頂点に君臨する存在である*2
例え下級の竜種でも、その血を継いでいるだけで存在のランクが数段跳ね上がる。
つまり龍神として崇められているからには、その娘や一族も相当位の高い神秘性を秘めているはずで、大きな百足程度に甚振られるなど考え難いのが普通なのだ。
なのだが。




実はこの大百足、なんとその龍を攫って貪り食い、山を七巻半する巨体を持つというとんでもない化物だったのだ。
退治できる者を探すためとは言え龍神の娘が人々の行きかう橋の上で裸身を晒して横たわるという誇りも恥も打ち捨てた非常手段を取ってまで助けを求める筈である。


龍神の一族すら恐れる大百足に対し、藤太は真正面から対峙し弓矢を射るが効果はなく、残り1本となってしまう。

そこで藤太は百足が人の唾液に弱いということを思い出し、鏃に唾を付け、
八幡菩薩に祈願し射ったところ見事大百足の眉間に突き刺さり、退治することが出来たという。

その御礼として龍神から加護を始めとして、「米の尽きることがない俵」や「海幸山幸が無限に出てくる鍋」、
「切っても切っても無くならない反物」などの宝物や「蜈蚣切」という現在は伊勢神宮に所蔵されている宝刀を授かったとされる。
ちなみにアーチャーとしての召喚だが、この佩刀「赤地錦包毛抜形太刀」が重要文化財として今日にまで伝えられているので、セイバー適性もあると思われる。


史実にも残されるほど有名なのは、かの平将門との対決であろう。
将門は言うまでもなく新皇として関東に覇を唱えた猛将であったが、
母である大蛇によって加護を与えられた全身は*3鉄身と化して如何なる武器をも跳ね返し、
さらに妙見大菩薩からの加護によって七人*4の影武者を授かっていた。
ただでさえ強者の将門が七人で暴れるばかりか、如何に矢を射掛けても討ち取れない。
当時既に高名であった俵藤太に討伐が依頼されたのも、無理も無いことであろう。
そして俵藤太は将門の妻・桔梗から「将門の影武者は日光によって影が生じないこと」を聞き取り、
龍神より「将門の弱点はこめかみである」*5との言葉を受け、見事一射で将門を討ったのである。

そうして龍神の加護を受けて不死身の魔人であった平将門を打ち取るなど武功をあげた俵藤太は、
武士として最高位の栄誉である鎮守府将軍に叙せられることになる。


そして褒美として下野国を与えられた俵藤太は、兎田という馬捨場に百目鬼が現れるという噂を聞きつける。
単身赴いて夜を待つと、身の丈十尺ほどの巨大な百目鬼が現れたため、藤太は最も光輝く目こそが急所だと考えて迷わずそこを射抜いた。
急所を貫かれた百目鬼は炎と瘴気を撒き散らしながら悶絶し、翌朝には滅び去ったという。
弱点や急所を見抜いて一射必殺が逸話における基本パターンのようだ。

以後、彼の経歴は史料が乏しく、没年すら不詳である。

しかし源氏・平氏に並ぶ武家の棟梁として多くの家系を輩出したことは間違いなく、下野国の小山氏や奥州藤原氏などの祖となったのである。

また彼の子孫が「佐藤」氏を名乗ったことから、現在全国に約200万人居るとされる佐藤さんのご先祖様の一人でもあると考えられている。




上述の通り「藤原秀郷」の名で日本史の教科書にも載っている日本出身のサーヴァント。

サーヴァントの数も増えてきて日本出身の英霊も増えてきているが、
されていたり本人ではなかったり西洋かぶれになっていたり、
そもそも人間ではなかったりと変化球なものが多い中では、正統派のサーヴァントと言えるであろう。

性格は一言で言えば「お米食べろ!」。マイルームで口を開けばとにかく飯のことを話し、絆セリフも全てが飯の話という徹底っぷりである。

とは言え単に食い意地が張っているという事ではなく、その思いは真剣なもの。
聖杯への願いも「この世界全てに、食を。人間、動物、植物、機械に至るまで、分け隔てなくだ!」であり、
自分が嫌うものとして「飯を食えない状況」をあげるなど、食べ物の大切さや飢餓の恐れを知るが故の純粋な思いである。

マスターとの関係は初期の段階から良好。「共に戦うには信頼関係が必要」と同じ釜の飯を食おうと言ってきたり、
「戦国の連中と違い裏切ることはない」と武士として仕えてくれる。

因みに騎乗スキルは持っていないようだが乗馬技術は優れているようで、
ランスロットと同じぐらい馬の扱いに長けているようだ。流石は武士といったところか。


◆ゲーム内での活躍
本編では第六章「神聖円卓領域キャメロット」にて登場する……が、実は宣伝CMには登場していなかった。
突然ピックアップガチャでオジマンディアス静謐のハサンらと共に俵を担いだお侍が紹介されたので、一部ファンの間でどよめきがあった。
誰が呼んだか円卓の騎士俵卿

立場としては恒例のはぐれサーヴァントで、ひょんな事から三蔵ちゃんの弟子として共に行動していた。
(もっとも弟子というよりは暴走しがちの三蔵ちゃんの保護者という感じであったが)

三蔵ちゃんと一緒にキャメロットを出て旅をしていたところ、
三蔵ちゃんが「あの砦は絶対に面白い!」と円卓の騎士が詰める砦に喧嘩を売り騎士たちに追い掛け回されるハメになる。

そしてはぐれた三蔵ちゃんを探していたらランスロットと対峙し、
自身が弱っていたのと眠気もあったので早々に叶わないと降伏し、地下牢に閉じ込められていた。

ちなみに閉じこめられている間は砦の兵たちにも飯を振る舞っていたようで、「アイツがきてから昼飯のグレードがあがった」とモブ兵士が発言している。
ついでに人柄的にも兵士たちから気に入られていた様子。

その後静謐のハサン救出に来た主人公一行に合流し、以後は三蔵ちゃん共々一行と行動を共にすることになる。


さあ、行くぞぅ! 対宴宝具―――美味いお米が、どーん、どーん!


仲間になった後は武働きも勿論だが、「対宴宝具」なる無尽蔵に食事が出てくる宝具を使った活躍が最も印象に残る。

生前に龍神から受け取った「米の尽きることがない俵」と「海幸山幸が無限に出てくる鍋」をサーヴァントになった後も持ってきているようで、
それを使い飢餓に喘ぐ村々を救っている。*6

因みに宝具ランクは規格外のEXランク。
お腹いっぱい美味しいものを食べるという、時代も国も宗教も超えた究極の幸福の形を提供し、飢餓と言う人類最古の災厄の一つを真っ向から叩き潰せるこの宝具に対して、当然の評価であるといえる。

そして戦闘にはほぼ役に立たない宝具なれど、多くの人々に笑顔を取り戻したその宝具はマシュの心に強く響き、相手を「倒す」以外の宝具の在り方に感動することとなった。


◆他サーヴァントとの関係
絡みとしてはやはり弟子扱いされている三蔵ちゃんとの絡みが一番多い。
彼女からはトータと呼ばれており、事あるごとにトラブルを起こして彼の頭を抱えさせていた。
ただし藤太の方も愚痴は零しながらも何だかんだ見捨てることもなく面倒を見ているので、関係は良好だと思われる。
因みにどうして弟子になったかは曰く「長いぞぉ、その話は長いぞぉ!となれば、まずは飯の支度だな!」とのこと。結局主人公が知ったかは不明。

他にはアーラシュとも同じ弓兵だからか気が合ったようで、宴会では2人で飲み交わしていた。
中盤におけるアーラシュ最大の見せ場を、同じアーチャーとして、そして友の一人として見守り、賛辞を送る。

また坂田金時と生前知り合いだったようで、彼からは俵の兄さんと呼ばれていたらしい。
もっとも彼が活躍していた時期と源頼光と四天王が活躍していた時期は同じ平安時代中期でもかなり開きがあるのだが……*7
将門討伐時で高齢だったと言われており、金時と知り合うのはさらにその36年後。
生没年が不詳なので、かなり長生きだったのかもしれない。

余談ながら藤太に討たれた将門の娘である滝夜叉姫は、後に頼光四天王の敵として立ちはだかる。
また一説によれば、安倍晴明は平将門の孫であるという。
頼光四天王に対する「前作主人公」的な立場の人物が俵藤太と思えば、彼らの関係も想像が膨らむというもの。

他にはマイルームでは意外なところで両儀式(殺)から興味を持たれている。
海の幸山の幸も自由自在という所に心惹かれたようで、ちょっと腕前を見せてくれるようだ。
エミヤとの料理対決とか見てみたい。
ただ長年の型月ファンからこの組み合わせを見ると、ちょっとした(リアル込みの)ファンサービスなのではないかと推測もできる。


◆性能
ゲーム中では激戦区とされる☆3アーチャーに属するサーヴァント。カード構成はQuick1・Arts2・Buster2で宝具はBusterカードである。

宝具は同レア以下のアーチャーの中ではアーラシュ・子ギルに続いて3人目の全体宝具。
魔性特攻が付いてくるのでスケルトンやウェアウルフといった雑魚の殲滅に効果的(ただし難敵スプリガンは魔性属性でないので特攻が乗らない)。
「龍神の加護」を使用することで更に威力を底上げすることも出来る。

それまで兄貴の専売特許スキルだった「矢避けの加護」を所持しているお陰で長く場に居座ることが出来る。
更に一番の特徴である「無尽俵」は3ターンの間味方のHPを増やすというもの。
これは単純に耐久力を上げるだけではなく、HPが上がった分回復効果もあるので、優秀な全体回復スキルとしても運用できる。

欠点としては、「龍神の加護」で多少は誤魔化しが効くもののATKが少々心許ないということと、
魔性属性のサーヴァントが現状4騎しか居ないので、宝具がサーヴァント戦ではあまり役に立たない事があげられる。

ただし、幕間の物語をクリアーすることで宝具の基本威力向上、魔性特攻が3ターンに延長されたことで、魔猪やヤドカリ系、黒武者といった魔性持ちかつ弱点の突けるクラスの雑魚敵には滅法強いサーヴァントとなった。

対サーヴァントには火力不足を感じるかもしれないが、是非とも有効に活用してあげよう。

◆余談
弓を携えてやって来たことから、当初は彼を型月では数少ない弓を使う正統派のアーチャーだと考える人が居た。
しかし蓋を開けてみると、宝具やArts攻撃で弓を使うには使うが、
そんな事よりもBuster攻撃やEX攻撃で担いでいた米俵を相手にぶん投げるというインパクトありすぎる攻撃方法に全てを持って行かれてしまった。
やはり型月のアーチャーは弓を使わぬ…とファンに知らしめた瞬間であった*8

…さらに余談になるが、アーチャーなので某騎士王に攻撃すると米俵に対しWEAKを出しているようにも見えたりする。



うはははははは!飯は後だ!編集が終わった後の飯は、一番美味い!だからwiki籠り、たっっぷり追記・修正をしておけよ!

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最終更新:2023年06月28日 19:06

*1 別名を近江富士とも言い、現在の滋賀県野洲市にある山。標高は432mとそれほど高くはないが、平野部の残丘(周囲が削られる中で残った箇所)なのでむしろ横幅の方が大きい。なお琵琶湖を挟んで対岸からよく見える。

*2 より正確に言えば、竜が最強の幻想種とすれば龍は無敵の幻想種。『戦う』という必要すらない別次元の存在であるとされている。

*3 龍神の加護を直前に得ている俵藤太の相手としては中々に運命的

*4 将門を含めて七人とも、含めず計八人とも

*5 将門の母がこめかみを舐め忘れ、加護を与えられなかったため。アキレスとの類似が指摘される。

*6 ストーリーでは鍋について触れられてはいないが、米の他に肉や魚、豆も出していたということと、マイルームで海の幸・山の幸も自由自在という事が触れられていることから鍋も持っている、または無尽俵と同一化していると推測される

*7 平将門討伐が940年、頼光の誕生が948年、金時の誕生が956年、金時の四天王入りが976年、酒呑童子討伐が995年

*8 まあ「俵藤太物語」において弓は所謂「必殺技」的な扱いと取れなくもないが。