ベディヴィエール(Fate)

登録日:2016/07/30 (土) 00:38:29
更新日:2024/01/23 Tue 15:56:50
所要時間:約 14 分で読めます




Fate/stay night』の登場人物。
CV.能登麻美子(DEEN版アニメ)、三木眞一郎(PS2)、真殿光昭(PSvita)、宮野真守(Garden of Avalon以降)


アーサー王に仕えた円卓の騎士の一人。
最初の円卓の騎士のメンバーであり、宮廷の執事役、王の世話役を務めた。
銀髪隻腕の美青年…というか女顔で、長身ではあるが『Realta Nua』までは声も相俟って性別が判別し辛かった。

隻腕でありながら他の騎士の三倍の強さを誇ったと言われるが、それはあくまでも通常の騎士の話で、超人揃いの円卓の騎士の中では凡人であり、末席に置かれていた。
そもそも彼が円卓の騎士に選ばれたのは、強さではなくその心が理由だった。
その純朴さ、超人である自分達では見落としてしまう人々の営みを感じ取れる心の細やかさ。それが王がベディヴィエールに求めたものだった。
円卓の騎士は敵を倒すための集団ではなく、人々の明日を守る騎士であるが故に。

アーサー王を信奉し、国ではなく王個人に剣を預けており、その忠誠心の厚さは円卓の中でも随一。
周囲からは王に最も近しい忠臣としてアーサー王から絶大な信頼を勝ち取っている事から、王を敬愛する他の円卓からは羨望のような感情を抱かれていた。

若輩の身で王の近衛にまで上り詰めたのも、彼の王の身近ならば公平無私であろうとする王の素顔が見られるかもしれないと期待したため。

しかし、王の身辺を警護し、騎士の中で最も身近にありながら、ベディヴィエールは王が笑ったところをただの一度も見る事はなかった。
ベディヴィエールはいつしかそれに怒りを覚え始め、いつか王のかんばせに光が与えられることを願った。

が、その願いも虚しく、ブリテンはモードレッドの叛逆によって崩壊し、王もまた致命傷を負った。
王が孤独のまま死んでいく事を許せなかったベディヴィエールは、聖剣を湖に返還するように命じる王に二度に渡り背いた。

しかし王の意志は変わらず、最早運命を変えられない事を悟ったベディヴィエールは聖剣を湖に返還し、聖剣の加護を失った王は安らかに眠りについた。
そしてべディヴィエールは、


「​────見ているのですか、アーサー王」


「夢の、続きを​────」


その安らぎを王に与えてくれた誰かに深く感謝し、王の最期を看取った。


色々とややこしい円卓の中にあって、良識を備えた常識人であることから「円卓の良心」と呼ばれる。
その分円卓の中では苦労人ポジションだったらしく、問題を起こしがちな連中のフォローを良く任されていたそうな。

ちなみに円卓メンバーは「アーサー王燃え派」「アルトリアたん萌え派」「アーサー王を愛しているのは俺だけでいい派」と分かれているそうだが、
ベディヴィエールは王の人としての部分を重んじる「アルトリアたん萌え派」に属すると思われる。
円卓の中では特にトリスタンと最も親しい友人であり、他の円卓からも信頼されてるが、
モードレッドに対しては王に対する最大の不忠者として怒り混じった嫌悪感を持っている。
アグラヴェインのことも生前はあまりよく思っていなかったが、彼の死から円卓の崩壊が始まったこと等を冷静に考え直した結果、嫌悪感はほぼ無くなっている。

SN時代から登場しながらもこれまで詳細な設定は語られなかったベディヴィエールだが…







「何を犠牲にしようと、私は今度こそ​─────この手で、我が王を殺すのだ」


Fate/Grand Order』において遂にサーヴァントに。
クラスはセイバー


ILLUST:天空すふぃあ
CV.宮野真守


身長:187cm
体重:88kg
出典:アーサー王伝説
地域:イギリス
属性:秩序・善


◆ステータス
筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
A B A+ C B A


◆スキル
○クラス別スキル
対魔力:B
詠唱が三節以下の魔術を無効化。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても傷つけるのは難しい。

騎乗:A
幻獣・神獣ランクを除くすべての獣、乗り物を自在に操れる。


○保有スキル
軍略:C
多人数を動員した戦場における戦術的直感能力。自らの対軍宝具行使や、逆に相手の対軍宝具への対処に有利な補正がつく。
ベディヴィエールは不朽の指揮官であると語られている。

沈着冷静:B
如何なる状況にあっても混乱せず、己の感情を殺して冷静に周囲を観察し、最適の戦術を導いてみせる。
精神系への効果に対してプラス補正が与えられる。特に混乱や焦燥といった状態に対しては高い耐性を有し、たとえ数百数千の軍勢を単身で相手取ることになろうともベディヴィエールは決して惑わない。
執事的行為に対しても、このスキルは有効に働く。

守護の誓約:B
陣地防衛に対してプラス補正。
自陣メンバー全員の防御力を上昇させる。




登場は第六特異点「神聖円卓領域キャメロット」。
獅子王として聖都に君臨し、民の虐殺を行う王の行いを止めんがため、かつての同胞達と戦う道を選ぶ。

特異点に来られたのはマーリンの手引きであり、獅子王と対峙するにあたって彼が用意した戦神ヌァザの銀の腕のレプリカを義手として装着している。
その威力は現象生命に近いスフィンクスを消滅させ、獅子王のギフトを断ち切るほどだが、その代償にベディヴィエールの魂を燃焼させており、常に激痛が付き纏う。

本来ベディヴィエールは獅子王に謁見するために犠牲になる民を無視するつもりでいたが、
彼らを助けに入った主人公マシュの行動に打たれ、ガウェインに追い込まれていた彼らを救出し、行動を共にする事になる。

長く旅をしていたらしく、食べられるものの目利きには自信があるそうな。
ただし、見た目には気を配らない。曰く「アーサー王語録その八。“栄養は、ゲテモノ肉でも 変わりません”」との事。
劇中ではワイバーンやゲイザー(大目玉)を狩って食料にしていた。

そして円卓の騎士達と刃を交える事になるが、彼らはそろって「お前がここにいる事は有り得ない」と驚愕を露わにする。
更にベディヴィエールの回想には『Fate/stay night』のベディヴィエールとは矛盾するものが含まれており、更に獅子王は彼の存在を完全に忘却していた。
一体彼は何者なのか。その正体は…






以下ネタバレ




「でも一応確認はするよ?戦いの結果はどうあれ、キミはこれで死に絶える」

「魂を使い果たし、輪廻の枠から外れ、キミと言う存在は虚無に落ちるだろう」

「それでも​────まだ、旅の終わりを目指すのかい?」


「​────はい。私の精神(こころ)は、今も彼の王の光のために」



彼はベディヴィエールではあるが、アーサー王の最期を看取った騎士ではない。
つまり、『Fate/stay night』のベディヴィエールとは全くの別人であり、これが前述した原作との矛盾の理由でもある。
王の命を惜しみ、三度目も聖剣を返還できなかったベディヴィエールのif。それが彼の正体である。

そして、彼は英霊ではない。そも、ベディヴィエールという騎士は元から英霊の座には存在しない。だからこそ、彼はこの時代に存在する筈がないのだ。
なのに彼は此処にいる。それは、カムランの戦いが終わったあの時から生き続けているがため。
己が為した罪、それによって人ではないものに成り果てた王を救う為に、1500年もの間、贖罪の旅を続けてきた。
そして彼の命を保ち続けていたものこそが、



「我が右腕こそ忠節の果て、取り返せぬ罪の証!」

「これが夢見たものは王の姿。孤高を歩み続けるその姿を、真実救わんがため!」

「これを阻む者は何人であろうと斬り伏せる! 我が隻腕、今やヌァザの銀の腕なれば!」


宝具
剣を摂れ、銀色の腕(スイッチオン・アガートラム)
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:0 最大補足:1人

スイッチオン・アガートラム。
隻腕を補うためにと魔術師マーリンによって与えられた銀色の腕
ケルトの戦神ヌァザがかつて用いたという神造兵装「銀の腕」そのものではなく、神話と同じ名を与える事で存在を裏打ちされた仮初めの宝具。
その真なる正体は、イフの歴史にのみ存在する「返還されなかった聖剣」である​────
(カルデアに召喚されたベティヴィエールが用いるのは聖剣そのものではなく、きわめて特殊な「仮想聖剣」であるという)

常時発動型の宝具。
普段は人間並の出力だが、戦闘用起動を行う事で、筋力、耐久、敏捷のパラメータが上昇し、白兵攻撃にもボーナスが加算される(ステータス表記は上昇分を加算済み)
『Grand Order』の戦闘では常に戦闘用起動が行われている。


一閃せよ、銀色の腕(デッドエンド・アガートラム)
ランク:C 種別:対人・対軍絶技 レンジ:1~40 最大補足:300人


我が力のすべてを、貴方に。

我が魂喰らいて走れ――銀の流星!

宝具起動――全て引き裂け、我が(かいな)

一閃せよ、銀色の腕(デッドエンド・アガートラム)』!!


デッドエンド・アガートラム。
莫大な魔力を秘めた銀の腕を用いて振るわれる絶技。
宝具『剣を摂れ、銀色の腕』の戦闘用起動時のみ、使用が可能となる。
敵陣を瞬速の『手刀』によって一閃せしめる対人・対軍殲滅攻撃である。



円卓の騎士達と戦うため、マーリンがベディヴィエールに与えた力。
その正体は自身の犯した罪の証であり、三度目もついに返すことのできなかった聖剣。
つまり、ベディヴィエールが持ち続けた「聖剣エクスカリバー」である。

聖剣には持ち主を不老にする加護がある。
その力によってベディヴィエールは姿を消した王を探し、永い旅を続けてきた。
肉体は朽ち果て、魂は燃え尽き、しかし真っ先に瓦解する筈の精神だけを保ちながら、まだ死ぬことは出来ぬと命を繋ぎ続け、彼はアヴァロンへと到達した。
もはや既にその姿は人間ではなくなっているらしく、アヴァロンの妖精達には人の形をした奇妙な岩などと囁かれている。
(劇中では普通に人間の姿をしているが、おそらくはマーリンの術でそう見せているだけ)

その場所でマーリンと再会したベディヴィエールは自分の罪によって王が神霊へと変貌してしまった事を知り、王を救う為に、聖剣を王の元へと返還する事を心に決めた。
しかしそれは、


「彼女を解放する方法はただ一つ。今度こそ聖剣を返すことだ」

「でも​────分かっているね?」

「キミが今まで旅を続けられたのは、その聖剣があったからだ」

「聖剣を還すという事は、何もかも終わるという事」

「キミの長かった旅も、キミのこれまでの苦労も、報われる事なく終わる」

「それでも​───キミは行くのかい?」

「遠い日の過ちを正す為だけに。ただ、王の存命を願っただけの話なのに」

「サー・ベディヴィエール。本当はキミには何の過ちもなかったというのに?」


「​────はい。それが私のできる、唯一度の、王への御奉公なれば」



そうして、彼は特異点へとやって来た。
誰一人として彼がサーヴァントではなく人間だと気が付かなかったのは、マーリンが誤魔化しの魔術を施した為。
彼の正体が知られれば、円卓の騎士たちは獅子王の正体にも気が付き、全力でベディヴィエールを阻もうとするだろう。
それを防ぐため、マーリンは彼に真実に気付かれない魔術をかけた。

そしてベディヴィエールは仲間たちに剣を向ける恐怖と罪の意識に苛まれながら、自分と同じく贋作のサーヴァントでありながら奮い立つ少女の姿に勇気を貰いながら、
土塊の様に崩れていく手足で、遂に獅子王へと聖剣を届かせる。*1

「…貴卿は…何者だ?なぜ…そこまで…?」

「それは、あの日の貴方の笑顔を、いまも覚えているからです、アーサー王」


そう、覚えている。あの日一度だけ見た笑顔を。
覚えている。貴方が他人(ひと)の幸福に穏やかに微笑む人だという事を。


「…待て。それを使うな。使えば、貴卿は​───」

「…円卓の騎士を代表して、貴方にお礼を」

「あの暗い時代を、貴方ひとりに背負わせた。あの華やかな円卓を、貴方ひとり知らなかった」

「…勇ましき騎士の王。ブリテンを救ったお方。貴方こそ、我らにとって輝ける星」

「我が王、我が主よ。今こそ​────いえ」

「今度こそ、この剣をお返しします」



「​────そうか。ようやく思い出した」

「…あの森を。あの丘を。最後まで私を気遣う、泣き腫れた騎士の顔を」

「その悔いを晴らすため、そなたは幾星霜、彷徨い続けたのか」

「…見事だ。我が最後にして最高の、忠節の騎士よ」

「聖剣は確かに還された。誇るがいい、ベディヴィエール」

「貴卿は、確かに​───そなたの王の命を、果たしたのだ」


その賞賛を胸に、騎士は微笑みながら永い旅を終えたのだ。

そしてこの忠義が人理に認められたか、それとも獅子王の計らいか、ベディヴィエールは英霊として座に刻まれ、カルデアへと召喚されたのだった。


「セイバー、ベディヴィエール。これよりは、あなたのサーヴァントとなりましょう。それが、我が王の御為になるものと信じて」



◇ゲーム内での性能

☆3セイバー。カード構成はQQABBで、B単体攻撃宝具のランサー型。
所持スキル「軍略」は味方全員の宝具威力アップ(1ターン)。
「沈着冷静」はNP30チャージ&精神状態異常耐性アップ(3ターン)。
「守護の誓約」は味方全体の防御力&弱体耐性アップ(1ターン)。
宝具の「剣を摂れ、銀色の腕」は自身のB性能アップ(OCで強化)&敵単体に超強力な攻撃。

まだまだ貴重な低レア単体宝具セイバー。 スキルは無難かつ、扱いやすいものが揃っている。
「沈着冷静」、「守護の制約」はスキルレベルを上げることで強化されるのが各種耐性で、肝心のNPチャージと防御バフの上昇値が固定。
軍略も効果の伸びしろが小さいので、総じて(CT短縮目当て以外での)スキル育成の重要性が低いのが特徴。
最大の強みは宝具火力。宝具強化が実装されていることもあり、(実用的な火力支援の範疇で)さくっと20万近いダメージを叩き出すだけのポテンシャルを持つ。
NP30チャージを持つこともあり、周回においてのボスキラーとして大いに役立つだろう。

特に相性の良いサーヴァントにはマーリンが挙げられる。
べディにイベント等で手に入るNP50チャージ礼装を持たせておけば「夢幻のカリスマ」のNP20チャージに自身のNP30チャージを合わせることで即座に宝具を撃つことが可能。
べディはバスター宝具なので「英雄作成」の恩恵を受けられる。また、「軍略」は宝具威力のバフなので、マーリンのバフとは重ならない。
…と宝具ぶっぱを狙うにあたっては完璧に性能が噛み合っている(マーリンの性能が言わずもがなものなので、それに無理なく合わせられるのは大きな強みである)。

ただし、宝具強化を行える幕間の物語の解放条件が終局特異点クリアと少々厳しいのには注意が必要。



◇余談

第6章におけるベディヴィエールの活躍は、当初の構想から大幅に変更されているとのこと。
その心情は奈須きのこ氏が坂本真綾氏のライブで耳にした楽曲「レプリカ」の歌詞をベースとしているとか。
(なおレプリカはアニメ「M3-ソノ黒キ鋼-」の世界観を歌ったもの)

デザインを担当した天空すふぃあ氏にはシナリオの1シーン専用で「号泣」の立ち絵がオーダーされたが、
奈須氏の説明は花の慶次の奥村すけえもんという、一部では有名なものの妙にマニアック例えだった。天空氏にはしっかり通じていたが。
なお、菌糸類の説明のわかりづらさは昔から定評があり、相棒の武内崇氏に至っては、
「顔を隠しているキャスターが顔を伏せている」「黒騎士なんだけどクロという色を感じさせないアグラヴェイン」などのわけのわからないオーダーがなされている。

第1章~第5章のパートナーサーヴァントは全て女性かつ高レアリティ(☆5ジャンヌ、☆4ネロ、☆5ドレイク、☆5モードレッド、☆5ナイチンゲール)だったのだが、
序章の☆3の杖兄貴以来の男性かつ中程度のレアリティとなった。
入手も兄貴と同じく章クリア報酬、ガチャ排出はクリア後のストーリーガチャ限定となる。
しかも設定の都合上、しばらくは期間限定ガチャでも出現せず、その後も滅多に姿を現さない。ついでにイベントでも出番がない。
そのへんの都合で☆3の中では宝具レベルが結構上げづらいのは内緒。とはいえその最大の強みもまた宝具火力であるため、セイバーピックアップや円卓ピックアップといった数少ないチャンスは逃さないように。CBCや福袋を回していたらいつの間にか宝具5になっていたという事も多いが。
6章クリア前に召喚されることを想定していなかったのか、ゲーム内での彼のマテリアルは6章の完全なるネタバレになっている(しかも6章クリア前でも見られる)のには注意。


追記・修正をお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • TYPE-MOON
  • Fate
  • 隻腕
  • 義手
  • サーヴァント
  • ベディヴィエール
  • 世話役
  • アルトリアたん萌え派
  • 贖罪
  • 騎士
  • 忠義の騎士
  • 忠臣
  • 忠道大義である
  • 執事
  • 通常の三倍
  • GO
  • セイバー
  • 円卓の騎士
  • 宮野真守
  • 三木眞一郎
  • 真殿光昭
  • 円卓の良心
  • 銀の腕
  • 輝けるアガートラム
  • 聖剣返還
  • 忠義
  • ただ、その笑顔のために
  • 能登麻美子
  • FGO
  • レプリカ
  • 僕の罪は躊躇ったこと
  • 神聖円卓領域キャメロット

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月23日 15:56

*1 彼の覚悟はゲーム内にも表れており、獅子王戦限定でNPC枠のベディヴィエールはレベル、スキルレベル、宝具レベル全て最大の状態になる。